Trademark Appeal Case
氏姓と屋号の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2009−175(T2009−175/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「おかだや」の平仮名文字と「OKADAYA」の欧文字を上下二段に横書きにしてなり、第35類に属する願書に記載のとおりの役務を指定役務として、平成19年4月2日に登録出願、その後、指定役務については、原審における同20年1月23日付け手続補正書により、別掲(1)に示すとおりの役務に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において、以下の(1)及び(2)のとおり認定、判断し本願を拒絶したものである。
(1)商標登録を受けることができる商標は、現在使用をしているもの又は近い将来使用をするものと解されるところ、本願商標をその指定役務について、使用しているか又は近い将来使用することについて疑義があるものである。
したがって、この商標登録出願は、商標法第3条第1項柱書きの要件を具備しない。
(2)本願商標は、ありふれた氏姓の一つと認められる「岡田」の文字に屋号・店名に広く使用されている「屋」の文字を結合して表してなる「岡田屋」であることを容易に認識させる「おかだや」と「OKADAYA」の文字よりなるにすぎないものであるから、これはありふれた名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認める。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第4号の該当性について
本願商標は、「おかだや」と「OKADAYA」の文字を2段に併記してなるものである。
ところで、「岡田」は、「広辞苑第六版」によれば、「姓氏の一つ。」と記載されており、また、「岡田」の姓は、「日本人の姓」(佐久間英著、1972年3月8日 六藝書房発行)によれば、約25万人で全国30位に位置づけられる姓であることが記載されていることからすれば、ありふれた氏といい得るものである。
また、「屋」は、「(接尾)その職業の家またはその人を表す語。」等を意味する語(広辞苑第六版)であり、屋号や店名に広く使用されるものである。
そして、これらを結合してなる「岡田屋」は、全体として、ありふれた名称を普通に用いられる方法で表示するものとして理解されるとみるのが相当であって、また、別掲(2)に示すとおり、関東地域に限定しても、「岡田屋」の語は、多数の者が、これを店名として使用していることが認められるものである。
さらに、屋号を表記する際、漢字のみに限らず、平仮名、欧文字等をもって表わすことも普通に行われているものである。
そうとすると、本願商標は、ありふれた名称である「岡田屋」の文字を平仮名文字及び欧文字で表したものと容易に理解・認識されるとみるのが相当である。
したがって、本願商標は商標法第3条第1項第4号に該当するものである。
(2)商標法第3条第2項の該当性について
請求人は、平成20年1月23日付け意見書及び同21年1月5日付け審判請求書(同年3月18日付け手続補正書において「請求の理由」を補完)において、「本願商標は、仮に識別力がないとしても需要者によく知られた結果、識別力を有するに至ったものと解することができるため、本件商標は商標法第3条第2項を適用され登録されるべきである。」旨主張し、その証拠資料として、原審における平成20年1月23日付け手続補足書において提出された添付資料1及び同21年3月18日付け手続補正書に添付された「周知著名証明書」として、2009年3月6日発行の日本経済新聞の抜粋記事と横浜商工会議所の会頭名による本願商標「おかだや」「OKADAYA」が周知かつ著名であるとの平成21年2月23日付け証明書を提出している。
ところで、商標法第3条第2項は、本来識別性がないものについて、現実の使用に基づいて例外的に商標登録を認めることから、登録が認められるための要件としては「1)実際に使用している商標が、判断時である審決時において、取引者・需要者において何人の業務に係る商品であるかを認識することができるものと認められること、及び、2)登録が認められる商標及び指定商品は、実際に使用している商標及び商品と同一であること」と解されるものであり、また、「登録により発生する権利は、全国的に及ぶ独占権であることも考慮すると、同条同項は、厳格に適用されるべきである」旨、判示されている(知的財産高等裁判所平成18年(行ケ)10441号判決(判決日:平成19年3月29日)及び同平成19年(行ケ)10243号判決(判決日:平成19年3月29日)参照)。
そこで、上記観点に照らし、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備しているか否かについて、以下検討する。
資料1は、会社案内及び店舗の外観写真であるところ、会社案内の一部に「YOKOHAMA OKADAYA」の文字が使用されているにすぎず、また、実際に商標として使用しているものは、店舗の看板等に、顕著に大きく書された「MORE’S」の文字であって、店舗の看板の一部に小さく「OKADAYA」の文字が付されていることは確認できるものの、該文字は、「MORE’S」の文字に付記的に使用されているにすぎないものである。
また、小売りに関する役務以外の「広告,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言」等を含む本願指定役務について、「おかだや」「OKADAYA」の文字が使用されていることを確認することができないものである。
2009年3月6日発行の日本経済新聞の「交遊抄/私のアンテナ/松本純」と題する抜粋記事には、「・・『MORES』を出店する横浜岡田屋の岡田伸浩社長との出会いだ。」の記載が見受けられるのみで、さらに、横浜商工会議所会頭名による本願商標「おかだや」「OKADAYA」が、需要者等に広く認識されているとする証明も、実際に、請求人が、店舗等で使用している商標が、「おかだや」「OKADAYA」とは、相違する「MORE’S」の文字であることからすれば、かかる新聞の抜粋記事及び証明書の存在をもって、本願商標が、請求人を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものと、直ちに、判断することはできないものである。
そうしてみると、出願に係る商標「おかだや」「OKADAYA」と、請求人が実際に使用している商標「MORE’S」とは、その構成態様を全く異にするものであって、また、使用に係る役務が、広告等を含む広範な本願の指定役務と同一であることを確認することもできないものであるから、本願商標は、その指定役務について使用された結果、需要者が請求人の業務に係る役務であることを認識するに至っているとは認められないものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものとは認められない。
(3)商標法第3条第1項柱書きの要件を具備するか否かについて
請求人は、本願商標をその指定役務中の「財務書類の作成,職業のあっせん,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,新聞の予約購読の取次ぎ,書類の複製,文書又は磁気テープのファイリング,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与,求人情報の提供,自動販売機の貸与」について、使用しているか又は近い将来使用することについての疑義を解消するために、何ら書類の提出等をしていない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項柱書きの要件を具備するものとは認められない。
(4)結論
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条1項第4号に該当し、かつ、同条第2項並びに同条第1項柱書きの要件を具備するものではないとする原査定は、妥当であって、取り消すべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
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