Trademark Appeal Case
「士」名称の誤認混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2009−900175(T2009−900175/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5206981号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成からなり、平成19年11月19日に登録出願され、第41類「安全保障・危機管理及び情報管理に関する知識・理論の教授及び資格の授与のための研修会・セミナー・シンポジウム・討論会等の企画・手配・運営及び開催,資格試験の実施,資格の認定及び資格の授与,安全保障・危機管理及び情報管理に関する映写フィルム・図書の貸与・録画済み磁気テープ・書画の貸与」及び第45類「安全保障・危機管理・情報管理および国民保護に関する助言」を指定役務として、平成21年2月20日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由(要旨)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第7号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により取り消されるべきである旨主張し、その理由を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として甲第1号ないし第10号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第15号について
標章「総合危機管理士」(以下「使用商標」という。)は、申立人の使用する商標として広く一般的に知られているから、これを含む本件商標が使用された場合、申立人の業務に係る役務と出所の混同を生ずるおそれがある。
(2)商標法第4条第1項第7号について
使用商標は、申立人の使用している商標であり、これを含む本件商標が使用された場合、需要者が申立人又は申立人と何等かの関係がある者の使用であると誤認するおそれがあり、これにより商取引の秩序が害されるおそれがある。
3 当審における取消理由
(1)取消理由1
当審において、登録異議申立に基づき、平成21年10月6日付けで商標権者に対して通知した取消理由は、要旨以下のとおりである。
ア 本件商標は、別掲のとおり、右側に大きく「総合危機管理士」の漢字を、その左側には小さく「そうごうききかんりし」の平仮名文字を縦に並列して表し、前記両文字の下段には、さらに小さな欧文字で「Security and Crisis Authority」と横書きした構成からなるものである。
イ しかして、本件商標は、前記アのとおり、その構成中にあって顕著に表された「総合危機管理士」の文字を含んでなるところ、一般に「弁護士」や「税理士」等、末尾に「士」が付された「○○士」の如き名称は、国家等が実施する試験に合格した者だけが取得できる資格を表示する語として使用されているものであるから、このような恰も国家試験等に合格した者に与えられたかのような文字を、出願人が自己の商標として、その指定役務に採択・使用することは、取引者・需要者をして国家資格を表す名称の一つであるかの如く又は国家資格を付与された者であるかの如く誤認を生じさせるおそれがあり、商取引における秩序を乱すものであって、ひいては国家資格制度の秩序をも乱すおそれがあり、穏当でない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものというべきである。
(2)取消理由2
当審において、平成21年12月25日付けで商標権者に対して通知した2回目の取消理由は、要旨以下のとおりである。
ア 本件商標中の「総合危機管理士」の文字部分と同一である「総合危機管理士」の文字は、申立人により民間資格の一つとして、本件商標の出願日(平成19年11月19日)前、少なくとも平成17年4月から北海道内で使用されていたことが、申立人から提出された以下の各証拠から認めることができる。
(ア)2005年(平成17年)8月27日付け読売新聞
「総合危機管理士・第1号 千歳の塩屋さん認定」の見出しの下、「千歳市の塩屋十三総務部参事(59)が、札幌市のNPO法人「危機管理支援協会」(伊藤道彦会長)が認定する総合危機管理士の第1号に認定された。」との記事(甲第2号証−1)。
(イ)2005年(平成17年)8月27日付け北海道新聞
「災害対処はお任せ」の見出しの下、「【千歳】陸上自衛隊OBで、千歳市役所総務部参事の塩屋十三さん(59)が、昨年設立された札幌の特定非営利活動法人(NPO法人)「危機管理支援協会」が認定する総合危機管理士の二級を取得した。」との記事(甲第2号証−2)。
(ウ)「あかしや」(陸上自衛隊北部方面隊広報紙)
平成17年11月1日、平成18年10月1日及び平成19年10月1日付けの各「あかしや」によれば、毎年、「総合危機管理士」の合格者についての紹介記事が掲載されていることが認められる(甲第3号証−1ないし3)。
(エ)平成18年4月20日付け北海道知事宛の「平成17年度事業報告書等提出書」によれば、「事業報告書等提出書」の見出しの下に、「次に掲げる前事業年度(平成17年4月1日から平成18年3月31日まで)の事業報告等について、・・・提出します。」の記載並びに「平成17年度事業報告書」の見出しの下に、「1 事業の成果」の見出し及びその下に、「(3)人材育成事業」の小見出しがあり、「総合危機管理士養成教育を実施するとともに、認定審査を実施し、総合危機管理士25名を育成した。」との記載がある(甲第4号証−1)。
イ 申立人から提出された証拠を総合勘案すると、商標権者は、申立人の業務に係る役務「安全保障・危機管理及び情報管理に関する知識・理論の教授及び資格の授与のための研修会・セミナー・シンポジウム・討論会等の企画・手配・運営及び開催」等について使用される使用商標が、登録されていないことを奇貨として、先取り的に使用商標と同一又は類似の本件商標を、申立人の承諾を得ないで登録出願し、登録を得たものと推認することができる。
すなわち、本件商標を構成する「総合危機管理士」の文字部分は、一般に親しまれて使用されている成語ではなく、独創性のある一種の造語といえるものであるから、偶然に商標権者が申立人の使用商標に極めて類似する本件商標を採択したものとは考え難いものであり、むしろ、請求人と同一又は類似の役務を提供していると推認できる「学術会議 日本安全保障・危機管理学会」(http://ききかんり.jp/index.html)の関係者(理事長)である商標権者が、本件商標の登録出願前に、申立人の使用商標の存在を知悉した上で、「総合危機管理士」の文字が商標登録されていないことを奇貨として、上記構成からなる本件商標を登録出願したものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものというべきである。
4 商標権者の意見
(1)取消理由1に対する意見
ア 本件商標の取消の理由は、商標法第4条第1項第7号に違反するとのことであるが、同号違反(公序良俗違反)は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」ということで、審査基準によれば、
「1.『公の秩序又は善良の風俗を害するおそれかおる商標』には、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合及び商標の構成自体がそうでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するような場合も含まれるものとする。なお、『差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形』に該当するか否かは、特にその文字又は図形に係る歴史的背景、社会的影響等、多面的な視野から判断するものとする。
2.他の法律によって、その使用等が禁止されている商標、特定の国若しくはその国民を侮辱する商標又は一般に国際信義に反する商標は、本号の規定に該当するものとする。」とあるが、本商標はそのどれにも該当するものではない。
イ 取消理由として、「一般に『弁護士』や『税理士』等、末尾に『士』が付された『○○士』の如き名称は、国家等が実施する試験に合格した者だけが取得できる資格を表示する語として使用されているものであるから、このような恰も国家試験等に合格した者に与えられたかのような文字を、出願人が自己の商標として、その指定役務に採択・使用することは、取引者・需要者をして国家試験を表す名称の一つであるかの如く又は国家資格を付与された者であるかの如く誤認を生じさせるおそれがあり、商取引における秩序を乱すものであって、ひいては国家資格制度の秩序をも乱すおそれがあり、穏当でない。」とのことであるが、これは全くの独断であり、『○○士』の如き名称は、国家等が実施する試験に合格した者だけが取得できる資格を表示するものだけではなく、世の中に多く存在する。
ウ ちなみに、特許庁で審査され、登録されたものも数多いが、「士」のみでなく、本商標のように「○○管理士」と「管理士」が付くものだけでも83件もの例がみられる。
これらの事実を無視して本件商標のみが、取引者・需要者をして国家試験を表す名称の一つであるかの如く、又は国家資格を付与された者であるかの如く誤認を生じさせるおそれがあるとされるのは心外である。さらに、この83件の中で、「管理士」に「危機」が付くものも6件みられる。
(2)取消理由2に対する意見
ア 取消理由2によれば、本件商標を構成する「総合危機管理士」の文字部分は、一般に親しまれて使用されている成語ではなく、独創性のある一種の造語といえるものであるから、偶然に商標権者が申立人の使用商標に極めて類似する本件商標を採択したものとは考え難いものであるとされる。
しかし、「危機管理士」という商標がすでに登録されており、本件商標を構成する「総合危機管理士」と登録商標「危機管理士」とは、「総合」という文字の有無の差に過ぎない。
このことからも解るように、「総合危機管理士」の文字が、一般に親しまれて使用されている成語ではないとは言えず、独創性のある一種の造語といえるものでもなく、偶然に商標権者が申立人の使用商標に極めて類似する本件商標を採択したものである。
商標権者にとっては、本件登録異議申立人の存在は一切不知である。
イ 本件商標を構成する「総合危機管理士」の文字部分が成語であり、商標権者が、本件商標の登録出願前に、申立人の使用商標の存在を知悉した上で、「総合危機管理士」の文字が商標登録されていないことを奇貨として、上記構成からなる本件商標を登録出願したとの判断は、証拠のない独断的なものと言わざるを得ない。
そもそも、本件登録異議申立人の提出した証拠は、北海道内という限定された地域での使用であり、東京に本拠地を有する本件商標権者がその使用事実を知る由もない。
本件商標権者は、本件商標を構成する「総合危機管理士」と同一又は類似の役務を提供していると推認できる「学術会議 日本安全保障・危機管理学会」(http://ききかんり.jp/index.html)の関係者(理事長)である。
取消理由2において、「商標権者が、本件商標の登録出願前に、申立人の使用商標の存在を知悉した上で、」とは、全く根拠のない独断であり、証拠も示されていない。
5 当審の判断
(1)本件商標について
ア 本件商標は、別掲のとおり、その構成中に「総合危機管理士」の文字を含んでなるところ、その構成中前半の「総合」の文字部分は、「広辞苑・第六版」によれば、「個々別々のものを一つに合わせまとめること。」を意味する語であり、同中間の「危機管理」の文字部分は、同じく「大規模で不測の災害・事故・事件等の突発的な事態に対処する政策・体制。人命救助や被害の拡大防止など迅速で有効な措置がとられる。」を意味する語として、また、「現代用語の基礎知識2009(自由国民社発行)」によれば、「▼危機管理〔crisis management〕 危機、つまり不測の緊急事態が生じた際の組織的な対応。・・・首相官邸の危機管理体制の中核に位置するのが内閣官房の『内閣危機管理監』で地震・ハイジャック・原発事故など、14のケースごとに危機管理マニュアルを作成している。」と記載されている。
そして、同末尾の「士」の文字については、同じく広辞苑によれば、「一定の資格・役割をもった者。」、また、大辞泉(小学館発行)によれば「一定の資格・職業の人」と記載されているものであるが、その用語例としては「弁護士」等が挙げられている。
イ ところで、末尾に「士」の付く名称の中で、一般国民にとって接する機会が多く、かつ、一般国民に知られている度合いが高い名称(国家資格)には、前記した「弁護士」の他、「公認会計士」「弁理士」「税理士」「栄養士」「気象予報士」「建築士」「不動産鑑定士」「土地家屋調査士」「司法書士」等があるところ、国家資格には、前記したそれらの比較的周知な名称だけでなく、むしろ、「初生雛鑑別士」「船舶料理士」「浄化槽管理士」「発破技士」「臭気判定士」等、周知とは思えない多種多様な国家資格も多数存在しているのが実情である。
そして、末尾に「士」の付く名称で、国家資格に係るものは、国家が公共の福祉その他政策上の目的のために、国民の職業選択の自由を制限してでも一定の能力を有すると判定された者に限って、一定の地位ないし権限を付与する必要があると認め、法令をもってそのように定めたものであり、そのため国家資格に伴う地位ないし権限は、必然的に対世的かつ排他的なものとなるが、民間資格の場合には、上記のような必要に基づくものでも法令に根拠を有するものでもないから、国家資格と民間資格とでは、一般国民に対して現実に果たしている役割の重要性は、比較にならないほどの相異があるといわざるを得ない。
それゆえ、周知でない国家資格も多数存在する現在の状況において、恰も国家資格等と誤認を生ずるおそれがあるものについては、より慎重な判断が求められているところである。
したがって、現下の状況においては、よほど一般国民において、その名称の存在が疑われる程度にまで特異な名称でない限り、一般国民は、それを国家資格ないし国家資格に準ずるものと誤認を生ずるおそれがあるものというべきである。
ウ そこで検討するに、本件商標は、その構成中に「総合危機管理士」の文字を表してなるものであるが、その構成文字全体よりは、「テロやハイジャック、大規模地震など多岐にわたる危機に総合的に対処・管理できる国家資格を有する者」程の意味合いを直観させるものであって、軽々に扱うことの出来ない国民の生命・財産に、直接的に影響を与え得る非常に重要な語句と認められるものであるから、その存在が疑われる程度にまで特異な名称となっているものとは認められず、むしろ、本件商標に接した一般の国民は、本件商標がその指定役務に使用された場合には、本件商標が現存する国家資格等と誤認を生ずるおそれのある、国家資格を得た者の取り扱いに係る役務であるかの如く誤認を生ずるおそれがあることを否定できないものというべきである。
エ そして、実際に、全国紙である「読売新聞」の2005年(平成17年)8月27日版(甲第2号証の1)によれば、「千歳市の総務部参事が、札幌市のNPO法人『危管理支援協会』が認定する総合危機管理士の第1号に認定された。」との記事や、同日付け「北海道新聞」には、「陸上自衛隊OBで、千歳市役所総務部参事が、昨年設立された札幌の特定非営利活動法人(NPO法人)「危機管理支援協会」が認定する総合危機管理士の二級を取得した。・・・市が直面する危機は、地震やテロなど市民の生命に影響が及ぶ事態と、二○○○年問題など役所の運営が困難になるような事態が想定されるという」との記事があるとおり、本件商標の査定時(平成21年1月23日)において、すでに「総合危機管理士」の資格を有する市の職員が、市役所において危機管理を担当する立場で勤務している実情があることからすれば、実際に地震やテロなどの危機が発生した場合には、市役所は当然として、一般市民も、その「総合危機管理士」を信頼して、その者の指示等に従って行動するだろうことは否定できないから、このような重要な語句からなる本件商標を、一私人である請求人(出願人)が、その指定役務に使用した場合には、恰も該役務が国家資格を有する者の取り扱いに係る役務であるかのような印象を抱かせるものであり、一般世人をして誤信せしめ、国家資格等の制度に対する社会的信頼を失わせることにもなり、ひいては社会公共の利益に反するおそれがあるものといわざるを得ない。
(2)他人の存在
ア 「総合危機管理士」の文字は、前記3(2)の取消理由2で通知したとおり、申立人が民間資格の一つとして、本件商標の出願日(平成19年11月19日)前である、少なくとも平成17年4月から北海道内で使用していたことが、申立人提出の証拠から認めることができる。
イ そして、申立人提出の証拠を総合勘案すれば、商標権者は、申立人の業務に係る役務「安全保障・危機管理及び情報管理に関する知識・理論の教授及び資格の授与のための研修会・セミナー・シンポジウム・討論会等の企画・手配・運営及び開催」等について使用される使用商標が、登録されていないことを奇貨として、先取り的に使用商標と同一又は類似の本件商標を登録出願し登録を得たものと推認することができる。
ウ すなわち、本件商標を構成する「総合危機管理士」の語は、一般に親しまれて使用されている成語ではないことから、偶然に、商標権者が申立人の使用商標に極めて類似する本件商標を採択したものとは考え難く、むしろ、請求人と同一又は類似の役務を提供していると推認できる「学術会議 日本安全保障・危機管理学会」(http://ききかんり.jp/index.html)の関係者(理事長)である商標権者が、本件商標の登録出願前に、申立人の使用商標の存在を知悉した上で、「総合危機管理士」の文字が商標登録されていないことを奇貨として、上記構成からなる本件商標を登録出願したものといわざるを得ない。
(3)商標権者の反論
ア 請求人は、意見書において、「○○士」の如き名称は、国家等が実施する試験に合格した者だけが取得できる資格を表示するものだけでなく、世の中に多く存在し、特許庁で審査され登録されたものも数多いが、「士」のみでなく、本件商標のように「○○管理士」と、「管理士」が付くものだけでも83件もの登録例があると主張している。
確かに、請求人主張のとおり、「士」が付された名称が、常に法律上の根拠を有する資格のみを表示するものでないことは否定できないところであるが、前記したとおり、一般的には「士」が付された名称は、法律が一定の資格要件を定めている名称と理解されていると認められるものであるから、たとえ、「士」や「管理士」が付された名称が多数登録されている事実が存するとしても、それによって、本件商標の登録の可否が左右されるものではない。
イ 請求人は、偶然に商標権者が申立人の使用商標に極めて類似する本件商標を採択したものである。また、商標権者が、本件商標の登録出願前に、申立人の使用商標の存在を知悉した上で、「総合危機管理士」の文字が商標登録されていないことを奇貨として、別掲のとおりの構成からなる本件商標を登録出願したとの判断は、全く証拠のない独断であり、証拠も示されていないと主張している。
しかしながら、インターネット情報「防人の道」(http://www.ch-sakura.jp/sakimori/sakimori-election.html?id=460)」によれば、「ゲスト GUEST」の見出しの下に、「二見宣 学術社団 日本安全保障・危機管理学会理事長/元陸上自衛隊業務学校副校長 昭和15年生まれ。昭和37年防衛大学校第6期卒業後、陸上自衛隊に入隊。その後、防衛研究所、第7特科連隊長、富士学校総合研究開発部長などを歴任後、平成6年に陸将補で退官。平成17年より現職。」との記載があることからすれば、商標権者は、平成6年まで自衛隊の幹部として勤務していたものであるから、退官後も自衛隊に関する様々な情報に接する機会は一般の人よりも格段に多いものと推認でき、かつ、平成17年からは、日本安全保障・危機管理学会の理事長として、正に「危機管理」の問題を専門に担当していたものであるから、北海道に駐屯する陸上自衛隊の「定年退職予定自衛官を対象とした総合危機管理士の資格取得のための講習」等が平成17年から開始されたことについて、前記新聞に取り上げられた記事も含め、十分に知り得る立場にいたものと優に推認できるものである。
そうとすれば、申立人の使用商標と同一又は類似の本件商標を、商標権者が偶然に創案し、採択したものとは俄に認められないものであるから、商標権者の上記主張は採用できない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標は、恰も該役務が国家資格を有する者の取り扱いに係る役務であるかのような印象を抱かせるものであって、かつ、申立人の使用商標と明らかに類似する本件商標を、商標権者が採択し、登録出願したのは、単に偶然の一致とみることはできず、むしろ、申立人の使用商標が未登録であることを承知の上で、先取り的に使用商標と同一又は類似の本件商標を登録出願し、登録を得たものと認めざるを得ないものであるが、そのような行為は、社会の一般的道徳観念に反するものであり、また、公正な取引秩序を乱し、公序良俗に反するものといわなければならないものである。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、同法第43条の3第2項により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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