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Trademark Appeal Case

不使用取消と役務の独立性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2009−300838(T2009−300838/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4758645号商標の指定役務中、第42類「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4758645号商標(以下「本件商標」という。)は、「デュエット」の片仮名文字を標準文字で書してなり、平成15年5月28日に登録出願、第37類「空調設備の運転・点検・整備,空調設備の保守又は修理,暖冷房装置の貸与,家庭用ルームクーラーの貸与」及び第42類「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」を指定役務として、平成16年3月26日に設定登録されたものである。

なお、商標登録原簿によれば、本件審判の請求の登録は、平成21年8月6日にされている。

第2 請求人の主張

1 請求の趣旨

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の要旨を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出している。

2 請求の理由

(1)本件商標は、その指定役務のうち第42類「全指定役務(審決注:全指定商品の記載は誤記と判断した。)」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

3 弁駁

乙各号証は、後述するとおり、被請求人が本件商標を本件審判請求に係る指定役務に使用していることを証明するものではなく、さらには、乙第3号証ないし乙第16号証においては、契約先相手、費用等が伏されており、証拠の信憑性がないものと考える。

(1)乙第1号証について

乙第1号証は、カタログ(リーフレットを含む。)であるところ、その作成日又は頒布日の記載がなく、本件審判請求の予告登録前3年の間に「空調機・空調設備の設計及びこれに関する助言」について使用されたことを立証できない。

当該カタログには、本件商標が付され、その<主なサービス内容>の欄に「(1)空調設備の最適設計と設置」「(5)省エネ対策、設備の改善、将来のリニューアル計画に関する種々の提案」が明示されているが、商標法上の「役務」とは、他人のためにする労務又は便益であって、付随的でなく独立して商取引の対象となり得るものと解されるところ、当該カタログに記載された「デュエット」と称するサービスは、空調機を貸与し、その設置、運転・点検・整備、保守・修理を一括して行うサービスであり、「(1)空調設備の最適設計」は、空調機の設置等に対して付随的に行われているに過ぎず、別途独立して行われていることを推認することはできない。

また、「(5)省エネ対策、設備の改善、将来のリニューアル計画に関する種々の提案」を行う旨も記載されているが、これらも別途独立して行われているものではなく、空調設備の運転、保守管理に伴う付随的なものに過ぎない。

(2)乙第2号証について

乙第2号証の第6頁に紹介されている被請求人の「デュエット」と称する事業内容は、「空調設備のリース方式を組み合わせ、使用した空気の量に応じてお金を払っていただくビジネスモデル」と掲載されており、これからは、本件商標が「空調設備の貸与並びにその運用方式」ついて使用されることを窺い知ることはできるが、独立して「空調機・空調設備の設計及びこれに関する助言」に使用されることを立証するものではない。

(3)乙第3号証及び乙第4号証について

乙第3号証は、被請求人と顧客Xとの経緯を記録した文書であって、顧客Xから「デュエット」について説明依頼があったことが明示されている。

しかしながら、顧客Xから「デュエット」について説明依頼があったとは、乙第1号証よりすれば、「空調設備の運用方法」について説明依頼があったのであって、別途独立して「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」について説明を求められたものではないことは、容易に想像できる。

仮に、その事業の一環として、空調機・空調設備の設計等が行われていたとしても、それは付随的に行われているものに過ぎず、商標法上の「役務」に該当するものではない。

乙第4号証は、顧客に対する「デュエット」の説明用資料であるが、請負工事一式をリース契約とすることについての経済性評価及び見積もりであって、独立して「空調機・空調設備の設計又はこれらに関する助言」に本件商標が使用されていた事実を証明するものではない。

(4)乙第5号証について

乙第5号証は、顧客Yに提出した試算文書であるところ、「デュエット」という一連の事業に対する試算を示す文書に過ぎず、独立して「空調機・空調設備の設計又はこれらに関する助言」に本件商標が使用されていた事実を証明するものではない。

(5)乙第6号証ないし乙第7号証について

乙第6号証は、「デュエット」という一連の事業における役割及びリスク分担等を取り決めた被請求人とその子会社との覚書であるが、本件商標が「空調機・空調設備の設計又はこれらに関する助言」に使用されていることを証明するものではない。

乙第7号証は、空調設備使用契約書であるが、第1条に示すとおり、所定の建物に空調設備を据付・設置し、これを使用する空調設備運用方法の諸条件を取り決めたものであって、本件商標が独立して「空調機・空調設備の設計又はこれらに関する助言」に使用されていることを証明するものではない。

(6)乙第8号証及び乙第9号証について

乙第8号証及び乙第9号証は、被請求人と被請求人が指定するリース会社との間で締結されたリース契約書とリース物件受取書であるが、空調設備一式のリースに関する契約内容及びリースの対象となった空調設備の受取を証明するものに過ぎず、「空調機・空調設備の設計又はこれらに関する助言」に本件商標が使用されていることを証明するものではない。

(7)乙第10号証について

乙第10号証は、冷凍空調設備一部使用開始確認書であるが、「デュエット」方式と称する空調設備の運用において、その空調設備の一部運転開始日を証明したものに過ぎす、独立して「空調機・空調設備の設計又はこれらに関する助言」に本件商標が使用されていることを証明するものではない。

(8)乙第11号証について

乙第11号証は、費用見積書であって、費用見積書の項目には「バッカン洗浄機入れ替えに伴う換気設備工事」との記載があり、かかる見積もりが、換気設備工事に伴うものであって、「空調機・空調設備の設計又はこれらに関する助言」に対するものではないことは明らかである。

(9)乙第12号証について

乙第12号証は、費用見積書であって、費用項日には、「出荷待機室温度センサー移設工事」との記載があり、「出荷待機室温度センサー移設工事」に対する費用であって、独立して、「空調機・空調設備の設計又はこれらに関する助言」が行われたことを証明するものではない。

(10)乙第13号証及び乙第14号証について

乙第13号証及び乙第14号証は、請求書であるが、その明細から明らかなように、空調設備の利用料金に関するものであって、「空調機・空調設備の設計又はこれらに関する助言」に関するものではなく、本件商標が「空調機・空調設備の設計又はこれらに関する助言」に使用されていることを証明するものではない。

(11)乙第15号証及び乙第16号証について

乙第15号証及び乙第16号証は、平成19年度報告書及び平成20年度報告書であるが、空調設備の点検作業に関する報告書であって、空調設備の点検、整備、保守、修理に関するサービスに対して、本件商標が使用されていることを証明するものであって、「空調機・空調設備の設計又はこれらに関する助言」に使用されていることを証明するものではない。

また、被請求人は、「顧客Zはこれら報告書を参照し、新日空サービス株式会社に対し空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言を求めると共に、・・・、必要に応じ空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言を行っている」旨主張するが、これらの事実を証明する証拠は、何ら提出されていない。

(12)結び

上記のとおり、乙第1号証ないし乙第16号証は、空調設備の貸与、運転・点検・整備及び保守・修理を一括して行うサービスについて、本件商標を使用していることを証明するものあって、別途独立して「空調機・空調設備の設計又はこれらに関する助言」に使用されていることを証明するものではない。仮に、その一連のサービスにおいて、「空調機・空調設備の設計又はこれらに関する助言」が行われていたとしても、主たる一連のサービスに付随する従たるサービスであって、商標法上の「役務」には該当しない。

第3 被請求人に対する審尋

本件審判請求に係る指定役務の第42類「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」は、細分化して表現すれば「空調機・空調設備の設計」及び「空調機・空調設備の設計に関する助言」をいうものである。

したがって、本件審判請求に係る指定役務の第42類「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」の中には、「空調設備の運転・点検・整備,空調設備の保守又は修理,暖冷房装置の貸与,家庭用ルームクーラーの貸与」及び「空調機・空調設備の設計に関する助言」以外の助言は含まれないものである。

そして、被請求人が、乙各号証において、本件商標の使用を証明している役務は、いわゆるリース契約に基づく「空調設備の貸与」と認めることができる。

また、本件審判請求に係る指定役務の第42類「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」は、他の役務に付随して提供されるものであってはならず、独立した役務として提供されていることが、立証されなければならない。

したがって、被請求人は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、業としてその請求に係る指定役務「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」のいずれかについて、他の役務に付随しない独立した役務として、商標法第2条で定義する使用の事実を客観的に証明することができる証拠及び使用の事実を立証する証拠(例えば、広告等が掲載された新聞、雑誌等の印刷物、カタログやパンフレット、取引の際使用される取引伝票、請求書等の取引書類等であって、いずれも、日付、登録商標、使用役務及び発行者等が明確に把握できる資料)を提出されたい。

第4 被請求人の主張

1 答弁の趣旨

被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び審尋の回答の要旨を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第18号証(枝番号を含む。)を提出している。

2 答弁の理由

(1)本件商標は、標準文字商標「デュエット」の片仮名文字からなり、第37類及び第42類に属する役務を指定役務とするものである。

本件審判請求においては第42類の全指定役務を取り消すべき旨の請求がなされている。本件審判請求の予告登録日は平成21年8月6日(審決注:平成21年8月4日の記載は誤記と判断した。)である。

(2)商標権者等は、本件審判請求に係る指定役務のうち第42類「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」について、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標を使用している(乙第1号証ないし乙第16号証)。

(ア)乙第1号証は、本件商標権者が使用(商標法第2条第3項第8号等)している本件商標及びその役務についてのカタログ(リーフレットを含む。)である。当該カタログには、本件商標及び主なサービスの内容として、本件審判請求に係る指定役務に当たる「(1)空調設備の最適設計と設置」「(5)省エネ対策、設備の改善、将来のリニューアル計画に関する種々の提案」等が明示されている。

本件商標にかかるサービスは、空調機・空調設備の設計その他の役務が一括して顧客と締結される契約の契約内容となり、契約期間中、顧客に対し提供される。当該カタログの本文第2頁<サービス形態>の欄の説明にもあるとおり、これらの役務は、契約期間中、顧客に対し、商標権者が提供するほか、商標権者の100%子会社(以下「通常使用権者」という。)も提供する。

乙第2号証は、経済産業省 産業技術環境局 環境政策課 環境調和産業推進室が平成19年(2007年)3月に発行し、現在も経済産業省のホームページに掲載されている報告書の抜粋である(http://www.meti.go.jp/policy/eco_business/servicizing/gs-index.html)。

これは、我が国で実際に行われている環境に配慮したビジネス(「グリーン・サービサイジング・ビジネス」と称される)の解説や事例等をまとめたものである。その第6頁に、本件商標に係る事業が事例の一つとして紹介されている。役務内容の記載は、当該報告書の性質により環境ビジネスの観点から要約されているが、詳細は乙第1号証に記載のとおりである。

以上から、本件商標が、本件商標権者によって、本件審判請求に係る第42類の指定役務「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」について予告登録日の前3年以内に日本国内で使用されていたことが明確に確認できる。

さらに、以下においては具体的取引における本件商標の使用を立証するための証拠について述べるが、顧客との契約、守秘義務、企業秘密等による開示制限が存するため、可能な範囲で証拠を提示する。

(イ)乙第3号証及び乙第4号証は、商標権者が特定の顧客Xに対して本件商標にかかる上記一連の役務を提案した際の資料である。

乙第3号証は、商標権者が当該顧客Xとの一連のやりとりの経緯を記録した文書である。当該具体的案件において、2007年4月23日及び同年5月7日に顧客Xより商標権者に対し、本件商標に係る役務についての説明依頼があった事実が確認できる。なお、乙第3号証中の「SNK」とは被請求人会社の略称である。

乙第4号証は、前掲乙第3号証に記載の経緯に基づき、商標権者が2007年5月25日に当該顧客に対して上記一連の役務内容を説明するために用いた一資料である。これは、主として本件取引が顧客Xのメリットになる点を説明することに重点を置いた資料であり、前掲乙第1号証等と共に顧客Xに対する説明の一環として用いられた文書である。

これらの証拠により、本件商標が、本件商標権者によって、本件審判請求に係る第42類の指定役務「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」について予告登録日の前3年以内に日本国内で使用されていたことが確認できる。

(ウ)乙第5号証は、商標権者が、顧客Yに対し、本件商標にかかる上記一連の役務を提案した際に2008年2月14日付で提出した試算文書である。同証拠には本件商標が明記されており、本件審判請求に係る第42類の指定役務「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」について予告登録日の前3年以内に日本国内で使用されていたことが確認できる。

(エ)乙第6号証から乙第16号証は、本件商標を使用した事業(乙第1号証に記載のサービス)につき、特定の顧客Zとの間で成立した具体的契約の一例に関する文書である。

乙第6号証は、本件商標の役務提供にかかる取引において、商標権者と通常使用権者の役割及びリスク分担等を取り決めた平成15年12月18日付の覚書である。契約期間存続中、通常使用権者が顧客Zに対して役務提供を行うと共に、商標権者が当該取引に係る一連の空調設備事業を企画開発・指導し、事業全体の総括責任を負うことが明記され、必要に応じ商標権者も顧客Zに対し直接役務提供すべきこと、すなわち、当該取引が前掲乙第1号証に記載の本件商標の事業にかかる一連の方式に基づくものであることが確認できる。

乙第7号証は、前掲乙第6号証において引用されている顧客Zと通常使用権者との空調設備使用契約書である。「別添1」の「契約明細」に記載されているとおり、当該契約の期間は使用開始日である平成16年(2004年)8月10日から12年間(144か月)である。すなわち、当該顧客Zに対し本件商標にかかる事業が平成16年(2004年)8月10日から行われていたこと、平成28年8月10日まで継続して行われること、及び、前掲乙第6号証と併せ、必要に応じ商標権者も顧客Zに対し「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」等の役務を提供してきたこと、今後も上記契約期間満了までそれらの役務提供を行うことなどが確認できる。

乙第8号証及び乙第9号証は、顧客Zに空調設備を転貸するにあたり、商標権者が指定したリース会社と通常使用権者との間で締結されたリース契約に関する2003年12月18日付リース契約書(リース期間は108か月、9年間)と、2004年8月10日付リース物件受取書である。当該取引が、本件商標の事業に係る一連の方式(乙第1号証に記載のとおり、空調設備は商標権者指定のリース会社が所有する。)の一環として行われた事実が確認できる。

乙第10号証は、乙第7号証における契約に基づき、顧客Zが冷凍空調設備の一部の使用を開始するにあたり通常使用権者との間で交わされた確認書である。当該契約が乙第1号証に記載の本件商標にかかること、平成16年(2004年)5月20日に当該設備の一部の使用が開始されたことが確認できる。

乙第11号証は、本件商標に係る当該契約に伴い、商標権者が、設備見直し、設備設計等を行うために平成19年(2007年)5月9日付けで顧客Z等(中間業者が存する。)に提出した費用見積書である。同日現在本件商標が指定役務「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」を含む役務に使用されていたことが確認できる。

乙第12号証は、商標権者が、設備見直し、設備設計等を行うために平成20年(2008年)8月19日付けで顧客Z等(中間業者が存する。)に提出した費用見積書である。同日現在本件商標が指定役務「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」を含む役務に使用されていたことが確認できる。

乙第13号証及び乙第14号証は、本件商標に係る当該契約の顧客Zに対する請求書の一例である。同請求書の発行日は2009年(平成21年)7月31日及び同年8月27日であるが、請求はこれらの日付以前である同年7月1日から7月27日及び同年7月28日から8月27日に提供された役務に対するものであり、これらの期間において本件商標に係る当該契約が有効であったことが確認できる。

乙第15号証は、本件商標に係る当該契約に伴い、通常使用権者が顧客Zに対して定期的に提出している報告書の一例であり、平成20年4月30日付で提出した平成19年度の報告書である。

乙第16号証は、本件商標に係る当該契約に伴い、通常使用権者が顧客Zに対して定期的に提出している報告書の他の一例であり、平成21年4月28日付で提出した平成20年度の報告書である。

これらの証拠により、平成19年度及び平成20年度に本件商標に係る当該契約が有効であったことが確認できる。顧客Zはこれら報告書を参照し、通常使用権者に対し空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言を求めると共に商標権者は、乙第6号証の覚書の規定により事業全体の総括責任を負い、必要に応じ空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言を行っている。

(オ)以上の証拠によれば、本件商標が、本件商標権者等によって、本件審判請求に係る第42類の指定役務「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」について予告登録日の前3年以内に日本国内で使用されていたことは極めて明白である。

(3)むすび

本件商標が、本件商標権者等によって、本件審判請求に係る第42類の指定役務「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」について予告登録日の前3年以内に継続して日本国内で使用されていたことは明らかである。

2 審尋に対する被請求人の回答

(1)被請求人が提供する役務について

(ア)平成22年3月26日付審尋において、「被請求人が、乙各号証において、本件商標の使用を証明している役務は、いわゆるリース契約に基づく『空調設備の貸与』と認めることができる」とされていることにかんがみ、まず、本件商標のもと被請求人が提供する役務(以下「被請求人が提供する役務」という)について説明する。

(イ)従来より、空調設備の導入は、大要、[1]空調設備の設計、[2]空調設備の設置(工事)、の流れで行う。また導入後について当事者間でしばしば、[3]運転・保守契約が締結される。上記[1]ないし[3]の各工程は、それぞれが「他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たりうべきもの」であり、商標法上の「役務」にあたる。上記[1]ないし[3]の役務がそれぞれ別個の会社により提供されることが少なくないことからも、空調設備関連業界においては極めて明らかなことである。例えば、当業界において、[2]の前に必ず別途行われる[1]をもって[2]の付随的役務であるなどと解釈されることはあり得ない。

被請求人が提供する役務も、上記[1]ないし[3]を基本とする点に変わりはない。乙第1号証にあるとおり、まず(a)取引先の建物や環境に応じ、ゼロから空調設備の最適設計を行う。その後、(b)空調設備を設置する。そして、(c)空調設備の所有権は被請求人の100%子会社又はリース会社に帰属する一方、被請求人は種々の役務を提供する。

被請求人が提供する役務にはいくつかの特徴があり、その一つに、従来上記[1][2][3]の各役務が別々に受注されていたのを、被請求人が一手に引き受けるということが挙げられる。しかし、これは各役務の提供を一括して請け負うということであり、いずれかの役務が他の役務に吸収されたり付随したりするものではない。

また、被請求人が提供する役務には、上記(a)ないし(c)を被請求人が一括して受注・提供することにより、空調設備設計施工者が、当初設計後も当該設備を直接管理・運転・保守するという特徴がある(乙第1号証<お客様のメリット>(1))。つまり、被請求人が提供する役務において、当初の「設計」(取引先の建物等に応じた最適設計)は、上記の点で、後に継続する契約全体を通じ、取引先のメリットとして、また被請求人の継続した責務として大きな影響を及ぼす重要な役務であり、これを他の役務に付随する役務に過ぎないと解することは、到底、当該役務を適切に把握するものと言い得ない。

(ウ)さらに、空調設備の所有権が被請求人の100%子会社又はリース会社に帰属する一方、被請求人が別途役務を提供することからもわかるとおり、上記(c)の役務は単純な「空調設備の貸与」に還元されない。また後に述べるように、この段階においては様々な役務が提供され、「新たな」設計等もなされ得る。これは、取引先からみれば、当初設計者が行うことにより一貫した役務提供が受けられると共に、費用も低減し得ることになるが、これら「新たな」設計等が独立した役務であることに変わりはない。

(2)独立した役務である点について

(ア)前記審尋及び平成21年12月29日付弁駁書において、独立した役務として提供されていることの立証について言及されているので、この点について以下に述べる。

(イ)上記(1)(ア)に述べたとおり、被請求人が提供する役務のうち、当初の「空調機・空調設備の設計」である上記(a)が独立した役務であり、付随的役務でないことは明らかである。

(ウ)さらに、空調設備設置後においても、独立した役務としての「空調機・空調設備の設計」は存在する。

例えば「空調設備の貸与」や「空調設備の保守又は修理」に伴う「空調機・空調設備の設計」というものは存在し得る。しかし、それは通常、当初の空調設備と同一の性能を保つ範囲に回復するようにするためのものを意味している。一方、当初の空調設備と同一の性能を超えたものに改造、増改築等する場合、そのための工事、設計、設計の助言等は、もはや「空調設備の貸与」や「空調設備の保守又は修理」に付随する役務とはいえず、独立して商取引の目的となる。

被請求人は答弁書において、「デュエット」契約中の被請求人による見積書(設計図面添付)を乙第11号証として提出したが、ここに、見積金額等を開示し、設計図面中に記載の「別紙」である詳細設計図面を併せたものを、乙第11号証の2として提出する。第1頁目の設計図右下に「増改築工事」と記載されているとおり、乙第11号証・乙第11号証の2は、当初の空調設備と同一の範囲を超えた設備を設計するものであり、単なる保守や修理ではなく、まして「空調機の貸与」等に付随する程度の役務ではあり得ない。また、同設計図面の新たな設計箇所を参照すれば、その規模や内容からして、当該設計が「空調設備の貸与」や「空調設備の保守又は修理」などに付随するものでないことが当業者にとっては明らかである。例えば、第2回目の詳細設計図に表れているとおり、当該ダクトは断面が長方形であるため、図中において断面の二辺の長さを「A×B」のように表記している。この寸法は、設計経験を積んだ設計者が「ダクチュラー」という特殊計算尺(市販されていない)を用いて算出する。その際、(1)ダクト内にどれだけの風を通すか(風量:単位 立法メートル/h)、(2)風の通り易さ、通りにくさを考慮した「ダクト1m当たりの摩擦損失」、などを検討する。空調システムを使用するユーザーが生産機器を入れ替えると、室内での発熱量や、その機器の給気・排気量が変わり、除熱のための風量計算や、風量全体のバランスを新たに設計し直さなければならないのである。このように、当該設計は、空調設計を熟知している者が、「ダクチュラー」という特殊計算尺の使用方法を習得した上で実施できるものであり、典型的な空調設計であって、これが独立した役務としての「空調機・空調設備の設計」にあたることは極めて明らかである。

また乙第11号証・乙第11号証の2の設計は、「空調設備の貸与」等とは別に、取引先の要望を受け、新たな設備・機器を導入するために行われるものである。

さらに費用についても、別途取引先の負担となる(乙第1号証「デュエットのQ&A」Q8)。乙第11号証の2についてみれば、その見積金額は¥752,000であるところ、本件契約の規模の空調設備において、かかる金額を要する役務(上記専門知識・技術を要する設計)が「空調設備の貸与」や「空調設備の保守又は修理」などに付随する程度のものと言い得ないことは、空調設備関連業界における一般常識に照らせば明らかである。

ところで、「工事」の前提として「設計」を要するとしても、そのことから「設計」が「工事」に付随する役務だとは言い得ない。ある「工事」とそのための「設計」とが相互に関連するのは当然であるが、もとより両者は必要とされる知識も技術も異なり、担当する者も同一人とは限らないのみならず、両役務が別々の会社により提供されることも少なくない。設計が施工において如何に重要な役割を果たすかは多くを述べるまでもないことであり、工事のための「設計」が「工事」に付随する役務に過ぎないなどという見解は、当業界の一般常識、取引通念に照らし採り得ない。これは、乙第11号証・乙第11号証の2に関して上述したような例をとっても明らかである。また、乙第11号証・乙第11号証の2において、見積りの品名・使用に「バッカン洗浄機入れ替えに伴う換気設備工事」と記載されているが、便宜上工事のみを挙げたに過ぎず、当業界の慣行上しばしば行われることであり、請求に「設計」の費用も含まれることは当然である。

(3)先に提出した証拠について

被請求人による平成21年11月2日付答弁書において提出した証拠について、以下に述べる。

(ア)乙第1号証

乙第1号証は当該役務に関するカタログ、すなわち「取引書類」ないし「広告」であり、取引者等に向けて「頒布」される(商標法第2条第3項第8号)。

請求人は、弁駁書において「『デュエット』と称するサービスは、空調機を貸与し、その設置、運転・点検・設備、保守・修理を一括して行うサービスであり、『(1)空調設備の最適設計』は空調機の設置などに対して付随的に行われているに過ぎず、別途独立して行われていることを推認することはできない」としている。しかしながら、なぜ乙第1号証の記載から被請求人が提供する役務を「空調機を貸与し、その設置、運転・点検・設備、保守・修理を一括して行う」と限定し、殊更「空調設備の最適設計」のみを取り出して他の役務に付随的に行われるものに過ぎない、と断定するのか理解できない。なお、被請求人が「空調設備の最適設計」を取引先の建物や環境に応じてゼロから行い、独立した役務として提供していること(乙第1号証「デュエットのQ&A」のQ5「お客様と十分協議の上で設備投資を行い」も参照)、Q8に「設備の改造」が想定されている等その後も独立した役務としての設計を行うことなどは、上記(1)(2)において述べたとおりである。

また請求人は、弁駁書において「(5)省エネ対策、設備の改善、将来のリニューアル計画に関する種々の提案」を行う旨も記載されているが、これらも別途独立して行われているものではなく、空調設備の運転、保守管理に伴う付随的なものに過ぎない。」としている。しかしながら、乙第1号証の当該記載は「デュエット」が通常の空調設備の運転、保守管理等と違うことをメリットとして挙げていることからもわかるように、契約継続中における改造等、別途対価を要する等独立した役務提供として行われる場合を想定したものである。「空調設備の運転、保守管理に伴う付随的なものに過ぎない」と断じるのが妥当でないことは明らかである。

(イ)乙第2号証

乙第2号証は、取引者一般に対して「頒布」される当該役務に関する「広告」にあたる(商標法第2条第3項第8号)。

乙第2号証は、経済産業省産業技術環境局の推奨する「グリーン・サービサイジング」(環境にやさしい機能提供型のビジネス)を紹介するという主旨に沿うようにするため、商標「デュエット」にかかる役務のうち「空調設備のリース方式を組み合わせ、使用した空気の量に応じてお金を払っていただく」という点を述べているのであって、設計や保守その他の役務全てをここに記載しないことから直ちに商標「デュエット」がこれらの役務については使用されていないということにはならない。商標「デュエット」にかかる役務の詳細は、別途頒布の乙第1号証のカタログ等に記載されているとおりである。

なお弁駁書において請求人は、乙第1号証について、その作成日又は頒布日の記載がないとしている。しかしながら、乙第2号証によれば少なくとも2007年3月において商標「デュエット」にかかる役務が提供されていることが示されており、商標「デュエット」にかかる役務についてより詳しく記載されている乙第1号証を参照すれば、同時期に提供されている役務が、(a)取引先の建物や環境に応じ、ゼロから空調設備の最適設計を行い、その後、(b)空調設備を設置し、そして、(c)空調設備の所有権は被請求人の100%子会社又はリース会社に帰属する一方、被請求人は種々の役務を提供するというものであることが明らかである。

したがって、これらの証拠を合理的に判断すれば、本件商標が商標権者等によって指定役務「空調機・空調設備の設計」に審判請求の予告登録日前3年以内に日本国内において使用されていたことが明らかである。

(ウ)乙第3号証及び乙第4号証

乙第3号証からマスキングをはずしたものを乙第3号証の2として提出する。

乙第3号証・乙第3号証の2は、甲州市庁舎移転計画に伴う空調設備の新たな設計・施工について、被請求人が同市から依頼を受けて2006年9月6日から2007年5月7日までの間に行った事前協議の内容及び経緯を逐次記した文書である。市庁舎移転に伴う以上、空調設備の設計を全く新たに行う必要があり、規模的にみてもこれが独立した役務となることは言うまでもない。協議において、2007年4月23日、同年5月7日に、甲州市から、商標「デュエット」にかかる「空調機・空調設備の設計」を含む役務提供について提案・説明の依頼がなされている。

かかる依頼を受け、2007年5月25日に甲州市に対し「デュエット」にかかる役務の提案・説明を行った際に交付したのが乙第4号証である。交付した書類一式を併せ守秘義務等に問題のない範囲でマスキングをはずしたものを改めて乙第4号証の2として提出する。これらの書類は商標法第2条第3項第8号「取引書類」にあたり、これを取引の相手方に配布することは同号「頒布」に該当する(平成13年(行ケ)第530号)。乙第4号証・乙第4号証の2の第2頁「建設経費概算」に「2」設計コンサル付託料」が独立した項目として挙げられており、「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」に関する「取引書類」に本件商標「デュエット」を付して「頒布」したものである。

これらの証拠を参照すれば、本件商標「デュエット」が商標権者等によって指定役務「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」に審判請求の予告登録日(平成21年8月4日)前3年以内に日本国内において使用されていたことが明らかである。

(エ)乙第5号証

乙第5号証は「試算」とあるが、実質的には「見積書」であり、商標法第2条第3項第8号「取引書類」にあたり、これを取引の相手方に配布することは同号「頒布」に該当する(前掲平成13年(行ケ)第530号)。

請求人は「かかる文書は、「デュエット」という一連の事業に対する試算を示す文書に過ぎず、独立して「空調機・空調設備の設計又はこれらに関する助言」に「デュエット」が使用されていた事実を証明するものではない。」としている。しかし、前述のとおり、被請求人は、(a)取引先の建物や環境に応じ、ゼロから空調設備の最適設計を行い、その後、(b)空調設備を設置し、そして、(c)空調設備の所有権は被請求人の100%子会社又はリース会社に帰属する一方、被請求人は種々の役務を提供するという各役務について商標「デュエット」を使用している。この点は「デュエット」という乙第1号証に記載のような被請求人独自のサービス形態を提案する以上、当然取引の相手方に説明し、相手方も認識している。そして、その特徴が各役務を束ねる点にあることから、これら役務につき一括して商標「デュエット」を使用したものである。

乙第5号証第1頁に記載のとおり、当該書類は2008年(平成20年)2月14日に取引先に「頒布」されている。

以上によれば、本件商標「デュエット」が商標権者等によって指定役務「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」に審判請求の予告登録日前3年以内に日本国内において使用されていたことが明らかである。

(オ)乙第7号証及び乙第10号証

乙第7号証は、「デュエット」にかかる契約書であるが、守秘義務等に問題がない範囲でマスキングをはずすと共に、契約書に添付されている設計図面を併せたものを乙第7号証の2として提出する。乙第7号証の契約書第2条第2項に、空調設備を据付・設置することが規定されると共に、当該空調設備が当事者が別途協議の上定めた仕様によることが規定されており、最適設計を行うというデュエットの主要な目的の一つを達するための独立した役務であることが端的に示されている。乙第7号証の2において、別添1の「7.特記事項」の(3)に「別添2記載の本設備は設計図面の仕様書によるものとする」とあり、別添2−1の「3.本設備の仕様」に「本設備の仕様は添付設計図(M−1ないしM−27)に記載のとおり」とあり、本設備の詳細な設計図が複数添付されている。また、設計のために行った打ち合わせ記録を乙第7号証の3として提出する。ここには、「2」下記書類の精査確認」として、「本設備(空調設備)仕様及び性能書」が挙げられ、設計行為そのもの(設計がなされたこと)が明示されている。本件契約において、独立した役務としての空調設備の設計が行われていることが明らかであり、これを他の役務に付随するに過ぎないとは到底言い得ない。

そして、乙第10号証は、「デュエット」にかかる前記契約に基づいて空調設備の一部開始を確認する確認書である。マスキングをはずしたものをここに乙第10号証の2として提出する。

これらの書類は商標法第2条第3項第8号「取引書類」にあたり、これを取引の相手方に配布することは同号「頒布」に該当する(前掲平成13年(行ケ)第530号)。これら証拠によれば、本件商標「デュエット」が当初設計において独立した役務としての「空調機・空調設備の設計」に使用されることが明らかであると共に、かかる「デュエット」契約に基づき、乙第11号証・乙第11号証の2や乙第12号証などの新たな設計等が提供されることが認められる。

(カ)乙第11号証

乙第11号証及び乙第11号証の2は、第1頁目の設計図及び第11号証の2第2頁目の設計図(空調換気設備1階ダクト・配管平面図)から明らかなとおり、「デュエット」契約における設計をベースとし、新たな設計・工事を行うためのものである。詳細は上記6(2)(ウ)で述べたとおりである。なお、見積書は商標法第2条第3項第8号「取引書類」にあたり、これを取引の相手方に配布することは同号「頒布」に該当する(前掲平成13年(行ケ)第530号)。

商標法上の「商品」「役務」は必ずしも有償である必要さえないと解されるが(平成12年(行ケ)第335号(第5の1参照)、平成20年(行ケ)第10414号(第3の3とそれに対する判示第4の2参照))、「貸与」や「保守」とは別に対価の目的となるものが独立した役務とならないとは考えられない。なお、かかる工事のための「設計」が「工事」に付随する役務に過ぎないとは言い得ないことは上記のとおりである。

乙第11号証・乙第11号証の2第1頁に記載のとおり、当該書類は平成19年(2007年)5月9日に取引先に「頒布」されている。

よって、本件商標「デュエット」が商標権者等によって指定役務「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」に審判請求の予告登録日前3年以内に日本国内において使用されていたことが明らかである。

(キ)乙第12号証

乙第12号証は、乙第11号証と同様、「デュエット」契約において、基本内容とは別に設計・工事を行うための見積書(「取引書類」)であり、「頒布」されたものである(商標法第2条第3項第8号)。マスキングをはずしたものをここに乙第12号証の2として提出する。

乙第12号証・乙第12号証の2の設計・工事の目的・対象は、出荷待機室温度センサーの移設である。交換ではなく移設であり、当然、別途設計が必要となる(空調設備の保守や貸与の一環とは異なる)。温度センサーの移設を設計するにあたっては、取引先(空調設備のユーザー)による部屋の新たな使用状況、生産機器等の配置変更その他温度センサーを適正に作動させるための様々な要素を考慮し、複数の測定装置を用いて室内の温度分布を測定し、平均値などの部屋を代表する温度を求め、温度センサーを適切な場所に適切に配置できるように検討してこれを行う。空調設備関連業界においては知られていることであるが、これは、温度センサーが取得した部屋を代表する温度データを用いて運用時に当該部屋への吹出し風量、吹出し温度を微調整することを想定して行う必要がある。かかる役務においては実際に配置する段階で行う工事とは全く別の設計的技術を要し、他のいずれかの役務に付随するに過ぎないとは言い得ないことが明らかである。

乙第12号証・乙第12号証の2に記載のとおり、当該書類は平成20年(2008年)8月19日に取引先に「頒布」されている。

以上によれば、本件商標「デュエット」が商標権者等によって指定役務「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」に審判請求の予告登録日前3年以内に日本国内において使用されていたことが明らかである。

(ク)乙第6号証、第8号証、第9号証、第13号証ないし第16号証

これらの証拠は、本件商標「デュエット」にかかる当初設計その他の役務の提供を目的とする契約が存在し、現在も存続していることを示している。この契約が単なる「空調設備の貸与」を目的とするものでないこと、かかる契約に基づき当初設計の設計者が新たな設計を行っていること、今後も行うものとされていることはこれまで述べてきたとおりである。

(4)追加証拠について

以上の証拠に加え、今回さらに、乙第17号証及び乙第18号証を提出する。

これは、2008年(平成20年)2月4日に行われた社団法人日本産業機械工業会主催のグリーン・サービサイジング第2回講演会(場所:東京都港区芝公園3−5−8機械振興会館)において、被請求人(講演者:新日本空調株式会社 技術本部 首藤治久 工学博士)が商標「デュエット」にかかる役務について行った講演で使用した資料写し(乙第17号証)、及び講演にあたり主催者との間で交わされたメール写し(乙第18号証)である。

乙第17号証の第3頁には、例えば「デュエットに該当する設備の設計施工を行う」と明確に記載されている。かかる資料は、講演時に電磁的方法により提供し、またプリントアウトしたものを参加者に配布したものであり、前者が商標法第2条第3項第8号「役務に関する広告」を「内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」にあたり、後者が同号「役務に関する広告」の「頒布」に該当する。

すなわち、乙第17号証及び乙第18号証によれば、本件商標が商標権者等によって指定役務「空調機・空調設備の設計」に審判請求の予告登録日前3年以内に日本国内において使用されていたことか明らかである。

(5)むすび

前述のとおり、被請求人が提供する役務においては、始めに独立した役務として、空調設備の最適設計が行われる。この当初設計は基本的に1度であるが、その後に続く契約の継続中、当初設計者が役務提供を行うことがメリットとして挙げられ(乙第1号証<お客様のメリット>(1))、取引先としても当初設計の設計者が「デュエット」にかかる契約継続中新たな設計等を行うことを期待ないし予定し、現に乙第11号証などの新たな「設計」による役務提供がなされる。にもかかわらず、提供される役務は付随的であるとか、その広告的使用もなされていないなどというのは事実誤認と言わざるを得ず、当業界の一般常識にも反し、取引の安全を著しく害する結果をも招来する。さらに、非典型的形態かつ複合的な役務について適切な商標権保護を受けるべく商標登録を行うとともにかかる役務に対し商標を使用している商標権者等を不当に害し、ひいては現在継続中の取引の相手方の地位をも不安定ならしめる。

平成21年11月2日付審判事件答弁書、本審尋回答書及び全乙号証をもってすれば、本件商標「デュエット」が指定役務「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」について商標権者等によって審判請求予告登録日から3年以内に日本国内において使用されていたことは明らかである。

第5 当審の判断

1 本件指定役務についての使用について

(1)乙第1号証について

乙第1号証は、作成日の記載がない被請求人作成の「デュエット」と題するカタログ及び「デュエットのQ&A」と題するリーフレットである。

乙第1号証のカタログ本文標題には、「空調サービスの新しい提案(デュエット)の概要」、「デュエットとは?」、「○デュエットは、お客様の建物・敷地内の空調設備を弊社側が保有して空調空気をお客様に供給し、その対価として料金をお支払頂くという、お客さまと弊社の信頼関係を基盤とした、新しい空調設備の運用方式であります。・・・」、「〈お客様のメリット〉(1)高品質で信頼性の高い空調サービスを提供。→空調設備設計施工者による直接管理によって、年間を通じて快適で安定かつ経済的な空調サービスが提供されます。・・・(4)省エネ方策等について弊社と長期戦略設定が可能。→省エネに関し弊社と緊密にご相談しながら対策が取れます。」、「〈主なサービスの内容〉(1)空調設備の最適設計と設置・・・(5)省エネ対策、設備の改善、将来のリニューアル計画に関する種々の提案」と記載されている。

被請求人は、乙第1号証のカタログにおいて、自身のことを「弊社側」又は「弊社」と称しているのに対して、〈お客様のメリット〉の欄には、「空調設備設計施工者による直接管理」となっているものである。

したがって、被請求人(商標権者)と空調設備設計施工者は、同一人とは認められない。

また、乙第1号証のリーフレットには「Q1.デュエットを簡単に説明してください。 A.デュエットとは、空調設備をお客様に代わって第三者が保有し、お客様は月々その料金をお支払いすることで快適な空調空気を享受できるシステムです。」、「Q2.使用料金とは? A.使用料金は、毎月一定額お払いいただく基本料金と、月々の使用量に応じた額をいただく従量料金からなります。」、「Q3.契約期間は? A.通常12年〜15年と考えておりますが、ご相談に応じます。」、「Q4.契約期間満了後の設備の取扱いは? A.ご相談の上契約延長していただくか、そうでない場合は、撤去可能な範囲で設備をお返しいただきます。なお撤去費用はお客様ご負担となります。」、「Q5.途中解約の場合は? A.お客さまと十分協議の上で、設備投資を行い、供給サービスを運用するものですので、途中解約は出来ません。」、「Q6.契約期間中の設備に関する保守費用や動産総合保険料・固定資産税は? A.全て料金に含まれております。・・・」などと記載されており、これらと同趣旨の内容が乙第1号証のカタログにも記載されていることが認められる。

以上の事実によれば、被請求人が、乙第1号証において、本件商標の使用を証明している役務は、いわゆるリース契約に基づく空調設備の貸与といえるものである。

そうすると、乙第1号証の「主なサービスの内容」の欄に「(1)空調設備の最適設計と設置」及び「(5)省エネ対策、設備の改善、将来のリニューアル計画に関する種々の提案」が記載されているとしても、これらに該当する役務の提供は、独立した本件指定役務についての使用であることが特に立証されていない限り、リース契約に付随して提供されるものと解される。

(2)乙第2号証ついて

乙第2号証は、経済産業省のホームページに掲載されている「グリーン・サービサイジング・ビジネス」と題する2007年3月の報告書抜粋であり、6頁の「わが国におけるグリーン・サービサイジングの事例」には、「事業主体と事業の名称」を被請求人及び「デュエット」とし、事業の内容を「空調設備のリース方式を組み合わせ、使用した空気の量に応じてお金を払って頂くビジネスモデル。」として紹介されている。

乙第2号証は、経済産業省が発行するものであるところ、そこに他社のサービスと並んで、被請求人及び本件商標が掲載されていたとしても、官庁が一私企業の広告を行うものとは考え難いことから、乙第2号証が、被請求人の広告といえないことは明らかであり、これによって被請求人が、本件取消請求に係る指定役務「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」について本件商標の広告をしているとは認められない。

(3)乙第3号証及び乙第3号証の2について

乙第3号証及び乙第3号証の2は、2007年5月7日に修正された「物件情報」であり、被請求人は、山梨県に所在する自治体の庁舎移転計画に伴い自治体の管財課長より「デュエット」について説明依頼があったとする。

しかしながら、乙第3号証及び乙第3号証の2には、作成会社名が記載されていないものであり、他社に頒布する文書に社名を記載しないことは考え難いことから、これらの証拠は、被請求人の内部文書と認められるものであり、商標法第2条第3項第8号の「頒布」が行われたものとは認められない。

したがって、これらの証拠によって、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件取消請求に係る指定役務「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」について本件商標の使用をしているとは認められない。

(4)乙第4号証及び乙第4号証の2について

乙第4号証の1枚目は、「・・・市庁舎移転に伴う給排水・空調換気・電気設備のリース契約による更新の提案(・・・の部分は黒く塗りつぶされている。)」と題する文書であり、右上には「2007.5.25」及び「TEPSCO」と記載されており、「3)諸費試算」の欄には「試算結果は次ページ参考資料参照」と記載されている。2枚目は、「参考資料−請負工事一括リース契約の経済性評価」と題する文書であり、「○建設諸費概算」の欄には「2)設計コンサル付託料 12ヶ月・延べ350人日」、と記載されており、金額は黒塗りされている。3枚目は、「・・・市役所ファイナンス費用の検討 リース契約 見積もり(新日本空調(株)系列リース会社)(・・・の部分は黒く塗りつぶされている。)」と題する文書である。

乙第4号証の2の1枚目は、「甲州市庁舎移転に伴う給排水・空調換気・電気設備のリース契約による更新の提案」と題する文書であり、右上には「2007.5.25」及び「TEPSCO」と記載されており、「3)諸費試算」の欄には「試算結果は次ページ参考資料参照」と記載されている。2枚目は、「参考資料−請負工事一括リース契約の経済性評価」と題する文書であり、「○建設諸費概算」の欄には「2)設計コンサル付託料 12ヶ月・延べ350人日」、「21,000千円」と記載されている。3枚目は、「甲州市役所ファイナンス費用の検討 リース契約 見積もり(新日本空調(株)系列リース会社)」と題する文書である。4枚目は、「甲州市役所ファイナンス費用の検討 その2 デュエット契約」と題する文書である。

被請求人は、乙第4号証及び乙第4号証の2を自ら使用した文書とするが、乙第4号証及び乙第4号証の2の1枚目の右上には「2007.5.25」及び「TEPSCO」と記載されていることから、乙第4号証及び乙第4号証の2は、2007年5月25日に「TEPSCO」が作成したものと認められるものであり、他に被請求人が乙第4号証及び乙第4号証の2を頒布した客観性を証明する証拠がない限り、被請求人が頒布したものとは認められない。

そして、乙第3号証及び乙第3号証の2(物件情報)において、甲州市管財課長より、「デュエット」について説明依頼があったとする2007年5月7日は、乙第4号証及び乙第4号証の2の作成日である2007年5月25日より前の日付であるから、乙第3号証及び乙第3号証の2によって、乙第4号証及び乙第4号証の2が、被請求人によって頒布されたということができないものであり、他に乙第4号証及び乙第4号証の2が、被請求人によって、本件審判の請求の登録前3年以内に頒布されたという証拠は提出されていない。

また、「TEPSCO」が、仮に、件外「東電設計株式会社」を表す略称として使用されているものであるとしても、被請求人は、「TEPSCO」と被請求人との関係を明らかにしていないものである。

なお、仮に、乙第4号証及び乙第4号証の2の3枚目が、被請求人の系列リース会社の作成した文書であったとしても、これらの文書は、「甲州市役所ファイナンス費用の検討 リース契約の見積もり」に関する文書であり、乙第4号証及び乙第4号証の2の1枚目ないし3枚目には、本件商標の表示がないものであって、被請求人が、本件取消請求に係る指定役務「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」について、本件商標の使用をしているとは到底認められない。

また、乙第4号証の2の4枚目には、「甲州市役所ファイナンス費用の検討 その2 デュエット契約」「3.デュエット契約の費用検討」「デュエット契約方式」と記載されているとしても、「デュエット料金(月額)」及び契約期間「9年」「15年」と記載されていることから、4枚目は、「リース契約に関する費用の検討」に関する文書であり、被請求人が、本件取消請求に係る指定役務「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」について本件商標の使用をしているとは到底認められない。

(5)本件商標が掲載されていない乙各号証について

乙第6号証(覚書)、乙第7号証(空調設備使用契約書)、乙第8号証(リース契約書)、乙第9号証「お客様保管用(物件受取書)」、乙第11号証(御見積書)、乙第12号証(御見積書)及び乙第13号証(請求書、平成21年7月度 空調・冷凍冷蔵設備 使用料金明細書)には、本件商標が掲載されておらず、しかもこれらはリース契約に関連する書類などであり、これらの証拠によっては本件取消請求に係る指定役務「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」について本件商標の使用をしているとは認められない。

(6)本件商標が掲載されている乙各号証について

乙第5号証(試算文書)には、「株式会社・・・殿向デュエット試算(・・・の部分は黒く塗りつぶされている。)」、「契約年数」、「9年」、「12年」、「15年」、「デュエット月額(金額は各年とも黒く塗りつぶされている。)」と記載されているところ、乙第5号証と乙第1号証、乙第7号証及び乙第7号証の2を比較検討すると、契約年数が、9年、12年、15年になり、毎月料金を支払う役務とはリース契約による役務と考えられること、本件取消請求に係る指定役務「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」が、9年、12年、15年と継続して行われるものとは考え難いこと、設計料及び助言料を毎月支払うものとは考え難いこと、乙第5号証は、契約年数等が記載された1枚紙であって、作成しようと思えばいつでも作成できること、乙第5号証が頒布された証拠が存在しないこと、乙第5号証のほかに顧客Yとの取引書類が存在しないことから、乙第5号証のみによって本件取消請求に係る指定役務「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」について本件商標の使用をしているとは認められない。

乙第10号証(冷凍空調設備一部使用開始確認書)には、本件商標に関しては「この度は貴社にてデュエット方式における空調使用契約をご締結戴きまして有難うございました。」とのみ記載されていること、乙第14号証(請求書、平成21年8月度 空調・冷凍冷蔵設備【デュエット】使用料金明細書)には、請求書の納品又は工事の名称欄に「平成21年8月 空調設備使用料(デュエット)」と記載され、使用料金明細書の標題に「平成21年8月度 冷凍・空調設備【デュエット】使用料金明細書」と記載されていること、乙第15号証(平成19年度 定期点検作業報告書)及び乙第16号証(平成20年度 定期点検作業報告書)には、表紙標題に「冷凍空調設備【デュエット】」と記載され、報告書各用紙最下部に【デュエット】と記載されていることが認められるが、いずれもリース契約の関連書類に「デュエット」の文字が表されたものであり、これらの証拠によっては本件取消請求に係る指定役務「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」について本件商標の使用をしているとは認められない。

なお、被請求人は、乙第15号証(平成19年度 定期点検作業報告書)及び乙第16号証(平成20年度 定期点検作業報告書)により、平成19年度及び平成20年度に顧客Z(株式会社紀文フレッシュシステム)との当該契約は有効であった旨主張するが、乙第15号証及び乙第16号証は、定期点検作業報告書にすぎないものである。仮に、当該契約が有効であったとしても、被請求人は、顧客Zに関する他の証拠によって、本件取消請求に係る指定役務「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」について本件商標の使用をしていることを証明しているものではない。

そして、新日空サービス株式会社と顧客Z(株式会社紀文フレッシュシステム)との当該契約は、新日空サービス株式会社が株式会社紀文フレッシュシステムの所定の建物に空地調和設備一式(以下「空調設備」という)を据付・設置し、株式会社紀文フレッシュシステムがこれを使用する空調設備運用方法の諸条件を取り決めることを目的とするものであり【空調設備使用契約書 (目的)第1条 (乙第7号証の2及び乙第7号証)】、本件取消請求に係る指定役務「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」を目的とするものではないから、平成19年度及び平成20年度に、当該指定役務について本件商標が使用されたものとは認められない。

(7)審尋回答書に添付された前記以外の証拠について

乙第7号証の2(空調設備使用契約書)の6枚目に記載されている「平成15年12月18日」、7枚目に記載されている「平成15年12月18日」及び「平成16年8月10日」、16枚目の左上に記載されている「平成15年10月」は、本件審判の請求の登録前3年以内のものではない。また、乙第7号証の2(空調設備使用契約書)には、本件商標が付されていないものである。

乙第7号証の3(設計打合せ記録)に記載されている「2003年8月21日」は、本件審判の請求の登録前3年以内のものではない。また、乙第7号証の3(設計打合せ記録)には、作成会社名が記載されていないものであり、他社に頒布する文書に社名を記載しないことは考え難いことから、乙第7号証の3は、内部文書であって、他社に頒布されたものとは認められない。

乙第10号証の2(冷凍空中設備一部使用確認書)に記載されている「平成16年5月20日」及び「平成16年8月10日」は、本件審判の請求の登録前3年以内のものではない。

乙第11号証の2の3枚の書類(御見積書及び設計図)には、本件商標が付されていないものである。

乙第11号証の2の2枚目に添付された設計図は、平成15年10月作成された乙第7号証の2(空調設備使用契約書)の20枚目に添付された設計図と右下の「M−5」が「M」となっている点及び「別紙参照」等の手書き部分を除いて同一である。

乙第11号証の2の3枚目に添付された設計図に記載された「2006/06/24/土」は、本件審判の請求の登録前3年以内のものではない。

したがって、被請求人が主張するように、乙第11号証の2によって、本件審判の請求の登録前3年以内に、新たな設計が行われたということができないものである。

乙第12号証の2(御見積書)には、本件商標が付されていないものであり、乙第11号証及び乙第11号証の2のように設計図が添付されているものでもない。

乙第17号証(商標「デュエット」にかかる役務について講演で使用したとする資料)の1枚目には、「Fev.04.’08」、「DUET」、「新日本空調株式会社」の文字が記載され、2枚目には、「(契約終了時は、リース方式によりいくつかの選択肢がある)」等の文字が記載され、3枚目には、「2.デュエット管理会社」、「・毎月、基本料金と従量料金(サービス提供時間等)を客先より徴収する。」、「・契約期間は10〜15年」、「・収入はサービス提供料で左右されるため、従量料金の比率は小さく設定する場合が多い。」等の文字が記載され、4枚目には、「SNKの役割」、「SNKグループはどのプレーヤーとなるのか?」、「1.設備施工会社 デュエットに該当する設備の設計施工を行う。→リース会社と契約」、「2.デュエット管理会社 デュエットサービスの当事者として契約を顧客と締結し、事業を推進する。」、「3.保守・メンテナンス会社 デュエット契約期間中の保守・メンテナンス作業と、省エネ量の計測も行う。→デュエット管理会社と契約」等の文字が記載されている。

乙第18号証(電子メール)の1枚目の上から6行目には、「(社)日本産業機械工業会・・・様」の文字が記載され、1枚目の下から4行目には、「当工業界グリーン・サービサイジング委員会が企画する講演会」の文字が記載され、2枚目の15行ないし34行には、「第2回講演会の講演要望・・・」「出席者 約20名」、「講演者 3・・・」、「委員会13 委員長(1)、委員(6)、リサーチ会社(2)、事務局(4)・・・」、「聴講者 3 委員の会社での希望者に限っております 3名は第1回実績」、「発表の方法」、「・ご発表ツールは紙資料配付、OHP、パワーポイント等、当方で準備可能・・・」、「委員会メンバーが聴講したいのは・・・」と記載されている。

乙第18号証(電子メール)によれば、乙第17号証は、(社)日本産業機械工業会グリーン・サービサイジング委員会の委員長、委員、リサーチ会社、事務局及び聴講者がいる場合は委員の会社での希望者に限って、OHP、パワーポイント等で発表され、紙資料が配付されたものと認められことから、不特定多数の者に広告として頒布されたものということはできないものである。

なお、乙第17号証が、仮に、OHP、パワーポイント等で発表されたとしても、乙第17号証は、URL等のアドレスが記載されていない書類であるから、本件取消請求に係る指定役務「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為(商標法第2条第3項第8号)には該当しないものである。

(8)まとめ

(ア)以上の事実を総合すると、新日空サービス株式会社は、リース会社から冷凍空調設備等のリースを受け、顧客と空調設備使用契約を締結し、空調・冷凍冷蔵設備の使用料金を請求し、冷凍空調設備の定期点検を行っているものと認めることができるとしても、設計図が添付された空調設備使用契約書は、平成15年12月18日に締結されたものであるから、新日空サービス株式会社が、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件取消請求に係る指定役務「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」について、本件商標を使用したものとは認められない。

なお、被請求人は、乙第1号証のカタログにおいて、自身のことを「弊社側」又は「弊社」と称しているのに対して、「空調設備設計施工者」については「弊社側」又は「弊社」と称していないことから、「空調設備設計施工者」とは、被請求人自身ではないものみるのが相当である。

したがって、乙第1号証のカタログの〈主なサービスの内容〉の欄に記載された「(1)空調設備の最適設計と設置」は、被請求人以外の「空調設備設計施工者」によって、行われているものと認めることができる。

また、乙第1号証は、作成日及び頒布日が明らかではないものであり、乙第1号証の他に被請求人自身が、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件取消請求に係る指定役務「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」について、本件商標を使用したことを証明する証拠は見当たらない。

(イ)被請求人は、審尋回答書において、「乙各号証が、商標法第2条第3項第8号の『取引書類』ないし『広告』であり、取引者等に向けて『頒布』される」旨述べているが、被請求人が、本件商標の使用を証明している役務は、「リース契約による空調設備の貸与」又は「リース契約による空調設備の請負工事」に関する「取引書類」ないし「広告」と認められるものであり、本件取消請求に係る指定役務「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」に関する「取引書類」ないし「広告」とは、認められないものである。

2 結論

以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定役務第42類「空調機・空調設備の設計及びこれらに関する助言」のいずれかについての本件商標の使用をしていることを証明していない。

また、被請求人は、取消請求に係る指定役務について本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。

したがって、本件商標の登録は、指定役務中「結論掲記の役務」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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