Trademark Appeal Case
指定商品記載の明確性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2009−4342(T2009−4342/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本願商標は、「さわやか」の平仮名を標準文字で表してなり、第19類に属する別掲のとおりの商品を指定商品として、平成19年11月21日に登録出願された商願2007−117257に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同20年8月1日に登録出願されたものであるが、その指定商品については、原審における同20年9月26日付け並びに当審における同21年2月27日及び同年11月2日付け手続補正書により、最終的に、第19類「工場の出入り口部を開閉する防虫用の合成樹脂製膜・ネット等を備えた手動式開閉装置(開閉装置本体が金属製のものを除く)」と補正されたものである。
第2 引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第4959092号商標(以下「引用商標」という。)は、「さわや家」の文字を標準文字で表してなり、平成17年10月11日登録出願、第19類「建築用又は構築用の非金属鉱物,陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物,リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,繊維製の落石防止網,土砂崩壊防止用植生板,窓口風防通話板,区画表示帯,セメント及びその製品,木材,石材,建築用ガラス,人工魚礁(金属製のものを除く。),養鶏用かご(金属製のものを除く。),吹付け塗装用ブース(金属製のものを除く。),セメント製品製造用型枠(金属製のものを除く。),送水管用バルブ(金属製又はプラスチック製のものを除く。),航路標識(金属製又は発光式のものを除く。),石製液体貯蔵槽,石製工業用水槽,石製郵便受け,石製家庭用水槽,灯ろう,可搬式家庭用温室(金属製のものを除く。),墓標及び墓碑用銘板(金属製のものを除く。),飛び込み台(金属製のものを除く。),石製彫刻,コンクリート製彫刻,大理石製彫刻,無機繊維の板及び粉(石綿製のものを除く。),石こうの板,鉱さい」を指定商品として、同18年6月9日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
第3 当審において通知した拒絶の理由(要旨)
平成21年9月9日付けで通知した拒絶の理由は、要旨以下のとおりである。
1 商標法第6条第1項及び第2項の要件不備について
指定商品は、商標とともに権利範囲を定めるものであるから、その内容及び範囲は明確でなければならないところ、本願の指定商品は、その内容及び範囲を明確に指定したものとは認められない。
また、前記指定商品が不明確でその内容及び範囲が把握できないことから、政令で定める商品及び役務の区分に従って第9類の商品を指定したものと認めることもできない。
したがって、本願は、商標法第6条第1項及び第2項の要件を具備しない。
本願の指定商品は、願書に添付された商品説明書で記載された特開2006−125020号及び特開2006−28940号の公開特許公報によれば、工場等の出入口に取り付けられたシート状、ネット状の開閉部材を人の力で昇降させる手動式の開閉装置(以下、「当該開閉装置」という。)であって、この物自体は、専ら建築又は構築に使用されるものと認められるものであるから、当該開閉装置本体の材質が金属製のものであれば第6類に、金属製以外のものであれば第19類に属する商品として指定しなければならないものである。
この点について、請求人は、本願の指定商品は、「材料」ではなく「開閉装置」であること、また、当該開閉装置が「電動式」のものは、第9類に属する商品とされていることから、本願の指定商品も第9類に属する商品であって、かつ、「建築用又は構築用の専用材料」とは類似しない旨主張している。
しかし、例えば、商標法施行規則第6条別表(以下、「省令別表」という。)には、第6類の「建築用又は構築用の金属製専用材料」の範ちゅうの商品として、「回転窓用へいそく装置」及び「扉のへいそく装置」が例示されているとおり、専ら建築又は構築に使用される材料や物であれば、「開閉装置」であっても、その範ちゅうに含まれるものと解するのが相当である。
なお、当該開閉装置のうち、「電動式」のものが、第9類に属する商品とされたのは、省令別表の第9類に、「電動式扉自動開閉装置」及び「電子式扉自動開閉装置」の例示があること、また、「商品・サービス国際分類表〔第9版〕アルファベット順一覧表 日本語訳 類似群コード付」(特許電子図書館 http://www1.ipdl.inpit.go.jp/nice/index.html)の第9類の類見出しにも、「・・・伝導用・開閉用・変圧用・蓄電用・調整用又は制御用の電気機器,・・・」との記載があり、このように「開閉用の電気機器」は、第9類に属するものとされており、その具体的な例示でも「電動式ドアクローザー」、「電動式ドアオープナー」及び「自動回転式出入口」があることによるものである。
したがって、本願の指定商品のように、開閉用の電気機器でない、手動式のものは第9類には属さないものといわざるを得ない。
2 商標法第4条第1項第11号の該当性について
本願の指定商品は、当該開閉装置本体の材質について限定がない以上、金属製のものも、本願の指定商品には含まれるものと判断せざるを得ない。
そうすると、本願商標は、下記の商標と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
記
引用No. 引用商標一覧
1 登録第3205123号(商公平7−137659)
2 登録第4959092号(商願2005−94567)
なお、引用商標については、既に通知済みである。
第4 拒絶の理由に対する意見(要旨)
請求人は、前記第3の拒絶の理由に対して、平成21年11月2日付けの意見書において、以下のように意見を述べた。
1 商標法第6条第1項及び第2項の要件不備について
手続補正書において、指定商品を補正したので、商標法第6条第1項及び第2項の要件不備は、解消した。
2 商標法第4条第1項第11号の妥当性について
請求人は、手続補正書において、指定商品を「工場の出入り口部を開閉する防虫用の合成樹脂製膜・ネット等を備えた手動式開閉装置(開閉装置本体が金属製のものを除く)」と補正したことにより、本願商標の指定商品と引用No.1の指定商品とは、非類似の商品となり、本願商標と引用No.1とは類似しない。
また、本願商標の「さわやか」と、引用商標の「さわや家」を比較し、称呼「サワヤカ」が共通であるから、本願商標は引用商標に類似する認定されている。しかしながら、その認定は、妥当ではない。
(1)外観について
本願商標は、平仮名文字4文字を一連に横書きにした「さわやか」である。
これに対し、引用商標は、平仮名文字「さわや」の3文字と漢字「家」の1文字とを一連に横書きにした「さわや家」である。したがって、本願商標と引用商標は、外観上明らかに区別し得る差異を有するものでる。
(2)称呼について
本願商標は、「サワヤカ」と一連に称呼される。これに対し、引用商標は、「サワヤケ」又は「サワヤカ」と称呼する。したがって、引用商標を「サワヤカ」と称呼した場合、本願商標と引用商標は、称呼において類似する。
(3)観念について
本願商標は、「さわやか」から、「すがすがしく快いさま。気分のはればれしいさま。爽快。」の意を想起する。これに対して引用商標「さわや家」の語は、辞書に記載されていないことからも明らかなように、特定の観念は生じない一種の造語であるから、本願商標と引用商標とは、観念上全く類似しない。
(4)類否判断について
「商標の外観、観念又は称呼の類似は、その商標を使用した商品につき出所の誤認混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎず、したがって、前記3点のうちその1において類似するものでも、他の2点において著しく相違すること。その他取引の実情等によって、なんら商品の出所に誤認混同をきたすおそれの認めがたいものについては、これを類似商標と解すべきではない(最高裁、昭和39年(行ツ)110号、昭和43年2月27日判決参照)。」とされているから、本願商標と引用商標とは、「か」と「家」において、外観上、著しく相違していること、観念においては、「すがすがしく快いさま。気分のはればれしいさま。爽快。」を想起する本願商標「さわやか」と、造語である引用商標「さわや家」とは、著しく相違していること、そして、実際の取引の場において、本願商標、引用商標の両商標に接する取引者・需要者は、上述した外観及び観念の相違を踏まえ、両者の差別化を図り、出所の混同を生じないことから、両者は、出所につき誤認混同を生じるおそれのない非類似の商標である。
第5 当審の判断
1 商標の類否判断について
本願商標は、前記第1のとおり、「さわやか」の文字を書してなるところ、その構成文字に相応して、「サワヤカ」の称呼を生ずるものであり、また、「すがすがしく快いさま。気分のはればれしいさま。爽快。」(「広辞苑」第6版 株式会社岩波書店 2008年1月11日発行)等の意味を有する語であるから、これより、「すがすがしく快いさま、爽快」程の観念が生じるものである。
他方、引用商標は、前記第2のとおり、「さわや家」の文字を書してなるところ、その構成文字に相応して「サワヤカ」又は「サワヤケ」の称呼を生ずるものであり、また、特定の観念を生じないものである。
そこで、本願商標から生ずる「サワヤカ」の称呼と引用商標から生ずる「サワヤカ」の称呼とを比較すると、両称呼は同一である。
次に、観念においては、引用商標からは、特定の観念を生じないものであるから、本願商標とは、比較することができない。
さらに、外観においては、本願商標と引用商標とは、いずれも4文字からなり、語頭から「さ」「わ」「や」の各文字を同じくし、第4文字目の「か」と「家」の差異にすぎないから、外観上近似した印象を与えるものであるとみるのが自然である。
そうすると、本願商標と引用商標とは、観念について比較することができないことを考慮しても、称呼においては同一であり、外観においては、4文字中語頭から3文字を共通にすることも相まって、これらを同一又は類似の商品に使用したときは、商品の出所について、混同を生ずるおそれがある類似の商標というべきである。
2 指定商品の類否判断について
本願の指定商品は、前記第1のとおり、「工場の出入り口部を開閉する防虫用の合成樹脂製膜・ネット等を備えた手動式開閉装置(開閉装置本体が金属製のものを除く)」であるところ、請求人(出願人)が商標登録願に添付した商品説明書によれば、「本願の指定商品『建物の出入り口部を開閉する手動式開閉装置』は、特開2006−125020号公報、特開2006−28940号公報(中略)のように、建物の出入口部を手動でシート状開閉部材(例えば、ネット、シート、金属等)を昇降させて前記建物の出入口部を開閉するものであり、・・・」と記載され、さらに、特開2006−125020号によれば、「【特許請求の範囲】」の「【請求項1】」に、「通気性があって、巻き取り自在な柔軟性を有する帯状に形成され、・・・建物の出入口部開閉装置。」、「【要約】」の「【課題】」に、「通気性があり、かつ虫の侵入を防止する開閉部材を備えた建物の出入口部開閉装置を提供する。」と各記載されていることからすると、本願の指定商品は、通気性を有し虫の侵入を防ぐための建物の出入口部の手動式の開閉装置であり、専ら建築に用途が限定される商品といい得るものである。そして、その材質についても、補正後の指定商品の表示からして、金属製のものが除かれていることは明らかであるが「シート状開閉部材」、「例えば、ネット」及び「通気性があって、巻き取り自在な柔軟性を有する帯状」の各記載からすると、少なくてもプラスチック製のものも含まれるといわなければならいない。
そうすると、本願の指定商品は、少なくても「プラスチック製の専ら建築に用途が限定された商品」というべきものである。
他方、引用商標の指定商品は、前記第2のとおり、「プラスチック製建築専用材料」を含むこと明らかであり、これも、プラスチック製の専ら建築に用途が限定されているものである。
そして、これらの商品の需要者は、主として建築業者を含むといい得るものである。
そうとすれば、本願の指定商品と引用商標の指定商品中、「プラスチック製建築専用材料」とは、原材料、用途、需要者の範囲を同じくする類似の商品といわなければならない。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、前記第4の2(4)のとおり、最高裁判所昭和39年(行ツ)110号の判決を引用するが、「3点のうちその1において類似するものでも、他の2点において著しく相違する...」ものについて、類似しないと説示したものであり、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念の3点のうち観念が比較できない以上、「他の2点において著しく相違」するとはいえないことから、上記判示に照らしても、前記のとおり、本願商標と引用商標は、類似するというべきである。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
(2)請求人は、過去の登録例及び審決例を挙げて本願商標も登録されるべきである旨主張するが、請求人が挙げる登録例等は、対比する商標の構成態様において本願商標とは異なるものであり、商標の類否の判断は、当該出願に係る商標と他人の登録商標との対比において、個別・具体的に判断すべきものであり、過去の登録例等の判断に拘束されることなく検討されるべきものである。
したがって、請求人の上記主張も、採用することができない。
4 むすび
以上によれば、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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