Trademark Appeal Case
称呼の類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2009−900021(T2009−900021/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5172631号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成19年3月26日に登録出願、第5類「日本薬局方の抗菌石鹸,衛生マスク,目の疲れを和らげるために用いる目元用の湿布剤,その他の湿布薬」他、第3類、第4類、第8類、第10類、第20類、第21類、第24類、第25類及び第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同20年8月28日に登録査定され、同年10月10日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由の要旨
(1)申立人会社の沿革
申立人会社の創業は、明治25年4月に大阪において、局方医薬品及び外傷薬チンキ、キイロン等の製造を始めたのが第1歩であり、大正14年株式会社に組織変更、昭和4年に本邦特産である除虫菊を主成分として家庭用殺虫剤「アース」の製造を始め、昭和15年に殺虫剤「アース」の姉妹品として蚊取線香「アース渦巻」の製造、昭和28年自噴式殺虫剤「アースエアゾール」の製造を開始した。昭和39年には商号を商標と同じアース製薬株式会社に変更、昭和40年電気蚊取器「電子アース」及び電気蚊取マット「アースマット」の製造を開始した。
さらに、昭和45年に大塚グループに編入して各種医薬品及びゴキブリ捕獲器「ゴキブリホイホイ」、加熱蒸散型殺虫剤「アースレッド」、並びに液体電子蚊取器「アースノーマット」、ジェット噴射式殺虫剤「アースジェット」、更には、入浴剤「バスロマン」、芳香洗浄剤「セボン」、口中清涼剤「モンダミン」と次々にユニークなヒット商品を生み出し、その商品の優秀性等と相挨って、アースは我が国において周知著名の商標となっている。(甲第2号証ないし甲第9号証)
(2)商標使用の状況
アース製薬株式会社は、前記したように相当に古く、広範囲にわたり実績を有するものであって、その創業当初よりアース、EARTHを多くの製品に使用し現在に至っている。(甲第10号証ないし甲第43号証)
「アース」、「EARTH」と言えば、少なくとも本件商標の出願日である平成19年3月26日以前において、アース製薬株式会社の製造販売する商品であることが老若男女を問わずして全国に広く知られて周知著名の商標となっているものである。
(3)申立人の登録商標
申立人の有する登録商標は、甲第44号証ないし甲第67号証のとおりである。
(4)両商標の比較
本件商標は、上段を英文字で「EARTH」と横書きし、下段を英文字で「THERAPEUTICS」と横書きされ、アース製薬株式会社の有する登録商標とは明らかに類似である。
何となれば、本件商標の上段は「EARTH」とのみ記載され、下段の文字より明らかに大きい。下段の「THERAPEUTICS」は「治療学」、「治療法」の意味であり「薬剤」の分類において識別性を有さないものである。一般需要者は本件商標の上段の「EARTH」を見たり聞いたりして、申立人のアース製薬株式会社と何らかの関連性があるかの如く認識されるものである。
すなわち、上段と下段は文字の大きさ、その意味合いから明らかに「EARTH」が認識されるのであり、「EARTHTHERAPEUTICS」とー体不可分の商標とは全く相違するものである。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号の規定に該当し、商標登録を受けることができないものである。
3 当審において通知した取消理由の要旨
(1)引用商標
ア 登録第243638号商標(以下「引用商標1」という。)は、「EARTH」の欧文字と「スーア」の片仮名文字を二段に書してなり、昭和7年3月3日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同8年5月24日に設定登録され、その後、5回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、平成16年4月28日に第5類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
イ 登録第248908号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、昭和7年9月22日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同8年11月27日に設定登録され、その後、5回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、平成16年10月20日に第5類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
ウ 登録第258476号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲3のとおりの構成よりなり、昭和8年12月7日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同9年10月25日に設定登録され、その後、5回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、平成17年5月6日に第5類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
エ 登録第270496号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲4のとおりの構成よりなり、昭和10年1月28日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同10年11月6日に設定登録され、その後、5回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、平成17年11月30日に第5類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
オ 登録第1674262号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲5のとおりの構成よりなり、昭和55年10月8日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同59年3月22日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、平成16年2月18日に第5類他、計11区分に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
カ 登録第1674263号商標(以下「引用商標6」という。)は、別掲6のとおりの構成よりなり、昭和55年10月8日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同59年3月22日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、平成16年2月18日に第5類他、計11区分に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
キ 登録第2235736号商標(以下「引用商標7」という。)は、別掲7のとおりの構成よりなり、昭和61年10月16日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成2年6月28日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
ク 登録第2353757号商標(以下「引用商標8」という。)は、「アース」の片仮名文字を書してなり、昭和51年7月2日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成3年11月29日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、同13年12月19日に第5類他、計3区分に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
ケ 登録第2353758号商標(以下「引用商標9」という。)は、「EARTH」の欧文字を書してなり、昭和51年7月2日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成3年11月29日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、同13年12月19日に第5類他、計3区分に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
コ 登録第2488178号商標(以下「引用商標10」という。)は、別掲8のとおりの構成よりなり、昭和63年6月17日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成4年12月25日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、同15年5月28日に第5類他、計3区分に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
サ 登録第2488180号商標(以下「引用商標11」という。)は、「EARTH」の欧文字を書してなり、昭和63年7月8日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成4年12月25日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、同15年5月28日に第5類他、計3区分に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(2)上記(1)の引用商標1ないし引用商標11(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)は、「EARTH」(Earth)又は「アース」の文字よりなる商標、若しくはその構成中にこれらの文字を顕著に有しているものであって、申立人が昭和4年頃より今日まで、製造、販売する「家庭用殺虫剤」「蚊取り線香」に使用してきた結果、本件商標の登録出願前より申立人が製造、販売する上記商品に係る商標として、取引者、需要者間に広く知られ、現在に至っているといい得るものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
ア 本件商標は、別掲のとおり、ややデサイン化された「EARTH」の欧文字が上段に書され、下段には、それと同じ幅で上段の文字の三分の二程度の大きさ、同様にややデサイン化された「THERAPEUTICS」の欧文字が書されてなるところ、構成中の「EARTH」の文字は「地球」の意味を、「THERAPEUTICS」の文字は「治療学」の意味をそれぞれ有する英語である。
そして、これらの両語は、それぞれが結合して既成の親しまれた熟語を形成しているものでもなく、上段の「EARTH」の文字が下段の「THERAPEUTICS」の文字より相当大きく表されており、外観上視覚的にみても分離して認識、把握される場合が少なくないといえるものである。
加えて、本件商標は、その構成中の「THERAPEUTICS」の文字は、「治療学」の意味を有し、本件商標の指定商品中、「薬剤」の範疇に包含される第5類中の「日本薬局方の抗菌石鹸,目の疲れを和らげるために用いる目元用の湿布剤,その他の湿布薬」との関係からすると自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないか、若しくは極めて弱いものというのが相当である。
そうとすれば、本件商標は、その構成中比較的大きく表されたの「EARTH」の文字部分を捉えて、これより単に「アース」の称呼が生じ、「地球」の観念を有するものというのが相当である。
イ そこで、本件商標と引用商標とを比較するに、引用商標は、「EARTH」(Earth)又は「アース」の文字よりなる商標、若しくはその構成中にこれらの文字を顕著に有しているものであるから、「アース」の称呼及び「地球」の観念を生ずるものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、「アース」の称呼及び「地球」の観念を共通にし、「EARTH」の文字部分において外観上も類似するといえるものである。
そして、本件商標と引用商標とは、その指定商品も同一又は類似するものである。
(4)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものといわざるを得ない。
4 商標権者の意見
前記3の取消理由に対し、商標権者は、指定した期間内に何ら意見を述べていない。
5 当審の判断
当審において、商標権者に対し、平成21年8月3日付けで商標登録の取消の理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者からは何らの応答もない。
そして、上記3の取消理由は、妥当なものと認められる。
してみれば、本件商標は、その指定商品中、結論掲記の商品について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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