結論テキスト
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 異議2009−900115(T2009−900115/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第5191234号商標(以下「本件商標」という。)は、「TAMING ELIXIR」の欧文字を標準文字で書してなり、第3類「せっけん類,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,化粧品,歯磨き」を指定商品として、平成20年5月19日登録出願、同年12月19日に設定登録されたものである。
(1)商標法第4条第1項第11号に該当する理由
ア 引用商標1
登録第4671440号「ELIXIR」
指定商品:第3類「化粧品,せっけん類,香料類,歯磨き」
イ 引用商標2
登録第1822150号「エリクシール/ELIXIR」
指定商品:第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」
ウ 引用商標3
登録第1881500号「ELIXIR」
指定商品:第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料」
引用商標1ないし3における「ELIXIR」の文字は、株式会社資生堂(以下「資生堂」という。)が「化粧品、せっけん類」等の商品に使用し、周知、著名になっている商標と一致する言葉として、取引者、需要者、特にこれらの商品を購入する女性の消費者にとって馴染みの深い言葉である。
してみれば、本件商標「TAMING ELIXIR」は、一連の意味合いを理解するとは言えず、取引者、需要者は「ELIXIR」の部分のみをもって理解し、認識するものであるから、「ELIXIR」の部分において一致する本件商標と引用商標1ないし3は、互いに類似する商標である。また、本件商標と引用商標1ないし3とは、指定商品においても同一又は類似する。
よって、本件商標は引用商標1ないし3と類似する商標であり、商標法第4条第1項第11号に該当し、商標登録を受けることができない。
(2)商標法第4条第1項第15号に該当する理由
商標「ELIXIR」は、資生堂が製造販売する商品「化粧品」を指称する商標として需要者、消費者の間において広く知られ著名となっている商標である。
したがって、かかる周知、著名の「ELIXIR」と同一の部分を含む本件商標を、出願人が使用した場合、あたかも資生堂の企業グループに属するか、あるいは同社と業務上何等かの関連を有していると、出所について誤認混同を生じさせるものであるから、商標法第4条第1項第15号に該当し、商標登録を受けることができない。
(3)商標法第4条第1項第19号に該当する理由
本件商標は、他人の周知、著名な商標「ELIXIR」を含む商標であることは明らかであり、かかる商標を、資生堂と関係のない商標権者が同商品に使用することは、資生堂の企業の信用を利用し、あるいは周知、著名性にただ乗りして商品を販売しようとする行為であり、不正の目的をもって使用するものと言わざるを得ず、商標法第4条第1項第19号に該当し、商標登録を受けることができない。
(1)引用使用商標の周知・著名性について
甲各号証によれば、以下の事実が認められる。
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、「ELIXIR」の欧文字からなる商標(デザイン化された別掲1の商標を含む。以下「引用使用商標1」という。)及び「エリクシール」の片仮名文字からなる商標(以下「引用使用商標2」という。)を「化粧品」などの商品に1983年(昭和58年)から現在に至るまで継続して使用し、これを販売している(甲第5号証ないし甲第16号証)。
各引用使用商標を使用した1983年度(昭和58年度)から2000年度(平成12年度)までの商品の売り上げ実績は、売上金額の総計が6106億3000万円、売上総数量が4億450万個に達している(甲第15号証)。
また、宣伝広告費用は、発売開始前の1982年(昭和57年)12月から1997年(平成9年)11月までの期間で、総額230億6700万円を費やし(甲第16号証)、1993年4月から1997年3月までの販売促進費用は、総額37億5100万円に達している(甲第17号証)。
さらに、その後5年間の実績については、甲第18号証の示すとおりである。
申立人は、各引用使用商標を使用した化粧品の広告・宣伝を、少なくとも新聞(甲第19号証ないし甲第22号証)、雑誌(甲第23号証ないし甲第26号証)、商品のチラシ(甲第40号証)及びポスター(甲第41号証ないし甲第46号証)などの媒体を通じて行っている。
以上によれば、 各引用使用商標は、申立人が自己の製造販売する化粧品などに昭和58年から現在に至るまで継続して使用するとともに、多量の広告、宣伝を行ってきたことが認められ、遅くとも本件商標の登録出願がなされた平成20年5月19日前には、化粧品などの取引者、需要者の間に申立人の取り扱いに係る商品の出所を表示する商標として広く知られるようになっていたというのが相当である。
(2)本件商標の商標法第4条第1項第15号の該当性について
本件商標は、「TAMING ELIXIR」の欧文字よりなるところ、その構成中の「TAMING」の文字部分は、「テイミング」と発音され、「(鳥獣を)飼いならす、(人を)服従させる」との意味の英語「tame」の現在分詞を表すものであるが(甲第4号証)、我が国においてはほとんど知られていないものである。
また、その構成中の「ELIXIR」の文字部分は、本来「(錬金術の)霊薬、エリクシル(卑金属を金に化するために錬金術師が調合したもの)、エリキシル(剤)(主薬・香料・甘味剤を混合したアルコール性液剤)」(株式会社研究社1998年発行「研究社新英和大辞典」、共立出版株式会社1993年発行「化学大辞典1縮刷版」)などを意味する既成語の英語であるが、我が国において一般的には知られていないものであるから、本件商標は、その構成文字全体として特定の意味合いを有するものではなく、「TAMING」の語と「ELIXIR」の語とを分離して認識することを妨げる事情は認められない。
他方、各引用使用商標は、上記2のとおり、「ELIXIR」及び「エリクシール」の文字よりなるところ、両文字は、申立人の「化粧品」のブランド名として同一商品に使用されていることから、各引用使用商標からは、「エリクシール」の称呼が生ずるものであり、また、「申立人の使用する著名商標」という程の観念を生ずるものというのが相当である。
そうすると、本件商標の構成中「ELIXIR」の文字部分は、我が国において既成語として知られておらず、化粧品などの取引者、需要者の間においては申立人の取り扱いに係る「化粧品」などの商品の出所を表示するものとして周知・著名となっている「引用使用商標1」と綴り字が同一の構成であり、かつ、各引用使用商標と「エリクシール」の称呼を同一にし、「申立人の使用する著名商標」の観念を同一にするものである。
そして、本件商標の指定商品中の「せっけん類,化粧品」と各引用使用商標の使用している商品「化粧品」とは、需要者が若い女子から婦人や主婦層などと幅広い女性において共通し、販売場所も化粧品店やドラッグストアーなどで共通することが多く、用途も美容を目的とする点において密接な関連を有していると認められるものである。
以上を総合すると、本件商標は、その構成中に他人(申立人)が「化粧品」に使用する周知・著名な「引用使用商標1」と構成を同一にし、また該文字は周知・著名な各引用使用商標と「エリクシール」の称呼及び「申立人の使用する著名商標」の観念を同一にする「ELIXIR」の文字を有するものであり、その使用する使用商品も各引用使用商標の使用している商品と需要者層や販売場所の共通性及び及び用途の密接な関連性を有するものであるから、これをその指定商品中の「せっけん類,化粧品」に使用するときは、その取引者及び需要者において申立人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信されるおそれがあるというべきある。
したがって、本件商標は、その指定商品中の「せっけん類,化粧品」について、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
前記3の取消理由に対し、商標権者は、指定した期間内に何ら意見を述べていない。
当審において、商標権者に対し、平成21年9月10日付けで商標登録の取消の理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者からは何らの応答もない。
そして、上記3の取消理由は、妥当なものと認められる。
してみれば、本件商標の指定商品中、第3類「せっけん類,化粧品」については、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、上記商品についての登録を取り消すべきものである。
しかしながら、本件商標の指定商品中、第3類に属する前記「せっけん類,化粧品」以外の商品については、使用商品とは、その用途、製造業者、販売部門等を異にするものであり、取引者、需要者は、申立人の使用商標を想起、連想するとはいい難く、それが申立人又は同人と経済的、あるいは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものとは認められない。
したがって、本件登録異議の申立てに係る指定商品中、第3類「せっけん類,化粧品」以外のその余の指定商品については、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものとは認められないので、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持する。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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