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Trademark Appeal Case

ローマ字氏名と他人の氏名

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2009−9262(T2009−9262/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第9類「録音済みもしくは録画済みのコンパクトディスク・MD・DVD・磁気テープ・磁気カード・磁気ディスク・光磁気ディスク・光ディスク,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」及び第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,音楽の演奏,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),レコード又は録音済み磁気テープの貸与」を指定商品及び指定役務として、平成20年6月11日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、その構成中に日本人女性の氏名のローマ字表記であって、下記のように『田中景子、田中恵子』等の人物が多数存在している『Keiko Tanaka』の文字を有してなるものであり、かつ、その者の承諾を得たものとは認められない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。」旨認定し、本願を拒絶したものである。

(1)「田中景子」(http://www.keiko-ballet.com/)

(2)「田中恵子」(http://www.sk-consul.co.jp/koshi/tanaka_ke/index.html)

(3)「田中恵子」(http://www.dma.jim.osaka-u.ac.jp/kg-portal/aspI/RX0011D.asp?UNO=16653&page=)

3 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第8号について

本願商標は、別掲のとおり、大きく緑色に着色された「G」と思しき文字にピアノのけん盤を思わせるデザインを施した図形とその下に「Keiko Tanaka」との欧文字を横書きした構成からなり、その構成態様から図形部分及び文字部分は、それぞれ独立して自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得るものである。

ところで、海外旅行に必要なパスポートの氏名や商品等の代金の支払手段の一つであるクレジットカードの氏名は、日本人の氏名を名及び氏の順にローマ字で表記(以下、「ローマ字表記」という。)されている。また、例えば、上記(1)及び(3)のウェブサイトには「Keiko Tanaka」及び「Keiko TANAKA」の記載があるように、氏名をローマ字表記することが社会全般において広く行われている。

そうとすると、上記のとおりの構成からなる本願商標は、これに接する取引者、需要者は、本願商標の構成中の「Keiko Tanaka」の文字部分を容易に氏名をローマ字表記したものと認識するものと判断するのが相当である。

してみれば、本願商標は、その構成中に他人の氏名を含むものといわなければならず、かつ、前記2の拒絶の理由で示された者の承諾を得たものとは認められない。

したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。

(2)請求人の主張について

請求人は、ローマ字の表記は、日本人の氏名として戸籍上も認められておらず、商標法第4条第1項第8号にいう「氏名」に該当しない旨主張し、また、氏名のローマ字表記は、多様な漢字の氏名と結び付き得るものであって、いずれか一つの氏名には結び付かないものであるから、特定の氏名とは結び付かない以上、それらの氏名を有する者の人格的利益を害することにはならない旨主張している。

しかしながら、同号に規定する「氏名」が戸籍上の氏名の表記に限定される旨の規定はない。

そして、上記のとおり、我が国において、氏名をローマ字表記することは、日常一般的に行われており、氏名のローマ字表記に対応する漢字等による表記が一通りでないとしても、呼び方を同じくする氏名は、これをローマ字表記する場合、同一のローマ字で表記せざるを得ないものであり、雅号、芸名若しくは筆名とは異なり、恣意的に選択する余地がない。

また、氏名のローマ字表記は特定の氏名とは結び付かないものではなく、そのローマ字表記による氏名に接した者は、それと同じ呼び名の者を認識するのであり、それと同じ呼び名をする者は当該表記を自己の氏名と認識するのである。

そうとすると、氏名のローマ字表記であっても、他人がそれを商標として、採択使用することは、そのローマ字表記された氏名の者の人格的利益を害するものといわなければならず、人格的利益の保護という同号の趣旨からも氏名のローマ字表記も同号に規定する「氏名」に該当するものというべきである。

また、仮に、商標法上の「氏名」が戸籍上の氏名に限定されるとすると、著名性を有しない限り、他人による商標登録がなされた場合は、その効力が及ぶこととなるが(商標法第26条第1項第1号)、上記のとおり、氏名をローマ字表記することは一般的に行われているのであり、氏名の漢字等が異なるとしても、そのローマ字表記は選択の余地がないにもかかわらず、その使用が制限されることとなる。このことは、平仮名表記や片仮名表記についても同様である。この点からみても、商標法における「氏名」は戸籍上の氏名の表記に限定されるべきものではない。

したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。

(3)むすび

以上のとおり、本願商標は、その構成中に他人の氏名を含む商標であり、かつ、前記他人の承諾を得ているとは認められないものであるから、商標法第4条第1項第8号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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