Trademark Appeal Case
著名商標の混同のおそれ
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2009−900187(T2009−900187/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5206412号商標(以下「本件商標」という。)は、「WRANGLER」の文字を標準文字で表してなり、平成20年6月20日に登録出願、第9類「双眼鏡」を指定商品として、同年12月15日登録査定、同21年2月20日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由(要点)
(1)商標「Wrangler」の著名性について
登録異議申立人Wrangler Apparel Corporation(以下「申立人」という。)は、多くの国際的なブランドを擁するVF Corporationの傘下で、我が国を始め世界的に著名な「Wrangler」ブランドのジーンズその他の被服等の製造販売を行っている企業である。日本では、1971年から国内向け製品の製造・販売が本格的になり、現在に至るまで継続して製造・販売している。
そして、これらの製品及び広告物である商品カタログ、ウェブサイト等には、「Wrangler」の商標(以下「引用商標」という。)が必ず表示され、更に、雑誌等の出版物にも、これらの製品のことが頻繁に掲載、紹介されている(甲第11号証〜甲第80号証)。
したがって、本件商標の出願日、平成20年6月20日はるか以前に、我が国において、申立人の引用商標が、その業務に係る商品を表示する商標として広く認識されていたことが明らかである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標と引用商標は、実質的に同一若しくは酷似する商標である。
そして、引用商標の著名性は、上述のとおりであり、また、近時における著名商標主の各種の商品化事業の一般的傾向及び企業の事業の多角化の一般的傾向とも相まって、本件商標がその指定商品に使用された場合、その商品の種類を問わず、当該商品が申立人又はこれに関連する者の業務であるかのごとく誤認されるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第19号について
「wrangler」は、「口論する」等を意味する英単語であるが、このような意味では一般的にほとんど知られていない英単語であり、他方、この語は、商取引の分野ではもちろんのこと、一般的にも申立人の商標として知られている。したがって、商標権者は、上記著名商標の信用に便乗する目的、すなわち法上の「不正目的」をもって本件商標を出願したことが容易に推認できる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第7号について
本件商標の使用は、申立人の著名商標の信用に不当に便乗するものであり、また、その著名商標の希釈化を招くものである。
したがって、商標権者が本件商標の商標登録を得、使用することは、取引秩序を乱し、善良な風俗を乱し、かつ、国際信義に反する行為である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
3 本件商標に対する取消理由(要点)
(1)申立人の提出した証拠(甲第4号証ないし同第85号証)によれば、引用商標は、申立人により本件商標の出願日の遙か以前から、米国を中心としてジーンズパンツ・デニムジャケット等に継続して使用され、高い周知性を獲得したと認められるものであり、我が国においても同様に使用されており、本件商標の出願日前発行の新聞や雑誌等による宣伝広告も頻繁に行われ、「ラングラー」の称呼のもと、継続して使用された結果、本件商標の登録査定時はもとよりその出願時には、ジーンズ製の被服の需要者をはじめとして、一般の需要者の間にも広く認識されるに至っており、商標として著名なものになっていたということができる。また、引用商標は、前記被服に止まらず、ベルト、靴、帽子、サングラス、ナイフ等にも使用されていることが認められる。
(2)本件商標と引用商標についてみると、本件商標は「WRANGLER」の文字からなるところ、引用商標は、「Wrangler」の文字からなるものである。
しかして、本件商標は、上記の周知・著名な引用商標と文字の構成を全く同じにし、称呼「ラングラー」を共通にするものであって、極めて酷似する標章からなるものであるから、両商標間の類似性の程度は相当に高いものである。
そして、引用商標が使用される商品は、被服に止まることなく、ベルト、靴、帽子、サングラス、ナイフ等にも及んでおり、一方、本件商標の指定商品である「双眼鏡」も、近時バードウオッチングなど日常の生活において使用されるなど、その用途において決して専門的な機器でなく、野外活動の際に携帯されるなどするものであるから、両者は用途や用法において決して関連性が低い商品とはいえない。また、ともに一般消費者が需要者であるということができる。
(3)しかして、引用商標の周知・著名性、本件商標と引用商標との類似性の程度、使用される商品間の関連性、需要者の共通性等を総合勘案してみれば、本件商標の登録査定時はもとより出願時に、本件商標をその指定商品に使用した場合には、需要者が本件商標の構成文字から引用商標を想起し連想して、当該商品が申立人あるいは同人と組織的又は経済的に関係のある者の業務に係る商品であるかの如く誤信し、商品の出所について混同するおそれがあったと判断されるものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものと認められる。
4 商標権者の意見
商標権者は、上記3の取消理由に対し、指定した期間内に意見を述べていない。
5 当審の判断
平成21年12月2日付けで商標登録の取消の理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者からは何らの応答もない。そして、本件商標についてした前記3の取消理由は、妥当なものと認められる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定に基づき、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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