Trademark Appeal Case
足温器と保温具の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 判定2010−600005(T2010−600005/J6) |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | other |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第1036120号商標(以下、「本件商標」という。)は、「ペチカ」の片仮名を横書きしてなり、昭和44年10月3日に登録出願、第19類「台所用品(電気機械器具、手動利器及び手動工具に属するものを除く)日用品(他の類に属するものを除く)但し、加熱器、流し台、調理台、及びその類似商品を除く」を指定商品として、同48年10月4日に設定登録されたものである。その後、3度に亘り、商標権の存続期間の更新登録がされ、指定商品については、平成16年11月4日に、「あんか,かいろ,かいろ灰,湯たんぽ,化学物質を充てんした保温保冷具」を含む第11類他、第4類、第5類、第6類、第8類、第14類、第16類、 第18類、第20類、第21類及び第24類に属する商標登録原簿記載に記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
2 イ号標章
被請求人が「ビーズ式足温器」に使用する標章として請求人が示す標章(以下、「イ号標章」という。)は、「ペチカ」の片仮名を書してなるものである。
3 請求人の主張の要旨
請求人は、「被請求人が『ビーズ式足温器』に使用するイ号標章は、本件商標に係る商標権の効力の範囲に属する」との判定を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第9号証を提出した。
(1)判定請求の必要性
ア 請求人は、「ペチカ」の片仮名を書してなる本件商標を有しており、本件商標を使用してカイロなどを製造、販売している。
イ 請求人は、「ペチカ」の片仮名を書してなる本件商標及び商標登録第1838450号の商標権者である。
ウ 上記の状況下で、被請求人のイ号標章は、本件商標と同一・類似する商標であり、かつ、類似する商品について使用しているものであるから、本件商標権を侵害するものと思われるので、両者の商品が類似することを確認するために、判定請求を行ったものである。
(2)イ号標章と本件商標の類否について
イ号標章及び本件商標は、共に「ペチカ」の片仮名を書してなり、その構成態様から「ペチカ」の称呼及び「暖炉(ペチカ)」の観念を生じるものである。
よって、両者は、共に「ペチカ」(暖炉・ペチカ)の称呼及び観念を同一にする類似の商標である。
(3)イ号標章を使用する商品と本件商標の指定商品の類否について
ア イ号標章を使用する商品について
イ号標章を使用する商品は、その商品広告において「ビーズ式足温器」と称され、大量の微粒子スチロールビーズを足温器の内部に入れることにより、体温を溜め込んで熱を逃がさないため、保温効果が高まるというものである。(甲第5号証)
そうとすると、該足温器は、「クッション」、「座布団」等に類する商品ではなく、大量の「微粒子スチロール」を内部に入れるという工夫を取り入れ、その蓄熱性を利用したところに特徴を有する「足温器」といえる。
すなわち、特殊な物質(微粒子スチロール)を内部に入れることにより、足を保温又は温めることを主目的とした、いわゆる電気を使用しない「足温器」である。(甲第3号証ないし同6号証)
イ 商品の類否について
(ア)イ号標章を使用する商品は、上記アのとおり、電気を使用せず、かつ、人体の一部を暖め、あるいは保温効果を高めることを目的とする商品であることから、本件商標の指定商品中の「あんか,かいろ,かいろ灰,湯たんぽ」(以下、「引用商品1」という。)と、その使用目的、用途、効能、販売場所、需要者等を共通にする類似商品というべきである。
(イ)近年、熱源として化学変化を利用して熱を発生させる保温具が多数販売されている。これらは、熱源が化学物質(反応)を使用していることから、引用商品1とは異なる商品として分類されている。そして、イ号標章を使用する商品は、第一義的には「足温器」の概念に属する商品でり、熱源・保温源として「微粒子スチロール(ビーズ)」を使用していることから、「化学物質を充填した保温保冷具」(以下、「引用商品2」という。)と類似する商品ともいえる。
よって、仮に「ビーズ式足温器」が引用商品1と類似しない商品であるとするときには、引用商品2と類似する商品というべきである。
(4)小活
したがって、イ号標章と本件商標は、類似する商標であり、かつ、イ号標章を使用する商品は、引用商品1又は引用商品2と類似する商品であるから、イ号標章は、本件商標の商標権の権利範囲に属するものである。
4 被請求人の答弁
被請求人は、上記請求人の主張に対し、何らの答弁も行っていない。
5 当審の判断
(1)イ号標章と本件商標との類否について
イ号標章及び本件商標は、共に「ペチカ」の片仮名を書してなるものであり、両者は共に、「ペチカ」の称呼及び「暖炉(ペチカ)」の観念を生じ、外観においても「ペチカ」の文字を共通にするものであるから、類似の商標といわざるを得ない。
(2)請求人は、イ号標章を使用する商品は、引用商品1又は引用商品2と類似すると主張しているので、以下この点について検討する。
ア イ号標章を使用する商品は、甲第3号証ないし同6号証によれば、別掲参考に表示したとおりの形状よりなるものであって、上部の端方に両足を入れる開口部を設け、その内部を覆う生地の中に発砲ビーズ及びウレタンフォーム(底部部分)を入れてなるものであり、発砲ビーズの断熱、保温力により、足を温かく保つものである。
イ 引用商品1中の、「あんか」は、「炭火を入れて手足を温める道具。」であり、「かいろ」は、「懐中して胸・腹などを暖める具。・・・金属などで造った小さい容器に、懐炉灰に火をつけて入れ密閉するものや、揮発油を用いるものなどがある。近年、化学反応による発熱を利用する使い捨てのものもある。」であり、「かいろ灰」は、「懐炉用の燃料。」であり、「湯たんぽ」は、「中に湯を入れ、寝床などに入れて、足や体を温めるのに用いる道具。」(広辞苑第6版 岩波書店株式会社発行)である。このように引用商品1は、火やお湯などの発熱体を用いて足や体を温める商品である。
また、引用商品2は、「化学工業で合成される物質(化学物質)」の中で、化学変化を起こして熱を発する物質が発生させる熱を利用し、それを熱源として、保温(保冷)したい対象物の保温や保冷を行う商品である。
ウ イ号標章を使用する商品と引用商品1及び引用商品2との類否について
上記のとおり、イ号標章を使用する商品は、発砲ビーズやウレタンフォームの保温性に着目し、その断熱、保温力により、足を温かく保つ商品であり、引用商品1は、火やお湯等の発熱効果を利用し、また、引用商品2は、化学反応による発熱効果を利用して、その発熱により、体を温める等の商品であり、その、発熱(保温)の方法、原材料が相違するものである。
イ号標章を使用する商品は、その構造において商品自体には発熱体を有していない点において、引用商品1及び引用商品2とは大きく異なっており、また、引用商品1及び引用商品2のように商品自体が発熱し体を温める効果を有する商品は、その発熱体及びそれを利用した商品の安全性などにおいて専門性を必要とするものといえるから、これらの事情を総合的に判断すると、イ号標章を使用する商品と引用商品1及び引用商品2とは、原材料、品質、生産者を異にし、販売場所も一致するとはいい難い商品といわざるを得ない。
そうとすると、イ号標章を使用する商品は、引用商品1及び引用商品2のいずれの商品についても非類似の商品というのが相当である。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標とイ号標章は、類似するものであるとしても、その使用商品は本件商標指定商品とは非類似の商品と認められるから、イ号標章は、本件商標権の効力の範囲に属しないものというのが相当である。
よって、結論のとおり判定する。
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