Trademark Appeal Case
称呼・観念の類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2008−900448(T2008−900448/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5158228号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第20類「家具,クッション,座布団」を指定商品として、平成20年2月1日登録出願、同年7月24日登録査定、同年8月8日に設定登録されたものである。
2 本件登録異議の申立ての理由
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第35号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 申立人は、次の登録商標を引用する。
(ア)登録第2419501号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、1980年4月29日フランス共和国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、昭和55年10月29日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成4年6月30日に設定登録、その後、同14年5月14日に商標権の存続期間の更新登録がされ、また、同16年6月9日に指定商品を第24類「フランス製の布製身の回り品,フランス製の敷布,フランス製の布団,フランス製の布団カバー,フランス製の布団側,フランス製のまくらカバー,フランス製の毛布」及び第25類「フランス製の被服」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(イ)登録第5038080号商標(以下「引用商標2」という。)は、「RITZ」の欧文字を標準文字で表してなり、平成17年3月18日に登録出願、第24類「布製身の回り品,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」を指定商品として、同19年4月6日に設定登録されたものである。
以下、これらを総称するときは、単に「引用商標」という。
イ 本件商標に接する者は、それが「Ritz」と「well」が結合した言葉として認識し、「Ritz」は申立人が経営するフランス国パリに所在する世界屈指の超高級ホテルの略称又は商標であるから、該部分に注意を引かれるものである。その結果、本件商標は、その構成に含まれる「Ritz」の文字により、「リッツ」の称呼及び「リッツで健康」「リッツホテルで満足」「リッツホテルの幸福」等といった観念が生じるものであり、引用商標も「RITZ」の文字から「リッツ」の称呼及び「リッツホテル」の観念が生じる。したがって、本件商標と引用商標は、称呼及び観念において類似する商標である。
(2)商標法第4条第1項第8号について
本件商標は、申立人の経営する世界的に著名な「RITZ HOTEL」の略称である「RITZ」を含むものであり、かつ、申立人から承諾を得ていない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
申立人が経営する「RITZ HOTEL/リッツホテル」が世界的な超一流ホテルであって、単に「リッツ」という略称で呼ばれており、本件商標は、申立人の著名な略称及び商標である「RITZ」「リッツ」と類似するものであるから、本件商標がその指定商品について使用された場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
(4)商標法第4条第1項第16号について
申立人は、世界的屈指の超高級ホテル「RITZ HOTEL」であるから、これと類似する本件商標が指定商品に使用された場合、需要者、取引者は当該商品があたかも高級品であるかのごとく商品の品質について誤認するおそれがある。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲(1)のとおり、「Ritzwell」の欧文字を書してなるものであるところ、構成各文字は、極太のゴシック体により一連に外観上まとまりよく一体的に表現されており、これより生ずると認められる「リッツウェル」の称呼も5音のごく短いものであってよどみなく一連に称呼できるものである。
そして、当審における職権による調査によれば、本件商標権者である「株式会社リッツウェル」(住所:福岡市博多区板付5丁目2−9)は、平成4年5月設立、事業内容を「オリジナル製品の企画、開発、製作及び販売並びに特注家具のデザイン、設計及び製作」とする法人であり、平成15年東京都港区に東京ショールームを開設している。そして、同社の商品(家具等)が各種の雑誌等に紹介されているほか、同社は、世界有数の家具国際見本市ミラノサローネに2008年及び2009年の2年連続で出展している(別掲「新聞記事情報」参照)ことも認められ、また、本件商標もそれらに伴って使用されているものである。そうすると、少なくとも、家具及びそれに付属して販売され得る商品(クッション等)を取り扱う分野の取引者、需要者において、本件商標は、相当程度認知されているとみることができるものである。
ところで、申立人は、本件商標に接する者は、それが「Ritz」と「well」が結合した言葉として認識し、「Ritz」は申立人が経営するフランス国パリに所在する世界屈指の超高級ホテルの略称又は商標であるから、該部分に注意を引かれ、本件商標を単に「リッツ」と称呼する可能性が高い旨申し立てている。
そこで、本件商標の構成中、「Ritz」及び「well」の各部分についてみると、例えば、「ジーニアス英和辞典 第3版」(甲第4号証)において、「ritz」の見出しの下、「(高級ホテル Ritz から),(俗)見せびらかし,誇示.put on the ritz(略式)豪勢に暮らす.」と記載されている。そして、「well」の文字部分は、「よく、じょうずに、うまく、よいこと」等の意味を有する英語として親しまれた語である。
してみると、本件商標は、たとえ、構成中の「Ritz」の文字部分が「高級ホテルのRitzに由来する語であるとしても、「Ritz」が「見せびらかし,誇示」、「well」が「よく、よいこと」の意味を有するものであり、両者が意味において関連性のない語ともいえないことから一体的なイメージを生じやすいこと、極めて短いつづりであること、及びそれから生ずる「リッツウェル」の称呼も5音であってごく短いことが認められ、これらに、上記の実情を総合して考慮すれば、本件商標は、その構成全体をもって特定の観念を有しない一種の造語であると認識し把握されるとみるのが自然である。その他、これらを分離して観察しなければならない特段の理由は見いだせないものである。
そうすると、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「リッツウェル」の称呼のみを生ずるものであり、特定の観念は生じないと判断するのが相当である。
他方、引用商標1は、別掲(2)のとおり、図形並びに「HOTEL」、「RITZ」及び「PARIS」の文字よりなるところ、これらよりは「リッツ」の称呼及び「リッツホテル」の観念をも生ずるものである。
また、引用商標2は、「RITZ」の文字よりなるところ、これよりは「リッツ」の称呼を生ずるものである。そして、「リッツホテル」の観念を生じる場合もあることを否定することはできない。
そうとすれば、本件商標から生ずる「リッツウェル」の称呼と引用商標から生ずる「リッツ」の称呼は、「ウェル」の音の有無により区別できるものである。また、本件商標と引用商標とは、前記の構成よりみて外観において相紛れるおそれはなく、観念においては、本件商標から特定の観念が生じないことから比較することができない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点よりみても、類似しない商標といわざるを得ず、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第8号について
申立人は、申立人の名称の著名な略称である「RITZ」の文字をその承諾を得ることなく含んでいるものである旨主張しているところ、本件商標は、前記(1)のとおり、本件商標がその構成全体をもって特定の観念を有しない一種の造語を表したものと認識し把握されるとみるのが相当であるから、本件商標を申立人の略称を含むものと認識し把握されることはないものといわざるを得ず、したがって、本件商標は、他人の著名な略称を含む商標に該当するものとは認められない。
なお、申立人が上記主張の証拠方法として提出した甲各号証は、甲第6号証が1996年のフランス大使館作成の証明書、甲第7号証が平成4年及び同5年の判決、甲第8号証ないし甲第29号証が昭和56年ないし平成12年の審決、甲第32号証ないし甲第34号証が昭和61年及び同62年の商品カタログ等を中心とするものであるが、これらの証拠によっても、上記の認定を左右するものとは認められない。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
申立人は、申立人が経営する「RITZ HOTEL/リッツホテル」は、世界的な超一流ホテルであって、単に「リッツ」という略称で呼ばれており、本件商標は、申立人の著名な略称及び商標である「RITZ」「リッツ」と類似するものである旨主張しているところ、本件商標は、前記(1)で認定したとおり、各構成文字全体をもって特定の観念を有しない一種の造語を表したものとしてみるべき商標であり、引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれからみても類似しない別異な商標と認められるものであるから、商標権者が本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者・需要者をして、上記申立人の使用に係る商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生じさせるおそれはないと判断するのが相当である。
なお、申立人が上記主張の証拠方法として提出した甲各号証は、前記(2)で述べたとおりであるが、これらの証拠によっても、上記の認定を左右するものとは認められない。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第16号について
本件商標は、前記(1)で認定したとおり、各構成文字全体をもって特定の観念を有しない一種の造語というべきであるから、これをその指定商品中のいずれの商品について使用しても、商品の品質の誤認を生ずるおそれもないといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。
(5)結び
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第11号、同第15号及び同第16号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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