Trademark Appeal Case
資金スイープの記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2009−5746(T2009−5746/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「資金スイープ」の文字を標準文字により書してなり、「預貯金からの株式等の買付代金の自動振込・振替」を含む第36類に属する別掲のとおりの役務を指定役務として、平成19年12月26日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定において、「本願商標は、『資金スイープ』の文字からなるところ、例えば『預金から株式の購入資金へ、普通預金から定期預金へ、株式売却代金から投資信託購入資金へなど、本来の目的とは異なる他の目的のために資金移動をすること』程の意味合いで使用されているものと認められるから、本願商標を『預貯金からの株式等の買付代金の自動振込・振替』等の役務について使用しても、『顧客より受け入れた金銭を自動的に投資信託などの購入に運用する金融商品』等に関する役務である旨を表示したものと一般需要者に認識させるに止まり、自他役務の識別標識としての機能を有さず、単に役務の質(内容、提供の方法)を表示したにすぎない商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であっても、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(最高裁昭和53年(行ツ)第129号、昭和54年4月10日第三小法廷判決)。
そして、商標登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号にいう「役務の提供の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当するというためには、必ずしも当該指定役務が現実に提供されていることを要せず、需要者又は取引者によって、当該指定役務が提供されているであろうと一般に認識されることをもって足りるというべきであると解される(最高裁昭和60年(行ツ)第68号、昭和61年1月23日第一小法廷判決参照)。
(2)上記(1)を踏まえて検討するに、本願商標は、前記1のとおり、「資金スイープ」の文字よりなるところ、その構成中前半の「資金」の文字は、広辞苑(第6版)によれば、「営利・経営などの目的に使用される金銭。もときん。もとで。」等と記載され、また、同後半の「スイープ」の片仮名文字は、集英社発行の「imidas2007」には、「スイープ [sweep]」の見出し語の下に、7番目の意味として「証券 スイープアカウント.資金総合口座.」との記載が、そして、三省堂発行の「コンサイスカタカナ語辞典(第3版)」には、「スイープ[sweep (掃く)]」の見出し語の下に、「〜口座 [sweep account]」の見出し語が設けられ、「銀行の預金と証券会社の債権運用を組み合わせた資金口座.銀行の普通預金が一定額以上になると超過分を中期国債ファンドに回し,一定額以下になると自動的に中期国債ファンドを解約して預金に充当する.」との記載があるとおり、「スイープ」の語が、前記意味合いを有する外来語として一般的にも知られているというべきである。
なお、「スイープ」の語が、本願指定役務中「預貯金からの株式等の買付代金の自動振込・振替」等のサービスを行う業界において、前記意味合いを有する語として普通に使用されている実情は、先に通知した拒絶理由通知及び拒絶査定で示された使用例に加え、以下のインターネット情報及び新聞記事情報の記載例をみても十分に窺えるところである。
ア インターネット情報
(ア)「投資信託入門講座」のタイトルの下、「住信SBIネット銀行のサービス内容」のサブタイトルの下に、「住信SBIネット銀行は資産運用に優れたサービスを提供するネットバンクです。・・・その連動サービスはとても便利で、代表的なサービスとして資金スイープサービスである『ハイブリッド預金』があげられます。」との記載(http://www.toshin-guide.com/sec_bank/netbankranking_sumisin.html)。
(イ)「デジタル大辞泉の解説」のタイトルの下、「スイープ‐こうざ【スイープ口座】」のサブタイトルの下に、「《 sweep account 》銀行の普通預金と証券会社の中期国債ファンドを組み合わせた資金総合口座。普通預金の残高が一定額以上になると、その超過分を中期国債ファンドに回し、逆に一定額を下回ると、自動的に中期国債ファンドを解約して補充する仕組みのもの。」との記載(http://kotobank.jp/word/%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%83%97%E5%8F%A3%E5%BA%A7)。
(ウ)「証券比較」のタイトルの下、「自動スイープとは」のサブタイトルの下に、「東海東京証券で証券総合口座ファンドでMRFで投資信託をしている場合でも買い付けけの時に自動スイープされます。この自動スイープとは、証券を買付けするときに、MRFでの投資が自動的に解約されて、そのまま買い付けへと代金に充当されることです。逆の場合もあって、証券を売る時に売却代金をそのままMRFでの自動買付けが行われるという仕組みになります。」との記載(http://証券比較.sblo.jp/article/4878150.html)。
(エ)「MRFと自動スイープ機能で資産運用」のタイトルの下、「自動スイープ」のサブタイトルの下に、「株式、債券、投資信託等の買付代金は、MRFを自動的に解約して決済いたします。株式、債券、投資信託等の売却代金、利金・分配金等は、自動的にMRFを買付運用いたします。」の記載(http://nctt.co.jp/acount/sougoukouza.html)。
イ 新聞記事情報
(ア)朝日新聞1984.12.10 東京朝刊
「スイープ口座(新語ABC・金融革命)」の見出しの下、「金融機関と証券会社の提携商品の代表格で・・・金融機関の普通預金(年利1.5%)と証券会社の中期国債ファンド(同5.475%)をコンピューターで結び、余裕資金を中国ファンドで効率的に運用できるのが特長だ。」との記載。
(イ)日刊工業新聞 2008.09.11
「ABNアムロ銀、日本企業向けに海外資金の一元管理サービス」の見出しの下、「オランダのABNアムロ銀行は・・・主力サービスとして、『クロスボーダー・キャッシュ・オプティマゼーション』(CBCO)を投入する。・・・企業側はCBCOを導入することで、スイープ(買い付け・解約の手続き)や支払いなど、企業の財務担当者の管理負担が発生しないため、事務の効率化にもつながる。」との記載。
(ウ)読売新聞 1987.04.21 東京朝刊
「特集・金融新時代 財テク用語証券編『中期国債ファンド』」の見出しの下、「中期国債を中心にした公社債で運用する投資信託の一つ。・・・一部の相互銀行、信用金庫などでは、普通預金が三十万円を超えると、自動的に中国ファンドを購入、逆に下回ると普通預金に戻る『スイープ・アカウント』システムも実施している。」との記載。
そして、本願商標の指定役務中には、「預貯金からの株式等の買付代金の自動振込・振替」等を含むものであるから、その需要者又は取引者は、銀行に預貯金を有する預金者及び株式等の取引を行う一般取引者と、その預貯金を取り扱う銀行員や証券会社の社員であると認められるところ、このような者が、「資金」と「スイープ」の文字を結合したにすぎない本願商標「資金スイープ」に接した場合には、それぞれの語が持つ前記意味合いからして、原審説示の如く、「預貯金の口座から資金を株式等の購入資金へ、反対に株式売却代金等を預貯金の口座へ、自動的に資金が振り替えられるサービス」程の意味合いを有する語であると認識し、理解することは、極めて当然のことといえるものである。
以上を総合勘案すれば、本願商標は、単に役務の質(内容)を表示したものと理解するに止まるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
(3)請求人の主張
ア 請求人は、「『資金スイープ』と言う言葉が特定の意味を直感させるものとして市場において普通に使用されていないことに鑑みれば、識別力を有する商標として登録されてしかるべきである」旨及び「市場で普通に使用されている事実のない言葉の組み合わせからなる結合商標は、一見識別力を欠くように思える『ウィークマーク』であったとしても、識別力を有する商標として登録されるべきものである」旨をそれぞれ主張している。
しかしながら、本願商標が識別力を有するか否かについては、その指定役務に係る需要者又は取引者が、本願商標に接した場合に、これをどのように認識し理解するかが重要なのであるから、需要者又は取引者が、役務の質、すなわち、役務の内容を表示したものと一般に認識することをもって足りるというべきである。
そして、本願商標の指定役務に係る需要者又は取引者が、その言語的意味からすれば、本願商標を「預貯金からの株式等の買付代金の自動振込・振替」という役務の内容を表示したものと一般に認識することは、前記したとおりであるから、請求人の主張は採用できない。
イ 請求人は、また、「本願商標は『資金スイープ』であって、『資金スウィープ』ではないこと、英単語『sweep』から発生する称呼は『スウィープ』であって『スイープ』でない」旨主張している。
しかしながら、前記「コンサイスカタカナ語辞典(第3版)」を用いて「スウィープ」の文字を検索すると、「スウィープ → スイープ」と記載されており、「次の見出し語を見よ」の意味で用いているとの解説のとおり、「スウィープ」の文字は、むしろ「スイープ」と表記する方がより一般的であることが、この例からも認められる。よって、請求人のこの主張も採用できない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとした原査定は、妥当なものであって、これを取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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