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Trademark Appeal Case

著名人名と意匠の公序良俗

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2009−16679(T2009−16679/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第35類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成20年8月11日に登録出願されたものであるが、その後、指定役務については、原審における同21年4月20日付け及び当審における同年9月9日付け提出の手続補正書により、最終的に、第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,織物・身の回り品及び被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手動利器・手動工具及び金具(但し、金属製金具・水道蛇口用座金・水道蛇口用ワッシャー・キーホルダー・ゴム製又はバルカンファイバー製の座金及びワッシャー・かばん金具・がま口口金・蹄鉄・カーテン金具・金属代用のプラスチック製締め金具・くぎ・くさび・ナット・ねじくぎ・びょう・ボルト・リベット及びキャスター(金属製のものを除く。)・座金及びワッシャー(金属製・ゴム製又はバルカンファイバー製のものを除く。)・錠(電気式又は金属製のものを除く。)・被服用はとめを除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要旨)

(1)原査定は、「本願商標は、その構成中に、『直江兼続』の文字を有してなるところ、当該文字は、初代米沢藩主上杉景勝に仕えた戦国時代から江戸時代前期にかけての武将の氏名として知られるものである。そして、上記人物は、2009年放映予定のNHK大河ドラマ『天地人』の主人公となっていることも相俟って、上記人物とゆかりの深い新潟県や山形県の一部地域では、当該ドラマの放映に先駆けて観光客の誘致、シンポジウム等様々なイベントが行われ、また、上記人物に因んだ記念品や土産品を販売し、上記人物の氏名をシンボル的に使用していることが、新聞記事からも窺い知ることができる。そうとすると、当該『直江兼継』の氏名を容易に看取できる文字部分を含む本願商標を、同人と何ら関係のあるとも認め難い一出願人が、自己の商標として採択使用することは、商取引の秩序、社会の一般的道徳に照らし、穏当ではない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

(2)本願商標において指定している小売等役務(商標法第2条第2項に規定する役務)は、全く業種が異なり、類似の関係にもないものであるため、このような状況の下では、出願人が本願商標をこれらの指定した小売等役務のいずれにも使用しているか又は近い将来使用をすることについて疑義があるといわざるを得ない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しているということができない。

3 当審における審尋(要旨)

当審において、平成22年3月19日付けで、以下のとおりの審尋を発し、期間を指定して、請求人に意見を述べる機会を与えた。

(1)商標法第3条第1項柱書について

請求人(出願人)は、前記1のとおり本願の指定役務を補正し、「20余の会員事業所に使用許諾している」旨主張するのみで、請求人(出願人)又は会員事業所がその業務を行っているか、請求人が近い将来使用をすることについて疑義があるといわざるを得ない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しているということができないものである。

(2)商標法第4条第1項第7号について

本願商標は、別掲(1)のとおり、「直江兼続公の前立」の文字と、前立に図案化された「愛」の文字を配した兜の図形よりなるところ、該図形部分は、図案化された「愛」の文字を前立とした直江兼続公の兜を象徴する図形として認識されるから、該文字部分と該図形部分から、「ナオエカネツグ(コウ)ノマエダテ」の称呼及び「直江兼続(公)の前立」の観念を生ずるものと認められる。

ところで、2009年放送のNHK大河ドラマ「天地人」は、戦国武将上杉景勝公の家臣、直江兼続公(1560−1619年)が主人公であって、直江兼続公が所用したといわれる甲冑は、別掲(2)のとおり、具足と呼ばれる甲冑であるが、兜に図案化された「愛」の文字の前立を有するものである。

そして、直江兼続公の甲冑は、「直江兼続(公)の前立」(ナオエカネツグ(コウ)ノマエダテ)とも呼ばれ、現在、上杉謙信公とも縁のある上杉神社が所蔵するものであることが認められる。

そこで、本願商標と直江兼続公の兜部分を比較すると、両者は、図案化された「愛」の文字部分をはじめ兜部分において顕著な特徴部分を共通にし、酷似しているものであるから、これより生ずる「ナオエカネツグ(コウ)ノマエダテ」の称呼及び「直江兼続(公)の前立」の観念を同じくする類似のものと認められる。

そうとすれば、このような商標を他人と認められる請求人(出願人)に対し、その指定役務について商標登録を認め、独占的に使用させることは商標法制定の趣旨に反し適切でなく、公正な競業秩序を乱すものであり、穏当でないものといわざるを得ない。

したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

なお、本件商標をその指定役務について商標登録を受けることについて上記の上杉神社の承諾を得ていることを証明したときは、この限りではない。

4 審尋に対する意見

請求人は、前記3の審尋に対し、所定の期間を経過するも何ら意見を述べるところがない。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項柱書について

請求人(出願人)は、平成21年9月9日付けの審判請求書において、「出願人は、歴史上の人物『直江兼続』ゆかりの地『山形県米沢市』の総合経済団体という公益性の高い法人であって、一営利法人とは全く異なり、本商標の使用を独占しようとするものではなく、2700余に及ぶ会員事業所の当該商品・役務に使用させ、地域振興・産業振興に資するねらいのものである。 」旨主張するのみで、指定役務の全てについて使用しているか又は近い将来使用をすることについての証明書類等の提出はされていない。

そうすると、本願は、第35類において広範な範囲にわたる役務を指定しているものであるから、このような状況の下では、いまだ、出願人が出願に係る商標をそれらの指定役務の全てについて使用しているか又は近い将来使用をすることについて疑義があるといわざるを得ない。

したがって、本願は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しているということができない。

(2)商標法第4条第1項第7号について

本願商標は、別掲(1)に示した構成よりなるところ、前記3の審尋に対し、何ら意見等を述べるところがないばかりなく、前記3の審尋において述べたとおり、上記上杉神社の承諾を得ることなく本願商標を他人と認められる請求人(出願人)に対し、その指定役務について商標登録を認め、独占的に使用させることは商標法制定の趣旨に反し適切でなく、公正な競業秩序を乱すものであり、穏当でないものといわざるを得ない。

したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものというべきであるから、これを登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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