Trademark Appeal Case
米沢米の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2009−900215(T2009−900215/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5213839号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり「米沢米」の文字を大きく縦書きし、その右に「米沢地場産物直売所協議会」の文字を小さく縦書きした構成からなり、平成20年6月2日に登録出願、第30類「長野県茅野市米沢産の米,長野県茅野市米沢産の玄米,長野県茅野市米沢産の米粉,長野県茅野市米沢産の強化米」を指定商品として、同21年1月27日に登録査定され、同年3月13日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由(要点)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は次の1ないし3に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきである旨主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第31号証を提出し、平成21年12月4日付け上申書をもって甲第32号証ないし甲第47号証を提出した。
1 本件商標は、周知著名な「米沢牛」あるいは周知な「米沢米」にフリーライドするものであり、公序良俗に反するものであるから、商標法第4条第1項第7号に該当する。
2 本件商標は、申立人の組合員等により山形県米沢地域で生産された周知な「米沢米」と全体として類似するものであり、出所の混同を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第10号に該当する。
3 本件商標は、周知な「米沢米」又は周知著名な「米沢牛」と同一又は類似するものであり、それらに化体した業務上の信用にフリーライドするものであって、「米沢米」の文字のみ表示して販売されている事実からみても不正の利益を得る目的の意図がうかがえるので、同法第4条第1項第19号に該当する。
第3 本件商標の取消理由
商標権者に対して、平成22年1月7日付け取消理由通知書で通知した本件商標の取消理由は、要旨次のとおりである。
1 商品「米」や「玄米」については、例えば、新潟県産であれば「新潟米」、秋田県産であれば「秋田米」などのように、「米」の文字に産地名を冠し「○○米」と表示して取引されている事実があるので、本件商標の構成中大きく表示された「米沢米」の文字は、「米沢」の文字部分が産地名と認識され、「米沢産の米」という商品の品質を表したものと認識されるとみるのが自然であり、加えて、その右に表された「米沢地場産物直売所協議会」の文字の意味合いを併せみれば、なおのこと、そのように認識されるといわなければならない。
2 申立人の提出に係る甲各号証及び職権による証拠調によれば、以下の事実が認められる。
(1)申立人の提出に係る甲各号証による事実
ア 甲第15号証は、ポスターであり、作成時期、部数等は不明であるが、その上部には「米澤米」の文字が大きく表示され、右中央には「コシヒカリ」「ササニシキ」の文字、下部には「お問い合わせ」として「米沢市産業部農林課」の文字と電話番号の記載がある。
イ 甲第16号証は、パンフレットであり、作成時期、部数等は不明であるが、その表紙の上部には「米澤米」の文字が大きく表示され、見開きには「米澤米栽培耕種基準」のタイトルの下に一覧表に基準が記載されている。また、裏表紙には中央に「米澤米の四原則」のタイトルの下にその内容が記載され、下部には「米沢市」と「山形おきたま農業協同組合」の記載がある。
ウ 甲第18号証は、Yahoo!JAPANで「米沢米」を検索した結果をプリントアウトしたものであり、そこには右上部に「米沢米で検索した結果・・・約2,530件」の記載があり、「ウェブ検索結果」としてヒットした情報が表示され、右下には「2009/06/12」の記載がある。
エ 甲第19号証、甲第20号証、甲第24号証ないし甲第26号証及び甲第28号証ないし甲第31号証は、いずれも本件商標の登録査定の日以降にプリントアウトされたウェブページであるが、それらには「米沢米」の記載がある。
オ 甲第33号証の6頁は、「平成21年産米の市町村別の需要量に関する情報」であり、米沢市の欄の「平成21年産米の需要量に関する情報(t)」には「14,859」、「平成20年産米の需要量(t)」には「14,903」、「面積換算値(ha)」には「2,518」、「平成20年産米の面積換算値(ha)」には「2,522」の記載がある。
カ 甲第34号証は、「広報 よねざわ」の4頁の写しであり、その上段には「第22回米澤米まつり 10月17日(土)」の記載、中段には「米まつりイベント」の項の下に「◇スタンプラリー抽選会でお米プレゼント!!」などの記載があり、また、下段には「21.10.1」の記載がある。
キ 甲第35号証は、「米沢の農業まつり」と題するウェブページの写しであり、その上段右には「第20回 米澤米まつり」の記載、中段には「開催日/2007年 10月27日(土曜日)」の記載があり、右下には「2009/12/01」の記載がある。
(2)職権調査による事実
ア 一般に使用されている辞書類の記載
(ア)「広辞苑 第六版」(株式会社岩波書店 2008年1月11日発行)には、「よねざわ【米沢】」の項があり、「山形県南部の市。米沢盆地の南端に位置し、もと上杉氏一五万石の城下町。・・・人口九万三千。」などの記載がある。
(イ)「大辞林 第三版」(株式会社三省堂 2006年10月27日発行)には、「よねざわ【米沢】」の項があり、「山形県南東部、米沢盆地南端の市。近世、上杉氏の城下町として繁栄。」などの記載がある。
(ウ)「大辞泉 増補・新装版」(株式会社小学館 1998年12月1日発行)には、「よねざわ【米沢】」の項があり、「山形県南東部の市。もと上杉氏の城下町。繊維・電機工業や米作・和牛飼育が盛ん。・・・人口九・三万」などの記載がある。
(エ)「コンサイス日本地名辞典〈第5版〉」(株式会社三省堂 2007年11月20日発行)には、「よねざわ 米沢」の項があり、「山形県南部、米沢市の中心。」などの記載があり、また「――市」(米沢市)として、「県南部。米沢盆地を占める都市。(面積)548.7平方キロメートル、(人口)90,098」の旨記載がある。
(オ)上述の各辞書類には、「長野県茅野市米沢」に関する記載はない。
イ 山形県米沢市公式ホームページの情報
(ア)「米沢市の統計 国勢調査」の「年齢(3区分)別人口の推移」と題する表には、「平成17年」の「計」の欄に「93,178」の記載があり、また、「一般世帯の世帯人員別割合」と題する表には、平成17年の「計」の欄に「33,130」の記載がある。
(イ)「広報よねざわ」2009.4.1号の3頁には、「平成21年度予算の総額は635億5,196万4千円」「一般会計 324億6,000万0千円」の記載がある。
(ウ)「広報よねざわ」の、2008.10.1号の12頁に「第21回 米フェスタ2008 米澤米まつり」の紹介記事が、また、2007.10.15号の21頁に「第20回米澤米まつり」が、2006.10.15号の16頁に「米澤米まつり」が、2005.10.15号の13頁に「第18回米澤米まつり」がそれぞれ紹介されている。
ウ 長野県茅野市公式ホームページの情報
(ア)「茅野市の統計情報」の「国勢調査基本集計結果」」には、「地区別年齢別(5歳階級)人口、世帯数、年齢3区分人口」「平成17年国勢調査の地区別人口(5歳階級)と世帯数」と題する表があり、茅野市の10地区のうちの一つに「米沢」があり、その世帯数の欄に「1,087」、総人口の欄に「3,080」の記載が、また、「茅野市計」の世帯数の欄に「21,529」、総人口の欄に「57,099」の記載がある。
(イ)「広報ちの 平成21年4月15日号」の2頁には、「平成21年度予算」の見出しの下、「一般会計の予算は、207億8千万円 です。」「総予算額は、342億708万5千円となり、・・・」の記載がある。
エ 長野県公式ホームページの情報
「長野県原産地呼称管理制度」の「米」の「第4回」には、「平成19年度長野県原産地呼称管理制度 米 認定一覧(2007年11月6日認定)」があり、「認定番号」の「07007」として、「認定米生産者」に「米沢地場産物直売所協議会 会長 折井 和行」、「商品名」に「米沢米」、「生産地」に「茅野市」、「面積(アール)」に「62.00」、「申請量(玄米Kg)」に「3,000」の記載があり、また、「第6回」には、「平成20年度長野県原産地呼称管理制度 米 認定一覧(平成20年11月21日認定)」があり、「認定番号」の「08031」及び「08032」として、「認定米生産者」に「米沢地場産物直売所協議会 会長 折井和行」、「商品名」に「米沢米」、「生産地」に「茅野市」、「面積(アール)」に「62.00」及び「68.50」、「申請量(玄米Kg)」に「3,000」及び「3,470」の記載がある。
3 上記2(2)アの事実からすれば、いずれの辞書類も本件商標の登録査定の日(平成21年1月27日)前に発行されたものであるから、地名「米沢」は、本件商標の登録査定の前において、一般的な需要者をして「山形県米沢市」(以下「米沢市」という。)を認識するものと判断するのが相当である。
そして、米沢市では、同市の平成21年産米の需要量に関する情報(生産数量目標)が14,859トン(上記2(1)オ)であり、「米」が相当量生産されていると認められるので、「米」や「玄米」などの需要者においても、上述の認識は変わらないとみるべきである。
そうとすれば、「米沢米」の文字は、「米」や「玄米」などの需要者が「山形県米沢市産の米」と認識するものといわなければならない。
4 してみれば、「山形県米沢市産の米」を認識させる「米沢米」の文字をその構成中に大きく表示してなる本件商標は、これをその指定商品「長野県茅野市米沢産の米,長野県茅野市米沢産の玄米,長野県茅野市米沢産の米粉,長野県茅野市米沢産の強化米」について使用するときは、これに接する需要者は、本件商標の構成中「米沢米」の文字を「山形県米沢市産の米」という商品の品質を表示したものと認識し、当該商品があたかも「山形県米沢市産の米,山形県米沢市産の玄米,山形県米沢市産の強化米」または「山形県米沢市産の米を原材料とする米粉」であるかのように商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
なお、「米沢市」と「長野県茅野市米沢」とは、人口が平成17年の国勢調査で、93,178人と3,080人であること(上記2(2)イ(ア)及び2(2)ウ(ア))、「米沢市」の平成20年産米の需要量(生産数量目標)が14,903トン、面積換算値が2,522ヘクタール」である(上記2(1)オ。ただし、これらは「米沢市」の米の生産の数値であり、「米沢(澤)米」の数値ではない。)のに対し、商標権者の平成20年の「米沢米」の認定米は、合計しても申請量(玄米)が約6.5トン、面積が約1.3ヘクタールであること(上記2(2)エ)、米沢市では、「米澤米まつり」と称するイベントを、少なくとも平成17年以降は毎年開催し、平成21年10月には「第22回米澤米まつり」を開催したこと(上記2(1)カ、キ及び2(2)イ(ウ))及び米沢市が平成21年1月から放映されたNHK大河ドラマ「天地人」の主人公直江兼続のゆかりの地であること(制作発表は平成17年4月。)を考慮すれば、一般需要者が地名「米沢」から「米沢市」を認識する程度はさらに高まるといわなければならない。
5 したがって、本件商標は、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある商標であって、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものといわざるを得ない。
第4 商標権者の意見
商標権者は、上記第3の取消理由に対して、指定した期間を経過するも何ら意見を述べていない。
第5 当審の判断
上記第3の取消理由は、妥当なものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第16号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2号の規定により取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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