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Trademark Appeal Case

不使用取消と商標の同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2009−301216(T2009−301216/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第2707180号商標の指定商品中、第19類「陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物」については、その登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第2707180号商標(以下「本件商標」という。)は、「ハッピー」の片仮名を横書きしてなり、平成3年5月23日に登録出願、第7類「金属製建築または構築専用材料、その他本類に属する商品」を指定商品として同7年5月31日に設定登録され、その後、同18年1月4日に指定商品を、第6類「建築用又は構築用の金属製専用材料,金属製建造物組立てセット」、第19類「陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物,リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は建築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,繊維製の落石防止網,建造物組立てセット(金属製のものを除く。),土砂崩壊防止用植生板,窓口風防通話板,区画表示帯,セメント及びその製品,木材,石材,建築用ガラス」のほか、第9類、第11類及び第21類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする書換登録がなされているものである。

第2 請求人の主張の要点

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。

1 請求の理由

請求人の調査によれば、本件商標は、継続して過去3年間、その指定商品中、第19類「陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物」について、本件商標権者又は使用権者により使用されていた事実が認められない。また、当該不使用について正当な理由も認められない。

したがって、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の何れによっても、その指定商品中上記商品について使用されていないので、商標法第50条第1項の規定により、上記商品についての登録を取り消すべきものである。

2 弁駁の理由

(1)被請求人による主張及び証拠は、本件請求に係る指定商品である第19類「陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物」について、本件商標を使用をしていることの証明としての妥当性を欠いており、使用の証明ができていない。

(2)使用商標について

被請求人は、乙第1号証に「ハッピーラス」が記載されていることを指摘しているが、被請求人は「ハッピーラス」という登録第2576277号商標(甲第3号証)を所有しており、その指定商品として第6類「金属製ラス」が唯一指定されている。これは「ハッピーラス」という商標を金属製ラス以外の「建築用又は構築用の金属専用材料」に使用することが、実際上困難であることを示すものであろう。

そして、本件商標「ハッピー」は、第6類「建築用又は構築用の金属専用材料」という「金属製ラス」を含む商品を指定商品としているにもかかわらず、「ハッピーラス」と「ハッピー」が、それぞれ商標登録第2576277号と商標登録第2707180号として、別個の独立した商標権として登録されているという事実にかんがみて、両者は特許庁によってそれぞれ別個の商標であると認識されていることは明白であるから、乙第1号証に「ハッピーラス」が記載されていることをもって、本件商標「ハッピー」を使用していること及び「社会通念上同一である」という被請求人の主張は、「連合商標の使用に関する特則」をもはや含んでいない現行の商標法第50条第2項の主旨に照らしても不適当である。

(3)使用に係る商品について

本件請求に係る指定商品は、第19類「陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物」である。被請求人は、商標「ハッピーラス」によって識別される商品は、本件請求に係る指定商品中の「耐火物」であると主張しているが、商標登録第2576277号(甲第3号証)を参照すると、その唯一の指定商品である「金属製ラス」が「第6類」の商品(類似群07A01)であることが明白である。

そして、乙第1号証の「製品カタログ」中、表紙を除き4頁目(以下、「4頁」という。)において「ハッピーラス」の片仮名が大書され、その下段の説明文中、「1.」に「波形1号はJIS−A−5505製品で金融公庫指定品です。」との記載があるので、JISC(日本工業標準調査会)のデータベースで「JIS規格番号JISA5505」を閲覧すると、規格名称は「メタルラス」、英文名称「Metal lath」との表示があるので、乙第1号証の当該説明文が、当該「メタルラス」を用いた場合の、耐火性や耐震性についての説明文であることが明白である。

また、被請求人は「ラス」の説明として、「その構成中『ラス』は、指定商品との関係上、『建築工事や土木工事に使う金網』を意味するものであり、それ自体、識別力がない。」と述べているが、その一方で「なお、特許電子図書館(審決注:「特許庁電子図書館」は誤記と認めた。)の『商品・役務名リスト』によると、『耐火性建築材料(金属製のものを除く。)』に対し、『07A02』の類似群が付与されている。」とも自ら述べているのであるから、被請求人が乙第1号証の4頁の説明文中に「耐火」と記載されていることを理由にして、「金属製ラス」が、本件請求に係る指定商品である第19類「陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物」中の「耐火性建築材料(金属製のものを除く。)」であると主張することには、自己矛盾が生じることは明らかである。

すなわち、被請求人が乙第1号証の4頁の説明文中に「耐火」と記載されていると指摘している使用商品が「金属製ラス」であることは上述のとおり明らかであるから、乙第1号証は、本件とは別個に独立して存在する登録商標「ハッピーラス」を第6類「金属製ラス」に使用していることの証明にはなり得るかもしれないが、本件請求に係る指定商品である第19類「陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物」中の「耐火物」、言い換えれば「耐火性建築材料(金属製のものを除く。)」の使用の証明とはなり得ないことが明らかである。

(4)使用時期について

乙第1号証、乙第4号証及び乙第5号証の使用時期については、証明されていない。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。

1 乙第1号証は、被請求人の「製品カタログ」である。その製品カタログの4頁において「ハッピーラス」の片仮名が大書され、その下段の説明文中、「2.」に「耐火:建築基準法施行令108条のモルタル塗り厚20mmを十分確保できるように造られた製品です。」との記載がある。建築基準施行令108条は、以下の規定である。

「法第二条第八号の政令で定める技術的基準は、次に掲げるものとする。

一 耐力壁である外壁にあつては、これに建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後三十分間構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること。

二 外壁及び軒裏にあつては、これらに建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後三十分間当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が可燃物燃焼温度以上に上昇しないものであること。」

したがって、商標「ハッピーラス」によって識別される商品は、本件請求に係る指定商品中の「耐火物」である。なお、特許電子図書館(審決注:「特許庁電子図書館」は誤記と認めた。)の「商品・役務名リスト」によると、「耐火性建築材料(金属製のものを除く。)」に対し、「07A02」の類似群が付与されている。また、被請求人は、平成14年1月24日に、商品名「45分準耐火外壁通気パネル」について、準耐火性に関する基準に適合する性能であるとの評価を受けている(乙第2号証)ほか、同19年11月30日には、「防耐火関連の構造方法等の認定に関する実態調査報告書」を提出している(乙第3号証)。

2 乙第1号証における使用商標は、「ハッピー」のみからなる構成ではなく、「ハッピーラス」の片仮名6文字からなるものである。しかし、その構成中「ラス」は、指定商品との関係上、「建築工事や土木工事に使う金網」を意味するものであり、それ自体、識別力がない。したがって、使用商標において自他商品識別機能を発揮し得るのは「ハッピー」部分であり、かかる構成要素は本件商標と同一の文字である。よって、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められるものである。

ちなみに、被請求人は、使用商標「ハッピーラス」の他、「ハッピーベース」(乙第1号証)、「ハッピー打継ぎラス」(乙第4号証)、「NISHIYAMA HAPPY NET SYSTEM」及び「西山ハッピーネットシステム」(乙第5号証)等の商標を使用しており、「ハッピー」をシリーズ名として使用している。

なお、乙第1号証、乙第4号証及び乙第5号証の作成年月日については、必要に応じて立証する準備があるが、これらは、本件審判の予告登録日(平成21年11月20日)はもちろんのこと、現在もなお被請求人が使用する「製品カタログ」又は「製品パンフレット」である。

3 これら乙各号証により、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者によって、その請求に係る指定商品「陶磁製建築専用材料、れんが及び耐火物」中の「耐火物」について使用されていたことは明らかである。

よって、本件審判の請求は、成り立たない。

第4 当審の判断

1 被請求人は、本件商標を請求に係る指定商品中の「耐火物」について使用している旨主張し、その証拠として乙第1号証ないし乙第5号証を提出しているので、当該証拠について検討する。

(1)乙第1号証は、被請求人の製品カタログの写しであり、被請求人はこの製品カタログの4頁の記載をもって本件商標が商品「耐火物」について使用されている旨主張する。

ア そこで、当該頁をみると、そこには「ハッピーラス」の表題の下に、「製品形状」として製品の形状を表した図が掲載され、「製品寸法」として製品の「種類・呼び方」に応じ、板厚、幅、長さ、ピッチ、高さ等が記載された一覧表が掲載されている。そして、その下に「1.波形1号はJIS−A−5505製品で金融公庫指定品です。2.耐火:建築基準法施行令108条のモルタル塗り厚20mmを十分確保できるように造られた製品です。3.耐震:モルタル下塗り層の中心にラスが入ることが、モルタル脱落を防ぐ大切なことです。モルタル重量によるラス切れをおこすことはありません。」との説明が掲載されている。

かかる掲載内容からすると、当該頁に掲載された製品は、「建築工事や土木工事に使う金網」であって、モルタルを付着させるために用いられる金属製品であり、いわゆる「ラス」と称される商品と見るのが自然である。そして、「ラス」は、それ自体が独立して取引の対象となる商品といえるものであって、商標法施行規則別表に「第6類」の「四 建築用又は構築用の金属製専用材料」の範ちゅうに属する商品として「ラス」が例示されていることから、本件請求に係る指定商品である第19類「陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物」の範ちゅうに属する商品ではなく、第6類の「建築用又は構築用の金属製専用材料」の範ちゅうに属する商品といわなければならない。

被請求人は、当該頁中の説明文に「2.耐火:建築基準法施行令108条のモルタル塗り厚20mmを十分確保できるように造られた製品です。」の記載があることから、当該頁に掲載された商品が「耐火物」であると主張するが、かかる説明文は、当該頁に掲載された商品「ラス」を用いてモルタル壁を完成させた場合に耐火性能があることを説明したものと見るのが自然であって、かかる記載をもって当該商品「ラス」が第19類の「耐火物」であるということはできないから、被請求人の主張は採用することができない。

なお、「耐火物」とは、「建築大辞典 第2版<普及版>」(株式会社彰国社発行、1999年9月30日第5刷)によれば、「一般に1500 ゚C以上の耐火性能を有する非金属物質,またはその製品。」とされ、また、JIS規格(JIS R2001)によれば、「1500 ゚C以上の定形耐火物及び最高使用温度が800 ゚C以上の不定形耐火物,耐火モルタル並びに耐火断熱れんが。」とされ、「定形耐火物」は「耐火れんが及び耐火断熱れんがの総称。」、「不定形耐火物」は「粒状又はねり土状の耐火物。」とされていることからも、乙第1号証の4頁の製品は、耐火物に含まれるものということはできない。

イ 加えて、乙第1号証の1頁上部に記載された「ハッピーラス」の文字及び同じく4頁の上段に大きく記載された「ハッピーラス」の文字(以下、両者をまとめて「使用商標」という。)は、いずれも同書同大等間隔でまとまりよく一連に表されたものであり、請求に係る指定商品との関係においては、「ハッピー」の文字部分を分離抽出して観察すべき格別の理由がないから、使用商標はその構成文字全体をもって一体不可分のものとして認識、把握されるものというべきである。

そうすると、使用商標は、「ハッピーラス」の一連の称呼のみを生じ、親しまれた既成の観念を有しない一種の造語からなるものといわなければならない。

他方、本件商標は、「ハッピー」の文字からなり、「ハッピー」の称呼及び「幸福」の観念を生ずるものである。

してみれば、本件商標と使用商標とは、称呼及び外観が明らかに異なり、また、観念が共通するものとはいえないから、使用商標は、本件商標と同一または社会通念上同一のものと認めることはできない。

ウ さらに、乙第1号証の製品カタログには、「ハッピーベース」、「ワイヤーメッシュ」、「平ラス」、「ハイラス」、「リブラス」、「ワイヤーラス」、「ヤマニラス」、「ニシヤマラス」、「型枠ラス」及び「鉄筋Dバーメッシュ」の各標章とともに各商品が掲載されているが、これらの商品は、いずれもラスや鉄筋であって、耐火物といえるものではないし、各標章はいずれも本件商標と同一または社会通念上同一のものとはいえない。

(2)乙第2号証は、財団法人建材試験センターが平成14年1月24日付けで発行した「性能評価書」の写しであるが、その内容は、「商品名:45分準耐火外壁通気パネル」が建築基準法第2条第7号の2に係る基準に適合するものと評価するものにすぎないし、本件商標(社会通念上同一と認められるものを含む。)は一切見当たらない。

(3)乙第3号証は、被請求人の代表者西山榮一が国土交通省住宅局建築指導課長あてに、平成19年11月30日付けで報告した「防耐火関連の構造方法等の認定に関する実態調査報告書」の写しであるが、その内容は、防耐火関連の構造方法等の認定に関する実態調査についての報告であり、本件商標(社会通念上同一と認められるものを含む。)は一切見当たらない。

(4)乙第4号証は、被請求人の「ニシヤマ ハッピー打継ぎラス」と題するパンフレットの写しであるが、これに掲載された商品は、コンクリート打継ぎに用いられるラスであって、乙第1号証の製品カタログに掲載された商品と同様、耐火物の範ちゅうに属する商品とはいえない。

(5)乙第5号証は、被請求人の「NISHIYAMA HAPPY NET SYSTEM/西山ハッピーネットシステム」と題するパンフレットの写しであるが、その内容は、鉄筋コンクリート工事の施工手順と必要部材等について説明したものであり、請求に係る指定商品「陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物」についてのものではない。また、パンフレットに記載された「NISHIYAMA HAPPY NET SYSTEM」、「西山ハッピーネットシステム」及び「ハッピーネットシステム」の標章は、本件商標と同一または社会通念上同一のものとはいえない。

(6)なお、乙第1号証、乙第4号証及び乙第5号証の製品カタログ及びパンフレットの発行日は明らかでない。

2 以上の認定事実からすれば、被請求人の提出に係る各乙号証によっては、本件商標(社会通念上同一と認められるものを含む。)が請求に係る指定商品第19類「陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物」に含まれる「耐火物」について使用されているものと認めることはできない。

その他、本件商標(社会通念上同一と認められるものを含む。)が、本件審判の請求の登録(平成21年11月20日)前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品第19類「陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物」について使用されていると認めるに足る証拠はない。

3 以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標(社会通念上同一と認められるものを含む。)の使用をしていたことを証明したものと認めることはできない。また、被請求人は、請求に係る指定商品について、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定に基づき、その指定商品中第19類「陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物」についての登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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