結論テキスト
本願商標は,登録すべきものとする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 不服2008−5960(T2008−5960/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本願商標は,「とやま牛」の文字を標準文字により表してなり,第29類「富山県産の牛肉,富山県産の牛肉製品」を指定商品として,平成18年9月29日に地域団体商標として登録出願されたものであり,その後,指定商品については,平成19年6月25日提出の手続補正書において,第29類「富山県産の牛肉」に補正されたものである。
そして,出願人(請求人)は,平成18年9月29日付け手続補足書,平成19年2月28日付け,同年3月5日付け及び同年8月3日付け手続補正書並びに同年10月31日付け物件提出書により,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第29号証(枝番号を含む。)を提出した。
原査定は,「本願商標は,その指定商品『富山県産の牛肉』に使用をされた結果,出願人又はその構成員の業務に係る商品を表示するものとして富山県及びその隣接都道府県に及ぶ程度の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。したがって,本願商標は,商標法第7条の2第1項の要件を具備しない。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。
本件は,前記第2の理由を不服とし,平成20年3月10日に請求された審判事件であるところ,当審判体は,平成21年1月23日における口頭審理及び同年8月20日付けの審尋書により,請求人に対し,提出された証拠の釈明及び追加証拠(資料)の提出を求めた。
これに対し,請求人は,平成20年5月16日付け,平成21年1月23日付け及び同年2月20日付け物件提出書,同年9月16日付け回答書並びに同年11月6日付け物件提出書により,証拠方法として,甲第30号証ないし甲第65号証(枝番号を含む。)を提出した。
本願商標は,前記第2のとおり,いわゆる周知性の要件を具備しないことを理由に拒絶されたものである。
そこで,本願商標が使用をされた結果,自己(請求人)又はその構成員(以下「請求人等」という。)の業務に係る商品を表示するものとして,富山県及びその隣接県に及ぶ程度の需要者の間に広く認識されているか否かについて検討する。
(1)請求人等による使用について
ア 本願商標を使用している商品
「とやま肉牛」振興協議会(以下,「協議会」という。)は,「富山県内で12ヶ月間以上飼育され最長飼養地を富山県とする牛で,社団法人日本食肉格付協会の実施する牛枝肉格付規格の3等級以上の牛(ただし,瑕疵のないもの)」及びその肉(以下「使用商品」という。)を「とやま牛」と定義し,取引を行っていることが認められる(甲第10号証及び甲第11号証など)。そして,使用商品は,本願商標の指定商品と一致するものである。
イ 実際に使用している商標
請求人等は,「とやま牛/牛肉安全宣言/BSE検査済/JA全農とやま」の文字を表示したシールを使用商品のパッケージに貼付し,また,「とやま牛」の文字を表示した広告を,「JA全農とやま」又は「全国農業業協同組合連合会富山県本部」の文字と共に新聞などに掲載している。さらに,請求人等は,取引先に宛てた牛枝肉の取引に関する取引書類(「出荷報告書」及び「販売代金請求書」)に「とやま牛」の文字を記載している(甲第3号証,甲第22号証の3及び4並びに甲第29号証の2ないし3など)。そして,これらの「とやま牛」の文字は,本願商標と同一のものと認められる。
ウ 使用開始時期及び使用期間
下記オのとおり,請求人等は,遅くともテレビCMを開始した平成17年7月から,「とやま牛」の文字を使用し,使用商品の広告宣伝を行っていることが認められる。そして,職権による調査によれば,それらの状況は,現在も継続しているものと認められる。
エ 使用地域
請求人等主催の牛枝肉セリ市場の落札結果及び精肉店の販売状況を写した写真によれば,「とやま牛」と認定された枝肉が,富山県,新潟県,石川県,長野県,福島県,群馬県,山形県,栃木県,愛知県及び茨城県の業者に落札され,また,「とやま牛」の文字を付した使用商品が,富山県,石川県及び福井県の精肉店において販売されていることが認められる(甲第15号証の2,甲第16号証の2,甲第22号証の1,甲第29号証の1ないし4,52号証の1ないし5,甲第53号証,甲第54号証及び甲第58号証)。
オ 広告宣伝の方法,内容及び地域的範囲など
(ア)ポスター及びのぼり
請求人等は,「とやま牛」及び「『とやま肉牛』振興協議会」の文字を表示したポスターと「とやま牛」の文字を表示したのぼりを,請求人等主催の牛枝肉セリ市場,使用商品を販売する食肉店の店頭,富山県の特産品を販売するJR富山駅前の「物産センター富山」及び東京・有楽町の「いきいき富山館」などに掲げている(甲第4号証,甲第7号証,甲第29号証の1ないし4,甲第52号証の2,甲第53号証,甲第54号証,甲第56号証の1及び2並びに甲第57号証の1及び2)。
(イ)新聞(一般紙など)
請求人等は,「JA全農とやま」又は「全国農業協同組合連合会富山本部」の文字及び「とやま牛」,「『とやま肉牛』振興協議会」などの文字並びに牛肉の写真を表示した広告を,北日本新聞(平成18年8月1日,平成20年3月19日及び11月24日,平成21年1月31日及び7月31日),富山新聞(平成19年8月29日及び同年10月20日),毎日新聞・大阪本社版(平成20年12月20日),毎日新聞・中部本社版(平成21年7月31日及び同年8月31日)及び県公報とやま(2008年4月版)に掲載した(甲第3号証,甲第27号証,甲第28号証,甲第30号証,甲第31号証,甲第40号証,甲第41号証,甲第42号証,甲第44号証,甲第49号証,甲第50号証及び甲第51号証)。
(ウ)テレビCM
請求人等は,牛肉の映像と共に「おいしい、安心、とやま牛。」,「JA全農とやま」などの文字を表示したCMを,北日本放送(日曜日18:00〜18:55),番組名:バンキシャ!)において,平成17年7月から少なくとも物件提出書の提出日である平成21年2月の時点まで放映している(甲第33号証の1及び2,甲第46号証の1及び2)。
(2)他人による広告など
ア 「とやま牛」は,富山県産の銘柄牛肉として「銘柄牛肉ハンドブック’09(「株式会社 食肉通信社」発行)」及び「北陸農政局のwebサイト」に掲載され,これらには,生産・出荷等の実施主体の名称として「『とやま肉牛』振興協議会」,主な出荷先として「全農富山県本部」と記載されている(甲第59号証及び甲第60号証の1ないし4)。
イ 「富山県いきいき物産株式会社」作成の「いきいき富山/特産品カタログ」と題するカタログには,取扱者を「JA全農とやま」とする「特選とやま牛」と表示された牛肉が掲載され,その掲載商品の申し込み方法として,「郵便」,「FAX」,「電話」及び「E−Mail」などが紹介されている。また,問い合わせ先を「富山県農林水産部農産食品課」とし「海の恵み,大地の実り/富山県の特産品」と題するパンフレットには,特産品として「とやま牛」が掲載されている(甲第55号証及び甲第58号証の1ないし3)。
ウ 富山県及び富山市が,それぞれのwebサイトにおいて,「とやま牛」を富山県の特産品として紹介している。そして,富山市のwebサイトにおいては,「とやま牛」の問い合わせ先として「JA全農とやま」と記載されている(甲第62号証の1ないし3,甲第64号証及び甲第65号証)。
(3)他人による使用の有無について
精肉店で販売される使用商品には,「とやま牛」及び「『とやま肉牛』振興協議会」の文字を表示したシールが貼付されており,そのシールは,協議会に代わり請求人等が一頭あたり200枚のシールを添付する方法により管理していることが認められる(甲第11号証及び甲第18号証など)。さらに,協議会は,「とやま肉牛(平成16年4月1日からその名称を『とやま牛』に変更)」の銘柄化の推進などを目的とする団体であって(甲第8号証,甲第9号証及び甲第19号証の1),上述のポスターやのぼりの掲示などの富山県産の牛及びその肉の生産振興及び販路拡大活動を請求人等と一体となって行っていることを考慮すれば,これらの協議会の活動を他人の活動とみることはできないし,むしろ請求人等の行う活動とみるのが自然である。
また,富山県食肉総合センターの統計によれば,平成16年度から18年度までの富山県内の肉牛の生産量に占める請求人等の取扱量は,概ね85%であることが認められる(甲第21号証の2)。
そして,当審において調査しても,請求人等又は協議会以外の者が「とやま牛」の文字を富山県産の牛肉について使用している事実を発見することはできなかった。
(4)小括
以上のとおり,請求人等が「とやま牛」の文字を使用商品に使用していること,そして,その商品の販売地域は,富山県及びその隣接県のみならず愛知県,山形県などを含む複数の県に及ぶこと,また,請求人等は,遅くともテレビCMを開始した平成17年7月から,富山県を含む北陸,近畿,中国,四国及び中部地方並びに東京にも及ぶ範囲において,「とやま牛」の文字を使用し,使用商品に関する広告宣伝を行ってきたこと,そして,それらの状況は現在においても継続していることが認められる。
また,「とやま牛」の文字を使用した使用商品は,富山県の特産品を取り扱うJR富山駅前の「物産センター富山」及び東京・有楽町の「いきいき富山館」において請求人等の取り扱う商品として紹介され,全国への発送を受け付けていること,また,富山県や富山市がパンフレットやwebサイトにおいて,これを富山県の特産品として紹介しているなど,地方公共団体を含む第三者が,「とやま牛」を請求人等の取り扱いに係る商品及び商標として紹介していることが認められる。
加えて,請求人等又は協議会以外の者が「とやま牛」を富山県産の牛肉について使用している事実も確認できない。
したがって,これらの事情を総合考慮すれば,「とやま牛」の文字からなる本願商標は,使用商品,すなわち,指定商品について使用をされた結果,請求人等の業務に係る商品を表示するものとして富山県及びその隣接県に及ぶ程度の需要者の間に広く認識されているものというべきである。
以上のとおり,本願商標は,商標法第7条の2第1項の要件を具備するものであるから,これを理由に本願を拒絶した原査定は取り消すべきである。
よって,結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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