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Trademark Appeal Case

「SERIES」の識別力と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2008−680002(T2008−680002/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

国際登録第789437号商標に係る指定商品中、第12類「Motor vehicles and parts thereof(included in this class).」については、その登録を無効とする。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件国際登録第789437号商標(以下「本件商標」という。)は、「PRIME SERIES」の欧文字を書してなり、2002年3月6日にGermanyにおいてした商標登録に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して同年(平成14年)9月3日に国際登録、第12類に属する「Motor vehicles and parts thereof(included in this class).」及び第28類に属する「Model vehicles.」を指定商品として、平成19年3月30日に設定登録されたものである。

2 引用商標

請求人が引用する登録第4156013号商標(以下「引用商標」という。)は、「PRIME」の欧文字と「プライム」の片仮名文字を上下二段に書してなり、平成8年10月18日に登録出願、第12類「二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,船舶並びにその部品及び附属品,航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品,乳母車,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」を指定商品として、平成10年6月12日に設定登録されたものである。

3 請求人の主張

(1)請求の理由の要旨

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証を提出した。

(2)請求の根拠

本件商標は、引用商標と称呼及び観念を同一とする類似の商標であって、その指定商品中、第12類「Motor Vehicles and parts thereof(included in this class).」(第12類「動力車及びその部品(本類に属するもの。)」)については、商標法第4条第1項第11号の規定に該当するものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録は無効とされるべきものである。

(3)具体的理由

ア 本件商標と引用商標との対比

本件商標は、「PRIME SERIES」の文字よりなるものであるところ、構成中の「SERIES」の文字部分は、その指定商品との関係においては、「一定のコンセプトの下に製造・販売される商品」であることを表す語として取引者・需要者間に広く知られ、かつ、使用されており、本件商標からは、「PRIME」の文字部分が、自他商品識別機能を有する部分であるということができる。

したがって、本件商標からは、「PRIME」の文字部分より、単に「プライム」の称呼及び、「最初の、首位の」等の観念を生ずるものである。

そうとすると、「プライム」の称呼及び、「最初の、首位の」等の観念が生ずる引用商標とは称呼において類似する商標といわざるを得ないものである。

「SERIES」の語は、「一続き、連続、一組」(甲第1号証)、該語の片仮名表記である「シリーズ」は、「(連続・系列の意)連続性を持つ一連のもの。」(甲第2号証)等の意を有する語として我が国においては理解されているが、「SERIES」及び「シリーズ」の語は、商品との関係においては、「シリーズもの」と呼ばれるように、「一定のコンセプトの下において製造・販売される一連の商品」を表す語として使用されている。

すなわち、「SERIES」及び「シリーズ」の語は、「○○SERIES」、「○○シリーズ」の構成をもって一般に使用されており、かかる構成においては、「○○」の部分には商品の品質等を表す語又は自己の商品を表す語と共に用いられるのが普通である。

前者の例として、「スタンダードシリーズ」、「新シリーズ」、「既存シリーズ」等のような用例があり(甲第3号証の1、4)、このような使用については、構成全体が自他商品識別力を有しないものということができる。

他方、後者の例としては、自己の有する商標等と組み合わせ、一連の商品であることを表現する方法が用いられている。

かかる使用においては、「○○」の構成部分が自他商品識別力を有するものということができる。このように使用される例は、本件商標に係る指定商品中の「自動車」等(甲第4号証〜同第9号証)のみに限らず他の商品にも及んでいる(甲第3号証の2,3,5,6、甲第10号証及び甲第11号証)。

これらの事実からみても、「SERIES」、「シリーズ」の語は、該語の前に書された語の一連の商品であることを表示するものとして一般に用いられており、本件商標において取引者・需用者は、「SERIES」、「シリーズ」の語の前に書された「PRIME」の文字に注意関心をもち、「PRIME」商品の一連のコンセプトの下に製造され、販売されている商品であると理解し、自他商品識別機能を有する商標である「PRIME」を所有する商標権者と経済的・組織的に何らかの関係を有する者に係る商品と認識する場合も少なくない。

また、「PRIME」と「SERIES」の語は、語義において一体として結合してのみ商標に独自の識別性が生じる、不可分一体のものとみなければならない必然性はないものである。

簡易、迅速を尊ぶ取引の実際においては、本件商標からは単に「PRIME」の文字部分のみによっても取引されるものであるということができる。

よって、本件商標からは、「プライムシリーズ」の称呼の他に、単に「プライム」の称呼及び「最初の、首位の」等の観念をも生ずるものである。

他方、引用商標は、その構成、態様より、「プライム」の称呼及び、「最初の、首位の」等の観念が生ずるものであること明らかである。

したがって、本件商標と引用商標は、称呼及び観念を同一にする類似の商標というべきものであり、その指定商品中、第12類「動力車及びその部品(本類に属するもの。)」と引用商標に係る指定商品とは、同一又は類似の商品である。

イ むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に該当し、その登録は、同法第46条第1項の規定により無効とされるべきものである。

4 被請求人の主張

被請求人は、何ら答弁していない。

5 当審の判断

本件商標と引用商標との類否について判断するに、本件商標は、前記1のとおり「PRIME SERIES」の欧文字からなるところ、その構成中「PRIME」の文字は、「(多く接頭語的に)最も重要なさま。最良の。」の意味を、「SERIES」の文字は、「(連続・系列の意)連続性を持つ一連のもの。」の意味(ともに「広辞苑第六版」株式会社岩波書店)を有する英語であり、両語は、いずれもよく知られている語といえるものである。

そして、本件商標は、その構成全体をもって直ちに特定の観念を生ずる熟語とも認められず、他に、本件商標が常に一体不可分のものとして認識しなければならない特段の事情も見いだせない。さらに、本件商標構成中の「SERIES」の文字は、実際に、「連続、一連のもの、一続きのもの」などの意味合いを表す語として日常親しまれているものであり、本件商標の指定商品を取り扱う業界においても、一連の商品群や商品の内容等が共通な連続のもの、いわゆるシリーズ商品を表示するための語として取引上、普通に採択、使用されているものであるから、該文字部分は、自他商品の識別機能を発揮する部分というより、識別機能の弱い部分として理解、把握されるものといわざるを得ない。

また、商標の類否について、「簡易、迅速をたっとぶ取引の実際においては、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、常に必ずしもその構成部分全体の名称によって称呼、観念されず、しばしば、その一部だけによって簡略に称呼、観念され、一個の商標から二個以上の称呼、観念の生ずることがあるのは、経験則の教えるところである。そして、この場合、一つの称呼、観念が他人の商標の称呼、観念と同一または類似であるとはいえないとしても、他の称呼、観念が他人の商標のそれと類似するときは、両商標はなお類似するものと解するのが相当である(最高裁昭和38年12月5日判決 昭和37年(オ)第953号)」と判示されていることからすれば、本件商標に接する取引者、需要者は、いわゆるシリーズ商品を表した文字部分と理解される「SERIES」の文字部分を省略し、前半の「PRIME」の文字部分を自他商品の識別標識として把握し、これから生ずる「プライム」の称呼をもって取引に資する場合も決して少なくないとみるのが自然である。

そうすると、本件商標よりは、その構成文字に相応して、「プライムシリーズ」の一連の称呼を生ずるほか、「PRIME」の文字部分に相応して、単に「プライム」の称呼及び「最も重要なさま。最良の。」の観念を生ずるものというべきである。

他方、引用商標は、「PRIME」の欧文字と「プライム」の片仮名文字からなるところ、これよりは、その構成文字に相応して、「プライム」の称呼及び「最も重要なさま。最良の。」の観念を生ずるものである。

してみれば、本件商標と引用商標とは、外観において相違する部分があるとしても、「PRIME」の欧文字を共通にするものであり、かつ、本件商標と引用商標からは「プライム」の称呼及び「最も重要なさま。最良の。」の観念が生ずることは前述のとおりであるから、両商標は称呼及び観念上類似する商標といわざるを得ないものであって、かつ、指定商品の取引の実情等において、商品の出所の混同をきたすおそれはないと考えられる特別の事情が存在するものとは認められないものである。

そして、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品を含むものである。

また、被請求人は、上記3の主張に対し、何ら答弁していない。

したがって、本件商標の指定商品中、請求に係る商品第12類「Motor vehicles and parts thereof(included in this class).」についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効とすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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