Trademark Appeal Case
外国語の品質誤認と記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2008−650183(T2008−650183/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「ROYAL QIVIUK」の欧文字を横書きしてなり、第24類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品を指定商品として、2006年12月15日にEuropean Communityにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2007年(平成19年)4月10日に国際商標登録出願されたものである。
そして指定商品については、原審における平成20年5月2日付け手続補正書により、第24類「Textile fabrics,textiles for men and women clothing.」と補正されたものである。
2 原審の拒絶の理由
(1)商標法第4条第1項第11号
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第2720637号商標(以下「引用商標」という。)は、「ローヤル」及び「ROYAL」の文字を上下二段に書してなり、昭和61年12月15日登録出願、第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成9年4月18日に設定登録され、その後、同19年8月1日に指定商品を第17類「石綿織物,石綿製フェルト」、第24類「織物,メリヤス生地,フェルト,不織布,オイルクロス,ゴム引防水布,ビニルクロス,ラバークロス,レザークロス,ろ過布」及び第26類「テープ,リボン,編みレース生地,刺しゅうレース生地,房類」とする書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
(2)商標法第4条第1項第16号
本願商標は、構成中に「QIVIUK」の文字を有するところ、該文字は「北極地域のジャコウ牛の下毛」の意味を有する語であるから、本願の指定商品中「ジャコウ牛の下毛」を用いた商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものと認める。したがって本願商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。
3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり「ROYAL QIVIUK」の文字よりなるところ、「ROYOL」の文字部分と「QIVIUK」の文字部分との間に半角文字程度のスペースを有することから、外観上分離して看取されるものである。
そして本願商標構成中前半の「ROYAL」の文字部分は、英語で「王室の、皇室の」等を意味を有する語であり、我が国において一般に親しまれた語である。
同じく構成後半の「QIVIUK」の文字部分は、英語、仏語等の辞書に掲載された語とは認められないことから、我が国において最も親しまれた英語の読み方に倣えば「キビアック」又は「キヴィアック」のように発音されるものとみるのが相当である。
しかして、該「キビアック」又は「キヴィアック」の片仮名文字は、以下のとおり、本願の指定商品中の織物製品等を取り扱う業界においては、高級獣毛製品の原料である「ジャコウ牛の産毛」を表すものとして商取引上普通に使用され、また、該「産毛」は、織物やニット製品の原材料、素材として用いられていることが認められる。
(1)「【製造業】新原料で素材開発 ジャコウ牛や竹・和紙など...」1999.12.22 繊研新聞
「・・・繊維総合見本市の『ジャパン・クリエーション(JC)2000』では、原料、製造技術、風合い、機能などで新しい商品が数多く出展された。・・・JC2000で紹介された新素材、開発商品を紹介する。・・・
ジャコウ牛の産毛
フェルモ企画(東京)と富士メリヤス(富山市)が共同で紹介したのは、カナダなど北極地方で生息する野生のジャコウ牛の産毛「
キビアック
」を使ったニット生地および製品。・・・
キビアック
は(1)シルクより細く、繊維長が長い(2)表面が滑らかで光沢があり、フェルト化や収縮しにくい(3)繊維の核が緻密(ちみつ)なため、切れにくい、張力がある−−などの特徴を持つが、これまでは土産物向けの手紡ぎによる手編みセーターなどがあっただけだ。富士メリヤスは、イタリアの毛紡績、ビアジオリ社が紡績したファインウールと
キビアック
との極細混紡糸を使った、高級婦人物セーターを開発、提案した。・・・」
(2)「【愛知万博・トピックス】氷河期生き抜いたジャコウウシの産毛
キヴィアック
コレクション」2005.08.12 繊研新聞
「このほどノースウエスト準州政府はカナダ館で
キヴィアック
製品のコレクションを開いた。・・・『カシミヤよりもソフトで、ぜいたくさと実用性を合わせ持つ
キヴィアック
の不思議な魅力を日本の多くの人に知ってもらいたい』と同準州のジョセフ・ハンドレイ首相は強調する。
キヴィアックはジャコウウシの内側に生えた産毛
。・・・日本では、東京・銀座のサンモトヤマがいちはやくキヴィアックの美しさに注目し、今秋冬から
キヴィアックのニット製品
を発売する。」
(3)「ジャコウ牛の手編み毛糸販売 ジャックカルティエ」2006.12.06 繊研新聞
「ジャコウ牛の産毛、
キヴィアック
を扱うジャックカルティエクロージャー(カナダ・アルバータ州)は、11月29日から12月2日まで大阪・ATCのクラフトフェスタで、
キヴィアックの毛糸を展示、販売した
。・・・毛糸は
キヴィアック100%
(18色、5400円)、
キヴィアック
・メリノウール・シルク混(21色、4200円)、
キヴィアック
・シルク混(3色、4600円)の3種。100%は縮みにくく、ウールと同じ取り扱いができる。来年5月には、日本ホビーショー(東京ビッグサイト)への出展も計画している。」
(4)「キヴィアック(ジャコウ牛うぶ毛) 日本で素材開発進む 年産3トンの希少獣毛 ニットに加え織物も 100%や混紡タイプ」2007.08.30 繊研新聞
「ジャコウ牛表皮を覆う毛で、内側のうぶ毛である
キヴィアック
を使った素材開発が進んでいる。カナダ政府から公認され、
キヴィアック
の95%以上を扱うカナダの繊維メーカー、ジャックカルティエクロージャー・・・は、日本での素材開発による用途の拡大を期待する。繊維原料を扱うアルゴ・インターナショナル・・・を原料と原糸の販売代理店にして、日本での織物を中心とした素材開発を進めている。・・・すでに、御幸毛織や橋本毛織、早善織物、京都西川などの高級獣毛製品を開発しているメーカーへの原料供給がスタートしている。
キヴィアック
100%使いのほか、カシミヤやシルクなどとの混紡など、早ければ07〜08年秋冬物から織物の販売が始まる見込みだ。」
(5)「日本、中国のカシミヤ大手来秋冬 高級獣毛、シルク、PTT、ナイロン... 混紡、交織多彩に 無染色、有機綿使いエコ強調」2008.12.12 繊研新聞
「日本、中国のカシミヤ大手は09〜10年秋冬向けに多彩な商品を企画している。消費不振の中、各社とも独自性を強調した商品を揃えて拡販を目指す。カシミヤ100%物では高級細番原毛使い、無染色の製品提案などが目立つ。カシミヤと他繊維との混紡、交織物、さらにビキューナなど他の獣毛使いなどを増やしている。・・・他の獣毛では、ビキューナ、ミンク、
キヴィアック
、アイベックスヤギ、キャメルなどを揃え、それぞれの毛の自然の色を生かした無染色品にも力を入れる。・・・」
(6)「深喜毛織 ストック販売に力 10〜11年秋冬 人気品種で色増やす」2009.11.06 繊研新聞
「カシミヤの深喜毛織は10〜11年秋冬向けで、糸やテキスタイルのストック販売に力を入れる。・・・テキスタイルは、
キヴィアック
やビキューナ、最高級カシミヤ「ゴールデンキャッシュ」など同社の看板である頂点素材と主力のカシミヤ、低価格対応の三つの素材群を揃える。・・・」
そうとすると、本願の指定商品を取り扱う取引者・需要者は、本願商標の構成中「QIVIUK」の文字部分から、「ジャコウ牛の産毛」を表す「キビアック」又は「キヴィアック」を容易に理解、認識するものと判断するのが相当である。
そして、簡易迅速を重んじる取引の実際においては、商品に使用された商標の自他商品の識別機能を有する部分を適宜抽出し、その称呼をもって取引に資する場合があることは経験則上明らかであるところ、本願商標は「QIVIUK」の文字部分が、前記のとおり商品の原材料、品質を表示するものとして認識、把握されることから、本願商標において自他商品の識別標識としての機能を有する部分は、「ROYAL」の文字部分にあるというべきであり、本願商標が上記のとおり視覚上分離して認識されることと併せて考慮すれば、本願商標に接する取引者・需要者は、前半の「ROYAL」の文字部分に着目して取引に当たる場合も決して少なくないものとみるのが相当である。
してみれば、本願商標は、その構成全体に相当して「ロイヤルキビアック」又は「ロイヤルキヴィアック」の称呼を生ずる他、「ROYAL」の文字部分に相応して「ロイヤル」の称呼及び「王室の、皇室の」の観念を生ずるものと認められる。
一方、引用商標は、前記のとおりの構成よりなるところ、その構成文字に相応して「ローヤル」の称呼及び「王室の、皇室の」の観念を生ずるものであること明らかである。
そうとすれば、本願商標と引用商標とは、外観における差異を考慮しても、「ローヤル」の称呼及び「王室の、皇室の」の観念において相紛らわしい類似の商標といわなければならず、かつ、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似するものを含むものと認められる。
したがって、上記2の拒絶理由(2)について判断するまでもなく、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。