Trademark Appeal Case
テラコッタ色名の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2009−7514(T2009−7514/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「TERRACOTTA」の文字を標準文字により表してなり、第3類に属する「化粧品,香料類,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、平成19年7月19日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『TERRACOTTA』の文字を書してなるものであり、この文字が、素焼きの器の他に濃い茶色の意味を表わしテラコッタ色とも称されて使用されていることから、これを本願指定商品に使用しても、取引者・需要者は、自他商品の識別標識として認識すると言うよりも、出願人の扱う商品の化粧品などの色彩において、テラコッタ色のものと理解するにすぎず、本願商標は、単に商品の品質を表示するものであるから、自他商品の識別標識としての機能を有しないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであるとともに、商品の品質その他の特性については、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないことによるものと解される(最高裁昭和54年4月10日第三小法廷判決・裁判集民事126号507頁参照)。
(2)これを本願についてみるに、本願商標である「TERRACOTTA」の文字は、「ランダムハウス英和大辞典第2版(株式会社小学館)」によれば、「濃い茶色。テラコッタ色。代赭色。」の意を有する語である。また、「コンサイスカタカナ語辞典第3版(株式会社三省堂)」によれば、「テラ・コッタ(terra cotta)」は、「赤茶色の粘土の素焼き.また、その色.」と記載されている。さらに、その他の辞典類、例えば、「色名事典(株式会社新紀元社)」及び「色名事典 MANUAL of COLOR NAMES(日本色研事業株式会社)」にも、同様の記載がされている。
加えて、本願指定商品を取り扱う業界においては、例えば下記のとおり、色彩表示の一つとして、「TERRACOTTA」の文字やこの表音と認められる「テラコッタ」の文字が使用されていることが認められ、これらの事実によれば、本願商標の審決時において、「TERRACOTTA」の語は、商品の色彩名として、その取引者、需要者において、一般に知られているものと認めるのが相当である。
ア インターネット上の「green」のホームページにおいて、「クリニーク カラーサージアイシャドウデゥオ TERRACOTTA[7451]」、「■カラー:TERRACOTTA」との記載がある。
(http://www.green-shop.biz/product/138)
イ インターネット上の「@cosme(アットコスメ)」のホームページにおいて、「マンダムエムザ事業部」、「クレージュ プティ プードゥル ピュール メイクアップベース パウダー ルースパウダー」、「限定3色 13:ゴールド 14:シルバー 15:テラコッタ」との記載がある。
(http://www.cosme.net/product/product_id/340995/top)
ウ インターネット上の「楽天市場」のホームページにおいて、「コーセー エスプリーク ルースパウダー」、「カラー 01テラコッタ」との記載がある。
(http://www.rakuten.co.jp/cosmeland/166670/271402/271418/)
エ インターネット上の「MSN ビューティスタイル」のホームページにおいて、「ヴィヴィアン・ウエストウッド コスメティクス マットネイルカラー」、「新2色 神秘的で印象的な夏の新色が登場。・テラコッタ ・ローズポンバドール」との記載がある。
(http://beautystyle.jp.msn.com/beauty/search/details.aspx?pagetype=3&maker=2361&brand=0&item=23&brandcategory=0&price=0&saledate=0&sort=7&page=1&product=103675&keyword)
オ インターネット上の「ネイル@Color」のホームページにおいて、「OPIロシアン・コレクション」の「Nail Art」の項目に「色合わせがコツ!テラコッタのフレンチ ・OPI R56ルーブル・フォ・ユア・ソーツでフレンチに仕上げる。」、「Colors」の項目に「OPI R56ルーブル・フォ・ユア・ソーツ ★カラー★ 華やかな赤みのテラコッタ」との記載がある。
(http://www.colorshop-jp.com/OPI07awRussianCollection.htm)
カ インターネット上の「ナチュラルコスメ&ナチュラルスキンケア 自然派化粧品」のホームページにおいて、「ロゴナ リップスティック・ロータリー」、「口紅」、「カラー:01ローズ カラー:02ピンク(略)カラー06:テラコッタ(略)」との記載がある。
(http://www.organic-cosme.co.jp/shopping/item/150/)
キ インターネット上の「そごう・西武ネット イケセイKIREI」のホームページにおいて、「エスティローダー シグネチャー リップスティック」、「色 01ピンクサンド 02ラストラスピンク(略)56:テラコッタ(略)」との記載がある。
(http://net.sogo-seibu.co.jp/ikesei/kirei/goods/index.html;jsessionid=2BF2651D2E2CAC5D0597E00FD17B99DF.W2?ggcd=0027131489306)
そうとすると、「TERRACOTTA」の語は、「アイシャドウ,フェイスパウダー,ネイルエナメル,口紅」といった化粧品を取り扱う業界においては、色彩表示の一つとして使用されているもので、取引者、需要者に広く知られているものであるから、本願商標をその指定商品に使用する場合は、当該商品の品質(色彩)を表示するものとして認識されるものであり、自他商品識別機能を有しないものと認められる。そして、上記のとおり化粧品を取り扱う業界において色彩表示の一つとして使用されている事実もあるから、これを特定人に独占使用させることは公益上適当でないものというのが相当である。
(3)これに対し、請求人(出願人)は、平成21年6月10日付けの手続補足書をもって証拠方法として甲第1号証ないし甲第28号証を提出し、「TERRACOTTA」なる本願商標は、商品「化粧品」への永年の使用によって自他商品の識別性を獲得しているので、商標法第3条第2項に該当する旨主張している。
そこで、本願商標が当該条項の要件を具備するに至っているか否かについて、以下、検討する。
甲第1号証ないし甲第28号証によれば、甲第1号証ないし甲第3号証は、請求人(出願人)のインターネットホームページ及び請求人(出願人)を紹介する内容のインターネット記事やゲランテラコッタの紹介記事であり、甲第4号証ないし甲第9号証は、請求人(出願人)に係る商品を掲載した2008年5月号から7月号の雑誌、甲第10号証ないし甲第28号証は、請求人(出願人)に係る商品の販売や商品情報の提供を行うインターネット情報であるところ、これらの証拠からは、1984年に製品化され、インターネットにおいて販売されていることは認められるものの、我が国における販売開始時期が明らかでないなど、本願商標の具体的な使用開始時期及び使用期間、使用地域、当該商品の販売数量等並びに広告宣伝の回数等について、何ら示されていない。
また、本願商標は、前記1のとおり、「TERRACOTTA」の文字を書してなるものであるところ、請求人(出願人)が商品「化粧品」について使用した結果、自他商品の識別性を獲得しているとして提出した甲各号証には、請求人(出願人)のハウスマークである「ゲラン(Guerlain)」の文字と共に使用されており、本願商標である「TERRACOTTA」のみで使用されているものはほとんどみあたらない。
したがって、請求人(出願人)が提出した証拠によっては、本願商標が、その指定商品に使用された結果、請求人(出願人)の業務に係るものとして、「TERRACOTTA」の文字のみで、需要者間に広く認識されるに至っていると認めることができない。
なお、請求人(出願人)は、「本願商標が『濃い茶色』の意味を有するとしても、出願人の商品はかかる色の商品に限定して使用されているものではない。その結果、『TERRACOTTA』又は『テラコッタ』という言葉は、本来の意味を超えて、出願人の商品名として需要者に把握されるものになっているものである。」旨主張する。
しかし、たとえ請求人(出願人)が濃い茶色以外の色彩の商品に本願商標を使用していたとしても、「TERRACOTTA」の文字が有する意味合い及び化粧品を取り扱う業界において色彩を表わすものとして広く使用されている実情からすれば、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、当該商品が濃い茶色、テラコッタ色の商品であると理解し、商品の品質(色彩)を表示したものと認識するといわざるを得ない。
また、請求人(出願人)は、原審において、「本願商標は諸外国において商標登録を受けている。また、我が国において『Guerlain TERRACOTTA』が商標登録を受けている。これら状況からも、本願商標が本出願人の出所を表示するものとして広く知られていることは明らかである。」旨主張する。
しかしながら、仮に本願商標が他国において商標登録されている例があるとしても、そもそも本願商標が識別力を有するか否か、また、使用された結果、請求人(出願人)の業務に係るものとして、需要者間に広く認識されるに至っているか否かは、我が国の商標法、我が国の取引の実情の下で、我が国の需要者の視点に立って判断されるべきものであって、他国における登録例をもって直ちに判断されるべきものではない。また、我が国における登録例は、請求人(出願人)のハウスマークである「Guerlain」の文字と共に登録されているものであるから、当該登録例をもって直ちに「TERRACOTTA」の文字のみが独立して、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者間に広く認識されるに至っていると認めることができない。
よって、上記請求人(出願人)の主張は、いずれも採用することができない。
(4)以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、商標法第3条第2項の要件を具備するに至ったものとも認めることができない。
したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号に該当するとして拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。