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Trademark Appeal Case

著名商標と結合商標の混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年異議第90652号
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4230101号商標の登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4230101号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成9年10月29日に登録出願され、「GRACE BALLY」の文字を横書きしてなり、第14類「貴金属,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製の花瓶及び水盤,貴金属製針箱,貴金属製宝石箱,貴金属製のろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製のがま口及び財布,貴金属製靴飾り,貴金属製コンパクト,貴金属製喫煙用具,身飾品(「カフスボタン」を除く。),カフスボタン,時計,キーホルダー」を指定商品として、平成11年1月14日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立の理由

登録異議申立人(以下、「申立人」という。)は、次のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第86号証を提出した。

昭和46年9月3日に登録出願され、別掲のとおりの構成よりなり、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉及びその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として、昭和50年3月7日に設定登録された登録第1109011号商標、昭和48年8月28日に登録出願され、「BALLY」の文字と「バリー」の文字とを併記してなり、第21類「装身具、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和53年12月22日に設定登録された登録第1365845号商標、平成1年1月26日に登録出願され、「BALLY」の文字を横書きしてなり、第21類「装身具、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成3年10月30日に設定登録された登録第2345917号商標及び平成2年2月22日に登録出願され、「バリー」の文字を横書きしてなり、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉及びその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として、平成4年10月30日に設定登録された登録第2463350号商標(なお、申立人の登録第651068号との記載については、その提出に係る甲第7号証より登録第2463350号の明白な誤記と認められる。)(以下、これらを合わせて「引用商標」という。)は、申立人及び申立人の関連会社の業務に係る商品「靴、カバン類、被服、ベルト」などの商品を表示するものとして本件商標の登録出願時までにわが国はもとより世界的に需要者の間に広く周知、著名となっていたものであり、「BALLY」は申立人及び関連会社の名称の略称としても著名になっていたものである。しかして、本件商標は、申立人の名称の著名な略称を含み、申立人の承諾を得ていないものであり、また、本件商標は、引用商標に類似し、これを本件商標の指定商品について使用するときは、申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあり、さらに、商標権者は、申立人の著名商標に化体した業務上の信用にただ乗りし不正の利益を得、申立人に損害を加える目的をもって使用するものである。よって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により取り消されるべきである。

3 当審において通知した取消理由

申立人の提出に係る甲各号証を総合勘案すれば、引用商標は、本件商標の登録出願時には既に申立人の業務に係る商品「靴、かばん」等の商標として取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認められる。

そうすると、「BALLY」の文字を含む本件商標は、これをその指定商品に使用するときは、該商品が恰も申立人若しくは申立人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるものとみるのが相当である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見

商標権者は、取消理由通知に対し、以下のように意見を述べた。

本件商標は、「GRACE BALLY」の文字よりなるところ、該商標を構成する「GRACE」及び「BALLY」の各文字は、それぞれ姓名を構成表示する文字として、普通に採択されている馴染み深い語である(特に「GRACE」の文字は、女子の名として、)から、本件商標は、看者をして全体としての一つの姓名を表示したものと理解し、認識せしめると云うのが自然である。

しかも、本件商標は、外観としての形象においても、これを構成する各文字は、同じ書体で、同じ大きさで表示されてあるものであり、また、前半部に位置する「GRACE」の文字と、後半部の「BALLY」とは、バランス良く表示されているものであって、全体としての文字構成においても、とりわけ冗長に亙ものではない。

このようなことからして、本件商標に接する取引者・需要者は、本件商標を構成する「GRACE」と「BALLY」との各文字は結合一体のものとして、構成文字全体について、無理なく自然に注意を惹かれ印象されると云うべきものである。

それ故、たとえ、「BALLY」の文字が本件商標の登録出願前において、申立人が商品「靴,かばん」等の商標として周知なものであるとしても、看者が本件商標に接した場合、該商標の前半部に位置する「GRACE」の文字部分を無視し、省略して、殊更に「GRACE」の文字に続く「BALLY」の文字のみを抽出して、これを印象し、取引に資すると解することは極めて不自然であるから、取引場裡において、本件商標に接する取引者・需要者は、該商標を構成する文字の全体を一つの纏まりをもった商標として把握し、「GRACE BALLY」(「グレースバリー」)とのみ認識して取引に資するというのが相当であって、本件商標は、引用商標「BALLY」と、明瞭に識別され得るものと云うべきものである。

そればかりでなく、本件商標の指定商品は、引用商標に係る商品「靴、かばん」等とは、いわゆる、生産部門、販売部門の専門分野を異にするものであり、それぞれの商品の用途、使用目的を著しく異にするものであって、需要者の購買動機に大きく差異があるものであるから、両者の商品自体についても、互いに誤認、混同のおそれのないものである。

したがって、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、引用商標に係る商品と、その出所について混同のおそれはないものと云うのが相当である。

本件に関しての商標権者の主張を裏付けるものとして、登録第4139479号商標「F・N・D BALLY」、同第4165477号商標「B/FELDINANDBALLY/フェルディナンバリー」、同第4070598号商標「F・N・D BALLY」、同第4201730号商標「B/FELDINANDBALLY/フェルディナンバリー」、同第2714208号商標「FELDINANDBALLY/フェルディナンバリー」、同第2715608号商標「FELDINANDBALLY/フェルディナンバリー」など本件商標と等しく商標構成中に「BALLY」の文字を含む商標が、登録されているところである。

これらの事例は、商標構成中に「BALLY」の文字を含むものの、取引者・需要者間に「BALLY」商標とは充分識別され得るものであって、両商標は別異の商標と認識されるものであり、両者は、その出所の混同を生ずるおそれがないものと、認定、判断され登録されたものと思料される。

以上、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。

5 当審の判断

申立人の提出に係る甲各号証によれば、申立人に係る引用商標は、「靴,かばん,被服」等の商標として、本件商標の登録出願時までには、取引者・需要者間に広く認識され、世界的に著名な商標となっていたものと認められる。

しかして、本件商標は、その構成中の「GRACE」の文字部分は、申立人主張の女子の名「Grace(グレース)」として認識されるとみるよりは、「優美、優雅、しとやかさ、品位、優美にする、飾る」の意味合いを有する英語として一般に知られ親しまれている「grace」に通ずるものとして把握、認識されると判断するのが自然である。

そうすると、本件商標は、全体としては「優美なバリー」、「飾るバリー」程度の意味合いを認識させ、「GRACE」の文字部分は「BALLY」の文字部分を修飾する語として把握され、本件商標の要部、すなわち、自他識別標識としての機能を果たす部分は「BALLY」の文字部分にあるといわざるを得ない。

してみれば、本件商標は、「GRACE BALLY」の文字よりなるものであるが、その構成中の「BALLY」の文字部分が世界的に著名な申立人に係る引用商標「BALLY」と同じ綴り字よりなること、並びに申立人が「靴、かばん類、被服」等と商品(役務)について経営の多角化を図ってきていることからして、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、上記引用商標を連想、想起し、申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。

なお、商標権者は、意見書において事例を挙げて種々述べているが、商標権者の挙げる事例については、本件とは事案を異にするものであり、また、商標権者の挙げた事例について職権により調査したところ、申立人の請求による無効審判事件、登録異議申立事件として審理され、登録第4165477号商標及び同第4201730号商標を除いて、無効審決若しくは登録取消決定がなされているものであることを確認し得たところであり、本件の参考とすることはできない。

また、本件商標の指定商品と申立人に係る引用商標の商品「靴,かばん」等とは生産部門、販売場所、の専門分野が相違し、商品の用途、使用目的が異なると主張するところあるが、両者の商品は大部分がファッション関連商品として密接な関係を有するもの、ないしは日常生活用品として使用するものであって、その用途、使用目的において極めて近似したものであるとともに、企業における経営の多角化が行われているところ、申立人も商品の多様化、経営の多角化を進めていることが認められ、本件商標に接する者は、申立人に係るものとして把握、認識すると判断するのを相当とするから、商標権者の主張は採用できない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであり、同法第43条の3第2項の規定に基づき、その登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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