Trademark Appeal Case
著名商標の称呼類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年異議第90080号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | other |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4196679号商標(以下、本件商標という。)は、
なり、第5類「薬剤、歯科用材料、医療用油紙、衛生マスク、オブラート、ガーゼ、カプセル、耳帯、眼帯、生理帯、生理用タンポン、生理用ナプキン、生理用パンティ、脱脂綿、ばんそうこう、包帯、包帯液、医療用腕輪、失禁用おしめ、乳児用粉乳、乳糖」を指定商品として、平成8年4月23日に登録出願、同10年10月9日に設定登録されているものである。
2 登録異議申立人(以下、「申立人」という。)の異議理由
(1)申立人は、「天機に参与する」すなわち「天意に従った行動をとる」ことを意味する『参天』の語をもって、明治23年に「田口参天堂」の名で創業して以来、「医薬品、動物用医薬品、医薬部外品、医療器具の製造、売買、並びに輸出入」等を主な目的として企業活動してきている総合医療品メーカーである。特に、申立人は、眼科的医療分野においては、「サンテ」なる称呼が生じ、或いは「サンテ」の語を含む各種の目薬を代表とする商品群と共に、眼科医、薬局等の専門的な知識を有する者のみでなく広く一般の需要者の間においても、高い信頼と名声を獲得している。
なお、申立人は、昭和33年に、その名称を現在の名称である「参天製薬株式会社」と改称した。
そして、申立人の名称の要部の「参天製薬」並びにその略称である「参天」及びその称呼を表した「SANTEN」、「サンテン」の各語は、申立人の業務に係る商品のマスメディアを通じた全国的な宣伝、広告と膨大な量の販売に伴い、申立人の商品の品質に対する信頼とも相まって、今では、申立人を表すものとして日本国内において著名な語となるに至っているものである。
(2)次に、申立人は、申立人の業務に係る商品に付す商標として、申立人の名称の要部の略称である「参天」の称呼「サンテン」から、語尾の弱音の「ン」を省略することにより、その発音を容易かつ明瞭とすると共に語感を強め、かつ、申立人の商品群同士を、「サンテ付」の商品として連想上の結び付きを強めて、「参天製薬の商品」を覚え易くする造語「SANTE(Sante,santeの態様を含む)」、「サンテ」を考え出した。
そして、申立人は、次のとおり、これら造語「SANTE」、「サンテ」を、約70年程前に商標として登録を受け、以後今日まで継続して使用してきている。(公報の申立人商標1乃至3部分の写しを、甲第2号証の1乃至3として提出する。)そして、申立人商標の「SANTE」、「サンテ」の語は、申立人自体を表す「参天]、「SANTEN」、「サンテン」の語を直感させる程に類似し、それらの語と一体不可分の密接な関連性を有するものである。
ちなみに、旧商標法当時、「参天」(登録第93013号)、「SANTEN」(登録第164540号)、「サンテン」(登録第878883号)と、特に、申立人商標1「SANTE」、申立人商標2「サンテ」との商標同士において、「参天」及び「SANTEN」と「SANTE」とは連合商標として、「参天」、「SANTEN」及び「サンテン」と「サンテ」とは連合商標としてそれぞれ登録されていた。
(3)申立人は、申立人商標1乃至3の商標権を取得して以来、医薬品、医療補助品を中心として、「サンテ」の称呼が生じる多数の商標について、申立人商標1乃至3の連合商標(旧商標法当時)としてその商標権を取得してきている。例えば、指定商品に「薬剤」等を含み且つ現在権利存続中のものに限ってみても、40件余りの登録商標がある。〔公報のこれらの商標部分の写しを、甲第3号証の1乃至の41として提出する。〕
更に、申立人は、薬剤等を含む「大學サンテ」(登録第744989号商標)、「スーパーサンテ」(登録第632689号商標)等の登録商標を保有している。
(4)申立人は、「SANTE」及び「サンテ」の語を含む商標を付した商品を、例えば平成6年4月から平成10年3月までの間に限ってみても、次のとおり販売している。
期間 平成6年4月〜平成10年3月
累計出荷数約 6100万本
合計売上高 約270億円
(5)更に、申立人は、前記商品に関し、テレビジョンにおける提供番組内での宣伝広告並びにスポット宣伝広告等を中心とするマスメディアによる宣伝広告活動を、全国規模で継続して展開している。その他、毎日膨大な数の乗降客が目にする鉄道の駅構内の看板における宣伝、広告等種々の活動も行っている。現在では、その宣伝広告活動の費用は、年間数十億円に上っている。申立人がテレビジョンにおいて行ってきた宣伝広告の実績は「サンテFX」が14、022本、「サンテドウプラスE」が18、138本である(上記2商品の他、テレビジョンにおける宣伝広告の最近の実績例の概要を、甲第6号証の1乃至の8として提出する。)。
(6)前記(4)乃至(5)に記載の事実により明らかなとおり、現在では、申立人商標の「SANTE」、「サンテ」の語は、眼科的医療分野を筆頭に、それ自体が著名な商標となっている。また、「サンテ」の語に文字を付加した、例えば甲第6号証に記載の商標も、その商標が付された商品と共に、著名になっている。そればかりでなく、これら「SANTE」、「サンテ」の語は、前述のとおりその類似性と結び付きの強さから、申立人自体を表す著名な語「参天」、「SANTEN」、「サンテン」を直感させることによって、これら「SANTE」、「サンテ」の語は申立人自体をも示すものとして、取引業者及び一般需要者の問で広く浸透しているものである。
前記のことは、例えば、宮崎県民の疾病予防や健康増進を目的として活動している、宮崎市霧島1丁目2番地所在の「財団法人宮崎県健康づくり協会」が、同協会が発行する機関紙に「Sante(さんて)宮崎」の名称を使用することについて、申立人の業務との混同のおそれを危倶し、申立人の理解と協力を求めてきて、これに対して申立人がこれを許諾した事実からもいえるものである。
そして、申立人商標1及び2並びに申立人の各商標に含まれる「SANTE」、「サンテ」の語、並びに「SANTE」及び(或いは)「サンテ」の語を含む商標が著名となった時期は、本件商標の出願日である平成8年4月23日より前である。
他方、「クレゾール」、「クレオゾール」、「クレゾルシン」、「クレアチン」、「クレアチノール」、「クレオソート」、「クレンジン」等の化学物質の一般名称が存在し、そのなかでも特に「クレゾール」、「クレンジン」の名称は一般人にも極めてよく知られている。
また、例えば、「薬剤、医療補助品、化学品」を指定商品として、語頭に「クレ」の文字が存在する商標、或いは、語頭に「クレ」と称呼し得る文字が存在する商標は、過去膨大な量が幾人もの名義において登録されていて、現在権利存続中で、かつ、欧文字と片仮名の上下2段表記の商標に限ってみてもその数は相当数にのぼる。
上記の事実からは、「クレ」の文字及び「クレ」の称呼は、少なくとも「薬剤、医療補助品」においては見慣れた或いは聞き慣れたものであり、出所を示す標識としての識別力は弱いものであるといえる。
テ」の各文字を書してなるものであるから、本件商標に接した者は「サンテ」の称呼に引きつけられ「サンテ」の文字及び「サンテ」の称呼に着目するものである。したがって、本件商標が付された商品に接した者が、当該商品は「サンテ」シリーズ商品のうちの一つであると誤認、混同し、当該商品が恰も申立人の業務に係る商品であるかのように誤認、混同するおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に該当するものであるから同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
3 当審の取消理由
当審では、申立人の異議理由に基づき、商標権者に対し、本件商標は、申立人がその取扱いに係る商品「目薬」に使用し、広く認識されるに至った「SANTE」「サンテ」の文字を有してなるものであるから、これをその指定商品に使用した場合には、その商品が申立人又は申立人と関係のある者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、その登録を取消すべき旨の取消理由を通知した。
4 上記3の当審の取消理由に対して商標権者は何ら意見を述べていない。
5 当審の判断
申立人の提出に係る甲各号証によれば、申立人は、明治23年に創業され、以来、医薬品、医薬部外品、医療器具の製造販売を行っている総合医療品メーカである。また、申立人は自己の名称の要部である「参天(サンテン)」の称呼から、語尾の「ン」を省略した、「SANTE」「サンテ」の文字を含む商標、例えば「大学サンテ」「SUPER SANTE」「スーパーサンテ」「ULTRA SANTE」「ウルトラサンテ」「COOL SANTE」「クールサンテ」等多数の登録商標を所有しているものである。そして、申立人は、申立人の製造に係る商品「目薬」に上記「スーパーサンテ」の商標を付して昭和37年に発売して以来、今日まで各種の目薬に「SANTE」「サンテ」の文字を含む商標を使用し、盛大に宣伝、広告をおこなってきた。その結果、申立人が使用する目薬に使用する「SANTE」「サンテ」の文字よりなる商標は、本件商標の登録出願時には既に取引者、需要者間に広く認識されていたことが認められる。
しかるところ、本件商標は、その構成中に申立人の取り扱いに係る「目薬」に使用し広く認識されているものと認められる「SANTE」「サンテ」の文字を有してなるものであるから、これを申立人の業務に係る上記商品と密接な関係を有すると認められる本件指定商品に使用した場合には、前記実情よりして、その商品が申立人又は申立人と関係のある者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと認められる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものといえるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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