Trademark Appeal Case
きびの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2009−7907(T2009−7907/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「きび」の文字を標準文字として書してなり、第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品とし、平成17年9月21日に登録出願された商願2005−88220に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、平成18年6月21日に登録出願された商願2006−57741をもとの商標登録出願とし、さらに、商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同年11月21日に登録出願されたものである。そして、指定商品については、原審における平成19年1月18日付け手続補正書により、第30類「甘蔗糖を添加した菓子及びパン,甘蔗糖を添加した食品香料(精油のものを除く。),甘蔗糖を添加した穀物の加工品,甘蔗糖を添加したアーモンドペースト,甘蔗糖を添加したぎょうざ,甘蔗糖を添加したサンドイッチ,甘蔗糖を添加したしゅうまい,甘蔗糖を添加したすし,甘蔗糖を添加したたこ焼き,甘蔗糖を添加した肉まんじゅう,甘蔗糖を添加したハンバーガー,甘蔗糖を添加したピザ,甘蔗糖を添加したべんとう,甘蔗糖を添加したホットドッグ,甘蔗糖を添加したミートパイ,甘蔗糖を添加したラビオリ」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『イネ科の一年草。秋に淡黄色の実をつけ、五穀の一つとされる。(広辞苑、大辞林、新食品事典1〔穀物・豆〕、食品・栄養・健康用語辞典)』の意味を有する『きび』の文字を書してなるところ、該文字(植物)は、その実はもちろん食用に用いられ、きびがご飯の素材、菓子やパンなど各種の商品の原料に用いられていることからすれば、これを本願の補正後の指定商品中、例えば、「甘薯糖を添加した菓子及びパン」等に使用したときには、甘薯糖はしょせん添加物にすぎず、これに接する需要者・取引者は、原料に「きびを用いてなる菓子及びパン」であることを認識するにとどまるものであるから、単に商品の品質、原材料を表示するにすぎないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「きび」の文字よりなるところ、本願の指定商品との関係において、「きび」の文字は、「イネ科の一年生作物。インド原産とされ、中国では古くから主要な穀物で五穀の一つ。果実は、食用・飼料、また餅菓子・酒などの原料。粳(うるち)と糯(もち)とがある。」等(広辞苑第六版)、「イネ科の一年草。縄文・弥生時代に中国から伝来した穀物。頴果(えいか)はアワより少し大きく、糯(もち)と粳(うるち)の二種がある。」等(大辞林第三版 株式会社三省堂)の意味を有する語と認められる。
ところで、近年の健康志向を背景に健康食材として雑穀類が注目され、雑穀類の一つである「きび」が食品を取り扱う業界において、「菓子、パン、もち、すし」等の原材料の一部として一般に使用され、また、このような商品を「きび入りおはぎ」、「きびパン」、「きび餅」、「きびの鮭すし」と称されている実情が以下のインターネット、雑誌からも窺えるところである。
(1)「もぐもぐ共和国 アトピーやアレルギーを持つ子供たちのメガストア」のサイトの中の「手作り みんなのクッキー」の商品見本の下に、「【原材料】きび粉、菜種油、てんさい糖、ココナッツミルク、さつま芋、レモン果汁、増粘剤(加工でんぷん)、重曹」の記載がある(http://shop.genesis-ec.com/search/item.asp?shopcd=07022&item=390003)。
(2)「もぐもぐ共和国 アトピーやアレルギーを持つ子供たちのメガストア」のサイトの中の「もぐもぐ工房の コロコロきびボーロ」の見出しの下に、「うるちきびとさつま芋でつくった、サクサクと軽い歯ごたえのぼーろです」、「原料 きび粉、菜種油、てんさい糖、ココナッツミルク、さつま芋、レモン果汁、増粘剤(加工でんぷん)、重曹」の記載がある(http://mogumogu.jp/shopping/snack/390007.htm)。
(3)「人と自然の夢あわせ JA松本ハイランド」のサイトの中に、「きび[おすすめレシピ]きび入りおはぎ」、「材料(20個分)きび...1合」の記載がある(http://www.ja-m.iijan.or.jp/column/recipe/360/)。
(4)「古川一郎」のサイトの中の「くるみとレーズンのきびパン/奥能登でつくる贅沢なパン」の見出しの下に、「能登のきびを使ったフルーツカンパーニュです。」の記載がある(http://www.furukawaichiro.net/items/b018/b018.html)。
(5)「株式会社PM企画」が提供しているサイトの中の「パックきび餅320g」の見出しの中に、「岩手県産のもちきびを使用。」、「原材料名 水稲もち米(国内産)、もちきび(国内産)」の記載がある(http://okasinooukoku.com/hozyuan/ho_kibimoti.html)。
(6)「はくばく」のサイトの中の「レシピ&ライブラリ 雑穀をつかったレシピ」の見出しの中に、「もちきびで作る きびの鮭すし」、「きび1/4カップ」の記載がある(http://www.hakubaku.co.jp/recipeLibrary/2006/01/post_13.html)。
(7)「【アレンタウン】食物アレルギー対応食品&純オーガニックコットンの通販」のサイトの中に、「パスタ用『きびの麺(きびめん)』」、「『きびを使ったパスタ?』とお思いでしょう。 ところが出来上がりはまさにパスタ!コシがあって具材との相性もピッタリ」の記載がある(http://allentown.co.jp/SHOP/FMS003.html)。
(8)「はくばく」のサイトの中の「おいしさ味わう 十六穀ごはん」の見出しの中に、「原材料 もちあわ、発芽玄米、黒米、黒豆(大豆)、アマランサス、たかきび、キヌア、小豆、黒ごま、白ごま、はと麦、赤米、もちきび、大麦、とうもろこし、ひえ」の記載がある(http://www.jurokkoku.com/about.html)。
(9)「日経レストラン2004年6月号」(日経BP社)の118頁の「必勝レシピ メインメニューの一品として」の中に、「『もちきびの洋風はるまき』」、「[材料](4皿分)もちきび...100g」の記載がある。
以上よりすると、本願商標をその指定商品について使用したときには、これに接する取引者、需要者は、「きびを用いてなる甘藷糖を添加した菓子及びパン」等、すなわち「きびを用いてなる商品」であるという商品の原材料、品質を表すものとして認識、理解するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ない商標とみるのが相当であり、また、本願商標を前記に照応する商品以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。
なお、請求人(出願人)は、「拒絶査定において、『きびパン』、『きびのパン』、『もちきびパン』等の例を挙げ、これら商品に使用されている『きび』が、商品の主原料であるのか、単なる添加物にすぎないものであるのかが明らかにされていないため、需要者・取引者が『きび』なる文字を含む商品に接したときに、主原料として穀物の『きび』が使用されている商品であると考えるとは限らない。」旨主張している。
しかしながら、雑穀類の一つである「きび」が健康食材として注目されている状況の下にあっては、取引者、需要者が「きびパン」等、「きび」の文字を含む商品に接するときは、そもそもこれらの商品に使用されている「きび」が、商品の主原料であるとか、単なる添加物であるとかは、ともかく、健康食材としての「きび」を原材料としている商品であると認識するのが相当であるから、請求人(出願人)のその主張を採用することはできない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとした原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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