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Trademark Appeal Case

商標不使用取消の「使用」

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2009−301269(T2009−301269/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4628717号商標(以下「本件商標」という。)は、「NEW BUSINESS CREATOR」の文字を横書きしてなり、平成13年10月18日に登録出願され、第35類ないし第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として平成14年12月13日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張の要点

請求人は、本件商標の指定商品(審決注:「指定役務」の誤記と認められる。)中、第35類の「広告,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,財務書類の作成又は監査若しくは証明」及び第41類の「技芸・スポーツ又は知識の教授,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べている。

1 請求の理由

本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、指定役務中の第35類の「広告,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,財務書類の作成又は監査若しくは証明」及び第41類の「技芸・スポーツ又は知識の教授,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧」について使用をしていないものである。

したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、上記指定役務についての登録を取り消すべきものである。

2 弁駁の理由

(1)被請求人は、請求人が審判の請求書を提出した平成21年11月17日の3年前より現在に至るまで、指定役務第35類中の「広告,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,財務書類の作成又は監査若しくは証明」及び指定役務第41類中の「技芸・スポーツ又は知識の教授,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧」について本件商標を継続して使用しているので、商標法第50条第1項の規定には該当しないものである、との理由を述べ証拠方法として、乙第1ないし第10号証を提出し説明している。

しかしながら、被請求人の上記主張は、以下に述べる理由により不適切と考えられ、かつ、その余の主張がないことから、本件商標は、商標としての使用がされておらず、上記指定役務についての登録は取り消されるべきと考える。

(2)商標法は第2条第3項各号において、商標の使用について定義しているところ、当該規定の趣旨は、当該使用行為により商標の各機能(自他商品識別機能、出所表示機能、品質保証機能、宣伝広告機能)が発揮するものであり、したがって、いわゆる商標的使用態様でなければならず、当該使用態様に該当しない行為は、形式的には同項各号の規定に合致しても、いわゆる「商標の使用」には該当しないものと考える。これは、判決例・学説・審決例においても、明確に示されている。

(ア)判決例

商標法第50条における使用は、同法第2条3項の文言どおりの使用では足りず、商標の各機能を発揮するような使用でなければならないとする判決例として以下の事例がある。

すなわち、「VUITON」事件(東京高判平5年11月30日)では、「不使用取消の審判の制度の趣旨は、商標法上の保護は、商標の使用によって蓄積された信用に対して与えられるのが本来的な姿であって、一定期間登録商標の使用をしていない場合には、保護すべき信用が発生しないか、あるいは発生した信用も消滅して、その保護の対象がなくなるし、他方、不使用の登録商標に対して排他的独占的な権利を与えておくのは国民一般の利益を不当に侵害し、かつその存在により権利者以外の商標使用希望者の商標の選択の余地を狭めるから、審判請求をする利益を有する者の請求によりこのような商標登録を取り消させることにある」と述べ「単に不使用取消の審判を免れる目的で名目的に商標を使用するかのような外観を呈する行為があっただけでは、改正前商標法2条2項3号にいう商品に関する広告に標章を附して展示又は頒布する行為に該当せず、したがって同法50条による不使用取消の審判請求を免れることはできないと解すべきである」としている。

同様に、「ピーターラビット」事件(知財高判平18年8月31日)でも取消を免れる目的で名目的に商標を使用するような場合は将来的にも登録商標にグッドウィルが化体する可能性がないとして取消され、また、適法な使用でないような場合にも使用に該当しない旨が判示されている。

さらに、「DALE CARNEGIE」事件(東京高判平13年2月28日)、「がんばれニッポン」事件(東京高判平16年11月30日)では、ともに「商標法50条の適用上、・・・『商品についての登録商標の使用』があったというためには、当該商品の識別標識として同法2条3項、4項所定の行為がされていることを要するものというべきである」というように、出所表示機能を発揮するような使用でなければならないことを明確に述べている。

逆に、「コスメディカルズ」事件(東京高判平16年10月27日)では、被告パンフレットに被告商品の写真と共に掲載された「コスメディカルズ全8品」「コスメディカルズご購入」等の掲載について、「これらの掲載によれば、本件商標である『コスメディカルズ』は主として被告商品の総称として用いられ用いられているものということができ、少なくとも、被告の提案する美容方法やそのキャッチフレーズ、あるいは被告の営業表示に限定して用いられているものでないことは明らかである。」と述べ、指定商品(あるいは指定役務)に対する登録商標としての使用態様を明確にしている。

さらに、「Always」事件(東京地判平10年7月22日)では、標章使用者が種々のキャッチフレーズを用いて、長年、商品の販促キャンペーンを大規模にしてきたという事情において、当該標章が明確なメッセージを需要者に伝えるフレーズの中で使用されていると、当該商標が出所標識として使用されているとは言い難い旨の判断がされている。この判決例も「商標の使用」に該当するためには、自他商品等識別機能等の商標の機能が発揮されていなければならないという判断の証左と考える。

(イ)学説

学説においても、例えば、「2条3項の要件を形式的に満足する場合でも、それが出所を識別する表示として使用されていなければ商標として使用されているとは認められない。識別表示として機能しない以上、混同も生じないので、商標を維持して他社の商標選択の自由を制約する理由に乏しいからである。」(田村善之「商標法概説」28頁(弘文堂、第2版、2000))として商標の機能を発揮するような使用でなければならないとする考え方が多い。

(ウ)審決例

審決においても、登録商標「その前に」(第3351292号)について、「被請求人が実際に使用している・・・表示は、・・・商品の用途、使用時期を表示しているものと認められるから、この使用態様をもってしては、自他商品の識別標識としての機能を発揮しうる態様での使用と認めることはできない」(取消2006−31260)との判断が示されている。

また、登録商標「アスター」(第2622310号)についても、「『アスターブラック<ZP>』及び『アスターブラウン<ZK>』の文字は、・・・それぞれの色柄又は図柄に対応し、それぞれの特徴をとらえた一連の記述的な商標として認識し、把握されると見るのが自然である。・・・そうすると、上記『アスターブラック<ZP>』及び『アスターブラウン<ZK>』の文字から『アスター』の文字部分のみを分離抽出して、自他商品の識別標識として認識し、解されることはないというべきである。」(取消2006−30688)との判断が示されている。

さらに、登録商標「サンシャイン/SUNSHINE」(第4072172号)については、「図案化された大きな『NAMJATOWN』の文字とその上部に併記された小さな『SUNSHINE』の文字の部分は、それ自体が全体として独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものである。・・・この点に関し、請求人は、『SUNSHINE』の文字部分は、役務の提供の場所を示すものと認識され、被請求人の提供する役務を識別する商標とはいえない旨主張するが、『SUNSHINE』の文字が役務の提供の場所を表示するために普通に使用されている事実を示す具体的な証拠もなく、これが商標としての機能を果たし得ないまでとはいえず、むしろ、上記の方に判断するのが相当であるから、請求人の主張は、採用することができない」との判断が示されている。

以上、要するに、審決例においても登録商標を記述的な態様で使用している場合には、商標の機能が発揮されず、「商標の使用」に該当しないとの考えが明示されているものと考える。

すなわち、判決例・学説・審決例においても識別機能等を発揮しない、いわゆる商標的使用態様に該当しない行為は、「商標の使用」には該当しないと判断しているものと思惟する。

(3)証拠方法の検討

上記判決例・学説・審決例に基づき、被請求人の提出した証拠方法について検討する。

(ア)乙第1及び第2号証について

乙第1号証(会社案内)では、「NEW BUSINESS CREATOR」の文字(以下「本件表示」という。)が、「HUMAN VALUE INNOVATOR」の文字と共に、被請求人の事業コンセプトとして表示されている。したがって、被請求人は、本件表示を自社の事業コンセプト、キャッチフレーズ、自社の企業理念、若しくは、個々人が有すべき資質を体現する文言として用いていることが明白である。

一方、被請求人は、本件表示が会社案内に印刷されている事実のみをもって、指定役務について本件商標を使用している旨の主張をしてはいるが、「ベンチャー・リンクの事業コンセプト」のページにおいて、本件表示は「HUMAN VALUE INNOVATOR」の文字と共にページの中心に掲載されているのみで、個々の指定役務との関係において当該指定役務の名称として使用しているとはいい難い。

すなわち、当該ページ中Stage3「ネットワークヘの商品提供」中に宣伝広告ツール等が掲載されている旨の主張がされているが、当該宣伝広告ツールの名称として本件表示が使用されてはいない。同様に、Stage1「ネットワークの構築」中に掲載されている経営相談の名称として、Stage3「ネットワークヘの商品提供」中に掲載されている中小企業経営に必要な各種商品の提供の名称として、Stage2「ネットワークに有効な経営情報の発信」中に掲載されている経営セミナー、新規事業研究倶楽部、ビジネスレポート、ニュービジネス情報の電子メール又はウェブサイトからのダウンロードによる提供サービスの名称として、それぞれ、本件表示は使用されてはいない。この点、本件表示は「コスメディカルズ」事件において示されたような態様をもって使用されているとはいい難い。

会社案内ページの中心に掲載された本件表示は、むしろ事業コンセプトの主張若しくは需要者、取引者へのメッセージとして理解されるべきものであることは、上記「Always」事件と同様である。なにより、実際に需要者や取引者が当該会社案内ページを閲覧し本件表示を見ても、個々の指定役務との関連性が説明されておらず、具体的な紐付けもされていないのであるから、何のサービスについての名称か皆目見当がつかないものと思惟する。しかも、被請求人は、提出された証拠方法において、上記本件表示を自社の事業コンセプト、キャッチフレーズ、自社の企業理念、若しくは、個々人が有すべき資質を体現する文言してのみ使用し、これを説明しているのであるから、本件表示が商標としての機能を発揮していないことは明白である。

乙第2号証は、印刷日時若しくは配布日時が異なるのみで、乙第1号証と同様、自社の会社案内なので、上記主張が当てはまる。

(イ)乙第3号証について

乙第3号証は、セミナー若しくは研修で配布している「スピリッツマニュアル」なる冊子であり、社内外において、経営理念などを告知する目的で配布しているものである。該冊子の12頁において、本件表示が印刷されているとのことであるが、当該ページには指定役務が掲載されておらず、上記本件表示は、何のサービスの名称として使用されているのか明確ではなく、むしろ、事業コンセプト(=新事業創造企業)の名称として使用されているため、商標としての機能を発揮していないことは明白である。

(ウ)乙第4号証の1ないし5について

乙第4号証の1は、被請求人が運営するホームページである。このトップページ上部横方向に本件表示が掲載されてはいるが、「We are」の文字が付加されており、3段表記で、かつ一連一体の態様で「We are/NEW BUSINESS CREATOR/HUMAN VALUE INNOVATOR」と表記されているため、個々の指定役務との関連性が明確ではない。

換言すれば、上記ホームページに指定役務が掲載されているとはいい難く、具体的なサービスの名称として使用されていないことは明白である。むしろ被請求人も主張しているような、企業理念ないしはキャッチフレーズ、ホームページの表題としての使用にすぎないと考える。

乙第4号証の2ないし4は、いずれも乙第4号証の1の下位のウェブページである。

乙第4号証の2について、被請求人は、当該ページに「Stage1、ネットワークの構築〜事業基盤の創造〜」、「Stage2、ネットワークに有効な経営情報を発信」、「Stage3、ネットワークヘの商品提供」、「Stage4、ネットワークから新たな事業を創造する」との掲載があり、それぞれが中小企業向けの経営支援の内容となっており、かつ、本件表示が使用されている旨主張する。

しかしながら、当該ページを見ると本件表示について、被請求人は「当社は創業以来の事業コンセプトである『NEW BUSINESS CREATOR(新事業創造者)』」と明確に謳っており、企業理念ないしは事業コンセプトとして使用していることは明白であり、かつ、当該ページにおいても、上記個々の指定役務との関連性が説明されておらず、具体的な紐付けもされていないのであるから、上記本件表示が何のサービスについての名称か皆目見当がつかない。したがって、商標の使用には該当しないと考える。

乙第4号証の3について、被請求人は、当該ページに「ビジネスマッチングヘのサポートBmC」、「経営者向けビジネスクラブ」、「月刊ベンチャー・リンク」、「企業経営者向けセミナー情報」、「成長するフランチャイズビジネス」及び「全国展開をお考えの方へ」の各タイトルが表示され、各タイトルをクリックすることにより、さらに詳細な内容が表出されると主張する。

しかしながら、当該ページには本件表示さえなく、かつ上位ページに本件表示が掲載されているとはいえ、上記個々の役務との関連性が全く説明されておらず、本件表示を伴った具体的な紐付けもされていないのであるから、本件表示が何のサービスについての名称か皆目見当がつかない。したがって、商標の使用には該当しないと考える。

乙第4号証の4について、被請求人は、当該ページに経営相談、新規事業紹介に関し、会員制の「NIPPON経営者倶楽部」が行っている業務を紹介しており、指定役務である第35類「広告,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供」、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,電子出版物の提供」が掲載されている旨主張するが、乙第4号証の3と同様、当該ページには本件表示さえなく、かつ上位ページに本件表示が掲載されているとはいえ、上記個々の役務との関連性が全く説明されておらず、本件表示を伴った具体的な紐付けもされていないのであるから、本件表示が何のサービスについての名称か皆目見当がつかない。したがって、商標の使用には該当しないと考える。

乙第4号証の5は、乙第4号証4の下位のウェブページである。ここで、被請求人は、当該ページにメールマガジンの発信登録に関し、指定役務である第41類「電子出版物の提供」が掲載されている旨主張するが、乙第4号証の3及び4と同様、当該ページには本件表示さえなく、かつ本件表示と上記役務との関連性が全く説明されておらず、本件表示を伴った具体的な紐付けもされていないのであるから、本件表示が何のサービスについての名称か皆目見当がつかない。したがって、商標の使用には該当しないと考える。

(エ)乙第5号証の1ないし3について

被請求人は、毎年一回、中小企業の商談及び会員顧客の情報交換を目的として、「東京ビジネスサミット」と称する見本市を開催しており(乙第5号証の1)、その際に無料で配布している手提げ紙袋(乙第5号証の2及び3)に本件表示が印刷されている旨主張する。

しかしながら、上記手提げ紙袋に印刷された本件表示と上記「東京ビジネスサミット」見本市開催というサービス(第35類中の「広告」に該当すると思惟する)との間の関連性について、答弁書では全く説明されておらず、上記本件表示を伴った具体的な紐付けもされていないのであるから、本件表示が何のサービスについての名称か皆目見当がつかない。上記イベンドの名称も「東京ビジネスサミット」であり、「NEW BUSINESS CREATOR」ではない。かつ、当該手提げ紙袋に印刷された本件表示は、「HUNAN VALUE INNOVATOR」の文字と併せて印刷されている点を考慮すると、単に被請求人の事業コンセプト等を表明したメッセージ若しくは主張にすぎず、したがって、商標の使用には該当しないと考える。

(オ)乙第6号証の1及び2について

乙第6号証の1及び2は、被請求人がセミナーにおいて配布するバインダーである。ここで、被請求人は、中小企業に向けた経営セミナーを定期的に開催しており、そのセミナーにおいて参加者に配布する資料を挟み込むバインダーの表紙に本件表示が印刷されている旨主張する。

しかしながら、当該バインダーに印刷された本件表示と上記セミナーとの間の関連性について、答弁書では全く説明されておらず、本件表示を伴った具体的な紐付けもされていないのであるから、本件表示が何のサービスについての名称か皆目見当がつかない。上記セミナーの名称も「NEW BUSINESS CREATOR」か否か不明である。かつ、当該バインダーに印刷された本件表示は、単に被請求人の事業コンセプト等を表明したメッセージ若しくは主張にすぎず、したがって、商標の使用には該当しないと考える。なお、「セミナーの企画・運営又は開催」は請求に係る指定役務に含まれず、かつ、本件商標の指定役務にも含まれていないのであるから、被請求人の主張は失当と考える。

(カ)乙第7及び第8号証について

乙第7及び第8号証は、被請求人が使用した営業用提案書である。被請求人は、乙第7号証について、西武信用金庫が運営するビジネスクラブの運営委託を受諾するための営業を行っており、その際に西武信用金庫の担当者に向けて提示した提案書であって、この受託業務の内容には「経営セミナー、研修開催、商談会」が含まれる旨主張し、乙第8号証について、しずおか信用金庫が運営する若手経営者の会の運営委託を受諾するための営業を行っており、その際にしずおか信用金庫の担当者に向けて提示した提案書の最後のページに平成21年12月から始められるセミナー、勉強会のスケジュールが掲載されている旨主張し、かつ、いずれの提案書にも、その上下に本件表示が印刷されている旨主張する。

しかしながら、「ビジネスクラブリニューアルについてご提案」と称するサービス又は上記若手経営者の会の運営を委託するサービスが、請求に係る指定役務のいずれに該当するのかを被請求人は明らかにしていない。加えて、当該営業提案書に印刷された本件表示と上記サービスとの間の関連性について、答弁書では全く説明されておらず、本件表示を伴った具体的な紐付けもされていないのであるから、本件表示が何のサービスについての名称か皆目見当がつかない。

上記サービスの名称も「NEW BUSINESS CREATOR」か否か不明であり、セミナー、勉強会その他営業提案書に掲載されているサービスの名称にも本件表示が付与されていない。かつ、当該営業用提案書に印刷された本件表示は、「HUMAN VALUE INNOVATOR」の文字と併せて印刷されている点を考慮すると、本件表示は、単に被請求人の事業コンセプト等を表明したメッセージ若しくは主張にすぎず、したがって、商標の使用には該当しないと考える。

(キ)乙第9号証について

乙第9号証は、被請求人が配布した不定期開催セミナーの開催告知のチラシである。ここで、被請求人は、当該チラシ中、講師紹介の欄において、「NEW BUSINESS CREATORを標榜する・・・」と記載されている旨主張する。

しかしながら、当該チラシに印刷された本件表示は、上記不定期開催セミナーとの間の関連性について、答弁書では全く説明されておらず、本件表示を伴った具体的な紐付けもされていないのであるから、何のサービスについての名称か皆目見当がつかない。上記セミナーの名称にも本件表示が付与されていない。かつ、「NEW BUSINESS CREATOR」を標榜するのは被請求人であり、サービスの名称ではない。使用態様としても、サービスの名称としての使用とはいえず、被請求人の会社概要の説明に該当する。すなわち、本件表示は、単に被請求人の事業コンセプト等を表明したメッセージ若しくは主張にすぎず、したがって、商標の使用には該当しないと考える。

(ク)乙第10号証について

乙第10号証は、被請求人を初めとする従業員に働きがいを与える企業について解説し、海外の働きがいのある企業を紹介すると共に従業員の働きがいについて解説している書籍である。該書籍の12頁には、被請求人が紹介されており、266頁の会社概要に業務内容及び実績が掲載され、268頁に「NEW BUSINESS CREATOR」(新事業創造者)の文字が使用されている旨主張している。

しかしながら、上記書籍に掲載された本件表示と上記業務内容との間の関連性について、答弁書では全く説明されておらず、本件表示を伴った具体的な紐付けもされていないのであるから、本件表示が何のサービスについての名称か皆目見当がつかない。上記業務内容の名称にも本件表示が付与されていない。かつ、使用態様としても、サービスの名称としての使用ではなく、被請求人の事業コンセプトの説明に該当する。すなわち、本件表示は、単に被請求人の事業コンセプト等の説明にすぎず、したがって、商標の使用には該当しないと考える。

(4)結論

以上のとおり、被請求人の提出した証拠方法によっては、本件表示が商標として使用されていないことは明白である。

よって、被請求人の答弁は不適切であり、本件審判請求は認められるべきものである。

第3 被請求人の答弁の要点

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第10号証(審決注:被請求人は乙号証を「乙第4−1号証」の如く表記しているが、枝番として整理した。)を提出している。

1 理由

本件商標は、請求人が審判請求書を提出した平成21年11月17日の3年前より現在に至るまで、請求に係る指定役務第35類中の「広告,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,財務書類の作成又は監査若しくは証明」、及び第41類中の「技芸・スポーツ又は知識の教授,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧」について継続して使用している。

よって、商標法第50条第1項の規定には該当しないものである。

2 証拠方法

被請求人は、1986年(昭和61年)に創設されたが、創設当初から全国の中小企業をネットワーク化し、中小企業の事業経営、運営に必要とされる情報や商品・技術を収集して、そのネットワークにより情報を配信することで中小企業の支援を目的として活動してきた。被請求人による中小企業支援では、中小企業に新しい事業を創造させる意識改革を目的とし、「新事業創造企業」という意味の「NEW BUSINESS CREATOR」(本件表示)という造語により、被請求人の理念を象徴させている。この理念を標榜する造語は被請求人が対外的に発信するパンフレット、インターネットのホームページ、雑誌などにおいて平成13年(2001年)より現在まで継続して盛んに使用されている。

(1)乙第1及び第2号証(会社案内)

いずれも印刷日時は記載していないが、会社概要における役員、組織図では2007年現在又は2008年5月1日現在の役員名、図表が掲載されていることから、2007年(平成19年)7月以降又は2008年(平成20年)5月以降に印刷されて配付されたことが明白である。

これらの会社案内の表紙、「ごあいさつ」欄、「事業コンセプト」欄には、それぞれ本件表示が印刷されている。

業務内容については、「ベンチャー・リンクの事業コンセプト」欄に具体的に説明がある。指定役務と掲載内容を比較してみる。

(ア)第35類「広告」→Stage3「ネットワークヘの商品提供」の中に広告宣伝ツールなどが記載されている。

(イ)第35類「経営の診断又は経営に関する助言」→Stage1「ネットワークの構築」の中に経営相談などが記載されている。

(ウ)第35類「商品の販売に関する情報の提供」→Stage3「ネットワークヘの商品提供」の中に中小企業経営に必要な各種商品の供給などが記載されている。

(エ)第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」→Stage2「ネットワークに有効な経営情報を発信」の中に経営セミナー、新規事業研究倶楽部などが記載されている。

(オ)第41類「電子出版物の提供」→Stage2「ネットワークに有効な経営情報を発信」の中にビジネスレポート、ニュービジネス情報などが記載されている。これらの情報は後述するように電子メール、ホームページからのダウンロードのようにして提供している。

(2)乙第3号証(冊子「スピリッツマニュアル」抜粋写し)

印刷日時は不明であるが、現在もセミナー、研修で配付している。被請求人の社内外において、経営理念などを告知するために配付されているものであり、その12頁には本件表示が印刷されている。

(3)乙第4号証の1ないし5(被請求人のホームページ)

被請求人は、独自のホームページを運営しており、そのホームページアドレスはhttp://www.venture-link.co.jp/である。

このホームページのトップベージ(乙第4号証の1)では、被請求人の事業内容を紹介している。このトップページの上部には、横方向に本件表示が標語として掲載されていて、被請求人がこの企業理念のもとに顧客である中小企業にどのようなサービス(役務)を提供するかを具体的に説明している。この理念では、企業主や従業員の能力を向上させながら新規事業創造企業を支援するものであり、その経営支援は全国約9万社の中小企業をネットワーク化させ、情報やアイデアを交流できるネットワークを構築したものである。支援内容については、トップページから下位のページに飛ぶことで順次詳細に説明されている。

上記トップページの上段の左右に連なるバーの内で「私たちの事業について」のアイコンをクリックすると支援を行っている事業を説明するページ(乙第4号証の2)に飛ぶ。このページでは、「NEW BUSINESS CREATOR」の理念に基づいた事業コンセプトが大きく4つの分野にあることを説明していて、その内容は、

・Stage1、ネットワークの構築〜事業基盤の創造〜

・Stage2、ネットワークに有効な経営情報を発信

・Stage3、ネットワークヘの商品提供

・Stage4、ネットワークから新たな事業を創造する

に大きく分かれていて、それぞれの中小企業向けの経営支援の内容となっている。さらに、上記ページの左側上にある「ネットワークの構築〜ビジネスの創造」の文字をクリックすると、前述の4つの経営支援の事業内容をさらに詳細に説明するページに飛び、企業支援や新事業創造のための各種の手段が示され、それらが有機的に結合することにより総合的な支援機構が成り立つことを説明している。このように説明されている事業コンセプトの大半は経営コンサルタント、事業支援である。

次に、トップページに戻って、上段の左右に連なるバーの内で「経営者の皆様へ」のアイコンをクリックすると、中小企業経営者のために提供できるサービス内容を示すページ(乙第4号証の3)に飛ぶ。このページでは、

・ビジネスマッチングヘのサポートBmC

・経営者向けビジネスクラブ

・月刊ベンチャー・リンク

・企業経営者向けセミナー情報

・成長するフランチャイズビジネス

・全国展開をお考えの方へ

のタイトルが表示されていて、各タイトルをクリックすることにより、さらに詳細な内容が表出される。これらのサービス(役務)は、本件商標の指定役務第35類中の「広告、経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供」、及び指定役務第41類中の「技芸・スポーツ又は知識の教授」に対応するものである。

そして、トップページに戻って、上段の左右に連なるバーの内で「WizBiz」の四角いアイコンをクリックすると、被請求人が会員制により実施している経営相談、新規事業紹介のページ(乙第4号証の4)に飛ぶ。このページでは、会員制の「NIPPON経営者倶楽部」がどのような業務を行っているかを紹介しており、本件商標の指定役務である第35類「広告,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供」、及び第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,電子出版物の提供」が掲載されている。さらに、このページの左側最下段にある「WizBizメールマガジン」の文字をクリックすると、メールマガジンを受け付けるページ(乙第4号証の5)に飛ぶ。このページからさらに入り込んで会員登録すると、登録者には被請求人から毎週メールマガジンが発信される。このサービスは本件商標の指定役務中の第41類「電子出版物の提供」に該当する。

(4)乙第5号証の1ないし3(被請求人が配付した手提げ紙袋)

被請求人は、中小企業の商談のため及び会員顧客の情報交流のために毎年一回「東京ビジネスサミット」と称する見本市を開催している。2009年度は23回目であり、その内容についてはホームページ(乙第5号証の1)に掲載されている。このホームページアドレスはhttp://www.business-summit.jp/である。

2009年度は平成21年11月5日と6日の二日間開催された。この見本市の会場内では、カタログ、チラシなどを持ち歩くための手提げ紙袋(乙第5号証の2及び3)を来場者に無料で配付していて、その紙袋には本件表示が印刷されている。

(5)乙第6号証の1及び2(被請求人がセミナーにおいて使用するバインダー)

被請求人は、中小企業に向けた経営セミナーを定期的に開催しており、そのセミナーにおいて参加者に資料などを配付するが、それらの資料は特製のバインダーに挟み込んでいる。乙第6号証の1はバインダーの表紙の写真であり、乙第6号証の2はバインダーを広げた状態を撮影した写真である。

(6)乙第7及び第8号証(被請求人が使用した営業用提案書)

被請求人は、西武信用金庫が運営するビジネスクラブの運営委託を受諾するための営業を行っており、乙第7号証は、その際に西武信用金庫の担当者に向けて提示した提案書(使用年月2009年8月26日)である。この受諾業務の内容には、「経営セミナー・研修開催、商談会」が含まれている。

また、被請求人は、しずおか信用金庫(略称、しずしん)が運営する若手経営者の会の運営委託を受諾するための営業を行っており、乙第8号証は、その際にしずおか信用金庫の担当者に向けて提示した提案書(使用年月2009年7月31日)である。この受諾業務の内容はその最後のページに平成21年12月から始められるセミナー、勉強会のスケジュールが掲載されている。

そして、いずれの提案書にも、その上下に本件商標の「NEW BUSINESS CREATOR」が印刷されている。

(7)乙第9号証(被請求人が使用したセミナー開催告知のチラシ)

被請求人は、不定期にセミナーを開催しており、このセミナーの開催を告知するためにチラシを配付している(使用年月2006年9月)。このチラシの中での講師紹介の欄には、被請求人会社の副社長であるMが掲載されていて、紹介文中に「NEW BUSINESS CREATORを標榜する・・・」と記載されている。

(8)乙第10号証(株式会社労務行政、2008年5月30日発行、斎藤智文著「働きがいのある会社 日本におけるベスト25」の抜粋写し)

この書籍は、従業員に働きがいを与えている企業について解説し、海外の働きがいのある企業を紹介すると共に従業員の働きがいについて詳説している。そして、この書籍の12ページには具体的に働きがいがあると判断された日本国内の企業が25社選ばれて掲載されていて、被請求人会社も第10位に挙げられている。この書籍の266ページから271ページには、被請求人の業務内容や実績などが解説してある。

266ページの「会社概要」には、「中小企業に対する経営情報の提供、戦略コンサルティング」と業務が明記され、268ページにおける【触発する】の欄には「NEW BUSINESS CREATOR」(新事業創造者)と本件商標を使用していることが明記されている。

第4 当審の判断

1 被請求人の提出に係る証拠について

被請求人は、本件商標を請求に係る指定役務について使用している旨主張し、乙第1ないし第10号証(枝番を含む。)を提出しているので、該証拠について検討する。

(1)乙第1及び第2号証について

(ア)これらは、被請求人の会社案内用の冊子と認められるところ、いずれもその表紙には、中央部分に「NEW BUSINESS CREATOR」及び「HUMAN VALUE INNOVATOR」の文字が二段に横書きされ、右下隅に図形と「VENTURE」及び「LINK」の文字とからなる標章が表示されているほか、その記載内容はほぼ同じである。これらの冊子には、発行日が明示されていないものの、それぞれの裏表紙の左下隅の四角形内に「BEST COMPANIES to WORK」、「JAPAN」の文字と共に表示された「2007」又は「2008」の数字、内部に記載された会社概要欄の「(2007年6月現在)」又は「(2007年12月現在)」の表示、役員欄の「(2007年6月30日現在)」又は「(2007年3月19日現在)」の表示、組織図欄の「(2007年7月27日現在)」又は「(2008年5月1日現在)」の表示、沿革欄の最終年月が「2007年8月」又は「2008年5月」と記載されていることからすれば、少なくとも、乙第1号証の冊子は2007年に発行され、乙第2号証の冊子は2008年に発行されたものとみるのが自然であるから、これらの冊子は、本件審判の請求の登録日である平成21年(2009年)12月8日前3年以内に発行され頒布されたものとみて差し支えない。

(イ)「ごあいさつ」欄には、「1986年3月1日・・・中小企業経営者にとって真に価値ある情報を安価に提供するため、全国に中小企業ネットワークを作りたいとの想いを抱き当社は設立されました。・・・当社は設立以来、一貫してこの『価値と価値とを結びつけることで、新たな事業を創造する者』即ち『NEW BUSINESS CREATOR』であろうと努め、具体的には●取引先紹介(発注先や受注先、新規事業案件等を紹介)●各種経営情報提供(様々な経営理論、ノウハウをビジネスレポート、セミナー、雑誌等を通じ提供)の二点に絞った中小企業支援事業を展開してまいりました。・・・」と記載され、その下方には、2頁に亘って「NEW BUSINESS CREATOR」及び「HUMAN VALUE INNOVATOR」の文字が大きく二段に横書きされている。

(ウ)「ベンチャー・リンクの事業コンセプト」と題する見開きの頁には、中央部分に2頁に亘って「当社は創業以来の事業コンセプトである『NEW BUSINESS CREATOR(新事業創造者)』に加え、2005年より、当社が展開する事業を通じて、当社の従業員のみならず加盟店として参加される企業も含め、その事業で働く全ての方々の能力向上に寄与したいとの願いをこめ、『HUMAN VALUE INNOVATOR(人財価値革新者)』というコンセプトを新たに掲げました。」と記述され、さらに、その下方に「NEW BUSINESS CREATOR」及び「HUMAN VALUE INNOVATOR」の文字が大きく二段に横書きされている。これらを取り囲むように「stage1 ネットワークの構築」、「stage2 ネットワークに有効な経営情報を発信」、「stage3 ネットワークへの商品提供」及び「stage4 ネットワークからニュービジネスを創造」の各項目や図形が掲げられ、それぞれの説明が付されている。

(エ)上記頁の「事業活動のご紹介」欄には、「stage1 ネットワークの構築」の表題の下に、「『NEW BUSINESS CREATOR』として、地域金融機関を通じた中小企業のネットワークを構築、そのネットワークを基盤とした各種経営情報サービスを展開しております。ここから抽出されるビジネスシーズ・ビジネスニーズを活かし、新規事業参入支援や、それらを成功させるための活性化された組織づくりの支援を行います。」と記載され、その下部に、被請求人は、「地域金融機関・その他金融機関など」と提携し、該金融機関等と取引関係にある「中小企業会員」に新規事業情報の提供等のサービスを提供する旨、該中小企業会員は被請求人に会費を納め、該金融機関等を介し経営相談をする旨が図示されている。

(オ)同じく、「stage2 ネットワークに有効な経営情報を発信」の表題の下に、「提携先金融機関や会員企業から直接提供される情報をはじめ、あらゆる角度から収集された経営情報を独自に加工・分析し、タイムリーにネットワークに提供します。」と記載され、その下部に「経営セミナー」、「ビジネスレポート」、「ニュービジネス情報」、「東京ビジネス・サミット」及び「新規事業研究倶楽部 B STYLE」の各項目が設けられ、それぞれの説明がされている。

(カ)同じく、「stage3 ネットワークへの商品提供」の表題の下に、「ネットワークのバイイングパワーを活かし、メーカーから低価格での一括購入を実現。中小企業経営に必要な各種商品の供給を行います。」と記載され、さらにその下部の「コストダウンサービス」の項目には、「・・・取り扱い品目には特に制限はなく、『これを安く仕入れたい』というご相談には随時対応しております。」との説明がされている。

(キ)以上からすると、被請求人は、「NEW BUSINESS CREATOR」との事業コンセプトの下に、中小企業を有償の会員制によりネットワーク化すると共に、会員の中小企業から収集した経営情報を加工・分析した上で、様々な経営理論、ノウハウをビジネスレポート、セミナー、雑誌等を通じて会員に経営情報等を提供したり、会員からの経営相談に対応することなどにより、経営に関する助言ないしは指導を行っているものといえる。また、会員からの商品の仕入れに関する相談に対応していることからして、いわゆる商品の販売に関する情報の提供も行っているものといえる。

(2)乙第3号証について

同号証は、「ベンチャー・リンクグループ/スピリッツマニュアル」と題する冊子と認められるが、その発行年月日及び発行者は明らかでない。そして、該冊子は、その記載内容からして、被請求人グループの経営理念などを告知するためのものと推認されるものの、これからは、被請求人が具体的にどのような事業を行い、役務を提供しているかは必ずしも明らかでない。

(3)乙第4号証の1ないし5について

これらは、被請求人のウェブサイトの写しと認められるが、その作成日は明らかでない。もっとも、第1頁目の「ニュース」欄に記載された最終年月日が「2010.02.04」と記載されていることからすると、これらは本件審判の請求の登録日(平成21年12月8日)後にプリントアウトされたものといえるから、同号証のみをもって、本件審判の請求の登録前3年以内における事実を示すものとは認められない。

(4)乙第5号証の1ないし3並びに第6号証の1及び2について

これらは、手提げ紙袋又はバインダーを撮影した写真と認められるが、その撮影日、撮影場所、撮影者等は一切不明であるばかりでなく、該バインダーには、被請求人の会社名が記載されているものの、該手提げ紙袋には会社名の記載すらなく、また、これらには製造日や役務の表示もなく、請求に係る役務との具体的な関係は明らかでない。

(5)乙第7及び第8号証について

(ア)これらは、いずれも被請求人が作成した営業用提案書の写しと認められるところ、各頁の上下に「『NEW BUSINESS CREATOR』and『HUMAN VALUE INNOVATOR』」の文字が記載されている。

(イ)乙第7号証には、第1頁目に「西武信用金庫御中」、「ビジネスクラブリニューアルについてご提案」、「2009年8月/株式会社ベンチャーリンク/金融マーケティング部」と表示され、第2頁以降に「西武ニューリーダーズクラブへの融合」、「西武ニュービジネスクラブお見積り」との表題の下に、提案の概要が記載されている。提案内容は必ずしも明らかでないが、「現状」及び「リニューアル後・・・」の表題や、「西武ニューリーダーズクラブ21(約1200名)(うち、53名がビジネスクラブ会員企業様)」及び「ビジネスマッチングを目的とした会組織としてリニューアル」の記述、具体的な見積数値の記載等からして、被請求人が、2009年8月頃に、西武信用金庫に対し、同金庫における企業会員組織のクラブを改変するために行った提案と推認される。

(ウ)乙第8号証には、宛先、提案者及び年月日の記載はない。もっとも、乙第8号証は、乙第7号証と同じく、図形及び「VENTURE LINK」の文字からなる標章が付された用紙が用いられていること、「ご提供サービス2 若手経営者塾」の表題の下に「若手経営者の育成を目的としてしずしん若手経営者塾を毎年開講します。」と記述され、「ご提供サービス3 社員参加型勉強会」の表題の下に「しずしん若手経営者塾の卒業生を対象に、社員と共にご参加いただける社員参加型セミナーを多数ご用意いたしました。」と記述されていること、「全体の概要について(2)」の表題の下に、「スケジュール(案)」として日時欄に「平成21年12月」以降の年月が記載されていることからすると、被請求人が平成21年12月頃に「しずしん」(しずおか信用金庫)に対し行った提案と推認される。そして、その提案は、「経営支援サービス」の表題の下における、「新ビジネスマッチングポータルサイト『WizBiz』の中で、・・・経営にお役立ていただける情報だけでなく、会員企業の実益になるサービスをご提供して参ります。」、「企業情報だけでなく、・・・企業の顕在ニーズ以外の潜在ニーズの掘り起こしにも対応します。」、「地域の飲食店、小売店など全国向けの販路をお持ちでない会員企業様にも、集客という意味でのビジネスマッチングを実現いたします。」等の記述からすれば、経営情報の提供、経営に関する助言又は指導を含むものといえる。

(6)乙第9号証は、被請求人の開催に係るセミナーを告知するチラシの写しと認められるところ、これには該セミナーを特定すべき名称や本件商標の表示は見当たらないばかりでなく、「東京9月12日」、「大阪9月13日」及び「名古屋9月14日」との記載はあるものの、開催年の記載はなく、「2008年中堅・中小企業の採用ゼロ時代がやってくる」、「2010年、つぶれる会社、勝ち残る会社は2006年の社長の決断で決まる」等の記載に徴しても、開催年を特定することはできず、本件審判の請求の登録前3年以内における開催か否かは明らかでない。

(7)乙第10号証は、「働きがいのある会社 日本におけるベスト25」と題する書籍の抜粋写しと認められるところ、該書籍は、被請求人とは何ら関係のない第三者によって著作、発行されたものであって、たとえ該書籍中に被請求人会社や本件商標を記述する部分があるとしても、被請求人による広告宣伝といえるものではないし、それをもって被請求人自身による本件商標の使用を立証するものとはならないことは明らかである。

2 本件商標の使用について

以上を総合勘案すれば、少なくとも乙第1、第2、第7及び第8号証に記載された「NEW BUSINESS CREATOR」の文字(本件表示)は、被請求人の事業コンセプトを示すものであると共に、被請求人が提供する中小企業の経営に関する助言・指導、商品の販売に関する情報の提供の役務についての商標として認識し理解される場合も決して少なくないというべきである。そして、上記文字(本件表示)は、本件商標と社会通念上同一といえるものである。

この点に関し、請求人は、本件表示は事業コンセプトの主張又は需要者、取引者へのメッセージとして理解されるものであって、商標としての機能を果たすものではない旨主張するが、事業コンセプト等であることを理由として直ちに商標としての機能を果たすものではないと断定することまではできず、むしろ、上記各乙号証における表示態様、掲載方法等によれば、商標としての機能をも果たしているものというべきであるから、請求人の主張は採用することができない。

また、前示のとおり、上記各乙号証は、本件審判の請求の登録前3年以内に被請求人によって発行されたものといえる。

そうすると、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に、被請求人によって上記役務について使用されていたものというべきである。そして、上記役務は請求に係る指定役務中の第35類「経営の診断又は経営に関する助言,商品の販売に関する情報の提供」の範疇に属するものと認められる。

3 むすび

以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、被請求人によって、請求に係る指定役務中の第35類「経営の診断又は経営に関する助言,商品の販売に関する情報の提供」について使用されていたものであるから、商標法第50条第1項の規定に基づき、その登録を取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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