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Trademark Appeal Case

称呼類似と混同のおそれ

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2010−900053(T2010−900053/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5282780号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5282780号商標(以下「本件商標」という。)は、「美養グルト」の文字を標準文字により表してなり、平成21年5月11日に登録出願され、第29類「乳製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,カレー・シチュー又はスープのもと,豆・野菜・果実・種子類又はきのこ類を発酵して抽出したエキスを主成分とするペースト状・液体状の加工食品」及び第30類「茶,コーヒー及びココア,菓子及びパン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,酒かす,発酵させた穀物を主成分とするペースト状・液状の加工食品」を指定商品として同21年11月20日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、次の(1)ないし(3)に掲げるとおりであり、いずれも有効に存続しているものである。

(1)登録第2720337号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の構成:別掲(1)のとおり

登録出願日:昭和56年9月26日

設定登録日:平成9年4月4日

書換登録日:平成19年4月25日

指定商品 :第5類「乳児用粉乳」、第29類「乳製品」、第30類「アイスクリームのもと,シャーベットのもと」及び第32類「乳清飲料」

(2)登録第1319396号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の構成:別掲(2)のとおり

登録出願日:昭和48年2月1日

設定登録日:昭和53年1月13日

書換登録日:平成20年7月30日

指定商品 :第29類「乳製品」

(3)登録第2692327号商標(以下「引用商標3」という。)

商標の構成:別掲(3)のとおり

登録出願日:平成3年11月15日

設定登録日:平成6年8月31日

書換登録日:平成19年10月10日

指定商品 :第1類「乳製品及びその他の食品を発酵させるための菌株」

3 登録異議申立ての理由の要点

(1)本件商標と引用商標1及び2とは、称呼上類似する商標であり、また、本件商標の指定商品中の第29類「乳製品」と引用商標1及び2の指定商品とは、同一又は類似のものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)本件商標は、申立人(ビオグルト ビオガルテ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマディトゲゼルシャフト(以下「ビオグルト社」という。))が、世界各国で「乳製品」について使用し、その結果、ビオグルト社の商標として世界中で広く知られるに至った商標「Bioghurt」と称呼が極めて紛らわしい商標といえる。申立人は、ビオグルト社を2007年4月17日に吸収合併し(甲第6号証)、同社の「Bioghurt」に係るグットウィルを承継している。 そして、申立人は、「Bioghurt」商標に関して、世界36ヶ国において、延べ59の商標登録している(甲第7号証)。我が国においても、申立人は、「乳製品及びその他の食品を発酵させるための株菌」(第1類)について登録商標を有している。

また、申立人は、アメリカ合衆国ミネソタ州ミネアポリスに本店を有する穀物メジャー、カーギル インコーポレイテッド(以下「カーギル社」という。)のグループ会社である。カーギル社は、穀物のみならず、商品先物取引その他の金融サービス、エネルギー、化学品、薬品等、極めて広範な分野において事業を展開しており(甲第8号証)、これにかんがみると、申立人による多角経営の可能性も十分に予想される。また、「Bioghurt」商標が頻繁に用いられている「乳製品及びその他の食品を発酵させるための株菌」は「乳製品」の材料として用いられる商品であるから、乳製品の製造業者によって取り扱われるものであり、商品の生産者、取扱い系統等が一致する。

してみれば、世界各国において広く使用され、広く知られている引用商標3と、称呼上極めて相紛らわしく聴取される得る本件商標に需要者等が接した場合、申立人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、その出所について混同するおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(3)以上のとおり、本件商標は、その指定商品中の第29類「乳製品」について、商標法第4条第1項第11号及び同第15号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきものである。

4 当審の判断

(1)本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について

本件商標と引用商標1及び2との類否について検討する。

称呼の点からみるに、本件商標は、その構成文字に相応して「ビヨウグルト」の称呼を生ずるものである。

これに対し、引用商標1は、別掲(1)のとおり、「Bio」の文字と「ghurt」の文字とは字体を異にするが、筆記体風の「ghurt」中の「g」の文字の末端が「Bio」の文字部分にかかるようにデザインされていることから、全体としてまとまりのある一体のものとして看取されるというべきである。しかして、「Bio」の部分は、「バイオ」又は「ビオ」と発音され、「ghurt」の部分は、申立人も主張するように、「ghost」が「ゴースト」と、「Ghana」が「ガーナ」とそれぞれ発音される例に倣い、「h」を発音せずに「グールト」と発音されるといえる。そうすると、引用商標1は、全体として「バイオグールト」又は「ビオグールト」の一連の称呼を生ずるとみるのが自然である。

また、引用商標2は、別掲(2)のとおり、「ビオクルト」の片仮名と「BIOKURUTO」の欧文字を二段に横書きしてなるところ、一般に、かかる構成の商標において、その片仮名が欧文字部分の読みを特定すべき役割を果たすものと無理なく認識できるときは、片仮名部分より生ずる称呼がその商標より生ずる自然の称呼とみるのが相当である。そうすると、引用商標2は「ビオクルト」の称呼を生ずるものである。

そこで、本件商標から生ずる称呼と引用商標1及び2から生ずる称呼とを対比するに、「ビヨウグルト」と「バイオグールト」とは、構成音数が異なるのみならず、前半における「ビヨウ」の音と「バイオ」の音の差異及び「グ」の音が長音を伴うか否かの差異により、容易に区別できるものである。「ビヨウグルト」と「ビオグールト」とは、第2音、第3音が「ヨ」「ウ」と「オ」「グ」とで異なり、さらに「グ」の音が長音を伴うか否かの差異を有することから、それぞれを一連に称呼するときは、全体の音感、音調が異なり、明瞭に区別することができるものである。「ビヨウグルト」と「ビオクルト」とは、構成音数が異なるのみならず、第2音、第3音が「ヨ」「ウ」と「オ」「ク」とで異なり、さらに「グ」と「ク」の濁音・清音の差異から、それぞれを一連に称呼するときは、全体の音感、音調が異なり、明瞭に区別することができるものである。

次に、外観及び観念の点からみるに、本件商標は、漢字と片仮名文字からなるものの、両者が分離して認識し把握されるべき格別の理由は見出し難いから、全体をもって一体のものとして看取されるというべきである。また、その構成文字に照らし、親しまれた既成の観念を有する成語を表したものとはいえず、むしろ一種の造語からなるものとして認識されるというべきである。

他方、引用商標1は、別掲(1)のとおりの構成からなるところ、前示のとおり、全体をもって一体のものとして看取されるものである。そして、全体として親しまれた既成の観念を有する成語を表したものとはいえず、むしろ一種の造語からなるものとして認識されるというべきである。

また、引用商標2は、別掲(2)のとおり、「ビオクルト」の片仮名と「BIOKURUTO」の欧文字を二段に横書きしてなるものであり、引用商標1と同様、全体として親しまれた既成の観念を有する成語を表したものとはいえず、むしろ一種の造語からなるものとして認識されるというべきである。

そうすると、本件商標と引用商標1及び2とは、外観において判然と区別し得る差異を有するものであり、観念については比較すべくもないものである。

してみれば、本件商標と引用商標1及び2とは、称呼、外観及び観念のいずれの点かみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。

(2)本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について

申立人は、引用商標3が申立人の業務に係る商品「乳製品及びその他の食品を発酵させるための株菌」について使用する商標として広く知られている旨主張し、証拠を提出している。

しかしながら、引用商標3の周知・著名性を立証すべく提出された証拠は、申立人がビオグルト社を吸収合併したことを示す宣誓供述書(甲第6号証)、「BIOGHURT」商標の各国での登録・出願リスト(甲第7号証)及び申立人会社のウェブサイトの写し(甲第8号証)のみであり、引用商標3の使用状況を具体的に示す証拠、売上高や宣伝等を客観的に示す証拠等は提出されていない。

そうすると、申立人の提出に係る証拠によっては、引用商標3が申立人の業務に係る商品を表示する商標として取引者、需要者の間に広く認識されているものとは認めることができない。

その他、引用商標3が申立人の業務に係る商品を表示する商標として取引者、需要者の間に広く認識されていることを認めるに足る証拠はない。

しかも、引用商標3は、引用商標1と構成文字を同一にするものであり、本件商標と引用商標1とが非類似のものであることは上記(1)のとおりであるから、本件商標と引用商標3とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。

かかる事情の下において、商標権者(被請求人)が本件商標をその指定商品中の第29類「乳製品」について使用しても、これに接する取引者、需要者が引用商標3又は申立人等を想起するようなことはなく、当該商品が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといわざるをえない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものとはいえない。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標は、その指定商品中の第29類「乳製品」について、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれの規定にも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

別掲

(1)引用商標1(登録第2720337号)

(2)引用商標2(登録第1319396号)

(3)引用商標3(登録第2692327号)

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