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Trademark Appeal Case

地名と役務の結合商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2009−4628(T2009−4628/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「高野山カフェ」と「高野山 Cafe」の文字とを上下二段に書してなり、第43類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成19年11月16日に登録出願されたものであるが、その後、指定役務については、原審における平成20年10月21日付け手続補正書により、第43類「高野山で自生・栽培された各種山野草を配合した茶湯の提供,高野山で自生・栽培された各種山野草を配合した茶湯の提供に関する情報の提供,高野山の自然環境をとらえた写真類の展示を行なう空間での飲食物の提供,高野山の自然環境をとらえた写真類の展示を行なう空間での飲食物の提供に関する情報の提供,高野山にまつわる弘法大師空海に関する各種物品を紹介・展示する空間での飲食物の提供,高野山にまつわる弘法大師空海に関する各種物品を紹介・展示する空間での飲食物の提供に関する情報の提供」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は、「本願商標は、『高野山カフェ』及び『高野山 Cafe』の各文字を上下二段に書してなるところ、『高野山』は、『和歌山県北部、伊都郡高野町にある真言宗の総本山金剛峰寺を中心とする山地名で、真言宗の霊地であり、著名な観光地。』を指称し、『カフェ』『cafe』の語は、『コーヒー店、喫茶店』等を意味することから、全体として、『高野山にある喫茶店』程の意味合いを記述したもので、これを補正後の指定役務中、例えば『高野山の自然環境をとらえた写真類の展示を行なう空間での飲食物の提供』について使用しても、本願商標に接する取引者、需要者は、『高野山にある喫茶店での飲食物の提供』程の意味合いを越える観念を認識するとも言い難く、結局、本願商標は、役務の提供場所を表したにずぎず、これを特定人に独占使用させることは、公益上適当でない上、商標として自他役務識別機能を有するものとも認められない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標は、前記1のとおり、「高野山カフェ」と「高野山 Cafe」の文字とを二段に配してなるところ、その構成中「高野山」の文字部分は「和歌山県北東部にある、千メートル前後の山に囲まれた真言宗の霊地。816年(弘仁七)空海が真言密教の根本道場として下賜を受け、のち真言宗の総本山金剛峯寺を創建。」、また、「カフェ」「Cafe」の文字部分は「主としてコーヒーその他の飲料を供する店。」(いずれも広辞苑 第6版)を意味する語として、一般に知られているものである。

ところで、上記高野山の地は、従来より、真言宗の聖地として、また、著名な観光地でもあることに加え、近年、ユネスコの世界文化遺産に登録されたこともあり、国内でも有数の名所、観光地として、当地を訪れる旅行者も増加しているものである。

また、一般に広く知られた観光地においては、その地域の特産品に限らず、菓子をはじめとする各種の食料品等が土産品として販売され、宿泊施設の提供や飲食物の提供等が行われている。

さらに、「高野山」の文字が、地域名、観光地名を表すものとして理解・認識されている実情、当該地域に不特定多数の飲食物の提供が行われる場所が存在している実情及び特定の地域所在の喫茶店の店舗を検索する際に、当該地域名と「カフェ」の文字を検索キーワードとして用いることが一般的に行われている実情がある。

そして、これらの実情は、以下の辞書、新聞記事やインターネットにおけるウェブサイトの情報等からも十分に裏付けられるところである。

(1)「コンサイス日本地名事典 第5版」(2007年11月20日 株式会社三省堂発行)の「高野山」の項において、「伊都郡高野町。紀伊(きい)半島北部、紀ノ川の南にある平頂な隆起準平原の山地。」、「高野山真言宗総本山の金剛峯寺には100余の僧坊伽藍があり、門前町が発達。寺院では宿坊でもあり、参詣者に利用される。」、「『紀伊山地の霊場とし参詣道』として金剛峯寺・丹生郡比売神社・慈尊院・丹生官省符神社が世界文化遺産に2004年(平16)登録。」の記載。

(2)「世界遺産 高野山」のウェブサイトにおいて、「弘法大師’空海’によって開かれた真言密教の聖山『高野山』。まもなく開創1200年を迎える、ユネスコ世界遺産にも登録された霊山高野山の魅力を存分にお伝えします。」の記載。(http://www.sekaiisan-koyasan.com/)

(3)「白浜観光タクシー株式会社」のウェブサイトにおいて、「白浜観光タクシーで行く 歴史と温泉の紀州路めぐり」の見出しのもと、「紀州路には数多くの温泉があります。名所・旧跡も数多くあり、2004年7月には紀伊半島の吉野・高野・熊野エリア一帯が『紀伊山地の霊場と参詣道』としてユネスコ世界遺産に登録。」の記載。(http://www.shirahamakanko.com/index.html)

(4)「[こころ紀行・紀伊山地の霊場と参詣道]慈悲に抱かれた宗教都市」の見出しのもと、「・・・高野山の場合は周囲の七つの山が結界で、その内側の盆地はすべて金剛峯寺の山内だ。人口約3200人、精進料理で参拝者をもてなす宿坊が53カ寺。各種の商店、飲食店、保育所、小、中、高校から大学まで、それに老人ホームや町営住宅もある。」の記載。(2004.7.18 毎日新聞 東京朝刊 34頁)

(5)「bestReserve」のウェブサイトにおいて、「高野山 西門院(日本旅行提供)」の見出しのもと、「−高野山街の中央− 門前にはお土産物店・和菓子店・飲食店などがあり、交通や各所の参詣に便利です。」の記載。(http://www.bestrsv.com/hotel/2009112673/)

(6)「宿坊研究会」のウェブサイトにおいて、「宿坊攻略 高野山編」の見出しのもと、「高野山の町には至る所に宿坊があります。・・・ここの宿坊はどこも正統派で、建物や庭園、精進料理、お勤めなど、宿坊気分を満喫出来るキーワードは全て揃っています。特に精進料理は肉、魚、五葷(匂いの強い野菜)を使わない本格的なもので、名物の高野豆腐など古くから受け継がれてきた料理も楽しめます。」の記載。(http://syukubo.com/think/think05.html)

(7)「グルメGyaO」のウェブサイトにおいて、「橋本・高野山/カフェ」の見出しのもと、「橋本・高野山のカフェのお店一覧」の記載。(http://ggyao.usen.com/search/p30_t30004_a_gb11_gc1101_y_sk_r_i)

(8)「ぐるなび」のウェブサイトにおいて、「恵比寿 カフェ」の見出しのもと、「ぐるなびレストランカテゴリ、こちらは【恵比寿 カフェ】のカテゴリです。 恵比寿のカフェの店舗が検索できて、さらにキーワードで絞り込むこともできます!」の記載。(http://cat.gnavi.co.jp/x/ag/42/CATAD0234/CATGB210/p/10/1/)

以上よりすれば、「高野山カフェ」及び「高野山 Cafe」の文字からなる本願商標に接する取引者、需要者は、「高野山所在の喫茶店」のごとき意味合いを理解、認識することは容易というべきである。

してみれば、本願商標は、これをその補正後の指定役務について使用しても、単に役務の質、提供場所等を表示するにすぎないものと認められるから、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないというべきである。

したがって、本願商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。

なお、請求人は、過去の登録例を挙げて、「『カフェ』の文字と特定の場所の組み合わせからなる商標は、一般的には結合される関係にはないものと思料され、商標法第3条第1項第3号に該当しないものとして、登録されている。」旨主張しているが、出願に係る商標の登録の可否は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、その商標が使用される取引の実情等を考慮し、その指定商品又は指定役務との関係において、個別具体的に判断されるべきものであるから、それらの既登録例に拘束されるものではない。

そして、商標法第3条第1項第3号の趣旨は、同号列挙のものは通常、商品や役務を流通過程又は取引過程に置く場合に必要な表示であるから、何人も使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであるから一私人に独占を認めるのは妥当でなく、また、現実に使用され、あるいは、将来一般的に使用されるものであることから、出所識別機能を認めることができないものと解される。(社団法人発明協会発行 特許庁編「工業所有権法逐条解説(第17版)」参照)

そうすると、本願商標「高野山カフェ」及び「高野山 Cafe」については、その指定役務との関係において、これに接する取引者、需要者は、役務の質、提供場所を表示したものと理解するにとどまると判断するのが相当であること上述のとおりである。そして、仮に同様の表示を他人が使用していないとしても、前記の趣旨からして特定人に独占させることは適切でないから、請求人の該主張は採用することができない。

また、請求人は、「本願商標出願時に高野山との関係において特段の理由が存在し、必要があれば、この関係が明確となる実施許諾関係或いは名義変更を補正により行う用意がある。」旨述べているが、本件は、本願商標が自他役務の識別力を有するか否かを判断すべき事案であるところ、本願商標が自他役務の識別標識として機能を果たし得ないものであること先の認定のとおりであるから、仮に請求人が前記証拠を提出したとしても、前記判断に何等影響を与えるものとは認められない。

よって、結論のとおり審決する。

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