Trademark Appeal Case
称呼の類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2010−900041(T2010−900041/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5280834号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成21年3月23日に登録出願、第3類「化粧品,せっけん類,歯磨き,香料類,つけまつ毛」を指定商品として、同年11月13日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、構成全体として特定の意味合いが生ずるものではなく、また、「クリスタル」、「crystal」の文字部分が化粧品の品質、等級等を表し、顕著性のない部分であるから、「ヴィンテージ」、「vintage」の文字が商品の出所を識別する部分である。
したがって、本件商標は、以下ア〜ウに示す引用登録商標とは、「ヴィンテージ」、「vintage」を共通にする類似の商標である。
ア 登録第1300832号商標は、「VINTAGE」の文字を横書きしてなり、昭和49年9月3日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同52年9月22日に設定登録され、その後、同62年12月14日、平成9年7月4日及び同19年6月26日の3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同年7月18日に、指定商品を第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」とする指定商品の書換の登録がされたものである。
イ 登録第1300833号商標は、「ヴィンテージ」の文字を横書きしてなり、昭和49年9月3日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同52年9月22日に設定登録され、その後、同62年12月14日、平成9年7月4日及び同19年6月26日の3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同年7月18日に、指定商品を第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」とする指定商品の書換の登録がされたものである。
ウ 登録第4927391号商標は、「VINTAGE」の文字と「ヴィンテージ」の文字を二段に横書きしてなり、平成17年7月13日に登録出願、第3類「せっけん類,化粧品,香料類,歯磨き」及び第21類「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」を指定商品として、同18年2月10日に設定登録されたものである。
(上記ア〜ウに示す引用登録商標をまとめて、以下「引用商標」という。)
(2)商標法第4条第1項第15号について
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、1975年7月から現在に至るまで、その業務に係る男性用化粧品(化粧水、香水、クリーム、乳液、整髪料等。以下「申立人商品」という。)に、商標「VINTAGE」及び商標「ヴィンテージ」(これら商標をまとめて、以下「申立人商標」という。)を使用している。申立人商品の1990年〜2008年の間の総売上金額は、234億8500万円を越え、総売上個数は、2120万個に達している。申立人商標は、申立人が化粧品を取り扱う世界的に著名な企業であること、長期にわたり使用されていることが相俟って、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時には需要者の間に広く認識されていた商標である。
したがって、申立人商標と「ヴィンテージ」、「vintage」を共通にする本件商標をその指定商品に使用した場合は、該商品が申立人又はこれと何らかの関係のある者の業務に係る商品であるかのように、需要者が誤認を生ずるおそれがある。
(3)むすび
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲のとおり、「ヴィンテージクリスタル」の文字と、その下に、やや小さな文字で「vintage crystal」の文字を書してなるものであるところ、その構成中、上段に大きく書された「ヴィンテージクリスタル」の文字部分は、同一の書体で一連に表されているばかりでなく、該「ヴィンテージクリスタル」の英語表記である下段の「vintage crystal」の文字部分も、「vintage」と「crystal」との間に1文字程度の間隔があるとしても、同一の書体をもって、同一の大きさで表されているものであるから、本件商標を構成する片仮名文字及び欧文字は、「ヴィンテージ」、「vintage」と「クリスタル」、「crystal」との間に外観上の軽重の差は見出せない。
また、本件商標から生ずると認められる「ヴィンテージクリスタル」の称呼も極めて冗長というほどのものではなく、よどみなく称呼し得るものといえる。
さらに、本件商標中の「クリスタル」、「crystal」の文字部分は、「水晶、結晶」(三省堂「コンサイスカタカナ語辞典」第3版)などを意味する語としてよく知られているといえるところ、該語が化粧品等の品質を表示するためのものとして、本件商標の登録査定時に、この種商品の分野において普通に使用されていたという事実を認めるに足りる証拠は見あたらない。
そうとすれば、本件商標は、これを「ヴィンテージ」、「vintage」の文字部分と「クリスタル」、「crystal」の文字部分とに分離して、「ヴィンテージ」、「vintage」の文字部分のみを抽出して観察すべき格別の事情は存しない。
したがって、本件商標は、構成全体をもって一体不可分の造語を表したと認識されるとみるのが相当であるから、その構成文字に相応して、「ヴィンテージクリスタル」とのみ称呼される商標であって、単に「ヴィンテージ」の称呼は生じないものといわなければならない。
してみると、本件商標より「ヴィンテージ」、「vintage」の文字部分を分離、抽出し、これを前提として、本件商標と引用商標とが「ヴィンテージ」、「vintage」を共通にする類似の商標であるとする申立人の主張は、前提において誤りがあるというべきであり、理由がなく、採用することができない。他に本件商標と引用商標とが類似するとみるべき特段の理由は見出せない。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
甲第12号証ないし甲第16号証によれば、申立人商標は、1975年(昭和50年)より申立人商品に使用され、本件商標の登録査定の時点(平成21年9月29日)においても使用されていたことが推認されること、申立人商品の1990年(平成2年)から2008年(平成20年)までの総売上金額及び総売上個数は、申立人主張のとおり、約234億8560万円及び約2120万個であったことが認められるところ、1990年(平成2年)の売上金額及び売上個数は約24億9000万円及び約224万個であったが、それらは年々減少し、2000年(平成12年)には、売上金額が約9億8000万円で、売上個数が約88万個、2008年(平成20年)には、売上金額が約3億5670万円で、売上個数が約33万4000個であったことが認められ、また、その広告も、本件商標の登録出願前から登録査定時を通して、どの程度されていたのかも明らかではない。
そうすると、申立人商品は、その発売当時は、男性用化粧品が市場に広く出回っていなかった事情もあり、その業界及び需要者に注目され、また、申立人商標を構成する「VINTAGE」及び「ヴィンテージ」の語も、今日ほど我が国の一般世人に浸透していなかったこともあって、目新しい語として人々に記憶されたことが優に推認され、したがって、1990年代から2000年初めにかけては、「VINTAGE」及び「ヴィンテージ」の語に接する化粧品分野の需要者は、申立人の取扱いに係る男性用化粧品を想起又は連想したといえる。
しかし、「ヴィンテージ」、「vintage」の語は、今日、「ワインの醸造年。特定の地域・年に醸造した高級ワイン。」(広辞苑第六版)を意味する語としてよく知られていると同時に、「ヴィンテージ・カー(vintage car)」の語にみられるように、「ある年(時期)の製品、(特に、古い)製作、型、古典的な、古くて価値のある」(研究社「新英和大辞典」)などを意味する語としても使用され、取引市場においても、商品の特質を表示するためのものとしてしばしば使用され、申立人商品との結びつきが弱いものとなっていること、本件商標は、特に外観及び称呼の点からみて一体不可分の商標として把握、認識されるものであって、引用商標とは、商標において非類似のものであることなどを勘案すると、本件商標に接する需要者が、申立人商標を想起又は連想することはないというのが相当である。
してみれば、引用商標は、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、申立人商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていた商標と認めることができないといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、該商品が申立人又はこれと業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある商標と認められないから、商標法第4条第1項第15号に該当するものと認めることはできない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれの規定にも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。