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Trademark Appeal Case

著名商標の略称と混同のおそれ

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2009−900325(T2009−900325/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5232182号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5232182号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成20年3月31日に登録出願、第25類、第44類及び第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成21年2月20日に登録査定、同年5月22日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由

(1)商標法第4条第1項第8号

本件商標は、その商標中に、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の著名な略称である「dior」、「ディオール」を含み、かつ、申立人の承諾を得ていない商標である。

(2)商標法第4条第1項第15号

ア 本件商標は、申立人が「婦人服、バッグ、シューズ、ジュエリー、眼鏡、腕時計、万年筆、シガーライター」等のファッション関連商品に使用する商標として、我が国においてはもちろんのこと、世界的に著名性を獲得している後記イに示す登録商標(以下「引用商標」という。)と称呼及び外観において酷似する商標である。

さらに、本件商標の指定商品は、引用商標が著名性を獲得している商品である「婦人服、バッグ、シューズ、ジュエリー、眼鏡、腕時計、万年筆、シガーライター」等のファッション関連商品と同一又は類似するものであり、また、その指定役務には、第44類「美容、理容」及び第45類「ファッション情報の提供」といった、需要者の範囲、販売・提供場所といった点で、ファッションに関連する商品と共通性を有する役務が含まれており、引用商標が著名性を獲得している商品と類似性が高いというべきである。

また、本件商標は、世界的に著名なファッションデザイナー「ChristianDior(クリスチャン ディオール)」の略称として世界的に著名であると同時に、申立人及びその関連会社の業務に係る「婦人服、バッグ、シューズ、ジュエリー、眼鏡、腕時計、万年筆、シガーライター」等のファッション関連商品に使用され、世界的に著名な標章「DIOR」、「Dior」又は「ディオール」の文字及び引用商標(以下「引用商標等」という。)と称呼・観念において類似性が高いというべきである。

これらの事情を考慮すると、本件商標がその指定商品又は指定役務に使用されるときには、これに接する取引者・需要者は、あたかも申立人又はこれと組織的ないし経済的に何らか関係がある者の業務に係る商品又は役務であるかのように認識し、その商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。

イ 申立人が引用する登録商標(これらの登録商標の商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。)

(ア)登録第667468号商標は、「”DIOR”」の文字及び記号を横書きしてなり、昭和38年8月26日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和40年2月15日に設定登録され、その後、昭和51年4月8日、昭和60年3月19日、平成7年7月28日及び平成17年2月15日の4回にわたり商標権存続期間の更新登録がされ、さらに、平成18年2月8日に、指定商品を第6類、第14類、第18類、第25類及び第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換の登録がされたものである。

(イ)登録第669412号商標は、「”DIOR”」の文字及び記号を横書きしてなり、昭和38年8月26日に登録出願、第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和40年3月5日に設定登録され、その後、昭和51年8月9日、昭和60年5月15日、平成7年8月30日及び平成17年2月15日の4回にわたり商標権存続期間の更新登録がされ、さらに、平成18年3月1日に、指定商品を第14類、第18類、第25類及び第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換の登録がされたものである。

(ウ)登録第838094号商標は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和39年3月13日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和44年11月18日に設定登録され、その後、昭和55年4月30日、平成2年2月19日、平成11年8月24日及び平成21年11月4日の4回にわたり商標権存続期間の更新登録がされたものである。

(エ)登録第4022600号商標は、「Dior」の文字を横書きしてなり、平成6年6月10日に登録出願、第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成9年7月4日に設定登録され、その後、平成19年7月10日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。

(オ)登録第4492095号商標は、「Dior」の文字を横書きしてなり、平成12年9月18日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成13年7月19日に設定登録されたものである。

(3)むすび

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号及び同第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

3 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第8号について

本件商標は、別掲(1)のとおり、「Deux Endior」の欧文字を横書きしてなり、その下に、該欧文字を片仮名で表記したと認められる「ドゥ アンディオール」の文字を、欧文字部分に比べやや小さく表して横書きしてなるものであるところ、これらの文字は、構成する文字全体が外観上まとまりよく表されているばかりでなく、これより生ずると認められる「ドゥアンディオール」の称呼も冗長というほどのものではなく、よどみなく称呼し得る程度のものである。また、本件商標中の「Endior」の文字部分に着目しても、その語義は把握し得ないものの、大文字「E」より始まる単語の一つを表したと理解されるものであって、該文字部分は、その下に書された「アンディオール」の文字部分より「アンディオール」とのまとまった称呼をもって認識されるとみるのが相当である。

そうすると、本件商標は、これを構成する文字が、いずれも我が国において親しまれて使用されるものとは認め難いところから、構成全体をもって「ドゥアンディオール」とのみ称呼される一体不可分の造語を表した商標と認識されるとみるべきであって、本件商標のかかる構成において、その構成中の「dior」の文字部分のみを分離、抽出して観察しなければならない格別の理由は存しない。

してみれば、本件商標は、その構成中の「dior」の文字部分のみが独立して看者に印象づけられるものではないから、その構成中に、他人の著名な略称を含む商標ということはできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。

(2)商標法第4条第1項第15号について

引用商標等が「ディオール」と称呼され、申立人の業務に係る商品である「婦人服、バッグ、シューズ、ジュエリー、眼鏡、腕時計、万年筆、シガーライター」等のファッション関連の商品を表示するものとして、本件商標の登録出願前より、我が国の需要者の間に広く認識されていたことは、申立人が提出した引用商標等の著名性を立証する証拠からも認め得るところである。

しかしながら、前記(1)認定のとおり、本件商標は、その構成中の「dior」の文字部分が独立して把握、認識されるものではなく、構成全体をもって「ドゥアンディオール」とのみ称呼される一体不可分の造語よりなる商標として認識される商標である。

そうすると、本件商標は、引用商標等とは、称呼において非類似であることはいうまでもなく、外観及び観念においても相違する商標というべきであって、商標それ自体別異のものであるから、本件商標に接する需要者が、引用商標等あるいは申立人を想起又は連想することはないとみるのが相当である。

してみれば、本件商標は、これをその指定商品及び指定役務について使用しても、該商品及び役務が申立人又はこれと業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品及び役務であるかのように、商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれがある商標と認めることはできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号及び同第15号のいずれの規定にも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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