Trademark Appeal Case
複合商標の要部抽出と称呼類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2009−21804(T2009−21804/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、別掲(1)に示すとおりの構成からなり、第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、平成20年7月24日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、登録第471330号商標(以下「引用商標1」という。)、登録第1108743号商標(以下「引用商標2」という。)及び登録第5139577号商標(以下「引用商標3」という。)(以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。)と同一又は類似の商標であって、同一又は類似の商品及び役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 引用商標
以下の引用商標の商標権は、いずれも、現に有効に存続しているものである。
1 引用商標1は、「L’ESPOIR」の欧文字を横書きにしてなり、昭和29年11月10日に登録出願、第43類「菓子及び麺ぽうの類」を指定商品として、同30年9月29日に設定登録、その後、4回にわたり、商標権の存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、平成18年3月15日付けで第30類「菓子(甘栗・甘酒・氷砂糖・みつ豆・ゆであずきを除く。),粉末あめ,水あめ(調味料),もち,パン」に書換登録されたものである。
2 引用商標2は、「レスポワール」の片仮名文字を横書きにしてなり、昭和47年2月21日に登録出願、第30類「菓子,パン」を指定商品として、同50年3月3日に設定登録、その後、3回にわたり、商標権の存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、平成17年3月30日付けで第30類「菓子,パン」に書換登録されたものである。
3 引用商標3は、別掲(2)に示すとおりの構成からなり、平成19年5月17日に登録出願、第35類「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同20年6月13日に設定登録されたものである。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本願商標と引用商標1との類否について
本願商標は、別掲(1)に示すとおり、濃紅色の横長の四角形を背景とし、その背景図形の中央上部にレンガ造り風の建物図形(以下「建物図形」という。)が配され、その下に白抜きされた「ONOMICHI」、「L’ESPOIR」、「du Cafe」及び「Onomichi coast street Red brick Restraurant」の文字を四段に配してなるものであるところ、二段目に書された「L’ESPOIR」の文字は、他の文字に比して、顕著に大きく書されているものである。
しかして、本願商標の構成中建物図形と文字部分とは、上下に配されていることから、視覚上分離して看取されるものである。
また、その構成中の文字部分をみると、上記のとおり、四段に書された文字のうち二段目に書された「L’ESPOIR」の文字が、他の文字に比して、大きく書されていることから、該文字も視覚上分離されるとみるのが相当である。
さらに、本願商標構成中の文字全体から生ずる「オノミチレスポワールデュカフェオノミチコーストストリートレッドブリックレストラン」の称呼は極めて冗長であるから、構成文字中の一部を捉え称呼する場合もあると判断するのが相当である。
さらにまた、本願商標は、その構成全体、あるいは、四段に書された文字部分が全体として、特定の意味合いを看取させるものである等、常に一体不可分のものとして看取されなければならない特段の事情は認められないものである。
してみると、簡易迅速を尊ぶ取引の実際にあっては、本願商標に接する取引者、需要者は、本願商標の構成中、顕著に大きく書された「L’ESPOIR」の文字部分に強く印象を留め、これより生ずる称呼をもって取引に資する場合も決して少なくないというべきである。
そうしてみると、本願商標は、構成文字全体に相応した「オノミチレスポワールデュカフェオノミチコーストストリートレッドブリックレストラン」の称呼のほか、「L’ESPOIR」の文字部分に相応した「レスポワール」の称呼をも生ずるものである。
他方、引用商標1は、「L’ESPOIR」の欧文字を書してなるものであるから、その構成文字に相応して「レスポワール」の称呼を生ずるものである。
そこで、本願商標と引用商標1との類否について判断するに、本願商標と引用商標1とは、それぞれの構成に照らし、その外観が全体としては異なるものの、本願商標の構成中「L’ESPOIR」と引用商標1とは、共に欧文字で、その綴りを同じくするものであるから、外観上類似するものである。
また、本願商標と引用商標1とは、「レスポワール」の称呼を共通にするものである。
さらに、本願商標の構成中の「L’ESPOIR」と引用商標1とは、「希望」を意味するフランス語であるところ、英語に比べフランス語に接する機会が少ない一般の需要者が、該文字の意味を直ちに、理解しないものであるとしても、同じ成語からなるものであるから、両商標は、同一の観念が生ずるものと判断し得るものである。
そして、本願の指定役務「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と、引用商標1の指定商品「菓子(甘栗・甘酒・氷砂糖・みつ豆・ゆであずきを除く。),粉末あめ,水あめ(調味料),もち,パン」とは、商品の製造・販売と役務の提供が同一事業者によって行われることが一般的であり、商品の販売場所と役務の提供場所を同一にし、さらに、需要者を共通にするものであるから、類似するものとみるのが相当である。
してみれば、本願商標と引用商標1とは、称呼及び観念を共通にし、外観においても類似するものであるから、本願商標をその指定役務に使用した場合には、その出所について誤認混同を生ずるおそれがあると認められる。
(2)本願商標と引用商標2との類否について
本願商標は、上記(1)で認定したとおり、構成中の「L’ESPOIR」の文字部分に相応して「レスポワール」の称呼を生ずるものである。
他方、引用商標2は、「レスポワール」の片仮名文字からなるものであるから、「レスポワール」の称呼を生ずること明らかである。
そこで、本願商標と引用商標2との類否について判断するに、本願商標と引用商標2とは外観において相違するものであり、また、本願商標の構成中「L’ESPOIR」と引用商標2からは、直ちに特定の意味合いを認識させるとはいえないものであるから、両商標は、観念において比較することはできない。
しかしながら、本願商標と引用商標2とは、「レスポワール」の称呼を共通にするものである。
そして、本願の指定役務「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と、引用商標2の指定商品「菓子,パン」とは、上記(1)同様に、類似のものとみるのが相当である。
してみれば、本願商標と引用商標2とは、外観においては相違するものであり、観念において比較することはできないとしても、「レスポワール」の称呼を共通にする類似の商標であるから、本願商標をその指定役務に使用した場合には、その出所について誤認混同を生ずるおそれがあると認められる。
(3)本願商標と引用商標3との類否について
本願商標は上記(1)で認定したとおり、構成中の「L’ESPOIR」の文字部分に相応して「レスポワール」の称呼を生ずるものである。
他方、引用商標3は、別掲(2)に示すとおり、「L’espoir」(なお、「’」の部分は「*」で表示されている。以下同じ。)と「レスポワール」の文字とを上下二段に書してなるものであるから、それぞれの構成文字に相応して「レスポワール」の称呼を生ずるものである。
そこで、本願商標と引用商標3との類否について判断するに、本願商標と引用商標3とは、それぞれの構成に照らし、その外観が全体としては異なるものの、本願商標の構成中「L’ESPOIR」と引用商標3の構成文字中「L’espoir」とは、「’」が「*」に置換されているか否かの相違点、また、「L’」に続く文字が大文字からなるものか小文字からなるものであるか等の相違点があるとしても、結局、その綴りは同じであることからすれば、外観上、近似する印象を与えるものといえる。
また、本願商標と引用商標3とは、「レスポワール」の称呼を共通にするものである。
さらに、本願商標の構成中「L’ESPOIR」と引用商標3からは、直ちに特定の意味合いを認識するものとはいえないものであるから、両商標は、観念において比較することができない。
そして、本願の指定役務「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と、引用商標3の指定役務「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とは、同一又は類似の役務である。
してみれば、本願商標と引用商標3とは、観念においては比較することができないとしても、外観において近似するものであって、「レスポワール」の称呼を共通にする類似の商標であるから、本願商標をその指定役務に使用した場合には、その出所について誤認混同を生ずるおそれがあると認められる。
2 請求人(出願人)(以下「請求人」という。)の主張について
ア 請求人は、「証拠資料からすれば、店舗名である『ONOMICHI L’ESPOIR du CAFE 尾道レスポワールドゥカフェ』は、尾道の海岸通りにあるレンガ造りの倉庫を改装したレストランとして知られ、『レスポワールドゥカフェ』として、一体不可分に認識されている。また、『L’ESPOIR』はフランス語で『希望(ねがい。のぞみ。)』という意味があり、各種の商品、サービスに使用されているが、本出願人は、『L’ESPOIR』に『du CAFE』を付加し、『喫茶店の希望』として識別力を高めており、さらに、『L’ESPOIR du CAFE』、『レスポワールドゥカフェ』を使用しているのは、請求人のみである。そうとすれば、本願商標からは、上記店舗名(レストラン)を想起させることから、『ONOMICHI』と『L’ESPOIR』と『du Cafe』が分離して認識されるものではなく、一体のものとして認識されるものであって、本願商標と引用商標とは類似しない。」旨主張する。
そこで、請求人の提出した証拠資料をみるに、雑誌の掲載記事(甲第1号証ないし甲第8号証)やインターネット等の情報(甲第9号証ないし甲第29号証)により、請求人が営業するレストランを「ONOMICHI L’ESPOIR du CAFE」、「レスポワール・ドゥ・カフェ」、「L’ESPOIR du CAFE」等と称して紹介されていることは窺い知れるものである。
しかしながら、請求人が営業するレストラン(カフェ)は、広島県の尾道市にのみ存在するにすぎず、その隣接県あるいは全国的に店舗展開しているものではなく、しかも、本願商標を主として使用しているのは、本願の指定役務「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とは異なる「レストラン(カフェ)における飲食物の提供」に関する役務である。
そうとすると、例え、雑誌やインターネット等で、その店舗が紹介され、かつ、「L’ESPOIR du CAFE」、「レスポワールドゥカフェ」を使用しているのが、請求人のみであるとしても、本願商標の構成態様からなる商標に接した需要者が、その構成中「ONOMICHI」の文字と「L’ESPOIR」の文字と「du Cafe」の文字を常に一体不可分のものとして認識するものとはにわかには信じ難いものである。
そして、本願商標は、前記1で認定したとおり、その構成文字中、顕著に大きく書された「L’ESPOIR」の文字部分のみを捉えて取引されることがあるものといえるから、結局、本願商標と引用商標とは、類似の商標といわざるを得ない。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
イ また、請求人は、過去の登録例等を挙げて本願商標も登録されるべきである旨主張しているが、該登録例等は、商標の構成及び指定役務等において本願とは事案を異にするものであり、それらの登録例をもって、本願商標の登録の適否を判断する基準とするのは必ずしも適切とはいえないことから、請求人の係る主張も採用することができない。
ウ その他の請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すに足りない。
3 まとめ
したがって、本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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