sokuhyo

Trademark Appeal Case

生のりの識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2008−32352(T2008−32352/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲1のとおり「生のり」の文字を横書きしてなり、第29類「のりの佃煮」を指定商品として、平成20年2月18日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)

原査定は、「本願商標は、『乾燥加工していない海苔』を指称する『生のり』の文字を特異な態様とはいえない書体で書してなるものであるから、出願人が、これをその指定商品中『生のりの佃煮』に使用しても、これに接する需要者等は、該商品が『生のりを使用した佃煮』であると認識するにとどまるというのが相当であって、単に商品の原材料、品質を表示するにすぎないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。また、出願人が、提出された証拠によって、本願商標をその指定商品に使用していることは認められるものの、本願商標それ自体が使用された結果、自他商品の識別標識としての機能を有するに至っているとは認められないから、同法第3条第2項の要件を具備しない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを行ったところ、別掲2に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、平成21年8月20日付けで証拠調べの結果を通知した。

4 職権証拠調べに対する請求人の意見(要点)

証拠調べ通知書で指摘の他人による「生のり(生海苔)」の使用は、近年(2000年以降)のものであり、特にウェブサイトはここ2〜3年の現象であるから、これらの使用によって、本願商標の登録性が否定されるとする考え方は、取引界の実状に反する不当かつ不自然な解釈である。そして、審判請求書に添付した証拠によっても、本願商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。仮に、前記条文に該当したとしても、商標法第3条第2項の規定の適用を受けることができる。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について

商標法第3条第1項第3号の判断に際しては、「商標法3条1項3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである。」(最高裁昭和53年(行ツ)第129号 昭和54年4月10日判決言渡)旨判示されているところである。

そこで、これを踏まえて、本願についてみると、本願商標は、別掲1のとおり「生のり」の文字を、未だ普通に用いられる方法の域を脱しないといえる態様で横書きしてなるところ、証拠調べ通知で示したとおり、「生のり(生海苔)」の文字は、本願指定商品「のりの佃煮」の原材料を表す文字として新聞、パンフレット及びインターネットにおけるウェブサイトにおいて、広く一般に使用されているといい得るものである。

そして、このような商標は、指定商品との関係において、当該商品の品質等を表示するために、取引において必要適切な表示として何人も使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないといわなければならない。

してみれば、本願商標を、その指定商品中「生のりを原材料とするのりの佃煮」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、商品の原材料、品質を普通に用いられる方法の範囲で表示された商標と理解、認識するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得る商標とは認識し得ないというべきであり、かつ、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。

なお、請求人は、「本願商標は、請求人所有の登録商標から『生のり』の文字のみを取り出したものであり、該語は、広辞苑に記載されていない造語であるから、自他商品を識別し得る商標である。請求人は、『生のり』を昭和58年から『のりの佃煮』の高級ブランドとして、使用し続けており、当時市場に流通させていたのは出願人のみであり、証拠調べ通知書で指摘の他人の使用は、近年(2000年以降)のものであり、特にウェブサイトはここ2〜3年の現象であるから、これらの使用によって、本願商標の登録性が否定されるとする考え方は、取引界の実状に反する不当かつ不自然な解釈である。」旨主張する。

しかしながら、登録出願された商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標の構成態様と指定商品との関係並びに他人による使用の状況及び取引の実情等を考慮して、個別具体的に判断されるべきものであり、かつ、その判断時期は、査定時又は審決時と解されるべきものであるところ、証拠調べ通知書における請求人以外の「生のり(生海苔)」の文字の使用は、請求人も認めているように、近年(2000年以降)、すなわち審決時においても「のりの佃煮」の原材料を表す文字として実際に多数使用されている事実が認められるものであるから、本願商標は自他商品を識別する機能を果たし得ないといわなければならず、前述のように判断することが取引界の実状に反する不当かつ不自然な解釈であるとはいえないものである。

よって、請求人が「生のり」の文字を含む登録商標を所有していること、該文字が辞書に記載されていないこと、請求人が以前から「生のり」の文字を「のりの佃煮」に使用していることを理由に、本願商標が自他商品の識別標識としての機能を果たし得るとする請求人のいずれの主張も採用することはできない。

したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

(2) 商標法第3条第2項に該当するとの主張について

請求人は、仮に本願商標が商品の原材料、品質等の表示であるとしても、長年にわたる使用により商標法第3条第2項の規定の適用を受けることができる旨主張し、当審において、証拠方法として甲第2号証ないし甲第8号証及び甲第10号証ないし甲第50号証を提出している。

そこで、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備しているか否かについて検討する。

ア 甲第2号証ないし甲第8号証は、スーパーマーケット等販売店で発行されたレシートであるところ、そこには、「磯じまん 生のり」及び「イソジマンナマノリ」のように表記されていることから、それらが請求人の取り扱いに係る商品を表したものであることは推認できる。

イ 甲第10号証及び甲第11号証は、顧客(販売店や消費者)に配付されたとする商品リーフレット、また、甲第12号証ないし甲第14号証は、俳優を起用したテレビコマーシャルのリーフレットであるところ、それらには、「磯じまん」及び「生のり」の文字が付された商品「のりの佃煮」が掲載されているものの、当該リーフレットの印刷部数、頒布地域などは示されていない。

ウ 甲第15号証は、昭和58年7月4日付け「フード・ウィークリー」と称する紙面であるところ、そこには、「磯じまん」及び「生のり」の文字が付された商品「のりの佃煮」が同年6月に販売された記事が掲載されている。

エ 甲第16号証は、請求人の取り扱いに係る磯じまん製品建値表(昭和58年10月)であるところ、そこには、品名「生のり」の文字とその小売価格などが記載されている。

オ 甲第17号証は、「生のり」の地域別主力商品売上表であるところ、そこには、1991年から2007年までの売上げ函数が地域ごとに記載されており、1995年は24,730函(一函48個入り)、2007年は14,723函(同)の売上げが示されている。

カ 甲第18号証はテレビ番組「朝だ!生です/旅サラダ」のパンフレットであり、甲第19号証ないし甲第45号証は、1996年4月、10月及び12月に前記番組を朝日放送、テレビ朝日ほか25放送局を通じて全国に放送したとする放送通知書である。前記パンフレットには、「生のり」の文字及び商品「のりの佃煮」に関する記載は見当たらず、また、前記放送通知書には、広告主欄に請求人の名称、番組放送日及びコマーシャルの秒数が記載されているが、広告の対象となる商品名については、甲第19号証に「ナマノリブシA」及び「ナマノリカンメ」と記載されているのみであり、さらに、前記各号証をみても、広告に使用された本願商標の態様などは記載されていない。

キ 甲第46号証ないし甲第50号証は、新聞の紙面であるところ、平成4年3月から12月、同12年、同16年及び同18年、同19年1月から4月及び12月に朝日新聞、中国新聞、東京新聞等において、「磯じまん」、「佃煮」及び「生のり」の文字並びに該文字が付された商品「のりの佃煮」についての広告記事が掲載されているものの、当該新聞の頒布地域及び販売部数は示されていない。

以上の証拠からすると、請求人は、本願商標と同一の態様である「生のり」の文字を、本願指定商品と同一の商品「のりの佃煮」に付して、昭和58年から販売していることが認められる。

そして、甲第17号証は、その売上高は確認できるものの、「のりの佃煮」を扱う業界全体の売上げに対する前記商品の比率が示されていないことから、その売上げの規模について確認することはできず、また、販売数については、例えば、2006年東北・信越239函及び四国205函並びに2007年東北・信越233函及び四国219函しかないことから、本願商標が

、商品「のりの佃煮」に使用された結果、何人かの業務に係る商品であることを認識することができる出所表示として、その商品の需要者の間で全国的に認識されているものとは認め難いものである。

また、広告宣伝については、リーフレットや新聞を用いて行っていることは認められるものの、リーフレットの印刷部数及び頒布地域が示されていないことから、広告宣伝の回数や地域が不明である上に、新聞の頒布地域及び販売部数も示されていないことから、新聞による広告宣伝がどの地域で、どの程度行われたのか確認することもできない。

さらに、テレビ放送によるコマーシャルは、現在よりも10年以上前にわずか3ヶ月の間だけ放送されたものでしかない上に、広告の対象となる商品やそれに使用された本願商標と同一の態様が記載されていないことから、これが「生のり」の文字を付した商品「のりの佃煮」についての、広告宣伝

であるのか不明であり、加えて、テレビコマーシャルのリーフレット(甲第12号証ないし甲第14号証)と関連付けて、判断しなければならない理由

も見出せないものである。

してみれば、請求人が、本願商標と同一の態様である「生のり」の文字を、商品「のりの佃煮」に使用していることは認められるとしても、商品「のりの佃煮」の売上げの規模について明らかでない上に、本願商標が出所表示として当該需要者の間で全国的に認識されているとは認め難く、さらに、広告宣伝の回数及び内容についても詳細に確認できないことは前記のとおりであるから、請求人の提出した証拠を総合して勘案しても、本願商標が使用により識別力を有するに至ったとはいえず、本願商標が、商品「のりの佃煮」について使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとは認められないものである。

なお、請求人は「スーパーマーケット等販売店で発行されたレシート(甲第2号証ないし甲第8号証)に、本願商標を付した商品『のりの佃煮』が、単に『生のり』、『ナマノリ』と表記されているのは、『生のり』といえば、請求人の業務に係る商品と認識されているからである。」旨、主張する。

しかしながら、提出された証拠の中には、「磯じまん生のり(イソジマンナマノリ)」のように、請求人の略称と共に「生のり(ナマノリ)」の文字が表示されているものも見受けられることに加えて、通常レシートの表記は文字数の制限があるため、しばしば商品名や商標が省略されて表示されることが一般に行われていることからすれば、 提出されたレシートの「生のり」の表記をもって、請求人の取り扱いに係る商品と特定することはできず、ひいては「生のり」といえば、請求人の業務に係る商品とは認め難いといわなければならない。

したがって、本願商標は商標法第3条第2項の要件を具備するものとは認められない。

(3) まとめ

以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、かつ、同法第3条第2項の要件を具備しないとした原査定は妥当なものであって、取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。