sokuhyo

Trademark Appeal Case

著名人名の商標登録の適否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2008−2136(T2008−2136/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、「宮沢賢治」の文字を標準文字で表してなり、第21類「デンタルフロス,ガラス基礎製品(建築用のものを除く。),かいばおけ,家禽用リング,魚ぐし,おけ用ブラシ,金ブラシ,管用ブラシ,工業用はけ,船舶ブラシ,家事用手袋,ガラス製又は陶磁製の包装用容器,なべ類,コーヒー沸かし(電気式のものを除く。),鉄瓶,やかん,食器類,携帯用アイスボックス,米びつ,食品保存用ガラス瓶,水筒,魔法瓶,アイスペール,泡立て器,こし器,こしょう入れ,砂糖入れ,塩振り出し容器,卵立て,ナプキンホルダー,ナプキンリング,盆,ようじ入れ,ざる,シェーカー,しゃもじ,手動式のコーヒー豆ひき器及びこしょうひき,じょうご,すりこぎ,すりばち,ぜん,栓抜,大根卸し,タルト取り分け用へら,なべ敷き,はし,はし箱,ひしゃく,ふるい,まな板,麺棒,焼き網,ようじ,レモン絞り器,ワッフル焼き型(電気式のものを除く。),清掃用具及び洗濯用具,アイロン台,霧吹き,こて台,へら台,湯かき棒,浴室用腰掛け,浴室用手おけ,ろうそく消し,ろうそく立て,家庭用燃え殻ふるい,石炭入れ,はえたたき,ねずみ取り器,植木鉢,家庭園芸用の水耕式植物栽培器,じょうろ,愛玩動物用食器,愛玩動物用ブラシ,犬のおしゃぶり,観賞魚用水槽及びその附属品,小鳥かご,小鳥用水盤,洋服ブラシ,寝室用簡易便器,トイレットペーパーホルダー,貯金箱(金属製のものを除く。),お守り,おみくじ,紙タオル取り出し用金属製箱,靴脱ぎ器,せっけん用ディスペンサー,花瓶,水盤,風鈴,ガラス製又は磁器製の立て看板,香炉,化粧用具,靴ブラシ,靴べら,靴磨き布,軽便靴クリーナー,シューツリー,コッフェル,ブラシ用豚毛,陶磁製置物,陶磁製額皿」を指定商品として、平成19年2月15日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、大正・昭和期の詩人・童話作家として著名な『宮澤賢治』(1896〜1933)の文字を書してなるものであり、遺族等の承諾を得ているものとは認められないから、かかる商標を登録し使用することは穏当でない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知(要旨)

当審において、平成22年4月7日付で、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するものとして請求人に通知した証拠調べの結果は、下記のとおりである。

本願商標は、「宮沢賢治」の文字よりなるところ、「宮沢賢治」について、以下の事実が認められる。

1 宮沢賢治の周知・著名性

(1)「広辞苑 第六版」(株式会社岩波書店発行)

「宮沢賢治」の語について、「詩人・童話作家。岩手県花巻生れ。盛岡高農卒。早く法華経に帰依し、農業研究者・農村指導者として献身。詩『春と修羅』『雨ニモマケズ』、童話『銀河鉄道の夜』『風の又三郎』など。(1896〜1933)」の記載がある。

(2)「コンサイス日本人名事典 第5版」(株式会社三省堂発行)

「宮沢賢治 1896〜1933(明治29〜昭和8)大正・昭和期の詩人・童話作家。・・・多くの童話・詩・短歌・評論が書かれたがほとんど認められることなく生涯を終えた。没後、草野心平によって全集が出されるや注目を集め、その後研究が進むにつれ価値が広く認められるに至った。」の記載がある。

(3)「フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』」のウェブサイトにおいて、「宮沢 賢治(1896年8月27日、(戸籍上は8月1日)- 1933年9月21日)は、日本の詩人、童話作家。・・・代表作『銀河鉄道の夜』『風の又三郎』『注文の多い料理店』『雨ニモマケズ』等・・・概説 郷土岩手の地を深く愛し、作品中に登場する架空の理想郷に、『岩手(いはて)』をエスペラント風にしたイーハトヴ・・・と名づけた。その空前・独特の魅力にあふれた作品群によって没後世評が急速に高まり国民的作家とされるようになった。・・・映像作品・・・『雨ニモマケズ』映画(1958年)・・・『宮澤賢治−その愛−』映画(1996年)・・・『わが心の銀河鉄道〜宮沢賢治物語』映画(1996年)・・・『イーハトーブ幻想〜KENjIの春』テレビアニメ(1996年)・・」の記載がある。

(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%AE%E6%B2%A2%E8%B3%A2%E6%B2%BB)

(4)「株式会社紀伊國屋書店」のウェブサイトにおいて、宮沢賢治作品一覧として、774件表示されている。

(http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/%8B%7B%91%F2%8C%AB%8E%A1/list.html)

これらからすれば、宮沢賢治は、多くの詩や童話を書き、没後それらの作品の価値が広く認められるに至り、国民的作家とされるようになった。また、数多くの作品が出版されており、さらに映画やテレビアニメなどにおいてその人物が取り上げられていることなどから、一般に広く知られている人物であることが認められる。

2 宮沢賢治の名称に対する国民又は地域住民の認識

(1)「花巻市」のウェブサイトにおいて、「賢治祭(けんじさい) 毎年、宮沢賢治の命日である9月21日に、花巻市桜町の賢治詩碑がある場所にて、賢治祭が行われます。・・・例年、賢治祭では献花、賢治の詩の朗読、賢治が作った歌の合唱、野外劇などが行なわれるほか、かがり火を囲んで賢治について語る座談会が繰り広げられます。」の記載がある。

(http://www.city.hanamaki.iwate.jp/sightseeing/kenjimm/kenji_matsuri.html)

(2)「財団法人岩手県観光協会」のウェブサイトにおいて、「【花巻観光モデルコース】〜宮沢賢治コース〜(いわてクラシック街道)/宮沢賢治の世界をめぐり楽しいひと時を。/・・・新花巻駅 宮沢賢治記念館 ポランの広場(南斜・日時計花壇) 宮沢賢治イーハトーブ館 宮沢賢治童話村 羅須地人協会・・・」の記載がある。

(http://www.iwatetabi.jp/course/detail/46.html)

(3)「財団法人岩手県観光協会」のウェブサイトにおいて、「宮沢賢治・・・ゆかりの地・関連スポット/もりおか 啄木・賢治青春館 光原社 宮沢賢治の碑 宮沢賢治イーハトーブ館 宮沢賢治歌碑 宮沢賢治歌碑(下の橋際) 宮沢賢治歌碑(旧県立図書館広場) 宮沢賢治歌碑(盛岡一高校内) 宮沢賢治生家 宮沢賢治石碑(光原社)宮沢賢治童話村 宮沢賢治記念館」の記載がある。

(http://www.iwatetabi.jp/person/index.php?person_id=2)

(4)「財団法人宮沢賢治記念会」のウェブサイトにおいて、「宮沢賢治生家/街角ミュージアム豊沢小路『蔵』/・・・賢治の生家の隣の蔵を開放し、生家にちなんだ賢治関連の展示、又三郎の教室、喫茶を運営しております。」の記載がある。

(http://www.miyazawa-kenji.com/seika.html)

これらによれば、宮沢賢治は、その郷土やゆかりの地においては、郷土の偉人として敬愛の念をもって親しまれている実情にあることが認められる。

3 宮沢賢治の名称の利用状況

(1)「財団法人宮沢賢治記念会」のウェブサイト

ア「宮沢賢治記念会・・・■目的 宮沢賢治の遺品、遺跡、関係資料などを収集し、保全管理するとともに、一般に供覧し、宮沢賢治研究および社会教育の振興に資することを目的とする。■事業 1:宮沢賢治に関する資料の収集 2:宮沢賢治に関する講演会、研究会などの開催 3:宮沢賢治に関する遺跡、詩碑の保全管理 4:その他目的を達成するために必要な事業」の記載がある。

(http://www.miyazawa-kenji.com/kinenkai.html)

イ「宮沢賢治記念館は花巻市の施設です。・・・宮沢賢治お土産品コーナーも是非ご覧下さい!」の記載がある。

(http://www.miyazawa-kenji.com/kinenkan.html)

(2)「花巻市」のウェブサイト

ア「宮沢賢治記念館トップページ/・・・宮沢賢治記念館は、詩や童話、教育、農業、科学と多彩な活動を繰り広げた賢治の世界に親しんでもらうための施設です。昭和57年(1982年)9月21日(9月21日は賢治の命日にあたります)に開館いたしました。開館以来、賢治を愛好する方々や、全国各地からの観光客など、多くの方々に足を運んでいただいております。」の記載がある。

(http://www.city.hanamaki.iwate.jp/sightseeing/kenjimm/)

イ「宮沢賢治イーハトーブ館/・・・宮沢賢治と賢治の作品を愛するたくさんの人々により発表された賢治に関する様々なジャンルの芸術作品、研究論文を数多く収集し、分かりやすく整理しており、誰でも自由に見たり触れたり利用したりできる施設です。」の記載がある。

(http://www.city.hanamaki.iwate.jp/culture/kyobunka/museum_list.html)

ウ「宮沢賢治童話村/・・・宮沢賢治童話村は、今にもジョバンニや又三郎、山猫がでてきそうな賢治童話の世界で楽しく遊ぶ『楽習』施設で、平成8年10月に現在の形でオープンしました。童話村は、『銀河ステーション』、『銀河ステーション広場』、『妖精の小径』、『天空の広場』、『山野草園』、そしてメインの『賢治の学校』があり、賢治の学校の中は『ファンタジックホール』、『宇宙』、『天空』、『大地』、『水』の5つのゾーンに分かれています。また、ログハウス展示施設『賢治の教室』もオープンしました。」の記載がある。

(http://www.city.hanamaki.iwate.jp/sightseeing/dowamura/index.html)

(3)「財団法人岩手県観光協会」のウェブサイト

ア「宮沢賢治記念館/・・・館内展示は、環境・信仰・科学・芸術・農村・総合・資料等の部門別に分けられています。多彩な活動をした賢治をうかがい知ることができる施設。」の記載がある。

(http://www.iwatetabi.jp/spot/detail/03205/724.html)

イ「宮沢賢治イーハトーブ館/・・・宮沢賢治に関するさまざまなジャンルの芸術作品、研究論文を数多く収集し分かりやすく整理したものを一般に公開している。また、賢治作品の愛好者、研究者の集まり『宮沢賢治学会イーハトーブセンター』の本部がある。」の記載がある。

(http://www.iwatetabi.jp/spot/detail/03205/748.html)

ウ「宮沢賢治童話村/・・・宮沢賢治の童話をテーマに夢のある世界を体感できる施設。『賢治の学校』ほか平成13年8月にオープンした『賢治の教室』(ログハウス展示館)があり、なかには『森の店っこや』という花巻の特産品を販売している施設もある。」の記載がある。

(http://www.iwatetabi.jp/spot/detail/03205/764.html)

以上のとおり、岩手県内においては、宮沢賢治に関連する資料などが多く残され、岩手県内の地方公共団体及び文化団体などがこれらを保存・公開し、観光振興や地域おこしに役立てようとする取組がなされていることが認められる。

4 前記1ないし3において認定した事実は、本願商標の出願前から現在においても継続している。

5 宮沢賢治の名称の利用状況と本願商標の指定商品との関係

一般に歴史上の人物の生誕地やゆかりの地においては、その地の特産品や土産物に、その者の名称や肖像が表示されて、観光客を対象に販売されているところ、宮沢賢治についても、例えば、現時点において、以下のとおり、「箸」「スプーン」「グラス」「マグカップ」「キーホルダー」「コースター」「ふきん」「ランチョンマット」「のれん」「絵はがき」「まんじゅう」などに宮沢賢治の名称や肖像が用いられている事実がある。

そして、本願商標の指定商品は、観光地の特産品や土産物となり得る「食器類、盆、ようじ入れ、ざる、しゃもじ、なべ敷き、はし、貯金箱、お守り、おみくじ、花瓶、風鈴、香炉、化粧用具、靴べら、陶磁製置物、陶磁製額皿」などの商品を含むものであり、実際、以下のとおり、観光振興の土産物商品として、本願の指定商品である箸やマグカップなどの商品に宮沢賢治の名称が用いられて販売されている事実がある。

(1)「有限会社イーハウェブ」のウェブサイトにおいて、「宮沢賢治と花巻市特産品の店 イーハショップ! 商品一覧です」の記載のもと、「下ノ畑ニ居リマス象嵌(ぞうがん)箸」「グラス製品 手びねり風マグカップ『雨ニモマケズ・・』」の商品等が掲載されている。

(http://www.i-hatov.com/itiran.html)

(2)「有限会社夢工房」のウェブサイトにおいて、「商品カタログ 宮澤賢治シリーズ」の記載のもと、「キーホルダー・・丸コースター・・・」の商品等が掲載されている。

(http://www.iwate-yumekobo.com/catalog/401.htm)

(3)「株式会社伊藤染工場」のウェブサイトにおいて、「宮沢賢治 童話ふきん 宮沢賢治の童話『なめとこ山の熊』と『どんぐりと山猫』の2つのシリーズがセットで箱に入っております ふきんとしてだけではなく ランチョンマット お弁当包みなどに・・・」の記載がある。

(http://www.ito-some.jp/products.php?cat=4)

(4)「東日本高速道路株式会社」のウェブサイトにおいて、「宮沢賢治セット(1セット)・・人気の宮沢賢治コーナーより。 ・・地元・花巻出身の宮沢賢治のコーナーが好評。このコーナーの商品から「雨ニモマケズ」のれんやシルエットハガキ、南部小麦と白目大豆を使ったまんじゅうなどをセットにしました。」の記載がある。

(http://shop.driveplaza.com/shop/item_detail?category_id=36553&item_id=176913)

なお、本願商標の指定商品中、土産物用の商品でないものについても、歴史上の人物の生誕地やゆかりの地においては、その地の特産品となり得るものである。

そうとすると、宮沢賢治の名称は、本願商標の指定商品を取り扱う者によって使用され、あるいは使用される可能性が極めて高いものであることが認められる。

6 出願の経緯・目的・理由

出願人(請求人)は、原審における平成19年10月15日受付の意見書及び同20年1月28日受付の審判請求書において、出願の経緯などについて、「『宮沢賢治』という著名人の名前を商標として採択するに際し、過去の登録例や審決例を真摯に検討し、本願商標を出願するに至った次第である。詩人・童話作家の『宮沢賢治』と本願の指定商品との間には何の関係もないのであり、これを独占したとて同業他社の商業活動を阻害するおそれもない。」旨述べているところ、地域おこしなどの公益的な目的及び社会公共の利益に反しない理由については述べていない。

7 宮沢賢治と出願人との関係

本願商標の登録出願時に出願人であった請求人と宮沢賢治との関係は、確認できない。また、審判請求書において、同人が宮沢賢治と特段の関係を有するとも述べていない。

第4 当審における証拠調べ通知に対する請求人の意見

上記第3の「証拠調べ通知」に対して、請求人からは、何らの意見、応答は無かった。

第5 当審の判断

1 商標法第4条第1項第7号について

本願商標は、「宮沢賢治」の文字よりなるところ、該文字に関して、職権による調査及び前記第3の証拠調べ通知に示した各証拠により以下の事実が認められる。

(1)宮沢賢治の周知・著名性

宮沢賢治は、1896年に岩手県花巻に生まれ、農業研究者、農村指導者として献身した人物であり、詩人・童話作家である。同人の作品には、詩「春と修羅」「雨ニモマケズ」、童話「銀河鉄道の夜」「風の又三郎」などがある。そして、これらを含む多くの童話・詩・短歌・評論が書かれたがほとんど認められることなく生涯を終えた。没後、その作品は注目を集め、研究が進むにつれ価値が広く認められるに至った。

そして、宮沢賢治については、その人物にまつわる詩や小説等についての書籍が数多く出版され、映画が制作されるなど、数多くの書籍や映画などにおいて取り上げられている。

このように、「宮沢賢治」は、多くの詩や童話を書き、没後それらの作品の価値が広く認められるに至り、国民的作家とされるようになったいわば歴史上の有名人であって、一般に広く知られている人物であることが認められるから、少なくとも、本願商標の登録出願時以前から、国民の間に広く知られた周知著名な歴史上の人物となっていたものであり、その周知著名性は現在においても継続しているものである。

(2)宮沢賢治の名称に対する国民又は地域住民の認識

花巻市では、毎年、「賢治祭(けんじさい)」が宮沢賢治の命日である9月21日に行われている。また、岩手県観光協会では、花巻市の観光モデルコースとして、「宮沢賢治コース」を紹介しており、宮沢賢治の行跡をめぐる観光コースがある。そして、同人のゆかりの地、関連スポットとして、「啄木・賢治青春館 光原社 宮沢賢治の碑 宮沢賢治イーハトーブ館 宮沢賢治歌碑 宮沢賢治生家 宮沢賢治石碑 宮沢賢治童話村 宮沢賢治記念館」が紹介されている。

これらによれば、宮沢賢治は、その郷土やゆかりの地においては、郷土の偉人として敬愛の念をもって親しまれている実情にあることが認められる。

(3)宮沢賢治の名称の利用状況

宮沢賢治の遺品、遺跡、関係資料などが収集され、保全管理されるとともに、一般に供覧し、宮沢賢治研究および社会教育の振興に資することを目的とする施設として、「宮沢賢治記念館」「宮沢賢治イーハトーブ館」「宮沢賢治童話村」などが存在しており、同人を愛好する人々や、全国各地からの観光客などが訪れている。

このように、岩手県内においては、宮沢賢治に関連する資料などが多く残され、岩手県内の地方公共団体及び文化団体などがこれらを保存・公開し、観光振興や地域おこしに役立てようとする取組がなされていることが認められる。

(4)前記(1)ないし(3)において認定した事実は、本願商標の出願前から現在においても継続している。

(5)宮沢賢治の名称の利用状況と本願商標の指定商品との関係

一般に歴史上の人物の生誕地やゆかりの地においては、その地の特産品や土産物に、その者の名称や肖像が表示されて、観光客を対象に販売されているところ、宮沢賢治についても、同様に名称や肖像が用いられている事実がある。

そして、本願商標の指定商品中の商品には、観光地の特産品や土産物となり得る商品を含むものであり、実際に各地の市町村等が観光振興の土産物商品としている事実がある。

そうとすると、宮沢賢治の名称は、本願商標の指定商品を取り扱う者によって使用され、あるいは使用される可能性が高いものである。

(6)上記実情を総合的に考慮すれば、本願商標は、国民の間に広く知られた周知著名な歴史上の人物名であって、その指定商品について本願商標の商標登録を認めることは、「宮沢賢治」の名称を使用した観光振興や地域おこしなどの公益的な施策の遂行を阻害することになり、また、社会公共の利益に反することとなるものといい得るものである。

してみれば、請求人が本願商標を登録出願した行為は、公共の財産ともいうべき人物の名称について、特定の者に独占使用させることになり、国民的な感情や公益的見地から好ましくないと考えられるものであるから、本願商標は、社会通念上商道徳に反するものであり、公正な商取引秩序を乱すおそれがあるばかりでなく、ひいては、公の秩序を害するおそれがあるものというべきである。

したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

2 まとめ

以上のとおりであるから、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。