Trademark Appeal Case
グラマラスの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2008−900164(T2008−900164/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5102711号商標(以下「本件商標」という。)は、「GLAMOROUS」の文字と「グラマラス」の文字とを二段に横書きしてなり、平成19年6月6日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」を指定商品として、同19年11月30日に登録査定、同20年1月11日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由の要旨
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第50号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標は、「GLAMOROUS」及び「グラマラス」よりなるところ、「GLAMOROUS」及び「グラマラス」が「魅力に満ちた、魅力的な」という意味で辞書に掲載され、また、本件商標の指定商品と関係する服飾業界においても服飾用語として一般に使用されていることよりすれば、これをその指定商品に使用しても商品の品質を記述的に表示したに過ぎないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)また、本件商標を構成する「GLAMOROUS」及び「グラマラス」は、「肉体的魅力的な」や「ふくよかな外観」等の意味で、商標権者以外の者によって、本件商標の指定商品について広く一般に使用されている。そうとすれば、本件商標は、取引者、需要者をして、何人かの業務に係る商品であるかを認識されないものであるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。
3 本件商標の取消理由
登録異議の申立てがあった結果、商標権者に対し、期間を指定して意見を述べる機会を与えて通知した本件商標の取消理由は、要旨次のとおりである。
申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)辞書、用語集
(ア)「研究社 新英和中辞典」第4版の「glamorous」の項には、「魅力に満ちた、魅惑的な」と記載されている。(甲第2号証)
(イ)文化出版局「ファッション辞典」の「グラマラス」の項に、「[glamorous]<魅力に満ちた、魅惑的な>の意で、グラマー(glamour)とは人をうっとりさせる魅力のこと。日本では肉感的な女性の魅力につかわれることが多いが、本来は洗練された大人の女性の女らしさをいう。」と記載されている。(甲第3号証)
(ウ)インターネット上の「ファッション用語−FRONTSTYLE」の「グラマラス(glamorous)」の項に、「『魅力に満ちた、魅惑的な』の意。日本では肉感的な魅力を持つ女性について『グラマー』や『グラマラス』という表現を用いるが本来はそうしたセクシーな魅力だけでなく、完成された大人の魅力や洗練性と気品の中に感じられる魅力ということば。」と記載されている。(甲第4号証)
(エ)インターネット上の「ファッション用語辞典 スタイル説明 ar−umアールアン」の、「ファションタイプ グラマラススタイル」の項に、「『スタイルの良さを生かした、セクシーでかっこいいスタイルです。からだのラインを女らしくキレイにみせるコーディネイトで、男の子にも女の子にも好評。」と記載されている。(甲第5号証)
(2)カタログ、雑誌、インターネット情報
(ア)株式会社ワコールの商品カタログ「06 Spring&Summar NEW LOOK」には、「Town style 上品グラマラスなメッシュ『キャミ』を主役に、ボリュームスカートでスタイルUP」と記載されている。(甲第9号証−2)
同じく、株式会社ワコールの商品カタログには、「GLAMAROUS CUP collection グラマラスカップコレクション」と記載されている。(甲第9号証−6)
(イ)グンゼ株式会社の商品カタログ「GUNZE YANSOFFI 2007 SPRING & SUMMER COLLECTION 」には、「Su・gu・re Bra 優れブラ グラマラス、とナチュラル。ふたつのキレイを手にいれる。」と記載されている。(甲第10号証−1)
(ウ)ファッション雑誌「PJ[ピーチ・ジョン]春号」2007.Spring vol.60には、「グラマラスなブラ」、「・・・パンツは裾に向かってワイドになるグラマラスなパターン。」と記載されている。(甲第18号証2及び5)
(3)日経テレコン21−新聞記事検索情報
(ア)日本経済新聞 1995年2月6日には、「細いベルト−体のライン、優雅さ協調(魅せる)」とのタイトルのもと、「・・・、この春は、きっちりと仕立てられた美しいシェイプの服、なかでも、オートク華やかなりし一九五〇年代を思わせる、エレガントでグラマラスな服が見直されている。」と記載されている。(甲第20号証−1)
(イ)日本経済新聞 1995年9月25日には、「アニマル柄−ワイルドに女性美彩る(魅せる)」とのタイトルのもと、「・・・、この秋冬向けのコレクションでは、コートはもちろん、クラシックなスーツやグラマラスなドレス。さらに・・・・が提案されている。」と記載されている。(甲第20号証−2)
(ウ)中国新聞 2002年5月1日には、「◎セクシー&パワフル 大人の黒 02−03秋冬パリ・コレ ビッグブランド変身」とのタイトルのもと、「・・・、トム・フォードがデザインするサンローランのコレクションには、グラマラスな黒いドレスがずらり。ボディーにぴったりのタイニードレスに、たっぷりの量感を盛ったスパンコールドレス、胸を大きくカットしたベロアに、クリスタルをまぶしたドレス、いずれも色はパワフルな黒。」と記載されている。(甲第20号証−5)
(エ)日本繊維新聞 2003年6月26日には、「高島屋ヤング&キャリア秋冬商品政策、季節物の提案力を強化」とのタイトルのもと、「全体感として、先出しの部分でシャープさ、セクシーさ、グラマラスさといった”カッコイイ系”のスタイルを打ち出す。」と記載されている。(甲第20号証−6)
(オ)静岡新聞 2005年7月7日には、「わが店の注目商品=水着丸井静岡店=甘くグラマラスなデザイン」とのタイトルのもと、「・・。丸井静岡店B館『フィールド』で、注目を浴びているのはフリルとリボンです。胸元やスカートを優しいフリルで飾り、リボンを大きく結んだグラマラスなデザインの動きが目立っています。」と記載されている。(甲第20号証−9)
(カ)日本繊維新聞 2006年2月23日には、「”熱気”クールビズ、ブレザーも強化へ、立体的・グラマラス」とのタイトルのもと、「ワイシャツのボディーに関してだが、・・・下着感覚で着られているシャツを体にフィットし、シルエットがもっと出るように立体的・グラマラスにした。」と記載されている。(甲第20号証−10)
(キ)日本繊維新聞 2007年3月7日には、「ランジェリーコレクションinロンドン」とのタイトルのもと、「30年代のハリウッド女優からイメージしたカラフルでグラマラスなコルセットは、ウエディングはもちろん、・・・パーテイーウェアとしても大人気。」と記載されている。(甲第20号証−11)
以上のとおり、申立人主張の理由及び前記の事情を総合すると、「GLAMOROUS」、「グラマラス」の文字は、「魅力に満ちた、魅惑的な」の意味を有する平易な英語または外来語であって、本件指定商品と関係する服飾業界においては、「洗練された大人の女性の女らしさをイメージしたスタイルまたはデザイン」を表す語として、商品の説明や広告、宣伝等に普通に使用されていることが認められる。
そうとすると、本件商標をその指定商品に使用する時には、取引者、需要者をして、該商品が「魅惑的な、洗練された大人の女性の女らしさをイメージしたスタイルまたはデザイン」であること、すなわち商品の品質を表示したものであると容易に理解し、認識させるから、自他商品の識別機能を有しないものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
4 商標権者の意見
(1)甲第2号証ないし甲第4号証の辞書、用語集において、 「glamorous」という語が「魅力に満ちた、魅惑的な」の意味を有することを説明しているが、「魅力に満ちた、魅惑的な」という意味は極めて漠然としており、商品の特定の品質を表示するものではない。また、甲第5号証で使用される「グラマラススタイル」という言葉が一つのスタイルの名称として広く一般に使用されている証拠は見あたらない。
(2) カタログ、雑誌、インターネット情報において、 「上品グラマラスなメッシュ『キャミ』を主役に、ボリュームスカートでスタイルUP」(甲第9号証−2)、 「GLAMAROUS CUP collection グラマラスカップコレクション」(甲第9号証−6)、「Su・gu・re Bra 優れブラ グラマラス、とナチュラル。ふたつのキレイを手にいれる。」(甲第10号証−1)及び「グラマラスなブラ」、「・・・パンツは裾に向かってワイドになるグラマラスなパターン。」(甲第18号証−5)との記載については、「グラマラス」という言葉が暗示的に使われたり、他の語と一連一体に使用されていることを示すものであり、商品の特定の品質を表示するものとして使用されていることを示すものではない。
(3)日経テレコン21−新聞記事検索情報において、 「エレガントでグラマラスな服が見直されている。」(甲第20号証−1)、 「クラシックなスーツやグラマラスなドレス。」(甲第20号証−2)、「サンローランのコレクションには、グラマラスな黒いドレスがずらり。」(甲第20号証−5) 、「全体感として、先出しの部分でシャープさ、セクシーさ、グラマラスさといった”カッコイイ系”のスタイルを打ち出す。」(甲第20号証−6)、 「胸元やスカートを優しいフリルで飾り、リボンを大きく結んだグラマラスなデザインの動きが目立っています。」(甲第20号証−9)、「平面的に作られ、下着感覚で着られているシャツを体にフィットし、シルエットがもっと出るように立体的・グラマラスにした。」(甲第20号証−10)、及び「30年代のハリウッド女優からイメージしたカラフルでグラマラスなコルセット」(甲第20号証−11)との記載において、「グラマラス」という言葉が暗示的に使用されていることは立証できるが、本件商標が商品の品質を表示するものとして使用されていることを示すものではない。
(4)「グラマラス(glamorous)」は、「ジーニアス英和辞典」(乙第2号証)において、Cランク(大学生・社会人に必要な語)の難解語彙に位置づけられていることからも、平易な英語または外来語ではないことが明らかである。さらに、本件商標の指定商品の取引者、需要者のレベルにおいても「グラマラス(glamorous)」を平易な英語または外来語とした取消理由通知の認定には誤りがある。
(5)「GLAMOROUS」、「グラマラス」の文字について、申立人は「洗練された大人の女性の女らしさをイメージしたスタイルまたはデザインを表す語」とは主張していないし、辞書、用語集にもかかる説明は見あたらないし、上記意味合いを明確に示す証拠もなく、単に推測したにすぎないものであるから、本件商標は、充分に自他商品の識別機能を有するものというべきである。
(6)申立人の提出した証拠を検討すると、その殆どは文章中に「グラマラス(glamorous)」の語が使用され、他の語とともに使用されていることから、その意味を漠然と認識できるのであって、「グラマラス(glamorous)」の語のみで、商品の特定の品質を示すものとはいえない。
(7)申立人の証拠は、インターネット上で取得した証拠であり、証拠として信用力が充分でない。
(8)乙第3号証に示す判決例(「サークライン」、「ハイチーム」、「セロテープ」)に鑑みれば、本件商標「GLAMOROUS/グラマラス」が、仮に、商品の品質、性能等をある程度暗示させるとしても、常に商品の出所表示力を欠くものとはいえず、自他商品の識別機能を有しないものではない。
(9)申立人は、乙第6号証ないし乙第8号証のように、「glamorous/グラマラス」という語を商標として自ら登録、使用している。また、「GLAMOROUS」、「グラマラス」を含む登録も多数存在する。さらに、米国においても「GLAMOROUS」の識別力が認められ、登録されている(乙第16号証及び乙第17号証)。また、ウェッブサイト上の検索エンジンgoogleにおいて「グラマラス」を検索すると、「glamorous/グラマラス」が雑誌の名前、会社の名前等に使用されており、自他商品識別標識として使用されている。
(10)申立人は、「特に『ブラジャー』等の『下着』においては、その商品を着用した時のスタイルを表す言葉として・・・記述的表示である。」と主張しているが、商標権者は、本件商標の指定商品中の「ブラジャー、その他の下着」に関する商標権の一部放棄を行ったから、記述的表示とはいえない。
以上のとおり、本件商標は、その指定商品について充分自他商品識別機能を有するものであるから、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものではない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号の該当性について
本件商標は、前記3の取消理由のとおり、「GLAMOROUS」、「グラマラス」の文字よりなるところ、該文字は、「魅力に満ちた、魅惑的な」の意味を有する平易な英語または一般に知られた外来語であって、本件指定商品と密接に関係する服飾業界においては、「洗練された大人の女性の女らしさをイメージしたスタイルまたはデザイン」を表す語として、商品の説明や広告、宣伝等に普通に使用されているから、本件商標をその指定商品に使用する時には、取引者、需要者をして、該商品が「洗練された大人の女性の女らしさをイメージしたスタイルまたはデザイン」であること、すなわち商品の品質を表示したものであると容易に理解し、認識させるから、自他商品の識別機能を有しないものといわなければならない。
そうとすれば、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標権者の意見について
(ア)商標権者は、「GLAMOROUS」、「グラマラス」が、平易な英語又は外来語とはいえないし、「魅力に満ちた、魅惑的な」という意味は極めて漠然としており、商品の特定の品質を表示するものではない。また、他の語と組み合わせた態様で使用されることが多いことから、仮に、商品の品質、性能等をある程度暗示させるとしても、常に商品の出所表示力を欠くものとはいえず、自他商品の識別機能を有しないものではないこと等を主張するが、「GLAMOROUS」が大学以上の高等教育レベルの英単語であるとしても、本件指定商品を取り扱うファッション業界では、「GLAMOROUS」、「グラマラス」が、「魅力に満ちた、魅惑的な」の意味で認識され、ファッション業界において「洗練された大人の女性の女らしさをイメージしたスタイル」を指称する用語として普通に使用されていること前記3の取消理由のとおりである。
(イ)また、商標権者は、申立人は「glamorous/グラマラス」という語を商標として自ら登録、使用していること、他に「GLAMOROUS」、「グラマラス」を含む登録も多数存在すること、米国においても「GLAMOROUS」が登録されていること、インターネット上で雑誌の名前、会社の名前等であり、自他商品識別標識として使用されていることを主張するが、申立人の登録例やその他の商標等は、本件商標と構成態様が異なるものであり、その商品も本件商標の指定商品と異なるものであって、事案が異なるから比較出来ないものである。
(ウ)さらに、商標権者は、インターネット上で取得した証拠は、証拠として信用力が充分でない旨述べるが、本件インターネット情報は、何ら不自然な点はないから十分に信用力を有するものである。
(エ)加えて、商標権者は、本件商標の指定商品中、申立人が「特に『ブラジャー』等の『下着』においては、その商品を着用した時のスタイルを表す言葉として・・・記述的表示である。」と主張した「ブラジャー、その他の下着」に関して、商標権の一部放棄を行ったから、記述的表示とはいえない旨述べるが、本件商標の指定商品中「下着類」以外の商品についても上記のとおり品質を表示すると言い得るものであり、かつ、登録異議の申立ては、その登録査定時における異議の理由の有無を判断するものであるから、商標権の一部放棄によって先の判断を覆すことは出来ない。
以上のとおり、商標権者の主張は、何れも採用できない。
(3)結語
したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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