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Trademark Appeal Case

じぶんへの保険の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2009−15396(T2009−15396/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、「じぶんへの保険」の文字を標準文字で表してなり、第36類「生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,保険料率の算出,保険に関する助言,生命保険情報の提供」を指定役務として、平成19年10月17日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶理由の要点

原査定は、「本願商標は、『じぶんへの保険』の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、本願の指定役務である医療保険の分野において、契約者(主たる被保険者)本人の好みに応じて、死亡時の給付金、一日の入院給付金等が選べるプランにとどまらず、保険料が一生変わらない終身医療保険、将来保険料が半額あるいはゼロになる終身医療保険などが登場し、選択することができる実情に照らせば、本願商標をその指定役務中、契約者(主たる被保険者)本人に対する生命保険契約に関する役務に使用しても、『契約者(主たる被保険者)本人の好みに応じて選択できる本人向けの保険に関する役務』であることを理解させるにとどまり、単に役務の内容、質を表示したにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記に照応する役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあり、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断

1 本願商標の商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性について

本願商標は、前記第1のとおり、「じぶんへの保険」の文字からなるところ、その構成中の「じぶん」は、「おのれ。自身。自己」(広辞苑第六版)等を意味し、「保険」は、「(insurance)人の死亡・火災などの偶発的事故の発生の蓋然性が統計的方法その他によってある程度まで予知できる場合、共通にその事故の脅威を受ける者が、あらかじめ一定の掛金(保険料)を互いに拠出しておき、積立金を用いてその事故(保険事故)に遇った人に一定金額(保険金)を与え、損害を填補(てんぽ)する制度。組織により相互保険・営業保険に分かれ、事業の内容により生命保険・損害保険に大別。社会保険に対し私保険とも呼ぶ。」(広辞苑第六版)等を意味する語として知られているものであり、これらの文字を「への」で結合した「じぶんへの保険」の文字は、それぞれの文字の意味から構成全体として、「自分のための保険」程の意味合いを容易に認識させるものである。

そして、本願の指定役務である「生命保険」(被保険者の死亡または一定の年齢に達するまで生存したことを条件として一定の金額を支払う保険。《広辞苑第六版》)との関係において、別掲に示すとおり、自分のために加入する保険、すなわち、被保険者自身に給付金や保険金が支払われるタイプの保険(個人年金保険、医療保険、がん保険、介護保険等)が実在し、かつ、それらを「自分のための保険」と称している実情が見受けられるものである。

してみれば、本願商標をその指定役務中の「被保険者に給付金等が支払われるタイプの生命保険契約に関する役務」に使用しても、「自分のための保険」すなわち、「自分のために加入する保険に関する役務」であることを理解させるにとどまり、単に役務の内容、質を表示したにすぎないものであり、かつ、前記に照応する役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるものと判断するのが相当である。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものといわざるを得ない。

2 請求人(出願人)(以下「請求人」という。)の主張について

請求人は、「本願商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。」旨主張し、その理由を以下(1)ないし(3)の如く述べている。

(1)本願商標からは「その人自身(契約者、主たる被保険者)が保険事故に遭遇した場合に、金銭が支払われる制度」という意味合いを把握・理解することができるが、原査定が認定するところの「契約者(主たる被保険者)本人の好みに応じて選択できる」といった意味合いを直接的に把握・理解することはできない。そして、実際の取引においても、原査定の認定する用いられ方はされていない。よって、原査定の認定は、同業界における需要者等の認識とはあまりにも乖離したものであって、妥当性を欠くものである。

(2)本願商標が付された保険商品は、様々な媒体で取り上げられ、保険業界において、請求人を表示する商標として広く知られるに至っているものである。したがって、本願商標に接する需要者は、本願商標が役務の内容、質等について表示したものとは認識しないものである。

(3)過去の登録例からすれば、本願商標も登録されるべきである。

3 請求人の主張に対する反論

(1)前記2(1)に対する反論

請求人は、「原査定が、本願商標から直接的に把握・理解できると認定した『契約者(主たる被保険者)本人の好みに応じて選択できる』といった意味合いは、同業界における需要者の認識と乖離したもので妥当性を欠くものである旨」述べているが、そもそも保険の契約にあたっては、契約者は、保険会社がそれぞれの契約者の状況に合わせて設定した保険や、あるいは、契約者それぞれが自分の現状に合わせ「死亡給付、傷害給付、入院給付」等の各種給付を組み合わせて設定した保険等の多種多様の種類の保険の中から選択し、契約をしているのが実情であることからすれば、契約者は、実質的に本人(契約者)の好み(状況)に応じて(保険のタイプを)選択しているといえるものである。

また、本願商標「じぶんへの保険」は、請求人も主張するとおり、「その人自身(契約者、主たる被保険者)が保険事故に遭遇した場合に、金銭が支払われる制度」すなわち、「自分のための保険」であることを認識させ、かつ、別掲に示すとおり、自分のために加入する保険が実在し、それらを「自分のための保険」と称していることからすれば、本願商標をその指定役務中の「被保険者に給付金が支払われるタイプの生命保険契約に関する役務」に使用しても、「自分のための保険」すなわち、「自分(本人)のために加入する保険に関する役務」であることを理解させるにすぎないものであること前記1のとおりであり、原査定の認定が妥当性を欠くということはできない。

よって、請求人のかかる主張は、採用することができない。

(2)前記2(2)に対する反論

請求人の主張を立証するための証拠資料である資料3、資料22ないし資料24をみるに、資料3(「GOOGLE検索結果のプリントアウト」)において、「じぶんへの保険」をキーワードとした検索結果で、「じぶんへの保険」の語が、実際に使用されている事実は見受けられる。

しかしながら、この検索結果によると、該語とともに請求人の略称である「ライフネット生命保険」や「ライフネット生命」等の語が使用されているものである。

また、本願商標を付した指定役務にかかる売上データや、保険業界においける市場占有率等について、なんら言及されておらず、かつ、それを立証すべき証拠資料の提出もない。

さらに、資料22(週刊ダイヤモンド2009年3月14日号抜粋の写し)及び資料23(日経ヴェリタス2009年5月24日発行号抜粋の写し)をみても、本願商標が使用されている事実を窺うことができず、また、資料24(審判請求人の業務に係る保険商品の広報一覧)をみても、本願商標の使用例は、その一部(1件)にすぎない。

そうとすれば、請求人の提出した資料によっては、本願商標が、請求人を表示する商標として広く知られるに至っているものとは、認めることはできない。

してみれば、請求人の「本願商標に接する需要者は、本願商標が役務の内容、質等について表示したものとは認識しない」とする主張は客観的な理由がなく、かかる主張も採用することができない。

(3)前記2(3)に対する反論

請求人の提示する登録例等は、商標の構成等において本願とは事案を異にするものであり、それらの登録例をもって、本願商標の登録の適否を判断する基準とするのは必ずしも適切とはいえないことから、請求人の係る主張も採用することができない。

(4)その他の請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すことはできない。

4 まとめ

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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