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Trademark Appeal Case

品質表示と商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2009−11978(T2009−11978/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第33類「アルコール飲料,予混合のアルコール分を含むカクテル,メキシコ国ハリスコ州産の蒸留酒,メキシコ国ハリスコ州産の蒸留酒のリキュール」を指定商品として平成20年5月21日に登録出願されたものである。そして、願書記載の指定商品については、原審において、同21年1月22日付け提出の手続補正書により、第33類「メキシコ国ハリスコ州産の蒸留酒,メキシコ国ハリスコ州産の蒸留酒入りのリキュール,その他のアルコール飲料(ビールを除く。)」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由(要点)

原査定は、「本願商標は、『MATADOR』の文字を、多少図案化しつつも未だ普通の域を脱しているとは認められない態様にて書してなるところ、この文字は、カクテルの一種を理解させることから、例えばアルコール飲料に使用しても、取引者・需要者は、カクテルの一種を認識するに止まるので、商品の品質(内容)を表示するにすぎないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記品質を有する商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断

1 本願商標は、別掲のとおり、「MATADOR」の文字を、未だ普通の域を脱しているとは認められない態様にて書してなるところ、当該文字及びその片仮名表記である「マタドール」の文字が、カクテルの一種を表す文字として用いられていることは、原審において提示した証拠に加えて、次の記事からも裏付けられるものである。

(1)「Matador」の項に、「マタドールとは、スペイン語で闘牛士。とはいえ、パイナップル・ジュースのまろやかな甘みと酸味がテキーラとよく調和した、バランスの取れたカクテルです。」との記載(「『HBAカクテルアドバイザー』資格認定教本」株式会社ごま書房発行)。

(2)「Matador マタドール」の項に、「スペイン語で闘牛士という意味のマタドール。テキーラのストレートな味に、フルーティなパイナップル・ジュースとフレッシュ・ライム・ジュースをそれぞれ合わせた甘酸っぱいカクテルは、まさに闘牛と闘う情熱的で華麗な姿が思い浮かぶ。」との記載(「うまいカクテルの方程式」株式会社日東書院本社発行)。

(3)「マタドール」の項に、「闘牛士という意味のマタドールは、テキーラベースの代表的カクテル。」との記載(「カクテル・パーフェクトブック」株式会社日本文芸社発行)。

(4)「cocktail−masterFIZZ」と称するウェブサイトにおいて、「カクテルの作り方&カクテルレシピ」の項に、「カクテル『マタドール』=やや甘口・12度 <カクテルのデータ>カクテル名は、『闘牛士』という意味。」との記載(http://homepage3.nifty.com/my-fizz/6recipe/4tequila/matador.html)。

(5)「AUTHENT オーセント」と称するウェブサイトにおいて、「冷凍カクテルとは?お家やホームパーティー、ちょっとしたいイベント事に本格カクテルを飲みたいというお声から生まれたのが、冷凍カクテルの通信販売です!」及び「テキーラベース」の項に、「マタドール 甘いパイナップルジュースが、テキーラとライムジュースとの出逢いによってさわやかな口当たりのカクテル。ちなみにマタドールとは闘牛士のこと。」との記載(http://www15.plala.or.jp/world-mh-777/shop.html)。

(6)「アサヒビール株式会社」のウェブサイトにおいて、「カクテルレシピ検索」の項に、「マタドール フルーティでやや甘口の味わいの中にもテキーラの香りが効いた味わい。」との記載(http://www.asahibeer.co.jp/cocktailguide/search/?CMD=onEdit&ID=1010400434)。

(7)「サントリーホールディングス株式会社」のウェブサイトにおいて、「カクテルレシピ検索」の項に、「マタドール マタドールとは闘牛の最後に登場し、牛にとどめを刺す闘牛場の主役。情熱的な名前だが、パイナップルジュースの甘味とライムジュースのほどよい酸味のバランスが絶妙で、フルーティーで口当たりの良いカクテル。」との記載(http://apl.suntory.co.jp/wnb/cocktail/recipe/matador/index.html)。

以上の事実よりすれば、「MATADOR」及び「マタドール」の文字は、本願指定商品との関係において、テキーラ(メキシコ国ハリスコ州産の蒸留酒)をベースにパイナップルジュースとライムジュースを用いたカクテルの名称を指し、また、その名称を表す文字として広く一般に使用されていると判断するのが相当である。

してみれば、本願商標を構成する「MATADOR」の文字を、その指定商品中「メキシコ国ハリスコ州産の蒸留酒入りのリキュール」に使用するときは、これに接する取引者、需要者に、前記カクテルと認識させ、商品の品質、内容を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と理解させるに止まり、自他商品を識別する機能を果し得ないというべきであり、かつ、前記商品以外の商品に使用するときは、その商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

2 なお、請求人は、「本願商標は、文字の大きさを相違させ、構成文字全体にかすり傷のようなデザインが施されているので、『普通の域を脱している』態様である。また、『MATADOR』が、カクテルの一種と認識される場合があるとしても、第一義的には『闘牛士』の意であることに変わりはないところ、商品の品質(内容)を表示していると認識されるおそれはなく、品質の誤認を招くおそれもない。請求人(出願人)は『MATADOR』とのみ書した商標を取得している。」旨、主張する。

しかしながら、本願指定商品を取り扱う業界において、酒類の名称を表示する際に、文字の大きさを相違させるなど、レタリングを施す手法が一般的に行われていることは、原審で提示した証拠に加えて、次の記事からも裏付けられることからすれば、本願商標は、普通に用いられる方法で表示されているといわなければならない。

(1)「麒麟麦酒株式会社」のウェブサイトにおいて、「NEWS RELEASE」の項に、「メキシコ産プレミアムテキーラ 『オルメカブランコ』新発売」の見出しのもと、「OLMECA(各文字の大きさを相違させて表示)」の態様(http://www.kirin.co.jp/company/news/10/010117.html)。

(2)「酒 SAKE さかや」と称するウェブサイトにおいて、「ダンヒルオールドマスタ」の見出しのもと、「dunhill(文字の大きさを相違させて表示)」の態様(http://sakemitsui.com/cp-bin/oscommerce/catalog/product_info.php/cPath/1_6/products_id/147)。

(3)「河内屋」のウェブサイトにおいて、「エドラダワー 10年 700ml 40度」(http://store.shopping.yahoo.co.jp/kawachi/5010739261981.html)及び「エドラダワー 10年[1995]アンチルフィルタード 700ml 46度」(http://store.shopping.yahoo.co.jp/kawachi/5021944060016.html)の見出しのもと、「EDRADOUR(語頭Eと語尾のRが他の文字に比べて大きく表示)」との記載並びに「グレンオード 12年 700ml 43度」の見出しのもと、「GLEN ORD(Rの文字が他の文字より大きく表示)」の態様(http://store.shopping.yahoo.co.jp/kawachi/5000281016597.html)。

(4)「楽天市場」と称するウェブサイトにおいて、「ゴールドリバー18年」の見出しのもと、「GOLD RIVER(語頭G及び語尾Rの文字が他の文字に比べて大きく表示)」の態様(http://item.rakuten.co.jp/oosima/51019653/)。

そして、「MATADOR」の文字が、カクテルの名称を表す文字として広く一般に使用されていることからすれば、たとえ「MATADOR」の文字が、「闘牛士」の意味を有するとしても、本願商標を、その指定商品中「メキシコ国ハリスコ州産の蒸留酒入りのリキュール」に使用するときは、カクテルの一種であること、すなわち、商品の品質、内容を表示すると理解され、また、前記商品以外に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあることは、前記のとおりである。

さらに、登録出願された商標が登録出願に係る商標が商標法第3条第1項の規定に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、過去の審査例等の判断に拘束されることなく、個別具体的に判断されるべきところ、請求人(出願人)が挙げた登録例は、その指定商品との関係において、自他商品を識別する機能を果し得るものや、本願とは判断時期を異にするものであり、その登録例の存在によって、本願商標が直ちに自他商品を識別する機能を果し得るとは認められないことからすれば、前記判断は何ら左右されないというべきである。

そうとすれば、請求人のいずれの主張も採用することはできない。

3 したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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