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Trademark Appeal Case

商標不使用取消の立証

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2009−300550(T2009−300550/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第1744424号商標(以下「本件商標」という。)は、「方丈」の文字を縦書きしてなり、昭和55年6月10日に登録出願、第30類「菓子、パン」を指定商品として、同60年2月27日に設定登録され、その後、平成17年9月14日に指定商品を第30類「菓子,パン」とする指定商品の書換登録がなされたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。

1 請求の理由

本件商標は、その指定商品「菓子,パン」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても使用された事実はない。

2 弁駁の理由

被請求人の主張には以下に述べるような疑問点があり、請求人はこれを認めることはできない。

(1)被請求人は、本件商標が使用されていることの証拠として、(a)登記簿謄本、(b)商品写真、(c)納品書5部を提出しているが、これらの証拠類だけで本件商標が、その指定商品について通常使用権者によって実際に使用されているのか疑問である。

(2)被請求人は、「本件商標は、添付提出の登記簿謄本に示すとおり、本件商標権者が代表取締役を務める通常使用権者の『株式会社京都駅前駿河屋』(以下「京都駅前駿河屋」という。)が使用している。」と主張しているが、会社の登記簿謄本のみをもって、「京都駅前駿河屋」が本件商標の通常使用権者であることを立証できるものではない。

また、被請求人が提出した商品写真は、被請求人自身が本件取消審判請求後に作成することが可能でないとはいえないものである。

したがって、当該商品写真は、審判請求前継続して3年以上商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれかによる本件商標の使用を客観的に立証し得るものではない。

さらに、被請求人が提出した納品書も同様であり、真正な取引書類であることを確定するのに十分な証拠とはいえないものである。

(3)以上のとおり、被請求人の答弁には、本件商標を菓子について過去3年以内に通常使用権者によって使用されたことを立証する確定的な証拠の提示がなされているとは到底認められない。

第3 被請求人の主張

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、「登録商標の使用説明書」を提出した。

本件商標は、商標権者が代表者である通常使用権者の京都駅前駿河屋が、指定商品中「菓子(五種類の和菓子詰め合わせ)」に使用しており、その事実は「登録商標の使用説明書」で提出の証拠に示すとおりであり、以下、使用事実を立証する。

1 登録商標の使用説明書

(1)本件商標の使用に係る商品

本件商標の使用に係る商品は、提出の写真に示すとおりの、干菓子等5種類の和菓子の詰め合わせ(以下「使用商品」という。)である。

(2)本件商標の使用

本件商標は、提出の商品写真及び伝票に示すとおり、使用商品の容器(箱)の表、値札、伝票に明示し、使用している。

(3)商標の使用者

本件商標は、提出の登記簿謄本に示すとおり、商標権者が代表取締役を務める通常使用権者の京都駅前駿河屋が使用している。

(4)商品の販売事実

ア 平成18年4月19日付け納品書(控)の写しにより、使用商品72箱が販売された事実を示す。

イ 平成18年11月5日付け納品書(控)の写しにより、使用商品27箱が販売された事実を示す。

ウ 平成19年4月1日付け納品書(控)の写しにより、使用商品26箱が販売された事実を示す。

エ 平成20年4月11日付け(審決注:「平成19年」は誤記と認められる。)納品書(控)の写しにより、使用商品13箱が販売された事実を示す。

オ 平成21年2月8日付け納品書(控)の写しにより、使用商品26箱が販売された事実を示す。

2 むすび

以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が代表者である通常使用権者の京都駅前駿河屋により本件指定商品中「菓子(五種類の和菓子詰め合わせ)」について使用されており、本件の商標登録は商標法第50条第1項の規定によって取り消されるべきではない。

第4 当審の判断

1 被請求人が提出した「登録商標の使用説明書」に添付された商標の使用の事実を示す書類によれば、次の事実を認めることができる。

(1)登記簿謄本(登記簿情報)

甲第1号証の2009年8月26日現在の登記簿情報によれば、商号の欄に「株式会社京都駅前駿河屋」「昭和49年9月17日変更」、本店の欄に、「京都市下京区烏丸通七条下る東塩小路町720番地」「昭和55年8月21日移転」、役員に関する事項の欄の8段目に「京都市下京区烏丸通七条下る東塩小路町720番地 代表取締役 岡本秀治」「平成20年12月10日登記」等の記載がある。(なお、甲第1号証の成立について当事者間に争いはない。)

(2)商品写真

商品が陳列された売場の4枚の写真によれば、1枚目の上段の写真には、売場の上部に「煉羊羹 駿河屋」の文字が表された看板、下部には、各種包装箱が写されている。下段の写真は、上段の写真の右下部を拡大して写されたものであって、そこには、中央に「方丈」の縦書き文字が記載された赤く縁取りをした白色の化粧箱の蓋と、5種の商品が各個包装されて箱詰めされた商品(使用商品)が写されている。

また、2枚目の写真は、いずれも陳列棚を写したものであって、上下いずれの写真にも、各種の商品とともに、上記1枚目の下段の写真と同じ使用商品及び「方丈」、「¥2,000−」の文字が記載された値札が写されている。

(3)納品書(控)

ア 平成18年11月5日付け納品書(控)の写しには、宛先として、住所の記載と「石原先生」、「品番・品名」欄の3行目に「8197 方丈(5種類セット)」、「数量」欄に「27」、「単位」欄に「箱」、「単価」欄に「2,000」、金額欄に「54,000」等の記載がある。

イ 平成19年4月1日付け納品書(控)の写しには、宛先として、住所の記載と「早川宗幸先生」、「品番・品名」欄の1行目に「8197 方丈(5種類セット)」、「数量」欄に「26」、「単位」欄に「箱」、「単価」欄に「2,000」、金額欄に「52,000」等の記載がある。

ウ 平成20年4月11日付け納品書(控)の写しには、宛先として「滴凍会 様」、「品番・品名」欄に「8197 方丈(5種類セット)」、「数量」欄に「13」、「単位」欄に「箱」、「単価」欄に「2,000」、金額欄に「26,000」等の記載がある。

エ 平成21年2月8日付け納品書(控)の写しには、宛先として「高木 先生」、「品番・品名」欄に「8197 方丈(5種類セット)」、「数量」欄に「26」、「単位」欄に「箱」、「単価」欄に「2,000」、金額欄に「52,000」等の記載がある。

これらは、同一様式の納品書(控)の写しであり、右上に「京都駅前」、その下に「駿河屋」の文字と、「下京区烏丸通七条下ル」の住所の一部と電話番号等が記載されている。

2 以上の事実及び被請求人の主張を総合してみれば、本件商標の使用について、次のように認定できる。

(1)通常使用権者

上記1(1)によれば、京都駅前駿河屋の本店所在地とその代表取締役「岡本秀治」の住所は、いずれも「京都市下京区烏丸通七条下る東塩小路町720番地」であって同一であり、また、本件商標に係る当庁備え付けの商標登録原簿によれば、登録名義人(商標権者)は「京都市下京区烏丸通七条下る東塩小路町720番地 岡本秀治」であって、該会社の代表取締役の住所、氏名と本件商標の商標権者の住所、氏名が一致していることが認められる。

そうすると、該会社の代表取締役「岡本秀治」と商標権者は同一人と認められることから、商標権者と京都駅前駿河屋との間で黙示の使用許諾があったとみて差し支えない。

なお、請求人は、会社の登記簿謄本のみをもって、通常使用権者であることを立証できるものではない旨述べている。しかしながら、通常使用権は、黙示によってもその使用を許諾し得るものと解されており、該会社の代表取締役と商標権者とが同一人であるとの関係からして、その立証を求めるまでもなく、被請求人が述べるとおり京都駅前駿河屋は、商標権者(被請求人)により本件商標の使用を許諾された通常使用権者と認められるから、この点についての請求人主張は、採用することができない。

(2)使用商品

商品写真にある使用商品は、その体裁、「煉羊羹 駿河屋」の表示、及び他の陳列商品との関連からして、取消し請求に係る指定商品に含まれる「和菓子」の範ちゅうに属する商品とみるのが自然である。

(3)商品写真と納品書(控)の関連性

上記1(2)及び(3)のとおり、商品写真の1枚目の下段の写真及び2枚目の2枚の写真には、いずれにも使用商品と「方丈」の文字が確認できる。

また、1枚目上段の写真にある看板の表示と各納品書(控)の写し右上部の記載において、「駿河屋」の文字が一致する。

さらに、2枚目の各写真にある「値札」の「方丈」の文字及び「¥2,000−」の記載と、各納品書(控)の写しにおける「品番・品名」欄の「方丈」及び「単価」欄の「2,000」の記載とが一致するものである。

したがって、これらの事実に加え、使用商品が5種の商品が箱詰めされた商品であることを考慮すれば、商品写真にある使用商品と該納品書(控)の写しに記載された「方丈(5種類セット)」なる商品は、同一の商品であって、当該商品が納品されたものと推認できる。

(4)本件商標の使用時期

上記1(3)各納品書(控)の写し ア 平成18年11月5日、イ 平成19年4月1日、ウ 平成20年4月11日、エ 平成21年2月8日の各日付けは、いずれも本件審判の請求の登録(登録日は平成21年6月1日)前3年以内であると認められる。

なお、請求人は、商品写真は本件審判請求後に作成することが可能でな

いとはいえないものであり、また、納品書(控)が真正な取引書類であるか疑問である旨述べている。しかしながら、納品書(控)の写しが捏造されたとすべき事実は見出せないし、かつ、これを覆すに足りる証拠の提出もないから、この点の主張も採用できない。

(5)商標使用者

京都駅前駿河屋の名称、その本店所在地と各納品書(控)の写しの「京都駅前」「駿河屋」「下京区烏丸通七条下ル」の記載を勘案すれば、京都駅前駿河屋、すなわち通常使用権者が、納品書(控)写しの「方丈(5種類セット)」なる商品をその各宛先に納品したと推認できる。

(6)使用商標

商品写真に写された化粧箱の蓋、同じく値札及び各納品書(控)写しの品名欄に記載された「方丈」の文字は、本件商標と社会通念上同一の商標の使用と認めることができる。

3 まとめ

そうとすれば、通常使用権者である京都駅前駿河屋は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品中「和菓子」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付し、その商品を譲渡若しくは展示し、使用していたというべきである。

以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が請求に係る指定商品に含まれる「和菓子」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したものといわなければならない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべき限りではない。

よって、結論のとおり審決する。

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