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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と周知性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2009−900457(T2009−900457/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5264169号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5264169号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成20年7月1日に登録出願、第3類、第6類、第7類、第8類、第9類、第11類、第18類、第21類及び第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同21年8月11日に登録査定、同年9月11日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要旨)

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、その理由を以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第13号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)申立人が引用する商標

申立人が本件商標の登録異議の申立ての理由に引用する登録第1444366号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)のとおり、「NSK」の欧文字を横書きしてなり、昭和44年6月23日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同55年11月28日に設定登録、その後、平成2年11月26日及び同13年2月27日の二回にわたり、商標権の存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、同15年2月2日に指定商品の書換登録により、第6類、第7類、第8類、第9類、第11類、第12類、第15類、第16類、第17類、第19類、第20類、第21類及び第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品となり、現に有効に存続しているものである。

(2)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、本件商標権者の英語表記の頭文字に照応する「N」「S」「K」の3文字を図形化したと認識し得るものであるから、「エヌエスケイ」の称呼を生じる。

引用商標は、「NSK」の文字に照応して、「エヌエスケイ」の称呼を生じる。

本件商標と引用商標とは「エヌエスケイ」の称呼を同じくする商標であるから、両商標は、称呼上相紛れるおそれのある類似する商標である。

また、本件商標に係る第7類の指定商品及びそれらの商品との関係における第35類の小売等役務に係る指定役務は、引用商標に係る指定商品と同一又は類似の商品・役務であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

(3)商標法第4条第1項第15号について

申立人は、1916年に創立された会社であり、ボールベアリングの国産第1号を世に送り出すと共に、その後、数々のベアリングを開発し、現在においてはベアリングの分野で国内第一位、世界第四位の地位を占めるまでになっている会社である(甲第3号証及び甲第4号証)。

また、申立人は、ベアリングの生産で培ってきた精密加工技術を利用し、自動車部品、精機製品、電子応用製品の分野に進出するなど、多角化を進めると共に(甲第5号証ないし甲第9号証)、1960年代より海外にも積極的に進出し、現在における海外生産・販売・技術拠点は、27か国、203拠点を超える規模となっており、これらが全体なって一つのグループ企業を形成しているものである(甲第3号証及び甲第4号証)。

上述のように、申立人は、ベアリング分野を中心に世界的に有名な会社であるが、引用商標は、申立人(日本精工株式会社)の英文表記「NSK Ltd.」の一部として位置付けられるのみならず、申立人を指称するいわゆるハウスマークとして機能する標章でもあり、創立当初から、申立人が製造するベアリングに継続的に使用されてきたものである。

このような状況の下、申立人は、「NSK」ブランドの更なる浸透を図るべく、国内外を問わず、積極的な宣伝活動、諸外国における宣伝広告や展示会への出展などを行っており、「NSK」ブランドを象徴する引用商標については、日本商標名鑑や日本有名商標集に掲載されていると共に(甲第10号証及び甲第11号証)、防護標章の登録も認められているものである(甲第12号証の1ないし甲第12号証の4)。

また、この防護標章の登録に際しては、拒絶査定不服審判にて、その登録が認められた事案もあり、これらの審決においては、引用商標は、申立人の取扱いに係る商品「ベアリング」について永年継続して使用され、その間、新聞、雑誌等の媒体を通じて宣伝、広告活動を行ってきた結果、現在においては、申立人の業務に係る商品を表示する商標として取引者、需要者の間に広く認識されている旨の判断がなされているところである(甲第13号証の1及び甲第13号証の2)。

このように、引用商標は、商品「ベアリング」との関係において、周知著名な商標であると判断されていることにかんがみると、仮に本件商標から「N」「S」「K」の文字を直ちに看取し得ないため、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当しないとした場合であっても、本件商標がその指定商品・指定役務中の第7類の商品及びそれに関連する第35類のいわゆる小売等役務に使用されたときには、申立人と何らかの関連を有する会社の製造販売に係るかのごとく、その出所について混同を生じるおそれがある。

本件商標に係る第7類の指定商品中の「ベアリング」及び「ベアリング」に類似する商品「軸、軸受、軸継ぎ手」等の機械要素についてみると、上述のように、引用商標が商品「ベアリング」との関係で周知著名な商標であるということ、更には、本件商標の商標公報(甲第1号証の2)においても称呼の参照情報として「エヌエスケイ」の記載があり、また、検索用文字商標の参考情報として「N、SK」の記載があることからも明らかなように、本件商標から「N」「S」「K」の文字が全く認識し得ない状況にはないという点に照らしたときには、本件商標がこれらの商品に使用された場合には、これに接する需要者・取引者をして、申立人の製造販売に係る商品であるかのごとく、その出所について混同を生ずるおそれがあるというべきものである。

本件商標に係る第7類の指定商品中の上記商品以外の商品たる「金属加工機械器具、土木機械器具、荷役機械器具、化学機械器具、製材用・木工用又は合板用の機械器具、風水力機械器具、業務用電気式ワックス磨き機、業務用電気掃除機」についてみると、これらの機械器具等にあっては、その一部に「ベアリング」が使用されているという状況にあり、このような状況を考慮したときには、本件商標がこれらの商品に使用された場合には、これに接する需要者・取引者をして、該商品が申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのごとく、その商品の出所について混同を生じるおそれがあることは、容易に推測できるところである。

更には、上述のように、本件商標が「金属加工機械器具」「風水力機械器具」に使用されたときには、その出所について混同を生じるおそれがあるという状況にあり、また、小売等役務はその提供に係る商品と極めて密接な関係にあるという点に照らすと、本件商標が第35類の指定役務中の「金属加工機械器具・風水力機械器具の小売等役務」との関係で使用されたときには、該役務が申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る役務であるかのごとく、その出所について混同を生じるおそれがあることも容易に推測できるものである。

したがって、本件商標がその指定商品中の第7類の商品及びそれに関連する第35類の小売等役務に使用された場合には、需要者・取引者をして、その商品又は役務の出所について混同することは必至であり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反してなされたものである。

3 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、別掲(1)のとおり、黒塗り四角形の上下の辺の一部をくさび型に切り抜いた図形内に円弧状の曲線を上下に対称に配し、その右側にアルファベットの「K」の文字又は「I」と「C」を組み合わせたモノグラム図形を配した構成よりなるものである。

そうとすれば、本件商標は、全体として、欧字モノグラム様の幾何図形よりなるものであるから、特定の観念及び称呼が生じないものというのが相当である。

この点、申立人は、本件商標は、商標権者の英語表記の頭文字に照応する「N」「S」「K」の3文字を図案化したと認識し得ると主張するが、本件商標に接する需要者が、常に商標権者の英語表記の頭文字を認識して取引きにあたるものとは、到底いうことができないから、かかる申立人の主張は採用できない。

他方、引用商標は、別掲(2)のとおり、ややレタリングしてなるとしても、「NSK」の文字よりなるものと把握し得るものであり、「エヌエスケイ」の称呼を生じ、特に観念は生じないものというべきである。

そこで本件商標と引用商標とを比較すると、両商標は、外観が著しく相違するものであり、また、観念及び称呼においては、本件商標から特定の観念及び称呼が生じないことから、比較することができないものである。

してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、観念及び称呼のいずれよりみても、何ら相紛れるおそれのない非類似の商標である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(2)商標法第4条第1項第15号について

申立人が提出する甲第3号証ないし甲第6号証によれば、引用商標は、申立人が製造する商品「ベアリング」について、一定程度知られていると認められるとしても、前記3(1)で認定したとおり、本件商標は、特定の称呼、観念を生じないものであり、引用商標とは相紛れるおそれのない別異の商標であるから、本件商標を申立てに係る指定商品又は指定役務について使用しても、これに接する需要者・取引者が、申立人又は申立人と経済的・組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品又は役務であるかのごとく、その商品又は役務の出所について混同ずるおそれはないものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(3)結び

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、申立てに係る第7類の全指定商品及び第35類の指定役務中「金属加工機械器具並びにその部品及び付属品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,風水力機械器具並びにその部品及び付属品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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