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Trademark Appeal Case

結合商標の識別力と類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2009−13381(T2009−13381/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「ECOSHARP」の欧文字を標準文字で表してなり、第7類「繊維機械器具」を指定商品として、平成20年6月9日に登録出願されたものである。

2 引用商標

原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。

(1)引用商標1

登録第1671754号商標は、別掲1のとおりの構成からなり、昭和47年3月2日登録出願、第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同59年3月22日に設定登録され、その後、平成6年8月30日及び同15年10月7日の2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同17年2月9日に指定商品を第7類に属する「繊維機械器具」を含む、別掲2のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。

(2)引用商標2

登録第1671755号商標は、別掲3のとおりの構成からなり、昭和48年2月15日登録出願、第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同59年3月22日に設定登録され、その後、平成6年8月30日及び同15年10月7日の2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同17年2月9日に指定商品を第7類に属する「繊維機械器具」を含む、別掲4のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。

(3)引用商標3

登録第1920191号商標は、別掲5のとおりの構成からなり、昭和59年3月19日登録出願、第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同61年12月24日に設定登録され、その後、平成9年4月25日及び同18年11月28日の2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同19年6月13日に指定商品を第7類に属する「繊維機械器具」を含む、別掲4のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。

以下、これらをまとめていうときは、「引用商標」という。

3 当審の判断

(1)本願商標と引用商標の類否について

本願商標は、前記1のとおり、「ECOSHARP」の欧文字を横書きしてなるところ、該文字は、同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔で表してなるものの、構成全体として既成の単語としては認め得ないものである。

ところで、構成中の「ECO」の文字は、「(エコロジーの略)環境に配慮すること」(株式会社岩波書店「広辞苑第六版」2008年1月11日発行)の意味を有する接頭語として知られ、「エコグッズ」が「環境保護を提唱する商品。」(株式会社三省堂「コンサイスカタカナ語辞典第3版」2005年10月20日発行)、「エコスーツ」が「環境にやさしいスーツの商品名。」(平成21年7月30日付け手続補足書甲第3号証)、「エコデザイン」が「経済性と環境保全の統合を図る製品開発の考え方。」(同第3号証)、「エコドライブ」が「環境保護を心がけた自動車運転。」(同第2号証)のように使用され、また、本願商標の指定商品である「繊維機械器具」を取り扱う業界においては、請求人も認めるとおり、繊維製品を製造する際の装置負担をできる限り小さくした繊維機器製品の開発、販売が各社において行われており、消費電力を削減した繊維機械器具をエコタイプと称して取引が行われている実情等を考慮すれば、「ECO」の文字は、商品が「環境に優しい」、「環境に配慮した」ものと容易に理解させるものであるから、自他商品の識別力がないか極めて弱いものというべきである。

また、構成中「SHARP」の文字は、「鋭い、とがった」等の意味を有する英単語であるが、文章中に記述的に使用されているのであればともかく、通常、該文字からは、我が国有数の家電製品等の製造・販売メーカーである「シャープ株式会社」(大阪市阿倍野区長池町22−22所在)の使用しているロゴである「SHARP」の文字(以下「SHARPブランド」という。)を想起するものである。

そうすると、本願商標に接する取引者、需要者は、これを「ECO」と「SHARP」の二語を結合したものとして容易に理解、認識するものであって、本願商標において自他商品の識別標識として機能を果たす部分は、後半部の「SHARP」の文字部分にあると認識するというのが相当である。

したがって、本願商標は、「SHARP」の文字部分に相応して、「シャープ」の称呼及び「シャープ株式会社」が使用する「SHARPブランド」の観念を生ずるものといえる。

一方、引用商標1は、構成中の「SHARP」の文字、また、引用商標2は、「シャープ」の文字に相応し、これより「シャープ」の称呼を生じ、かつ、引用商標1及び2からは、当該引用商標権者の著名な「SHARPブランド」の観念を生ずるものである。

さらに、引用商標3は、別掲5のとおり、「SHARP」、「ハヤック」及び「HAYAC」の文字を三段にして横書きしてなるところ、構成中の「ハヤック」の文字は、その下段の「HAYAC」の読みを特定したものと無理なく理解できるところ、構成中の「SHARP」と「HAYAC」の文字とが結合して特定の成語を形成する等不可分一体のものとしてのみ観察しなければならないといった事情は存しないことから、それぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすとみるのが相当である。そうすると、引用商標3は、その構成中上段の「SHARP」の文字から「シャープ」の称呼を生じ、かつ、当該引用商標権者の著名な「SHARPブランド」の観念を生ずるものである。

以上によれば、本願商標と引用商標とは、「シャープ」の称呼及び「SHARPブランド」の観念を同一にするものであり、かつ、外観においては、本願商標は引用商標1及び3と「SHARP」の文字部分においてその綴りを共通にし、また、本願商標と引用商標2とは、外観上の相違が称呼及び観念の同一性を凌駕するとまではいえないものである。

また、本願商標が常に一体不可分のものとして認識されるような、取引の実情は見いだし得ない。

そうすると、本願商標と引用商標とは、称呼及び観念を同一にし、全体として相紛れるおそれのある類似の商標であるといわざるを得ない。

そして、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品に包含されるものであるから、本願商標をその指定商品に使用した場合、商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれがあるものと判断するのが相当である。

したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

(2)請求人の主張

請求人は、本願商標は「ECOSHARP」の文字を一連一体に表してなるものであるから、外観上まとまりよく構成全体をもって一体不可分の一種の造語を表したものと理解、認識され、引用商標とは類似しない旨主張しているが、「ECOSHARP」の文字が常に一体不可分のものとしてのみ認識される特段の事情は見いだし得ないものである一方、前記認定のとおり、これに接する取引者、需要者は、それ自体独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得る「SHARP」の文字部分に着目し、これをもって取引に資する場合も決して少なくないというべきである。

さらに、請求人は、本願商標が、「環境に優しい鋭さ」又は「環境に優しい切れ味」を意味する一種の造語を表したものと理解、認識される旨主張しているが、「環境に優しい」と「鋭さ」又は「切れ味」とを組み合わせた句は、一連の意味として全く理解できないものであり、その外観構成がまとまりよく一体に表されているとしても、常に一体不可分でなければならないものといえず、「SHARP」の文字部分から、称呼及び観念が生ずることを否定することはできない。

また、請求人は他の登録例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張するが、請求人が挙げる他の登録例は、商標の具体的構成において、本願商標とは事案を異にするものであって、これら事例をもって、本願商標の登録の適否を判断する基準とするのは必ずしも適当でなく、かつ、本願商標と引用商標の類否の判断は、当該出願に係る商標と他人の登録商標(引用商標)との対比において、個別・具体的に判断すべきものであり、過去の登録例に拘束されることなく検討されるべきものである。

以上のとおり、請求人の主張は、いずれも採用することができない。

(3)まとめ

したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであり、取消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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