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Trademark Appeal Case

公共シンボルと商標の公序良俗

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2009−24633(T2009−24633/J1)
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成20年12月15日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、白抜きのテープ状のリボンが交差している図形の右端部分に『CauseRibbon』(『Ribbon』の文字はピンクで着色されている。)の文字とピンク色のテープ状のリボンが交差している図形を配し、左端部分にピンク色でRを円で囲んだ図形を配した構成よりなるものである。ところで、1980年代にアメリカで始まった乳がんの早期発見・診断・治療の大切さを伝えるピンクリボン運動は、その後、急速に世界的に広まり、我が国においても、各種法人や地方公共団体等が主体的に当該運動に参加している実情が新聞記事からも認められる。そして、当該運動においては、そのシンボルマークとして、「ピンクリボン」の語や、一本のピンク色のテープ状のリボンが交差している図形が標章として用いられており、このピンクリボンを配した標章についても様々なものが使用されていることからすると、本願商標に接した需要者は、その構成中の一本のピンク色のテープ状のリボンが交差している図形から、前記ピンクリボン運動との関連性を直ちに想起すると考えられるので、本願商標のように、公共活動のシンボルマークと化した標章を一部に有する商標は、その公共活動のシンボルマークと化した標章部分が注目され、その出所以前にその活動・運動の主体を想起させるにとどまるものであるから、このような標章を一部に有する商標を出願人の商標として登録することは、他者のピンクリボン運動に関する事業に悪影響や支障を来すおそれがあり、社会公共の利益に反するものといわざるを得ない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨を認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標は、別掲のとおり、白いリボンが交差している図形であって、その重なったリボンの一方に「CauseRibbon」の欧文字とその右側に小さいリボン図形を配し、もう一方に円輪郭を有する「R」の文字を配してなるところ、「Ribbon」の文字部分と小さなリボン図形及び円輪郭を有する「R」の部分はピンク色に着色されているものである。

ところで、ピンクリボン運動については、乳がんで亡くなったアメリカの患者の家族が「このような悲劇が繰り返されないように」との願いを込めて作ったリボンからスタートした乳がんの啓蒙運動であって、乳がん患者が増えつつあった1980年代のアメリカで始まり、行政、市民団体、企業などが乳がんの早期発見を啓蒙するためのイベントを展開したり、ピンクリボンをあしらった商品を頒布しその売り上げの一部を財団や研究団体に寄付するなど、積極的に取り組み、市民や政府の意識を変えてきたものであり、日本においてもその運動は広く知られているところである。

そして、インターネット情報などによれば、この乳がん啓蒙運動において、乳がんに対する理解と支援のシンボルとして「ピンクリボン」の語やピンクリボンのマークが使用されており、そのシンボルマークとしてのピンクリボンのデザインは、運動団体ごとに異なるものとなっている。

そこで、本願商標をみてみるに、その構成中の「Ribbon」の文字部分と小さなリボン図形はピンク色をしているものであるが、「CauseRibbon」の文字はまとまりよく一体的に表されており、これより生ずる「コーズリボン」の称呼も冗長でなく一気に称呼できるものであって、一連の造語として看取されるものというのが相当である。

そして、リボン図形の全体及び小さなリボン図形については、「CauseRibbon」の文字とこれより生ずる「コーズリボン」の称呼に応じたリボンとして捉えられるものであって、直ちにピンクリボンのシンボルマークとして想起されるものとはいい難いところである。

してみれば、本願商標をその指定商品に使用することが、社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するものとはいい難く、また、他の法律によってその使用が禁止されているものとすべき事実も認められないものである。

また、本願商標は、商標の構成自体にはきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるようなものでないことは明らかであり、さらに、上記認定判断のほか、米国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反するものでなく、本願商標の登録出願の経緯に社会的妥当性を欠くというものでもない。

そうすると、本願商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標というべきではない。

したがって、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当でなく、取消しを免れない。

その他、政令で定める期間内に拒絶の理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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