Trademark Appeal Case
普通名称と役務の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2009−8475(T2009−8475/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「インサートバルブ」の文字を標準文字で書してなり、第37類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成19年12月18日に登録出願されたものである。そして、指定役務については、当審における平成21年6月29日付け手続補正書により、第37類「通水状態で行う上水道管の管工事,通水状態で行う上水道管の管工事の監理,通水状態で行う上水道管の管工事に関する助言及び情報の提供,通水状態で行う上水道管の管工事に使用する建築設備の運転・点検・整備,通水状態で行う上水道管の管工事に使用する土木機械器具の貸与,通水状態で行う上水道管の管工事に使用する土木機械器具の修理又は保守」に補正されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『インサートバルブ』の文字を普通に用いられる方法で書してなるが、本願指定役務である建設工事等の業界においては、部材等を挿入することによる工事が一般に提供されている実情にあるから、これよりは全体として『配管中に取り付けられ、流水の調節及び停止に用いる弁を挿入する』等の意味合いを認識させるにすぎず、これを本願指定役務に使用しても、『配管等の水量調節に使用される弁を挿入する建設工事に関する役務』等であると理解させるに止まり、単に役務の質(内容)、用途を表示するにすぎないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
本願商標は、前記1のとおり、「インサートバルブ」の文字よりなるところ、その構成中の「インサート」の文字は、「差しこむこと。挿入すること。」等(広辞苑第五版 株式会社岩波書店)を、また、「バルブ」の文字は、「配管中に取り付けられ、流水の調節及び停止に用いる弁」等(建築大辞典第2版普及版 株式会社彰国社)を意味する外来語として、共によく知られている語であり、これらを組み合わせた本願商標からは、「挿入バルブ」程の意味合いを容易に認識させるものである。
しかして、管工事等を取り扱う業界において、以下のウェブサイト及び新聞記事情報のとおり、「インサートバルブ」の文字が、水道の配管に使用する(挿入する)継ぎ手(弁)の一つを表すものとして、普通に使用されている事実がある(下線は、審判の合議体で加入した)。
(1)「SEKISUI」の「製品情報」中に、「
インサートバルブ
ソケット」(http://www.sekisui.co.jp/search/detail-2163.html)の記載がある。
(2)「トステムビバ株式会社 トステムビバオンラインショップ」上に、「
インサートバルブ
ソケット13」等(http://vivaonline.vivahome.co.jp/shop/c/c080W0D0B_p2/)の記載がある。
(3)「nishikawa−office.com」の「高松市上水道配水管地図 凡例 名称」中に、「
インサートバルブ
」(http://nishikawa-office.com/member/suido-hanrei.html)の記載がある。
(4)「導水管漏水事故原因調査報告書 平成21年3月 八戸圏域水道企業団導水管漏水事故調査委員会」中に、「そこで、伏越部両端に設置されている
インサートバルブ
を閉止し、移設工事当初にφ1,200mm導水管に仮設で取り付けていたφ450mm取り出しバルブを使用して仮復旧することとした。」等(http://www.water-supply.hachinohe.aomori.jp/PDF/1107-001.pdf)の記載がある。
(5)「公告一般入札・山口県」の見出しの下に、「(3)管路長さ(径1000mm)15.6m、(径1500mm)長さ9.8m、(径900mm)長さ20.1m、(径800mm)長さ4m、
インサートバルブ
T型2基、電動バタフライ弁3基。」(2009.05.20 建設通信新聞 (全316字))の記載がある。
(6)「一般2件,4月発注/津軽水道企業団の発注予定」の見出しの下に、「増設浄水池配管工事は土木一式工事で、不断水分岐(径1000mm×1000mm)2カ所、
インサートバルブ
(径1000mm)1カ所、流入管97.9m、流出管99.8m、越流・排水管131.8m。」(2007.03.14 建設通信新聞 (全290字))の記載がある。
また、管工事を取り扱う業界において、以下のウェブサイトのとおり、「インサートバルブ取付工事」又は「インサートバルブ設置工事」等、「インサートバルブ(挿入バルブ)を取り付けるための水道管の管工事」が一般に提供されている実情も見受けられる(下線は、審判の合議体で加入した)。
(7)「株式会社丸福」の「会社概要」中のサービスの案内に、「
インサートバルブ
取付工事」(http://www.ka-marufuku.com/company/index.htm)の記載がある。
(8)「東研エンジニアリング株式会社」の「主な業務経歴」中の業務名・内容に、「
インサートバルブ
φ500設置工事設計委託」(http://www.web-tab.com/token/)の記載がある。
(9)「津市」の「※地域公募型指名競争入札」中の工事等の概要に、「
インサートバルブ
設置工 口径300mm N=2箇所」(http://www.info.city.tsu.mie.jp/modules/suidosomuka/article.php?articleid=177)の記載がある。
(10)「平成19年度 水道事業会計決算審査意見書 燕市監査委員」中に、「
インサートバルブ
設置工事」(http://www.city.tsubame.niigata.jp/guide/participate/kansa/documents/suido_ikensyo0807_02.pdf)の記載がある。
(11)大阪府高槻市が掲載していると思われる「<様式3>工事の一般競争の発注に関する情報」中に、「
インサートバルブ
設置工」(http://www.maido.or.jp/kankouju/H18_b/Type3/102-3takatukishi.pdf)の記載がある。
以上よりすると、本願商標は、役務の提供に使用する物を表すものであり、これをその指定役務に使用するときには、これに接する取引者、需要者は、「通水状態で行うインサートバルブ(挿入バルブ)を取り付けるための上水道管の管工事」等、これに関連する役務であるという役務の質等を表すものとして認識、理解するに止まり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ない商標とみるのが相当であり、また、前記以外の役務に使用したときには、役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるといわなければならない。
また、請求人は、過去の審決例、審査例を挙げて、本願商標は自他役務の識別力があり、登録されるべきものである旨主張しているところ、請求人が主張する過去の審決例、審査例にかかる商標は、本願商標とその構成態様及び指定役務を異にするものであって、本件とは事案を異にするものであるから、請求人のその主張を採用することはできない。
したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することはできない。
2 商標法第3条第2項について
請求人(出願人)は、本願商標が、使用により自他役務の識別力を獲得したとして、当審における平成21年6月30日付け手続補足書の資料17ないし41(枝番号を含む)を添付資料として、各証拠を提出している。
そこで、請求人(出願人)提出の前記資料について検討するに、これらの資料は、インターネット上の総務省が提供している合併相談コーナーの市町村数の推移表、「Water&Life」、「工業用水」及び「水道公論」の雑誌に掲載されている請求人(出願人)の広告、日本水道新聞に掲載されている請求人(出願人)の広告、請求人(出願人)のカタログ、2006〜2008年「インサートバルブ(工法による)工事」の納品一覧表及び納品書、日経産業新聞等であるところ、これらの資料に示されているのは、その殆どが「インサートバルブ工法」の文字であって、本願商標と同一の構成態様とは認められない。さらに、本願商標の売上高等の営業の規模、市場独占シェア率、広告宣伝の方法、回数及び内容等の使用状況に関する事実についての客観的証拠は不十分であるから、本願商標が、使用された結果、自他役務の識別標識として認識されているとはいえないものである。
してみれば、提出された証拠からでは、本願商標が、その指定役務に使用され、請求人(出願人)の業務に係るものとして、取引者、需要者間に広く認識されるに至っているとは認められないものであるから、本願商標が商標法第3条第2項に該当するものであるとする請求人の主張も、これを採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、その指定役務についての使用をもってしては、商標法第3条第2項の要件を具備するに至ったものとは認めることができない。
したがって、本願を拒絶した原査定は妥当であり、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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