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Trademark Appeal Case

商標出願時の法人格

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2009−900337(T2009−900337/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5249854号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5249854号商標(以下「本件商標」という。)は、青色で表した「FEITIAN」の文字を横書きしてなり、平成21年3月25日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成21年7月7日に登録査定、同月17日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

(1)商標法第3条第1項について

本件商標の出願がされた時点では、本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)は法人格を有しておらず(会社設立は平成21年4月1日)、同日に商標登録出願をすることができなかった。したがって、本件商標は、無効な出願に基づくものである。

(2)商標法第4条第1項第10号について

本件商標は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている別掲のとおりの構成よりなる商標(以下「引用商標」という。)と同一の商標であり、その商品又は役務について使用されるものである。

(3)商標法第4条第1項第19号について

本件商標は、申立人及びその親会社であるFeitianTechnologies(中国・北京所在)の商品又は役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている引用商標と同一の商標であり、不正の目的をもって使用されるものである。

(4)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項、同法第4条第1項第10号及び同第19号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

3 当審の判断

(1)商標法第3条第1項について

申立人が、本件商標が商標法第3条第1項の要件を具備していないと主張する理由は、本件商標は、その登録出願時に、本件商標権者が法人格を有しておらず、商標登録出願することができなかったにもかかわらず、登録されたものであるから、無効な出願に基づくものである、とするものである。

商標法第3条は、商標登録の要件を定めたものであって、同条第1項は、自己の業務に係る商品又は役務について使用する商標については、各号に該当する商標を除いて商標登録を受けることができると規定し、各号においては、自己の業務に係る商品又は役務についての識別力あるいは出所表示機能を欠く商標を列挙するものである。そうすると、商標法第3条第1項の上記立法趣旨からすると、申立人の上記主張は、必ずしも商標法第3条第1項で検討されるべき事由であるとは認め難いところであるが、申立人が、本件商標の登録出願時に、本件商標権者が法人格を有していなかったのであるから、本件商標は、商標法第3条柱書にいう「自己の業務に係る商品又は役務について使用する商標」には該当しないと主張しているものと解して判断すれば、以下のとおりである。

前記1のとおり、本件商標の登録出願日は、平成21年3月25日であるところ、甲第2号証によれば、本件商標権者が会社として設立された日にちは、平成21年4月1日であることが認められる。してみると、本件商標権者は、本件商標の登録出願時においては、会社の設立前(定款の作成日等は明らかではない。)であったことが認められ、したがって、権利能力を有しておらず、本来的には本件商標の登録出願をすることができなかったものと解される。

一方、商標法第3条柱書にいう「自己の業務に係る商品又は役務について使用する」とは、現に行っている業務に係る商品又は役務について、現に使用している場合に限らず、将来行う意思がある業務に係る商品又は役務について将来使用する意思を有する場合も含むと解される。また、「自己の業務に係る商品又は役務について使用する商標」に該当するか否かの判断基準時は、登録査定時である。

加えて、設立中の会社は、会社設立のために、一定の範囲内において、法律上必要な行為のみならず、経済的に必要な行為をも行うのが一般的であり、設立中の会社に帰属していた権利義務は、当然に成立後の会社に帰属すると解されるというのが相当である。そして、本件商標権者は、本件商標の登録査定時(平成21年7月7日)には、会社として成立していたことは明らかである。

以上を総合すると、本件商標権者は、本件商標の登録出願時には、設立中の会社であったが、登録査定時においては、会社として成立していたのであり、登録査定の時点において、本件商標権者がその指定商品についての業務を、現に行っているか又は行う予定があるかについて、格別に合理的疑義があったものと認めることはできず、これに反する証拠はない。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項の要件を欠くものということはできない。

(2)商標法第4条第1項第10号について

ア 引用商標の周知性

甲第3号証ないし甲第16号証によれば、申立人は、1998年に中国北京に設立された中国北京飛天誠信科技有限公司が、その子会社として、2004年に日本国に設立した飛天ジャパン有限会社を、2006年に株式会社に組織変更した企業であり、ソウフトウェアのセキュリティ器機のメーカーであることを認めることができる。

しかしながら、上記証拠中、甲第5号証(2006年6月現在のカタログ)、甲第7号証(2008年5月現在のカタログ)及び甲第8号証のカタログ(2008年発行)は、その発行時期には、引用商標が使用されていたことは認めうるとしても、提出されたカタログ類(甲3〜8)の使用状況は不明であり、甲第16号証のインターネットも掲載日が不明である。また、「情報セキュリティEXPO」に関する資料(甲9〜12)にしても、本件商標の登録出願後のものである。

そうすると、申立人の提出した証拠のみをもってしては、引用商標が、申立人の業務に係る商品「ソウフトウェアのセキュリティ器機」を表示するものとして、本件商標の登録出願前より、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。なお、申立人は、甲第8号証から、申立人が遅くとも平成11年(1999年)から引用商標を使用していたことが分かる旨主張するところ、甲第8号証の表紙には、「Copyright C(マル) 1999−2008,Feitian Japan Co.,Ltd.」の記載が認められるが、これは著作権の保護に関する記載であって、これをもって、申立人が引用商標を1999年より使用していたことを裏付けるものとはならない。仮に引用商標が1999年より使用されていたものであるとしても、前記認定のとおり、提出に係る証拠を総合しても、引用商標が本件商標の登録出願前より、我が国において周知性を獲得していたという事実を立証することはできない。

してみると、引用商標は、商標法第4条第1項第10号でいう「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標」ということができない。

イ したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものと認めることができない。

(3)商標法第4条第1項第19号について

引用商標が、申立人の業務に係る商品「ソウフトウェアのセキュリティ器機」を表示するものとして、本件商標の登録出願前より、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないことは、前記(2)認定のとおりであり、また、引用商標が、申立人の業務に係る上記商品を表示するものとして、本件商標の登録出願前より、外国において、その需要者の間に広く認識されていたと認めるに足る的確な証拠の提出もない。

そうすると、引用商標は、申立人の業務に係る商品「ソウフトウェアのセキュリティ器機」を表示するものとして、本件商標の登録出願前より、日本国又は外国における需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないから、本件商標は、引用商標の名声に便乗し、不正の利益を得る目的で使用するものということができない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものと認めることができない。

(4)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項の要件を具備していなかったものとはいえず、また、同法第4条第1項第10号及び同第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものとする。

よって、結論のとおり決定する。

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