sokuhyo

Trademark Appeal Case

周知商標と称呼の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2010−900022(T2010−900022/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5275375号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5275375号商標(以下「本件商標」という。)は、「Anevenes」の欧文字と「アニーヴェネス」の片仮名文字を二段に併記してなり、平成21年2月19日に登録出願、第3類「せっけん類,化粧品」を指定商品として、同年9月11日に登録査定、同年10月23日に設定登録されたものである。

2 引用商標

(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録第2216513号商標(以下「引用商標1」という。)は、「AVENE」の欧文字を書してなり、昭和60年11月21日に登録出願され、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成2年3月27日に設定登録されたものであるが、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、平成22年6月23日に指定商品を第3類「せっけん,化粧品」とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

(2)同じく、登録第2695692号商標(以下「引用商標2」という。)は、「Avene」(最初の「e」の文字の上にはアクサン記号(`)が付されている。以下、省略。)の欧文字と「アベンヌ」の片仮名文字とを二段に併記してなり、平成元年10月16日に登録出願され、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成6年9月30日に設定登録されたものであるが、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、平成16年11月17日に指定商品を第3類「シャンプー,その他のせっけん類,香料類,頭髪用化粧品,その他の化粧品」とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。(以下、一括していうときは「引用商標」という。)

3 登録異議の申立ての理由(要旨)

申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1項により取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号ないし第21号証を提出した。

(1)申立人について

申立人であるピエール ファーブル社は、1961年に設立され、現在ではフランスで第2位の医薬品メーカーとなり、薬局販売を主体とする皮膚化学化粧品メーカーとしてはヨーロッパで第1位である(甲第5号証)。

(2)引用商標について

「Avene」は、南フランス・ランドック地方のアベンヌ村の温泉水を使用した化粧品であり、1980年当時より世界各国で使用されている申立人の主力ブランドである(甲第6号及び第7号証)。

我が国では、1986年に株式会社資生堂と共同で「Avene」ブランドの商品を取扱うピエール ファーブル・ジャポン株式会社を設立し、それ以降、同社の継続的かつ精力的な企業活動も相侯って、「Avene」は資生堂有数のブランドに成長したのである。「Avene」ブランドを扱う販売店は2万店舗以上あり、安定した人気と基盤を築くことができたため、さらなる事業拡大を図り、2003年にピエール ファーブル デルモ・コスメティツク・ジャポン株式会社を設立した(甲第8号証)。

「Avene」ブランドの商品は、「テルマリズム」という「温泉水を使って全身をケアし、潤いを与え健やかな状態に導く」という理念に基づき、天然の温泉水を使用して、低刺激であること・敏感肌にも安心して使用できることを最大の特徴としている(甲第9号証)。

申立人は、莫大な広告費用を投じて、雑誌や自社のウェブサイトを通じ、「Avene」ブランドの商品の広告宣伝活動を行ってきた。例えば、甲第10号証は、女性ファッション誌「MAQUIA」とピエール ファーブル・ジャポン株式会社とのタイアップにより「Avene」商品の宣伝を行った際の記事である。

また、申立人は、「Avene Club(アベンヌクラブ)」という「Avene」ブランドの化粧品を愛用するユーザー向けの会員クラブを作り、会員に商品の無料プレゼントを行う各種キャンペーンを実施したり、選考した会員を南仏アベンヌ村に招待し、「Avene」商品を製造する工場を見学させたり等、様々なPR活動を行っている(甲第11号及び第12号証)。

例えば、2003年11月11日付け「ELLE ONLINE」ウェブサイト中「ビューティジャーナリスト倉田真由美の美のネク帖」記事に、「18世紀に発見され、1754年にテルマリズム(温泉治療)施設が作られたアベンヌ。依頼、“肌にいい水”として国内外に広く知れ渡り、皮膚治療などに使われている」との記載がある(甲第13号証)。

「Avene」ブランドの商品のうち、定番のロングセラー商品「アペンヌウォーター」は、デリケートな肌の日本人にフィットするとして好評を博しており、年間200万本以上の販売数を達成している(甲第14号証)。

この「アベンヌウォーター」は、オンラインショッピングサイト「楽天市場」では、アンケート集計において2008年の年間「楽天コスメ大賞」において化粧水部門で第2位を獲得している(甲第15号証)。

また、「Avene」ブランドの商品の一つである「アベンヌ薬用ハンドクリーム」については、発売以来毎年売り上げを増加させ、現在は年間80万本以上を販売するに至っている(甲第14号証)。

「アベンヌ薬用ハンドクリーム」は、我が国最大級のユーザー数を有する化粧品ロコミサイト「@cosme(アットコスメ)」では、ユーザーの評価を集計した年間ランキング「べストコスメ大賞」において、2006年ハンドケア部門で第1位、続く2007年ハンドケア部門で第1位を獲得し、翌年2008年にはハンドケア部門の「殿堂入りコスメ」として唯一選出された程であり、化粧品の主な需要者である女性の間では知らない人はいないと言ってよい(甲第16号ないし第18号証)。

また、女性誌「VoCE」の「The Best Of ベストコスメ☆」では、「Avene」ブランドの商品の一つ、「アベンヌ オイルコントロールエッセンスP」が2003年1月号の美容液部門で受賞(甲第19号証)、2002年8月号の乳液部門で受賞(甲第20号証)、「アベンヌ ピューリファイウォツシュ」が1999年1月号の洗顔&クレンジング部門で受賞している(甲第21号証)。

このように、引用商標は、肌に優しい化粧品のシンボルとして、我が国の多くの人々に愛用されているのである(甲第3号証ないし第21号証)。

以上の事実によれば、引用商標は、本件商標の登録査定時はもちろんのこと、登録出願時である平成21年2月19日の時点において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国において周知・著名となっていたことは明らかである。

(3)本件商標と引用商標との類否について

本件商標は、上段の欧文字部分において、引用商標「Avene」をそのまま含む構成態様である。両者の差異である「ne」と「s」の中、「ne」については、大文字である「A」の後に位置していることに加え、引用商標の語尾部分と重複しているため、さして印象に残ることはなく、際だった差異といえるのは語尾の「s」の有無のみである。

本件商標は、下段にカタカナ文字「アニーヴェネス」を配しているとはいえ、欧文字部分のみを対比した場合、構成文字及び文字配列において共通性があるため、外観上かなり紛らわしい印象を与えるものである。

そして、引用商標の周知・著名性に鑑みれば、本件商標が、その指定商品「化粧品、せっけん類」に使用された場合には、これに接する取引者及び需要者をして、あたかも申立人と何らかの関係のある者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同するおそれがあるといわざるを得ないものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものであるから、その登録は取り消されるべきである。

3 当審の判断

(1)本件商標について

本件商標は、「Anevenes」及び「アニーヴェネス」の文字よりなるところ、下段の片仮名文字部分が上段の欧文字部分の読みを特定したものと無理なく理解されるものであるから、これよりは「アニーヴェネス」の称呼のみを生じ、特定の観念を有しない造語を表したものというべきである。

(2)引用商標について

ア 引用商標1は、「AVENE」の文字よりなるものであるから、我が国において一般に親しまれているローマ字風若しくは英語風の発音に倣い「アベネ」又は「アベン」の称呼を生じ、特定の観念を有しない造語というのが相当である。

イ 引用商標2は、「Avene」及び「アベンヌ」の文字よりなるところ、申立人提出に係る甲第4号ないし第21号証を徴するに、「Avene」の欧文字は、取引上「アベンヌ」の片仮名文字と共に数多く併用して用いられていることが認められる。そうすると、上記アクサン記号が付された「Avene」の欧文字は、「アベンヌ」の称呼をもって取引上使用されているといえるものであるから、引用商標2よりは「アベンヌ」の称呼のみを生じ、特定の観念を有しない造語を表したものというのが相当である。

(3)本件商標と引用商標との類否について

本件商標より生ずる「アニーヴェネス」の称呼と、引用商標1より生ずる「アベネ」又は「アベン」の称呼とを比較するに、両者はその音構成、構成音数において明確な差異を有するものであるから、称呼上十分区別し得るものである。

また、両者は、外観においても明らかな差異があり、観念においては比較できないものである。

次に、本件商標の称呼と、引用商標2より生ずる「アベンヌ」の称呼とを比較するに、上記と同様、両者はその音構成、構成音数において明確な差異を有するものであるから、称呼上十分区別し得るものである。

また、両者は、外観においても明らかな差異があり、観念においては比較できないものである。

以上のとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

(4)商標法第4条第1項第15号該当性について

本件商標と引用商標とは、上記(3)のとおり、十分に区別し得る別異の商標というべきものであるばかりでなく、申立人の提出に係る甲第4号ないし第21号証を徴するも、本件商標とは、その印象を全く異にするものである。

そうすると、たとえ、引用商標が申立人の業務に係る商品「せっけん類,化粧品」を表示する商標として、我が国の需要者の間で広く認識されるに至っていたとしても、本件商標に接する取引者・需要者をして、引用商標を連想又は想起させるとはいえないものであって、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。

してみれば、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する需要者が、引用商標を連想・想起して申立人あるいは同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく誤認することはなく、その出所について混同するおそれはなかったというべきである。

(5)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。