Trademark Appeal Case
語尾「ン」の称呼類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2009−900454(T2009−900454/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5267695号商標(以下「本件商標」という。)は、「ホイップるん」の文字を標準文字で表してなり、平成20年12月1日に登録出願、「遊戯用器具,歌がるた,トランプ,おもちゃ,布製おもちゃ,人形,運動用具,釣り具」を含む第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品、「食用油脂,乳製品」を含む第29類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品、並びに、第9類、第14類、第16類、第18類、第20類、第24類、第25類及び第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同21年7月23日に登録査定され、同年10月2日に設定登録されたものである。
2 引用商標
(1)登録異議申立人「株式会社エポック」の引用する登録第5150347号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ホイップる」の文字と「Whipple」の文字とを上下二段に書してなり、平成19年11月21日に登録出願、第28類「遊園地用機械器具(業務用テレビゲーム機を除く。),おもちゃ,人形,囲碁用具,歌がるた,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,トレーディングカードゲーム用カード,タロットカード,遊戯用カード,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,運動用具,釣り具,昆虫採集用具」を指定商品として、同20年7月11日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(2)登録異議申立人「トーラク株式会社」の引用する登録第5010181号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ほいっぷる」の文字を標準文字で表してなり、平成18年2月27日に登録出願、第29類「食用油脂,乳製品」を指定商品として、同年12月15日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
3 取消理由の要旨
当審において、登録異議申立に基づき、平成22年4月23日付けで商標権者に対して通知した取消理由は、要旨以下のとおりである。
(1)本件商標と引用商標1及び引用商標2との類否について
ア 本件商標について
本件商標は、「ホイップるん」の文字からなるものであるから、これよりは「ホイップルン」の称呼を生じ、特定の観念を有しない造語というのが相当である。
イ 引用商標1及び引用商標2について
(ア)引用商標1は、上記2のとおりの構成よりなるところ、構成中上段部の「ホイップる」の文字が、下段部の「Whipple」の文字の表音を表したものと無理なく認識し得るものであるから、これよりは「ホイップル」の称呼を生ずるものであり、また、特定の観念を有しない造語というのが相当である。
(イ)引用商標2は、上記2のとおり「ほいっぷる」の文字よりなるものであるから、その構成文字に相応して「ホイップル」の称呼を生ずること明らかであり、また、特定の観念を有しない造語というのが相当である。
(2)本件商標と引用商標1及び引用商標2との類否について
本件商標より生ずる「ホイップルン」の称呼と引用商標1及び引用商標2より生ずる「ホイップル」の称呼とを比較するに、両者は「ホイップル」の5音を共通にし、異なるところは、語尾における「ン」の音の有無にすぎないものである。
そして、「ン」の音自体が、鼻音の弱い音であって、しかも、明瞭に聴取され難い語尾に位置することも相俟って、「ン」の音が、その称呼全体に及ぼす影響は極めて少ないというのが相当である。
そうとすれば、本件商標の称呼「ホイップルン」と引用商標1及び引用商標2の称呼「ホイップル」をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の音調、音感が相似たものとなり彼此聴き誤るおそれがあるものといわなければならない。
次に、外観についてみるに、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、構成全体とすれば、区別し得るとしても、本件商標の構成中、語尾の「ん」を除く「ホイップる」の文字と引用商標1の構成中、「ホイップる」の文字とは、共通にするものであるから、両者は、近似した印象を与えるものである。
また、観念についてみると、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、共に特定の観念を有しない造語よりなるから、比較し得ない。
してみれば、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、観念上比較し得ないものであり、また、その構成全体の外観においては、区別し得ることを考慮したとしても、両者は、それぞれの構成中の「ホイップる」の文字を共通にするところから、外観上、近似した印象を与えるものであって、かつ、称呼において類似する商標といわざるを得ない。
そして、引用商標1及び引用商標2の指定商品は本件商標の指定商品中に包含されるものである。
(3)結び
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものといわざるを得ない。
4 商標権者の意見
(1)称呼上の相違について
本件商標は、「ホイップるん」であって、「ホイップ」の部分をカタカナ表記にし、「るん」の部分をひらがな表記にして、「ホイップ」と「るん」の部分の表記を意図的に区別している。このように表記された本件商標は、「ホイップ」と「るん」とがともに強く響く音であるばかりでなく、むしろ、「ホイップ」よりも「るん」が強く響き、「るん」の部分が「ホイップ」に対してアクセントとなっている。
これに対し、引用商標1及び2からは、ともに「ホイップル」の称呼を生ずるものであって、「ホイップル」を一連に称呼するときは、語尾の「ル」はその前の「ホイップ」に比較して弱く発音されるものである。
そうしてみると、引用商標1及び2から生ずる「ホイップル」の称呼と、「ホイップ」と「るん」とがともに強く発音されるばかりでなく、「るん」の部分が「ホイップ」に対してアクセントとなっている本件商標「ホイップるん」の称呼とを対比すると、両者は、全体の音調、音感が異なる。
したがって、本件商標と、引用商標1および2は、称呼上非類似である。
(2)外観上の相違について
本件商標と引用商標1および引用商標2とは、構成全体とすれば、区別し得るものである。また、本件商標がカタカナ「ホイップ」とひらがな「るん」に区別されていて、「るん」の部分が「ホイップ」に対してアクセントとなるため、「るん」の部分が、外観上強く印象に残る。この外観の違いが、前述のとおり称呼非類似の結果をもたらしているものということができる。
これに対して、「ホイップる」の文字と「Whipple」の文字を二段に書してなる引用商標1は、「ホイップ」の文字に「る」が埋没しており、カタカナ「ホイップ」の文字の後ろに「るん」の文字を続けて書した本件商標とは外観上非類似と言わざるを得ない。
引用商標2は、ひらがなで「ほいっぷる」の文字を書してなるものである。よって、カタカナ「ホイップ」の文字の後ろに続けてひらがな「るん」の文字を書してなる本件商標と引用商標2とでは、外観上非類似と言わざるを得ない。
以上のとおり、本件商標と引用商標1および2は、外観上非類似である。
(3)むすび
本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるとする取消理由は当たらない。
5 当審の判断
(1)本件商標についてした取消理由の通知(前記3)は妥当であって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(2)商標権者は、前記4のとおり、「本件商標は、『ホイップるん』であって、『ホイップ』の部分をカタカナ表記にし、『るん』の部分をひらがな表記にして、『ホイップ』と『るん』の部分の表記を意図的に区別している。このように表記された本件商標は、『ホイップ』と『るん』とがともに強く響く音であるばかりでなく、むしろ、『ホイップ』よりも『るん』が強く響き、『るん』の部分が『ホイップ』に対してアクセントとなっている。」ことを前提に、本件商標と引用商標1および2とは、称呼及び外観上非類似である旨主張する。
しかしながら、本件商標が、字体を異に表記することによって、「ホイップ」と「るん」の部分の表記を意図的に区別しているとしても、「『ホイップ』と『るん』とがともに強く響く音であるばかりでなく、むしろ、『ホイップ』よりも『るん』が強く響き、『るん』の部分が『ホイップ』に対してアクセントとなっている。」と結論づける理由が示されていないばかりか、その合理的理由はないものというべきである。
そうとすると、上記の内容を前提として、本件商標と引用商標1および2とが、称呼及び外観上非類似であるとする商標権者の主張は失当といわざるを得ない。
(3)以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものと認められるから、同法第43条の3第2項の規定に基づき、その指定商品中「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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