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Trademark Appeal Case

商標周知性の判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2009−900289(T2009−900289/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5231099号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5231099号商標(以下「本件商標」という。)は、「LIERRE」の欧文字と「リエール」の片仮名文字とを上下二段に横書きしてなり、平成20年10月2日に登録出願、第14類「身飾品,貴金属,キーホルダー,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,時計」を指定商品として、平成21年4月20日に登録査定され、同年5月15日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由(要旨)

1 申立ての理由の要点

本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消されるべきである。

2 第4条第1項第10号について

(1)本件商標と引用商標の類似性ついて

本件商標は、「LIERRE」の欧文字と「リエール」の片仮名文字とを上下2段書きしてなるものであるのに対し、引用商標は、別掲のとおり、「Lierre/リエール」の構成よりなるものであるから、その外観上、欧文字部分について前者がブロック体かつ全文字大文字表記であるのに対し、後者が筆記体かつ2文字目以降が小文字表記である点等に僅かに相違があるにすぎず、称呼及び観念についてはまったく同一である。してみれば、本件商標は、引用商標と同一又は類似関係にある商標に該当することは明らかである。

(2)引用商標の周知性について

ア 申立人による引用商標の使用状況

申立人は、宝石、貴金属、時計、装身具類等の加工、卸販売並びに輸出入等を目的とする株式会社であるところ、平成13年11月以降、結婚指輪である商品「Lierre/リエール」(以下「本件商品」又は「リエール」という。)について、別掲に示したとおりの構成からなる引用商標を広く使用して、今日に至っている(甲3、甲4)。

イ 本件商品の販売個数等

申立人における本件商品の売上規模は、販売開始時である平成13年11月から平成20年9月までの83ヶ月において、販売個数合計3万7593個、売上高合計13億6918万9451円(消費税込)に達しているところである(甲5ないし甲10)。

ウ 本件商品の販売シェア

国内における本件商品の販売シェアについては、刊行物等がなく正確な実態は不明であるものの、例えば「Japan PRECIOUS」平成16年(2004年)冬号(甲19の8)において公表されている「ブランドジュエリー売上ランキング」によれば、「リエール」(本件商品)は、平成15年(2003年)度において約500ブランド中84位に位置づけられている。なお、同ランキングは、結婚指輪だけでなく各ブランドが取り扱うジュエリー商品全体の合計売上高に基づくものであるところ、同ランキングにおいて表記されている本件商品の売上高は結婚指輪のみの売上高であることから、結婚指輪単体の売上高で考えるならば、本件商品が全国的に相当程度のシェアを有する商品であることは明らかである。

エ 本件商品を扱う小売店等の数

申立人は、平成13年11月以降、本件商品を全国各都道府県に所在する小売店及び仲卸業者に対し継続的に販売して今日に至っており、本件商品を取り扱う小売店の数は、その販売開始時以降現在に至るまで、申立人が把握しているだけでも500店前後にて推移している(たとえば、平成20年2月時点において申立人が把握している小売店の数は全国に530店(甲11)、平成21年7月時点において申立人が把握している小売り店数は全国に411店(甲12)となっている(甲9、甲10)。そして、正確な数は不明なるも、本件商品は、仲卸業者を通じて、申立人が把握していない相当な数の小売店においても販売されているものと考えられる。

さらに、本件商品は、上記小売店以外にも、通信販売(甲13)及びインターネット上の仮想店舗を通じて販売されている。なお、インターネット上の仮想店舗数について、申立人はその総数を把握していないが、インターネット上のウェブ検索エンジンによる検索結果からすれば、本件商標の出願時以前から本件商品を扱う仮想店舗が多数存在していたことが明らかである。(例えば、申立人が平成21年7月30日に著名なウェブ検索エンジンであるGoogleを用いて、「1ierre」及び「指輪」のキーワードでウェブ検索を行ったところ、該当件数は2120件であり、かつ、そのほとんどが本件商品を販売する仮想店舗に関わるウェブサイトであった。甲14)

オ 引用商標の宣伝広告状況

申立人は、本件商品に関する販促活動の一環として、「リエールパンフレット」(甲3)を制作しており、販売開始時から2008年9月までの間に合計31万8000部を作成して小売店等に頒布しており、また、当該作成費用として合計804万4785円(消費税込)を支出している(甲15、甲16)。

カ 引用商標の紹介記事等

本件商品は、その販売当初から「旬刊時計美術宝飾新聞」(甲17)、「中部時眼宝飾新聞」(甲18)等の各種媒体に取り上げられ、その後も、「Japan PRECIOUS」(甲19の1ないし14)、「ゼクシィ」(北海道版、東海版、広島岡山山口版、四国版等、甲20の1ないし6)、「関西ゼクシィ」(甲21の1及び2)、「結婚賛歌(北陸版)」(甲22)、「Jewe1rist」(甲23)等の各種雑誌においても頻繁に紹介されている。

キ 本件商品の最終需要者等

本件商品は前記のとおり結婚指輪であるから、その最終需要者は婚約者等に限定され、その購入個数も1人1個に限られるものである。なお、平成20年度の全国における婚姻数は72万6113組であるとされている(甲24)。また、結婚指輪は、一般的には結婚の証ないし記念として購入されるものであることから、需要者としては、店舗において複数の商品を充分に比較検討したうえで購入に至るのが通常であると考えられる。

したがって、本件商品は、前記のとおりの販売地域及び取り扱い店舗数に照らすならば、その実販売個数により窺われる以上に、需要者に広く浸透しているというべきである。

(3)まとめ

以上の事実関係等を総合すれば、引用商標は、その出願の日である平成20年10月2日以前には、申立人の業務に係る商品を示す商標として、需要者の間に広く認識されていたものであることが明らかである。

してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼、及び観念を共通にする同一又は類似の商標であり、また、本件商標が出願された平成20年10月2日以前には、本件商標に類似する引用商標が、本件商標の指定商品を指称する商標として取引者、需要者の間に広く知られていたものである。

したがって、本件商標登録は、引用商標と類似する商標であって、商標法第4条第1項第10号の規定に違反してなされたものである。

3 第4条第1項第15号について

前記のとおり、申立人は、本件商品を、平成13年11月以降、全国各都道府県に所在する小売店及び仲卸業者に対して販売して今日に至っており、本件商品は需要者の間に広く認識されているものである。

してみれば、本件商標が指定商品について使用された場合には、指定商品の分野の需要者において、申立人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかである。

したがって、本件商標登録は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反してなされたものである。

第3 当審の判断

1 引用商標の周知、著名性について

申立人は、商品「結婚指輪」(以下「使用商品」という。)について、別掲に表示した引用商標を広く使用して、需要者の間に広く認識されている旨の主張をしているので、この点について検討する。

甲第3号証は、申立人の使用商品についてのパンフレットとされるものであり、使用商品について引用商標が表示されている。なお、パンフレットにページ表記及び作成日の日付等の記載はない。

甲第4号証は、使用商品の説明資料(全3ページ)とされるものである。各ページの上部に引用商標が表示されている。2ページ目の「発売」の項目に「2001年11月」の日付がある。

甲第5号証は、使用商品に係る「月別売上本数及び金額一覧」である。2001年11月から2008年9月までの6年11ヶ月の期間で、売上本数の合計は、37,593本であり、売上金額は、税込合計で1,369,189,451円である。

甲第6号証の1、甲第7号証の1及び甲第8号証の1は、それぞれ平成17年7月、平成20年8月、同年9月の「売上伝票一覧表」である。各月の売上本数及び売上金額は、甲第5号証の該当月に合致する。

甲第6号証の2、甲第7号証の2及び甲第8号証の2は、それぞれ平成17年7月、平成20年8月、同年9月の「納品書(控)」「商品売上伝票」等の取引書類である。

甲第9号証は、「リエール販売証明書一覧」である。

甲第10号証の1ないし24は、使用商品の仕入れ及び販売に関する小売店の「リエール販売証明書」及び「リエール販売確認書」である。

甲第11号証の1は、2008年2月における被請求人に係る小売店530店舗等の「全国展開店舗分布図」である。

甲第11号証の2は、2008年2月における被請求人に係る小売店の「社名」「店舗名」「住所」等記載された「リエール08/02全国小売店舗及び仲卸一覧」である。

甲第12号証の1は、2009年7月における被請求人に係る小売店411店舗等の「全国展開店舗分布図」である。

甲第12号証の2は、2009年7月における被請求人に係る小売店の「社名」「店舗名」「住所」等記載された「リエール09/07全国小売店舗及び仲卸一覧」である。

甲第13号証は、Jewel Box社のカタログとされるものである。そこには、引用商標及び使用商品が表示されている。

甲第14号証は、Googleの「lierre 指輪」の文字を検索キーとする検索結果である。

甲第15号証は、「リエールパンフレット作成部数及び費用」をタイトルとする一覧表である。これによれば、平成13年10月から平成20年10月までに、全部数は、318,000部作成されており、全費用(税込)は、8,044,785円である。

甲第16号証の1ないし22は、平成13年から平成20年までの「リエールパンフレット」の納品書(控)等である。

甲第17号証は、2001年11月10日の「旬刊時計美術宝飾新聞」である。

甲第18号証は、2007年5月1日の「中部時眼宝飾新聞」である。

甲第19号証の2ないし14は、13件の雑誌資料であり、2002年から2008年にかけての季刊「JAPAN PRECIOUS」(株式会社矢野経済研究所 発行)である。

甲第20号証の1ないし6、甲第21号証の1及び2は、8件の雑誌資料であり、2002年8月から2007年1月にかけての「ゼクシィ」(株式会社リクルート 発行)である。

甲第22号証は、2007年春号の「結婚賛歌」(奥付なし)をタイトルとする雑誌である。

甲第23号証は、2004年9月号の「Jewelrist」(奥付なし)をタイトルとする雑誌である。

甲第24号証は、2009年7月14日に印刷された厚生労働省のホームページであり、「婚姻」に関する統計資料である。

上記の甲各号証によれば、申立人は、2001年11月から引用商標を使用した結婚指輪(使用商品)の販売を行っているものである。そして、その販売は、2008年2月及び2009年7月の時点において被請求人に係る530店舗及び411店舗の小売店等で行われていたものということができる。

しかしながら、引用商標の使用された使用商品は、2008年9月までの6年11ヶ月の期間で、売上本数の合計は、37,593本であり、売上金額は、税込合計で1,369,189,451円である。そして、売上本数の一番多いときで2002年度が8,635本であり、その年の婚姻件数が75万7331組(厚生労働省:統計)であることからすると、結婚指輪の需要は、およそ151万4千本ほどが見込まれるところ、申立人の使用商品のシェアは約0.6%程度である。

また、甲第15号証の「リエールパンフレット作成部数及び費用」によれば、2001年10月から2008年10月までに作成された全部数は、318,000部であって、全費用(税込)は、8,044,785円である。

しかし、およそ7年間でパンフレットの部数が相当数作成されたとしても、一番多いときで2005年度が69,000部であり、その年度の売上本数(5,437本)を見てもそれほどの効果を見ることはできないものである。

また、提出された雑誌、新聞(枝番を含む甲第17号証ないし甲第23号証)による引用商標についての宣伝、広告の証拠は少なく、その広告量、広告費は不明である。

そして、使用商品の結婚指輪を含むいわゆるジュエリーとよばれる宝石、貴金属類の商品の分野に係る市場規模は、相当なものということができるから、引用商標の使用された使用商品の売上額は、さほど多いということはできないものである。

してみれば、申立人は、宝石、貴金属類の商品中の結婚指輪のみに引用商標を使用していることは認められるものの、その使用は、宝石、貴金属類の商品の分野に係る市場規模において、その売上本数及び売上金額、新聞、雑誌による宣伝及び広告の事実によれば決して多いとはいえないものであるから、これらの証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において既に、申立人が、宝石、貴金属類の商品に使用する商標として、日本国内における需要者の間に広く認識され、周知、著名性を獲得するに至っていたとは認め難いものである。

2 商標法第4条第1項第10号及び同第15号について

引用商標は、上記認定のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において既に申立人が宝石、貴金属類の商品に使用する商標として、需要者の間に広く認識されるに至っていたものとはいい難いものである。

してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しないものである。

また、本件商標に接する需要者等が、直ちに申立人の宝石、貴金属類の商品、あるいは申立人又は同人と関連のある会社であることを想起するとはいい難いことから、本件商標をその指定商品に使用しても、申立人、又は同人と関係のある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがあるとはいえないというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しないものである。

3 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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