結論テキスト
審判費用は,被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2009−301299(T2009−301299/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4311534号商標(以下「本件商標」という。)は,「PAW」と「パウ」の文字を上下二段に横書きしてなり,平成10年9月9日に登録出願,第25類「被服,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として,同11年9月3日に設定登録されたものである。
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由及び答弁に対する弁駁を以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
本件商標は,その指定商品中第25類「履物」について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。また,被請求人会社のインターネット上のホームページを参照しても,本件商標を「履物」に使用している形跡が見あたらない。
(1)被請求人が主張する使用事実
被請求人は,商品「ミュール」に関し「ハイパーパウミュール」と「HYPER PAW MULE」を上下2段に配した構成よりなる商標(以下,「使用商標」という。)を使用している。
(2)本件商標と使用商標との社会通念上の同一性の有無
使用商標は,本件商標の「PAW/パウ」の単独使用ではなく,それに他の文字を結合した構成よりなる。なるほど,「ミュール/MULE」部分は,商品「ミュール」を表すものとして出所表示の用を果たさない部分と考える余地はある。
さて,「ハイパー/HYPER」部分であるが,確かに辞書を引けば「超越した,非常な」の意味がある。しかしながら,だからといって取引上,極めてごく普通に使用されている「SUPER」同様,出所表示の用を果たさない部分と考えることは,例えば甲第2号証の審決例に照らしても早計である。
特に本件は,独占適応性が問われている3条での議論でも,混同の危険があるかの4条の議論でもなく,全体として一体性があるかないかを問われている社会通念上の同一性の議論であり,慎重に判断されなければならない。
ところで,本件において「ハイパーパウミュール/HYPER PAW MULE」と「PAW/パウ」に社会通念上の同一性があるか否かは,要は,本件商標に接した需要者,取引者がそこから「PAW/パウ」部分を独立した商標として認識できるかにかかっている。
まず,外観であるが,使用商標は,上段の「ハイパーパウミュール」も下段の「HYPER PAW MULE」部分も,「PAW/パウ」部分と他の部分は,等大,等書体,等色で記されており,全体に軽重はなく,商品「ミュール」を表す「ミュール/MULE」部分はともかくも,「ハイパーパウ/HYPER PAW」部分には,それを「ハイパー/HYPER」部分と「PAW/パウ」部分に殊更分離して観察すべき特段の理由はない。
また,「ハイパーパウミュール」あるいは「ハイパーパウ」の称呼もよどみなく,一気一連に称呼し得るものである。また,観念も「ハイパーパウミュール/HYPER PAW MULE」は,一つの造語として認識される蓋然性が極めて高いものである。
以上の状況から,使用商標は,「ハイパーパウミュール/HYPER PAW MULE」あるいは「ハイパーパウ/HYPER PAW」全体として識別の用に供されるものであり,「PAW/パウ」とは,別個の識別作用を果たすものである。
よって,本件商標と使用商標とは社会通念上の同一性はない。
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求める,と答弁し,その理由を以下のように述べ,証拠方法として,乙第1号証を提出した。
答弁の理由
本件商標の指定商品中の「履物」について使用している事実を証明するものとしてその実例を記載する。2008年5月株式会社アシックス発行にかかる「‘09 Sportstyle Collection」カタログ3ページ所載の品番TQA144,商品名「HYPER PAW MULE」,「ハイパー パウ ミュール」として,本件商標が明確に表示されている。
本件商標は,「PAW」と「パウ」の文字を二段に表してなるものである。これに対し,使用商標は,その構成中の欧文字部分が「HYPER」,「PAW」及び「MULE」の各語の間に半角程度の間隔を有するものの,その構成各文字は同書・同大に表され,また,その上段の「ハイパーパウミュール」の片仮名も,下段と同じ幅内に下段文字よりも小さい文字で同書・同大・等間隔に表されていることから,使用商標は,その構成全体が視覚上一体的に把握・認識されるものといえる。また,「ハイパーパウミュール」の片仮名は,下段の欧文字の読みを特定したものとみるのが自然であり,その称呼も格別冗長でなく一連に称呼し得るものである。
そうすると,このような構成の使用商標にあっては,「ミュール(MULE)」が履き物の一種である「つっかけ靴」を意味することから,これに接する需要者が「ハイパーパウ」及び「HYPER PAW」の部分を商品の識別標識として認識することはあるとしても,ことさら中間部に位置する「パウ」及び「PAW」のみに着目し,その部分のみをとらえ取引に当たるとはいい難く,また,自然ではない。
してみれば,使用商標は,「ハイパーパウミュール」と「HYPER PAW MULE」の構成全体又は「ハイパーパウ」と「HYPER PAW」の部分が商標として認識されるものといえるから,これが「PAW」と「パウ」の文字を二段に表した本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということはできない。
そして,被請求人からは,乙第1号証のほかに,本件商標について,使用に係る証拠の提出はなく,また,不使用についての正当理由に係る主張及び立証もない。
よって,結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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