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Trademark Appeal Case

同一商標の重複登録

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2009−12397(T2009−12397/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第7類「動力機械器具(陸上の乗物用のもの及び『水車・風車』を除く。),陸上の乗物用の動力機械の部品,風水力機械器具,軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング,動力伝導装置,緩衝器,ばね,制動装置,バルブ」及び第12類「陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング,動力伝導装置,緩衝器,ばね,制動装置,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),自動車並びにその部品及び附属品」を指定商品として、平成19年7月19日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、出願人所有に係る登録第4981414号(以下、「請求人既登録商標」という。)の商標と同一であり、かつ、その指定商品も同一のものを含むものであるから、これをさらに登録することは商標法制定の趣旨に反するものと認める。」旨認定し、判断し、本願を拒絶したものである。

3 請求人既登録商標

請求人既登録商標は、別掲2のとおりの構成からなり、平成17年5月27日登録出願、第7類「金属加工機械器具,鉱山機械器具,土木機械器具,荷役機械器具,漁業用機械器具,化学機械器具,繊維機械器具,食料加工用又は飲料加工用の機械器具,製材用・木工用又は合板用の機械器具,パルプ製造用・製紙用又は紙工用の機械器具,印刷用又は製本用の機械器具,ミシン,農業用機械器具,靴製造機械,製革機械,たばこ製造機械,ガラス器製造機械,塗装機械器具,包装用機械器具,陶工用ろくろ,プラスチック加工機械器具,半導体製造装置,ゴム製品製造機械器具,石材加工機械器具,機械式の接着テープディスペンサー,自動スタンプ打ち器,修繕用機械器具,機械式駐車装置,乗物用洗浄機,消毒・殺虫・防臭用散布機(農業用のものを除く。),機械要素(陸上の乗物用のものを除く。),芝刈機,電動式カーテン引き装置,廃棄物圧縮装置,廃棄物破砕装置,起動器,交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。),交流発電機,直流発電機,電機ブラシ」及び第12類「荷役用索道,カーダンパー,カープッシャー,カープラー,牽引車,陸上の乗物用の機械要素,落下傘,乗物用盗難警報器,車いす,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),船舶並びにその部品及び附属品,航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,乳母車,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」を指定商品として、同18年8月25日に設定登録され、当該商標権は現に有効に存続しているものである。

そして、商標権者は、株式会社TBKであり、住所は、東京都町田市南成瀬4丁目21番地1であるから、請求人と同一である。

4 当審の判断

(1)本願商標は、別掲1のとおり、肉太の線でやや右に傾斜した「TBK」の欧文字を横書きして、「K」の文字の右上部から斜めに左側の傾斜線の中央に接する線を、赤色の三角形の形状にて表し、三角形の一角が「K」の文字の左側の傾斜線の中を貫いた構成からなるものであり、また、請求人既登録商標は、別掲2のとおり、肉太の線でやや右に傾斜した「TBK」の欧文字を横書きして、「K」の文字の右上部から斜めに左側の傾斜線の中央に接する線を、赤色の三角形の形状にて表し、三角形の一角が「K」の文字の左側の傾斜線の中を貫いた構成からなるものであるから、本願商標と請求人既登録商標とは、同一のものといえる。

(2)本願商標の指定商品は、前記1のとおりであり、請求人既登録商標の指定商品は、前記3のとおりである。

ところで、商標法施行規則の別表(以下、「省令別表」という。)の第7類には、「二十七 機械要素(陸上の乗物用のものを除く。)」があり、その下位の商品として、「(一)軸 軸受 軸継ぎ手 ベアリング(二)動力伝導装置(三)緩衝器(四)制動装置(五)ばね(六)バルブ」があり、さらに、第12類には、「十一 陸上の乗物用の機械要素」があり、その下位の商品として、「(一)軸 軸受 軸継ぎ手 ベアリング(二)動力伝導装置(三)緩衝器(四)ばね(五)制動装置」がある。

そして、請求人既登録商標の指定商品中には、第7類「機械要素(陸上の乗物用のものを除く。)」及び第12類「陸上の乗物用の機械要素」があるところ、これは、上記の省令別表からすると、第7類「機械要素(陸上の乗物用のものを除く。)」には、「軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング,動力伝導装置,バルブ」が包含され、また、第12類「陸上の乗物用の機械要素」には、「軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング,動力伝導装置,緩衝器,ばね,制動装置」が包含されるものである。

そうすると、本願商標の指定商品中、第7類「軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング,動力伝導装置,緩衝器,ばね,制動装置,バルブ」及び第12類「軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング,動力伝導装置,緩衝器,ばね,制動装置」は、請求人既登録商標の指定商品中、第7類「機械要素(陸上の乗物用のものを除く。)」及び第12類「陸上の乗物用の機械要素」に含まれることが明らかである。

さらに、本願商標の指定商品中、第12類「陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),自動車並びにその部品及び附属品」は、請求人既登録商標の指定商品中、第12類「陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),自動車並びにその部品及び附属品」と同一の商品である。

以上のことから、本願商標と請求人既登録商標とは、同一であり、また、本願商標の指定商品と請求人既登録商標の指定商品とは、上記のとおり、第7類「軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング,動力伝導装置,緩衝器,ばね,制動装置,バルブ」及び第12類「軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング,動力伝導装置,緩衝器,ばね,制動装置,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),自動車並びにその部品及び附属品」において同一であるから、本願商標を登録すると、これらの指定商品において、同一の商標権を重複して取得することになる。

ところで、指定商品又は指定役務(以下「指定商品等」という。)の範囲は、願書の記載に基づいて定められ(商標法第27条第2項)、商標権者は、指定商品等について登録商標の使用をする権利を専有する(同法第25条)ところ、他方、商標登録の無効審判(同法第46条第1項)及び商標登録の取消審判(同法第50条第1項)においては、指定商品等ごとに審判を請求することができるとされているのであるから、同一の商標を同一の指定商品等について二以上の商標権を設定することは、かかる審判の請求人にとっては、本来一の審判請求で足りるものを二以上の審判請求をしなければならない事態を招くこととなり、かかる請求人に対して不利益をもたらすこととなる。

また、商標権者は、その商標権について専用使用権を設定することができ(商標法第30条第1項)、専用使用権者は、設定行為で定めた範囲内において、指定商品等について登録商標の使用をする権利を専有する(同条第2項)のであるから、同一の商標を同一の指定商品等について二以上の商標権を設定した場合には、各商標権に係る同一の指定商品等について二以上の専用使用権を設定することも可能となり、設定行為で定める範囲が同一ないし重複する場合には、各専用使用権者にとっては、その同一ないし重複する範囲において登録商標の使用をする権利を専有することができない事態を招くおそれもある。

そうすると、請求人既登録商標と同一の本願商標をその指定商品中、第7類「軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング,動力伝導装置,緩衝器,ばね,制動装置,バルブ」及び第12類「軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング,動力伝導装置,緩衝器,ばね,制動装置,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),自動車並びにその部品及び附属品」について、さらに登録を認めることは、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発展に寄与し、あわせて需要者の利益を保護する」とする商標法の目的に反するものであるから、本願商標は、商標登録を受ける権利の濫用であって、商標法制定の趣旨に反するものといわなければならない。

(3)請求人の主張について

ア 請求人は、本願商標の指定商品と請求人既登録商標の指定商品では、明らかに相違し、両者の指定役務が重複しているのは第7類では「軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング,動力伝動装置,緩衝器,ばね,制動装置,バルブ」であり、第12類では「軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング,動力伝動装置,緩衝器,ばね,制動装置,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),自動車並びにその部品及び付属品」の一部にすぎず、本願商標の指定商品が広いことは明らかであり、商標が同一であっても、その指定商品が相違する場合においては、当該商標権の内容において相違することになるので、ダブルパテントの禁止の原則に違背するものでない旨主張する。

しかしながら、本願商標の指定商品の個々の商品からみれば、同一の商品について同一の商標を付した商標権を重複して取得することになるから、これは、前記(2)のとおり、商標法制定の趣旨に反するものである。

したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。

イ 請求人は、このような登録出願を認めることにより、先願である指定商品の幅の狭い請求人既登録商標権を放棄し、無駄な商標権を整理することが可能となるので、何ら法の精神に反するものではなく、請求人(出願人)は、本願商標が登録された後には、請求人既登録商標権は、その更新を中止する予定である旨主張する。

しかしながら、請求人既登録商標の存続期間は、平成28年8月25日までであり、いまだかかる商標権の抹消が認められないから、請求人の上記主張は、採用することができない。

ウ 請求人は、旧法の区分に基づいて登録された商標権の現行分類への書換申請においては、書換申請により、すでに存在する自己の商標権の一部に重複することは、しばしば起こりえる事柄であり、このような事例を商標法の制定の趣旨に反するとの拒絶をしていない旨主張する。

しかしながら、平成4年3月31日までにされた商標登録出願に係る商標権(昭和34年区分以前の区分に基づき登録された商標権)については、その指定商品の書換の登録(以下、「書換登録」という。)を受けなければならないところ、書換登録後の指定商品が複数の商品及び役務の区分(以下、「区分」という。)にわたるときは、その後の商標権の更新登録料は、書換登録後の区分の数に応じて納付しなければならい。しかし、同一の商標について全区分又は多数の区分に属する商品について商標権を有している場合は、各権利毎の指定商品が複数にわたることから、同一の商標についての商標権を合わせると、その全商品に相応した区分の数を著しく上回る極めて多数の区分の数に応じた料金負担が課せられることになる。そのため、料金負担のこのような急増を回避するための対応策としては、商標権者の選択により、書換の対象となっている登録商標と同一の商標について同一の商品を指定して再出願することが考えられるところ、そのためには、再出願に対しては「商標法制定の趣旨違背」に関する運用を緩和することが必要となったものである。

したがって、書換登録の対象となっていない本願商標についての前記(2)の判断に影響を与えるものではない。

したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。

(4)むすび

以上のとおり、本願商標は、請求人既登録商標と同一の商標について同一の商品を指定して登録出願したものであるから、商標法制定の趣旨に反して登録出願されたとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取消すことができない。

よって、結論のとおり審決する。

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