結論テキスト
本願商標は、登録すべきものとする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 不服2009−4046(T2009−4046/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、平成20年3月6日に登録出願されたものである。
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用した登録商標は、以下の2件であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第2545776号商標は、「SHUTTLE」の欧文字を横書きしてなり、昭和59年11月29日登録出願、第11類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、平成5年6月30日に設定登録され、その後、同15年7月15日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同17年6月15日に指定商品を第7類ないし第12類、第17類及び第21類に属する商標登録原簿記載の商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
(2)登録第4760109号商標は、「スキュート」の片仮名と「SQT」の欧文字を上下2段に横書きしてなり、平成15年10月28日登録出願、第9類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、同16年3月26日に設定登録されたものである。
以下、これらをまとめていうときは、「引用各商標」という。
(1)本願商標について
商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は、同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が、その外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきものであり(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決)、商標は、その構成部分全体によって他人の商標と識別すべく考案されているものであるから、複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などを除き、許されないというべきである(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決)。
これを本件についてみるに、本願商標は、別掲のとおり、上段に手書き風の「Scute」の欧文字を顕著に表し、該「cute」の文字の下に小さくゴシック体で「シャトルシリーズ エスキュート」の片仮名を配した構成からなるところ、上段の欧文字は、「S」の文字が肉厚のやや図案化した大文字で表されており、「cute」の文字が同じく肉厚の小文字で表されているのに対して、下段の片仮名は、該「cute」の欧文字と比較すると、縦方向及び横方向共に、約1/5ほどの大きさで表されており、また、片仮名で表された構成文字全体をもって親しまれた既成の観念を有するとみるべき特段の理由も見いだし得ないものであって、「シャトルシリーズ」と「エスキュート」の各文字の間に1文字程度の空白をもって表されている構成からなることをも勘案すれば、容易に「シャトルシリーズ」と「エスキュート」の各文字からなるものと認識、把握されるものである。
そうすると、本願商標は、「Scute」、「シャトルシリーズ」及び「エスキュート」の各文字からなる結合商標といい得るものである。
ところで、本願商標の構成中、上段に表された「Scute」の文字は、「鱗甲、大鱗」(「研究社 新英和大辞典 第6版」株式会社研究社発行)等の意味を有する英語と認められるところ、該文字がかかる意味を有する英語として我が国において一般に親しまれているものとはいい難く、かつ、本願商標の指定商品に係る取引者、需要者に限ってみても、一般に親しまれているものとみるべき特段の事情も見いだせないものであるから、「Scute」の文字は、特定の観念を生じない一種の造語として認識、把握されるというべきものである。
しかして、前記した構成からなる本願商標においては、片仮名で表された文字と比較して大きく表された「Scute」の文字は、顕著な特徴を有する構成部分であることが一見して明らかというべきであり、他の文字部分よりも看者の注意を引き、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものというべきである。
一方、本願商標の構成中、「シャトルシリーズ」の文字についてみるに、その後半の「シリーズ」の文字は、「連続性をもつ一連のもの」(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店発行)を意味する外来語であり、本願商標の指定商品を取り扱う業界においても、一連の商品群を表すものとして普通に採択、使用されているものであるから、仮に、本願商標において、「シャトルシリーズ」の文字が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすとした場合には、その要部は、「シャトル」の文字部分にあるとみるのが相当であるところ、該「シャトル」の文字が特定の者の業務に係る商品に使用する商標として需要者の間に広く認識されているとみるべき特段の事情を見いだし得ず、ほかに、「Scute」の文字より極めて小さく表された「シャトル」の文字が、独立して看者の注意を強く引くとみるべき特段の事情も見いだし難いものである。
加えて、本願商標の構成中の「Scute」の文字は、前記したとおり、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであることをも勘案すると、本願商標は、その構成中の「シャトルシリーズ」ないし「シャトル」の文字部分がその余の文字部分よりも商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとはいえない。
そして、本願商標の構成中の欧文字部分は、第1文字目を大文字の「S」で表し、小文字で表された第2文字目以降を「きれいな、かわいい」(前出「研究社 新英和大辞典 第6版」)等を意味し、「キュート」の読みを生ずる語として一般に親しまれている平易な英語「cute」とつづりを同じくするものであるところ、一般に欧文字と片仮名とを併記した構成において、その片仮名が欧文字の称呼を特定すべき役割を果たすものと無理なく認識し得るときは、片仮名より生ずる称呼がその商標より生ずる自然の称呼とみるのが相当であり、本願商標においては、下段に表された「エスキュート」の片仮名が「Scute」の欧文字から生ずる称呼を特定したものと無理なく認識し得るとみるのが自然である。
以上によれば、本願商標と引用各商標の類否を判断するに当たっては、「Scute」の文字を捨象して、「シャトルシリーズ」ないし「シャトル」の文字から生ずる称呼、観念をもって検討することは許されないというべきである。
したがって、本願商標は、その構成文字全体に相応して、「シャトルシリーズエスキュート」の称呼を生ずるほかに、「エスキュート」の文字に相応して、「エスキュート」の称呼のみを生ずると判断するのが相当であり、特定の観念を生ずるものではない。
(2)本願商標と引用商標1との類否について
引用商標1は、前記2(1)のとおり、「SHUTTLE」の欧文字を書してなるものであるから、「シャトル」の称呼及び「比較的短距離の路線を繰り返して往復するバスなどの定期便」(前出「研究社 新英和大辞典 第6版」)の観念を有するものである。
一方、本願商標は、前記(1)のとおりの理由により、「シャトル」の文字に相応した称呼及び観念を生ずるものではないから、本願商標と引用商標1は、「シャトル」の称呼及び「比較的短距離の路線を繰り返して往復するバスなどの定期便」の観念を同じくする場合があるということができず、また、本願商標から生ずる「シャトルシリーズエスキュート」の称呼と引用商標1の称呼を比較しても、その音構成及び構成音数の差異により相紛れるおそれはない。
そして、本願商標と引用商標1は、それぞれの構成に照らし、外観についても判然と区別し得る差異を有するものであり、観念については、本願商標が一種の造語とみるべきものであるから、比較することができず、ほかに、本願商標と引用商標1は、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるとみるべき特殊の取引の実情も見いだせない。
したがって、本願商標と引用商標1とは、称呼、観念及び外観のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
(3)本願商標と引用商標2との類否について
本願商標は、前記(1)のとおり、「シャトルシリーズエスキュート」の称呼を生ずるほかに、「エスキュート」の称呼をも生ずるものである。
一方、引用商標2は、前記2(2)のとおり、「スキュート」の片仮名と「SQT」の欧文字を2段に横書きしてなるところ、下段の「SQT」の欧文字は、親しまれた既成の観念を有するとみるべき特段の事情を見いだし得ず、欧文字3文字を羅列したものというべきものであり、また、その構成中の「スキュート」の片仮名は、「SQT」の欧文字の称呼を特定すべき役割を果たすものとも認められない。
そうすると、引用商標2は、「スキュート」と「SQT」の各文字に相応して、「スキュート」及び「エスキューティー」の各称呼を生ずるものであり、特定の観念を生ずるものではない。
そこで、本願商標から生ずる「エスキュート」の称呼と引用商標2から生ずる「スキュート」の称呼を比較するに、両称呼は、前者が5音、後者が4音構成からなるところ、語頭において「エ」の音の有無に差異を有するものである。
そして、この「エ」の音は、有声の開放音で澄んだ音として聴取されるばかりでなく、称呼における識別上重要な要素を占める語頭に位置することも相まって、該「エ」の音の有無が称呼全体に及ぼす影響は大きく、両称呼をそれぞれ一連に称呼した場合には、全体の語調、語感が相違し、互いに聴き誤るおそれがないというべきである。
次に、本願商標から生ずる「エスキュート」の称呼と引用商標2から生ずる「エスキューティー」の称呼を比較するに、両称呼は、前者が5音、後者が6音構成からなるところ、前半の「エスキュー」の音を共通にし、「ト」の音と「ティー」の音の差異を有するものである。
しかして、相違する「ト」の音と「ティー」の音は、前者が明瞭に発音され、称呼全体としても詰まった感じとなるのに対して、後者が長音を伴うことによって、称呼全体として滑らかな感じとなるものであるから、この差異が比較的短い音構成からなる両称呼の全体に及ぼす影響は大きく、両称呼をそれぞれ一連に称呼した場合には、全体の語調、語感が相違し、互いに聴き誤るおそれがないというべきである。
また、本願商標から生ずる「シャトルシリーズエスキュート」の称呼と引用商標2から生ずる「エスキューティー」及び「スキュート」の各称呼を比較しても、その音構成及び構成音数の差異により相紛れるおそれはない。
さらに、本願商標と引用商標2は、それぞれの構成に照らし、外観についても判然と区別し得る差異を有するものであり、観念については、いずれも造語であるから比較することができず、ほかに、本願商標と引用商標2は、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるとみるべき特殊の取引の実情も見いだせない。
したがって、本願商標と引用商標2とは、称呼、観念及び外観のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
(4)むすび
以上によれば、本願商標と引用各商標とが称呼上類似するとして、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は妥当ではなく、その理由をもって本願を拒絶することはできない。
その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
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