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Trademark Appeal Case

不動心不動仁称呼観念

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2009−900358(T2009−900358/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5247230号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5247230号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成20年10月16日に登録出願、第8類「手動利器,手動工具,エッグスライサー(電気式のものを除く。),かつお節削り器,角砂糖挟み,缶切,くるみ割り器,スプーン,チーズスライサー(電気式のものを除く。),ピザカッター(電気式のものを除く。),フォーク,護身棒,ひげそり用具入れ,ペディキュアセット,まつ毛カール器,マニキュアセット,水中ナイフ,水中ナイフ保持具,ピッケル」並びに第9類、第14類、第15類、第16類、第18類、第19類、第20類、第21類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同21年6月9日に登録査定、同年7月10日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議の申立ての理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。

(1)申立人が引用する商標

登録第695437号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和40年3月13日に登録出願、第13類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同41年1月19日に設定登録、その後、4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、また、平成18年9月6日に指定商品を第8類「手動利器,手動工具」並びに第3類、第16類及び第21類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。

(2)本件商標の商標法第4条第1項第11号該当について

本件商標からは「フドーシン」の称呼が生じ、引用商標からは「フドージン」の称呼が生ずる。両商標は、称呼において、「シ」と「ジ」の違いを生ずるにすぎず、極めて紛らわしいといわざるを得ず、類似である。

また、両商標は、いずれも前2文字が「不動」で完全に同一であり、最後の文字が本件商標は「心」であり、引用商標は「仁」である。「仁」の字義は、大辞林によれば「(1)己に克ち、他に対するいたわりのある心。儒教における五常の一。(2)愛情を他におよぼすこと。いつくしみ。おもいやり。<例文>『仁の心が厚い』」とあり、「心のあり方」をあらわす文字である。したがって、両商標は、いずれも「物事に動じない心」を表し、観念からも類似である。

そして、本件商標と引用商標の指定商品は、「手動利器,手動工具」において同一である。

よって、本件商標は、その指定商品中の第8類「手動利器,手動工具」について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

3 当審の判断

本件商標は、別掲(1)のとおり、「不動心」の漢字よりなるものであるところ、これよりは「フドーシン」の称呼が生ずるものと認められる。そして、「大辞泉 増補・新装版」(株式会社小学館、1998年11月20日発行)において、「不動心」の意味は、「他によって動かされることのない心。動揺することのない精神。」と記載されているものであるが、他の辞典等には掲載されていないことからすれば、一般に親しまれた既成の熟語とまではいい得ないものとみることもできる。

他方、引用商標は、別掲(2)のとおり、縦長長方形輪郭内に「不動仁」の漢字を配してなるものであるところ、長方形の輪郭は単に装飾的図柄として認識されるにすぎないものであるから、「不動仁」の文字のみにおいて独立して取引に資される場合があるものというを相当とし、これよりは「フドージン」の称呼を生じるものというべきものである。そして、「不動仁」の文字は、既成の熟語であることを見いだすことができないものである。

そこで、本件商標と引用商標とを比較するに、両商標を構成する漢字3文字は、「不動」の文字において共通し、3文字目の「心」の文字と「仁」の文字とにおいて相違している。

そして、「不動」の文字は、例えば「広辞苑第六版」(株式会社岩波書店、2008年1月11日発行)によれば、「(1)うごかないこと。(2)他によって心の動かされないこと。(3)不動明王の略。」の意味が記載され、「不動袈裟、不動穀、不動地、不動倉、不動尊、不動智、不動縄、不動の動者、不動法、不動明王」の熟語が紹介されている。

本件商標に使用されている「心」の文字は、同じく「(1)人間の精神作用のもとになるもの。また、その作用。(a)知識・感情・意志の総体。『からだ』に対する。『―の病』,(b)思慮。おもわく。『―を配る』,(c)気持。心持。『―が変わる』,(d)思いやり。なさけ。『―ない仕打ち』,(e)情趣を解する感性。(f)望み。こころざし。『―にまかせぬ』,(g)特別な考え。裏切り、あるいは晴れない心持。『―を晴らす』,(2)(比喩的に用いる)(a)おもむき。風情。(b)事情。(c)趣向。くふう。『絵の―を味わう』,(d)意味。(e)わけ。なぞ解きの根拠。(f)(歌論用語)内容。歌の主題・題材・発想などをいう。(3)(a)心臓。胸。むなさき。(b)物の中心。」などと記載されている。

一方、引用商標に使用されている「仁」の文字は、同じく「(1)いつくしみ。思いやり。特に、孔子が提唱した道徳観念。礼にもとづく自己抑制と他者への思いやり。忠と恕の両面をもつ。以来、儒家の道徳思想の中心に据えられ、宋学では仁を天道の発現とみなし、一切の諸徳を統べる主徳とした。封建時代には、上下の秩序を支える人間の自然的本性とされたが、近代、特に中国では、万人の平等を実現する相互的な倫理とみなされるようになった。(2)ひと。人物。『その―なら面識がある』」などと記載されている。

以上によれば、「不動」の文字は、「動かないこと、動かされないこと」の意味を有し、3文字目以降に漢字を結合させて、さらなる熟語を構成しやすい熟語であることから、本件商標や引用商標のように3文字からなる構成の場合、3文字目以降の漢字の存在は重要なものとして意識されることとなる。そして、「心」の文字は、主として「人間の精神作用のもとになるもの。また、その作用。」を表す語として、一般に使用されているものであり、漢字2文字と結合して、例えば「広辞苑第六版」(前出)において、「依頼心」が「他人に頼る気持ち」、「競争心」が「他に負けまいとして張り合う気持ち」、「自尊心」が「自尊の気持」、「自立心」が「自分だけの力で物事を行なっていこうとする気持」とあるように、とりわけ「気持ち」の意味で一般に親しまれているといえるものである。一方、「仁」の文字は、儒教と密接な関連をもつ漢字として、「いつくしみ、思いやり」の意味で使用されているものであるといえる。

そうすると、「不動心」及び「不動仁」の各文字は、それぞれ必ずしも既成の熟語とはいい得ないものであるとしても、「不動」、「心」及び「仁」の文字は、上記のとおり、一般によく知られた漢字であることから、「不動」の文字と「心」又は「仁」の各文字とが結合することにより、本件商標が「動かない気持ち、動かされない気持ち」程の意味合いを認識させるのに対して、引用商標は「動かない思いやり」程の意味合いを認識させるものである。

してみれば、本件商標と引用商標とは、観念において紛れるおそれはないといえるものであり、また、構成中3文字目の「心」と「仁」の文字において差異があることから、外観においても紛れるおそれはないといえるものである。

そして、称呼については、上記のとおり、本件商標の称呼が「フドーシン」であるのに対し、引用商標の称呼は「フドージン」であるところ、両称呼は、互いに長音を含めて5音よりなり、第4音において、「シ」と「ジ」の差異を有するものである。

しかして、相違する「シ」と「ジ」の各音は、その前後の音において、第3音が長音であり、語尾音が「ン」であって、それぞれ弱音であることから、これらに挟まれた該差異音は、それらに比して強く響く音である関係よりみれば、その差異が称呼全体に及ぼす影響は、決して小さいものということができず、両称呼をそれぞれ一連に称呼した場合であっても、十分に聴別し得るものである。

してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、観念及び称呼のいずれよりみても、何ら相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しないから、同法第43条の3第4項の規定により、その指定商品中の第8類「手動利器,手動工具」についての登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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