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Trademark Appeal Case

指定商品範囲と使用商標の同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2009−301157(T2009−301157/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4991489号商標(以下「本件商標」という。)は、「ALTHERA」の欧文字と「アルセラ」の片仮名とを二段に横書きしてなり、平成18年1月17日に登録出願、第5類「医療用テーピングテープ,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド」及び第10類「応急手当用温湿布,医療用サポーター,その他の医療用機械器具,おしゃぶり,氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,ほ乳用具,魔法ほ乳器,綿棒,指サック」を指定商品として同年9月29日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品のうち「第10類 応急手当用温湿布,医療用サポーター,その他の医療用機械器具」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第3号証を提出した。

(1)請求の理由

本件商標は、その指定商品中、「第10類 応急手当用温湿布,医療用サポーター,その他の医療用機械器具」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者または通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

(2)答弁に対する弁駁

被請求人が提出している書類からは、本件商標がその指定商品「第10類 応急手当用温湿布,医療用サポーター,その他の医療用機械器具」について使用されていることの証明はなされていない。

(ア)被請求人は、答弁書において、本件商標を主に「アルミニウム製チャンバー付き皮膚感作テスト用テープ」に使用している旨述べ、同商品は「医療用機械器具(診断用機械器具)」に属する旨主張している。

しかしながら、上記商品は、第10類の医療用機械器具(10D01)ではなく、第5類の医療用テープ(01C01)に属する商品と認められるものである。

第10類に属する医療用機械器具は、医院又は病院で専ら使用される機械器具をいう。ここで、機械器具の意味をインターネット上の『Yahoo!辞書』で調べると、「機械」とは「動力を受けて、目的に応じた一定の運動・仕事をするもの。実験・測定・運動競技などに使う装置・道具」と説明されている(甲第2号証)。また、同様に「器具」について調べると、「簡単な機器や道具類」と説明されている(甲第3号証)。

被請求人提出の答弁書及び証拠によると、本件商標を付した商品は、試薬を浸透させた濾紙の固定に使用されるものであり、上記辞書において説明されている「機械」及び「器具」のいずれの概念にも当らない。むしろ、本件商標を付した商品の包装箱には「皮膚感作テスト用テープ」の文字が記載され(乙第1号証ないし乙第3号証)、また、乙第2号証には「お肌へのやさしさと使いやすさで選ぶなら」、「ムレない通気性抜群のウレタン伸縮素材」というテープの特性に焦点を当てた商品説明が記載されていることから、本件商標を付した商品は医療用テープの範疇に属するものである。

以上より、本件商標は、医療用機械器具に使用されていないことは明らかである。

(イ)本件商標が使用されていないことについて

本件商標は、同書・同大・同間隔で欧文字「ALTHERA」を横書き一列で書した下に、片仮名「アルセラ」を同間隔で書したものである。

他方、被請求人提出の使用証拠に記載されている商標は、デザイン化された欧文字「AL」と欧文字の右横に片仮名「アルセラ」を書したものである。

確かに、本件商標と被請求人提出の使用証拠に記載されている商標は、片仮名「アルセラ」を含む点で共通している。しかしながら、被請求人の使用に係る商標は、欧文字「AL」がかなりデザイン化されているため、本件商標と異なった印象を看者に与える。この違いは、本件商標と使用商標とを社会通念上同一と認めることを困難とする。

以上より、被請求人の提出証拠によっては本件商標が使用されたことは証明されない。

(ウ)被請求人の提出証拠について

乙第1号証については、写真の撮影者及び撮影日時を特定する記載が全くない。したがって、誰が、何時撮影したのか全く不明の証拠であるので、乙第1号証は、本件商標が審判請求登録前3年以内に本件商標が使用されたことの証拠とはならない。

乙第2号証については、同証拠の発行日時を特定する記載が全くない。したがって、乙第2号証は、本件商標が審判請求登録前3年以内に本件商標が使用されたことの証拠とはならない。

乙第3号証については、被請求人と取引関係にある者が作成したものなので、その信用性について疑念が生じる。また、公証がされていないので、同証拠の信憑性に強い疑いを抱かざるを得ない。

(エ)まとめ

以上述べたとおり、被請求人の提出した書類によっては、本件商標がその指定商品「第10類 応急手当用温湿布,医療用サポーター,その他の医療用機械器具」について使用されていることの証明はなされていない。

3 被請求人の主張

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第3号証を提出した。

(1)被請求人である東洋アルミエコープロダクツ株式会社は、主として日用雑貨品、食品容器・成型品、食品容器等の自動処理機械及び医療機器・医療用具を製造し販売するものであるが、本件商標の登録後、現在に至るまで継続して、本件商標を主に商品「アルミニウム製チャンバー付き皮膚感作テスト用テープ」について使用している。この「アルミニウム製チャンバー付き皮膚感作テスト用テープ」は、いわゆるパッチ試験を行うための皮ふ試験用器具で、試薬を浸透させた濾紙をアルミニウム製チャンバーで覆うように皮膚に貼り付けてアレルギー反応の診断を行うものであり、「医療用機械器具(診断用機械器具)」に属する商品である。

(2)本件商標の使用態様の一例を示すと、乙第1号証の写真のとおりであるが、同写真は、被請求人の取り扱う商品「アルミニウム製チャンバー付き皮膚感作テスト用テープ」であり、その商品パッケージに本件商標と社会通念上同一と認められる商標「アルセラ」が表示されている。

また、乙第2号証は、被請求人の取り扱う商品「アルミニウム製チャンバー付き皮膚感作テスト用テープ」を紹介する商品パンフレットの写しであり、日本語で記載されている表面には商標「アルセラ」が表示されており、また、英語で記載されている裏面には本件商標と社会通念上同一と認められる商標「ALTHERA」が表示されている。

(3)被請求人は、本件商標を付した商品「アルミニウム製チャンバー付き皮膚感作テスト用テープ」を主に京都市下京区西七条南西野町60に所在する日本産業皮膚衛生協会に対して販売しているが、その取引の事実を証するものとして、日本産業皮膚衛生協会による証明書を提出する(乙第3号証)。これは、日本産業皮膚衛生協会より注文を受け、2008年3月21日、2009年5月25日に、本件商標を付した商品「アルミニウム製チャンバー付き皮膚感作テスト用テープ」を同協会に納品したことを示すものである。さらに、この日本産業皮膚衛生協会のホームページにおいて、2008年2月4日から、本件商標を付した商品「アルミニウム製チャンバー付き皮膚感作テスト用テープ」が紹介されていることを示している(乙第3号証)。

(4)以上のとおり、被請求人は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、本件審判の取消請求にかかる指定商品中の「医療用機械器具」に属する商品「アルミニウム製チャンバー付き皮膚感作テスト用テープ」について、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において使用している。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定によって取消されるべきものではない。

4 当審の判断

(1)被請求人は、本件商標を「アルミニウム製チャンバー付き皮膚感作テスト用テープ」について使用しているとして、乙第1号証ないし同第3号証を提出している。

そこで、被請求人の提出に係る乙各号証をみるに、乙第1号証は、被請求人の取り扱う商品の写真であり、商品の包装箱とアルミニウム製チャンバー付きの皮膚感作テスト用テープ及び試薬を浸透させるための濾紙が入ったビニール袋が写し出されている。その商品の包装箱には別掲のとおりの構成からなる商標「ALアルセラ」が表示されており、その下に「皮膚感作テスト用テープ/アルミチャンバー」と表示されている。また、包装箱の裏面には、製品名「アルセラ アルミチャンバー」、販売元「日本産業皮膚衛生協会」、製造元「東洋アルミエコープロダクツ株式会社」、バーコードの下には「4 901987 239604」等表示されている。

乙第2号証は、「ALアルセラ/皮膚感作テスト用テープ/アルミチャンバー」と題するパンフレットであり(表面は日本語で書かれており、裏面は英語で書かれている。)、ここにも、乙第1号証と同様に、商品の包装箱やアルミニウム製チャンバー付きの皮膚感作テスト用テープ及び試薬を浸透させるための濾紙が入ったビニール袋の写真が掲載されており、そのほかに、説明文として、「お肌へのやさしさと使いやすさで選ぶなら/アルセラ アルミチャンバー」、「肌にやさしいシリコン系粘着剤使用」、「ムレない通気性抜群のウレタン伸縮素材」、「アレルギーに安心、99.9%高純度/アルミ箔使用(Ni濃度1ppm以下)」、「JANコード:4901987239604」等の記載があり、販売元として「日本産業皮膚衛生協会」、製造元として「東洋アルミエコープロダクツ株式会社」と表示されている。

乙第3号証は、日本産業皮膚衛生協会が被請求人に宛てた平成21年12月1日付の「証明書」と題する書面であり、添付されている売上伝票は日本産業皮膚衛生協会の注文により被請求人から商品の納品を受けた際に発行されたものであること、添付の写真は日本産業皮膚衛生協会が納品を受けた商品の写真であること、添付のインターネットWebページは日本産業皮膚衛生協会のホームページであり、「アルセラ」の商標が付された「アルミニウム製チャンバー付き皮膚感作テスト用テープ」を紹介するページ及びその紹介ページが2008年2月4日に作成されたものであることを証明する旨記載されている。

そして、添付されている「売上伝票」は2枚あり、被請求人が日本産業皮膚衛生協会に宛てたものであって、1枚目は2008年3月21日付のものであり、2枚目は2009年5月25日付のものである。いずれにも「商品コード/品名」欄には「4901987239604/01 アルセラアルミチャンバー」とあり、「ケース」欄に、1枚目は「10」、また、2枚目には「5」とあり、その他、「納品数量」や「単価」、「金額」(単価及び金額の欄は黒塗りされている)等が記載されている。

(2)上記において認定した事実を総合してみれば、被請求人は、日本産業皮膚衛生協会に対して、本件審判の請求の登録(平成21年11月5日)前3年以内である2008年3月21日及び2009年5月25日に、「アルセラアルミチャンバー」をそれぞれ10ケースと5ケースを販売したものと推認することができる(乙第3号証に添付の売上伝票)。

そして、この乙第3号証に添付されている売上伝票の「商品コード/品名」欄には「4901987239604」なるコードが記載されているところ、このコードは、「JANコード」と呼ばれているコードであって、個々の商品を表す商品コードであり(例えば、imidas2005 参照)、この同じコードが乙第1号証の写真の包装箱にも乙第2号証のパンフレットにも表示されていることからみれば、売上伝票に記載されている「4901987239604/アルセラアルミチャンバー」なる商品は、乙第1号証の写真及び乙第2号証のパンフレットに表示されている「ALアルセラ/皮膚感作テスト用テープ/アルミチャンバー」であるということができる。

(ア)「皮膚感作テスト用テープ/アルミチャンバー」(以下「本件使用商品」ともいう。)について

被請求人は、この商品について、「いわゆるパッチ試験を行うための皮ふ試験用器具で、試薬を浸透させた濾紙をアルミニウム製チャンバーで覆うように皮膚に貼り付けてアレルギー反応の診断を行うためのものである」旨述べている。そして、乙第1号証の写真や乙第2号証のパンフレットに写し出されている商品の包装箱や該パンフレットの表題部分には「アルミチャンバー」の文字が大きく表示されており、また、該パンフレットの説明文においても、「アレルギーに安心、99.9%高純度/アルミ箔使用(Ni濃度1ppm以下)」のようにアルミニウム製チャンバーの性能の記載があり、アルミニウム製チャンバーが貼付された状態の皮膚感作テスト用テープの写真が大きく写し出されていることが認められる。

なお、参考のため、例えば、株式会社南山堂発行の医学大辞典(1998年1月16日18版1刷)の「パッチテスト」の項を参照してみれば、「(貼布試験)アレルギー性接触性皮膚炎の診断確定、原因解明のために行う検査。疑わしい物質を皮膚に接触させ、その部位に皮膚炎が生じるか否かを調べる。開放法と閉鎖密封法とがある。前者は被検物質を単に塗布あるいは接触させるだけであり、感度が低い。したがって症状からきわめて強い反応が予想される場合にのみ行う。通常は閉鎖密封法で行い、このためには種々の貼布材料が市販されている。その所定の位置に少量の被検物質を塗布して皮膚に貼布する。部位としては通常背部傍脊柱領域が用いられ、一時に30〜40種の被検物質のテストが可能である。多種類のテスト用アレルゲンも市販されており、原因のスクリーニングや原因物質の同定に利用されている。貼布は48時間行い、除去1時間後と翌日に判定する。」と記載されている。また、インターネット情報をみても、「さいたま市立病院」のホームページ(http://www.city.saitama.jp/www/contents/1190617649662/index.html)には、「パッチテストとは?(皮膚科)/化粧品などのかぶれや薬剤や金属のアレルギーの検査です。方法は単純で、原因の可能性のある化粧品や薬剤、金属の試薬をシールにして皮膚に貼り、どのような反応が皮膚に出るかを皮膚科医が観察し判定します。」とあり、その他、多くの皮膚科医のホームページにおいても「パッチテスト」について紹介されているところである。

これらの記載をも参考のうえ、被請求人の主張や乙第2号証のパンフレットの記載及び該商品の用途を総合してみれば、該「皮膚感作テスト用テープ/アルミチャンバー」なる商品は、試薬を浸透させた濾紙をアルミニウム製チャンバーで覆うように皮膚に貼り付けてアレルギー反応の診断を行うためのものであり、いわゆるパッチ試験を行うための医療用の補助器具と判断するのが相当である。

(イ)使用に係る商標について

本件商標は、前記したとおり、「ALTHERA」の欧文字と「アルセラ」の片仮名文字とを二段に横書きしてなるところ、乙第1号証の写真や乙第2号証のパンフレットに表されている包装箱には、別掲に示したとおり、やゝデザイン化して表された「AL」の欧文字と一般的に見られる書体で表された「アルセラ」の片仮名文字とからなる商標が表示されており、これは、本件商標と同一の構成からなるものとはいえない。

しかしながら、商標の使用は、商標を付する対象に応じて、適宜に変更を加えて使用されるのがむしろ通常であり、本件の場合も、「AL」の欧文字と「アルセラ」の片仮名文字とは、その構成態様からみて、不可分一体のものとはいえず、「アルセラ」の片仮名文字もそれ自体独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得ると認められるものである。

そして、本件商標は、その構成中の欧文字部分からも「アルセラ」の称呼を無理なく生ずるものであって、「アルセラ」の片仮名文字は、該欧文字部分の読みを表したと認められるものであり、特定の意味合いを有しない造語と認められるものである。

そうとすれば、被請求人の使用に係る商標は、欧文字部分が併記されていないという点において、本件商標とは構成を異にするものではあるが、本件商標の有する識別機能に影響を与えるものではなく、本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということができる。

(ウ)してみれば、被請求人は、本件審判についての要証期間内に、日本国内において、取消請求に係る指定商品である「応急手当用温湿布,医療用サポーター,その他の医療用機械器具」の概念中の「医療用の補助器具」の範疇に属する「皮膚感作テスト用テープ/アルミチャンバー」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたものということができる。

(3)請求人の主な反論について

(ア)請求人は、第10類に属する医療用機械器具は、医院又は病院で専ら使用される機械器具をいうものであり、Yahoo辞書によれば、「機械」とは「動力を受けて、目的に応じた一定の運動・仕事をするもの。実験・測定・運動競技などに使う装置・道具」をいい、「器具」とは「簡単な機器や道具類」のことをいうものであるから(甲第2号証及び甲第3号証)、試薬を浸透させた濾紙の固定に使用される本件使用商品は、「機械」及び「器具」のいずれの概念にも当らないものであり、パンフレットの記載からみても、第5類の「医療用テープ」に属する商品である旨主張している。

確かに、該商品の商品名中には、「皮膚感作テスト用テープ」の文字もあり、商品パンフレット(乙第2号証)においても「お肌へのやさしさと使いやすさで選ぶなら・・・」、「肌にやさしいシリコン系粘着剤使用」、「ムレない通気性抜群のウレタン伸縮素材」等のように、テープの特性についての記述もあることから、請求人が主張しているように、該商品が「医療用テープ」の要素をも有していることを一概には否定できない。

しかしながら、前述したように、パッチテストは、試薬を浸透させた濾紙を長時間にわたり皮膚に付着させておく必要上、その濾紙を固定させるテープについても安全性に優れた品質の良い商品が要求されることから、上記の如きテープの特性についての記述がなされているものというべきであって、このような記載があるからといって、本件使用商品が皮膚感作テストに用いられる単なる「テープ」であるということはできない。

そして、前記したとおり、商品の包装箱には「皮膚感作テスト用テープ」の文字よりも圧倒的に大きく「アルミチャンバー」と表示されており、包装箱の裏面に表示されている製品名には「アルセラ アルミチャンバー」とあり、また、乙第2号証の商品パンフレットにおいても、「アレルギーに安心、99.9%高純度/アルミ箔使用(Ni濃度1ppm以下)」のようにアルミニウム製チャンバーの性能の記載があり、アルミニウム製チャンバーが貼付された状態の皮膚感作テスト用テープの写真が大きく写し出されているところである。

また、商品区分について解説した特許庁商標課編「商品及び役務の区分解説」(国際分類第8版対応)によれば、第10類の「医療用機械器具」の解説として、「医院又は病院で専ら使用される機械器具がこの概念に属する」と記載されており、この「医療用機械器具」の概念に属する「医療用の補助器具及び矯正器具」については、「主として医師が処置し又は医師の指導で使用される“器具器械的なもの”に限られる」とあり、「医療用の『腹帯』『脱腸帯』等はこの概念に属する」と記載されている。

一方、請求人が本件使用商品は第5類の「医療用テープ」に属する商品である旨主張している第5類の当該類似群の例示商品は、「医療用腕輪,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,失禁用おしめ,人工授精用精液,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙,胸当てパット」であり、同区分解説によれば、「主として薬局、薬店で販売され、一般に家庭でも使われる衛生用品である」旨記載されている(「ガーゼ」「脱脂綿」等は医師が使用するものも含まれる)。

そうとすれば、本件使用商品は、前記したとおりのものであって、一般的にみて、家庭でも使われる衛生用品というようなものではなく、主として医師が処置し又は医師の指導で使用される“器具器械的なもの”というべきであるから、「商品及び役務の区分解説」に照らしてみても、「医療用機械器具」の概念に属する「医療用の補助器具及び矯正器具」の範疇に属する商品とみるのが相当である。

更に、請求人は、Yahoo辞書における機械や器具の定義を引用して、本件使用商品は「医療用機械器具」の概念には当らない旨主張しているが、商標法上の商品区分は、商標法の目的に即して、商品の用途等も考慮して定められているものであって、必ずしも、物理的な「機械」や「器具」の定義に対応する関係にあるものではなく、現に、上記した「医療用機械器具」の概念に属する「医療用の補助器具及び矯正器具」の中には、医療用の「腹帯や脱腸帯」も医師が処置し又は医師の指導で使用される“器具器械的なもの”として、この概念に属する旨記載されているところである。

そして、本件使用商品が請求人の主張しているように第5類の「医療用テープ」に属する商品としての側面を有しているとしても、不使用取消審判においては、登録商標が使用されている商品の実質に則して、それが真に二つの分類に属する二面性を有する商品であれば、当該二つの分類に属する商品について、登録商標が使用されているものと扱っても取消審判制度の趣旨に反することにはならないものと解されている。

そうとすれば、被請求人の業務に係る「皮膚感作テスト用テープ/アルミチャンバー」なる商品は、「医療用テープ」としての機能を有しつつも、試薬を浸透させた濾紙をアルミニウム製チャンバーで覆うように皮膚に貼り付けてアレルギー反応の診断(いわゆるパッチ試験)を行うためのものであるから、取消請求に係る第10類「応急手当用温湿布,医療用サポーター,その他の医療用機械器具」中の「医療用の補助器具」の範疇に属する商品とみても差し支えないものというべきである。

(イ)請求人は、乙第3号証は被請求人と取引関係にある者が作成したものであるから、その信用性について疑念が生じ、また、公証がされていないので、同証拠の信憑性に強い疑いを抱かざるを得ない旨主張している。

しかしながら、該証明書に添付されている2枚の売上伝票は、被請求人が日本産業皮膚衛生協会に宛てたものであって、全体の体裁からみて、積極的に疑念を抱かせる不自然なところは見当たらない。また、該証明書に添付されている日本産業皮膚衛生協会のホームページにしても、「2009/11/19 第1分科会の議事録2009年度第3,4回、追加いたしました。」の項目にはじまり、時系列的に各種の分科会の議事録や理事会の議事録等が掲載されているものであって、2008年2月4日の欄に「ALアルセラ アルミチャンバーページを作成しました。」の項目が記載されている。そして、インターネット上の日本産業皮膚衛生協会のホームページにおいて、この項目をクリックすれば、乙第3号証の証明書に添付されている「ALアルセラ アルミチャンバー」のページと同じページが開くことを確認することができるものである。

そうとすれば、乙第3号証の証明書は、被請求人と取引関係にある者により作成されたものであるにしても、証明書に添付の各資料自体に疑念を抱かせる不自然なところは見当たらず、その成立を否定するに足る証拠も提出されていないから、この点についての請求人の主張は採用できない。

(ウ)更に、請求人は、乙第1号証の写真は撮影者及び撮影日時を特定する記載がなく、また、乙第2号証のパンフレットも発行日時を特定する記載がないから、いずれも本件商標が審判請求登録前3年以内に本件商標が使用されたことの証拠とはならない旨主張している。

しかしながら、確かに、乙第1号証の写真や乙第2号証のパンフレットにはその撮影日や発行日を特定する記載は見当たらないが、前記したとおり、乙第3号証に添付されている売上伝票によれば、被請求人は、日本産業皮膚衛生協会に対して、2008年3月21日及び2009年5月25日に、「アルセラアルミチャンバー」をそれぞれ10ケースと5ケースを販売したものと推認することができるものである。そして、該売上伝票に記載されている「4901987239604」なるコードと乙第1号証の写真に表されている包装箱や乙第2号証のパンフレットに表示されているコードとが一致していることからみれば、該写真の商品やパンフレットに掲載されている商品が販売されていたものとみるのが自然であり、該パンフレットもその当時において取引に供されていたものとみるのが自然である。

したがって、この点についての請求人の主張も採用できない。

(4)まとめ

以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を取消請求に係る指定商品である「応急手当用温湿布,医療用サポーター,その他の医療用機械器具」の概念中の「医療用の補助器具」の範疇に属する「皮膚感作テスト用テープ/アルミチャンバー」について使用していたことを証明したものといわなければならない。

したがって、本件商標の指定商品中、本件審判の請求に係る第10類「応急手当用温湿布,医療用サポーター,その他の医療用機械器具」についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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