Trademark Appeal Case
結合商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2008−32180(T2008−32180/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「MICROCYLINDER」の文字を標準文字で表してなり、第7類「アクチュエータ及びその部品」を指定商品として、平成20年2月20日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『微小な(非常に小さい)シリンダー』であることを理解させるにとどまる「MICROCYLINDER」の欧文字を標準文字で表示してなるところ、これをその指定商品中、例えば「微小なシリンダー式のアクチュエータ(微小なシリンダーを有する商品)」等上記文字に照応する商品に使用するときは、単に商品の品質、形状を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、請求人に対して通知した職権による証拠調べの結果は、以下のとおりである。
1 本願商標は、「MICROCYLINDER」の欧文字を標準文字で表してなるところ、該構成中「MICRO」の文字に関して、書籍について証拠調べを行った結果によれば、次の事実が認められる。
(1)「広辞苑」(第6版。株式会社岩波書店発行)には、「マイクロ【micro】」として、「(微小の意のギリシア語mikrosから)100万分の1(10−6)(合議体注意書き。−6は10の右上に小さく表示。以下同じ。)を表す単位の接頭語。ミクロ。記号μ」との記載がある。
(2)「大辞泉」(増補新装版。株式会社小学館発行)には、「マイクロ【micro】」として、「1 《ギリシア mikros kosmos(微小世界の意)から》国際単位系(SI)で、単位の上に付けて100万分の1(10−6)を表す語。記号μ。2 外来語の上について、微小な、小さい、の意を表す。」との記載がある。
(3)「大辞林」(第3版。株式会社三省堂発行)には、「マイクロ0【micro】」として、「外来語の上に付いて複合語をつくり、微小な、小さいの意を表す。ミクロ。単位に冠して、10−6すなわち一〇〇万分の一の意を表す語。ミクロ。記号μ」との記載がある。
(4)「コンサイスカタカナ語辞典」(第3版。株式会社三省堂発行)には、「マイクロ[micro<ギmikros(小さい)]」として、「極小。微小。非常に小さいもの。ミクロとも。2「100万分の1」を意味する接頭語。」との記載がある。
(5)「研究社新英和大辞典」(第6版。株式会社研究社発行)には、「micro−」として、「次の意味を表す連結形:1『小,微小』の意。2『拡大する』の意。3『100万分の1』の意。」との記載がある。
(6)「ジーニアス英和大辞典」(株式会社大修館書店発行)には、「micro−」として、「1 小,微少;微量;2 拡大の,顕微鏡を使う。3 100万分の1。」との記載がある。
(7)「小学館ランダムハウス英和大辞典」(第2版。株式会社小学館発行)には、「micro−」として、「1 小,微小,微量。2 微小生物体(有機物)や微少量の物質を扱う。3 小さな学問分野を扱う。4 拡大が必要な。5 100万分の1。」との記載がある。
(8)「英和コンピュータ用語大辞典」(第3版。日外アソシエーツ株式会社発行)には、「micro」として、「超小型の,マイクロの」との記載がある。
(9)「イミダス現代人のカタカナ語欧文略語辞典」(株式会社集英社発行)には、「マイクロ【micro−】」として、「1 微小な.極微な.多くは接頭語として用いる.2 10−6(100万分の1)を表す国際単位系(SI)の接頭語.記号はμ.」との記載がある。
(10)「日経新聞を読むためのカタカナ語辞典」(株式会社三省堂発行)には、「マイクロ[micro−]」として、「1 極小な.微少な.2 『100万分の1』を意味する接頭語」との記載がある。
2 本願商標の構成中「CYLINDER」の欧文字に関して、書籍について証拠調べを行った結果によれば、次の事実が認められる。
(1)「広辞苑」(第6版。株式会社岩波書店発行)には、「シリンダー【cylinder】」として、「1 円筒。円柱。2 往復運動機関の主要部分の一つ。鋼製または鋳鉄製の中空円筒状で、その内部をピストンが往復して所要の仕事を行う。気筒。シリンドル。」との記載がある。
(2)「大辞泉」(増補新装版。株式会社小学館発行)には、「シリンダー【cylinder】」として、「1 円筒。2 内燃機関・蒸気機関・水力機関などの主要部分で、流体を密閉した円筒形の容器。中をピストンが往復運動する。気筒。」との記載がある。
(3)「大辞林」(第3版。株式会社三省堂発行)には、「シリンダー【cylinder】」として、「1 円筒。円柱。また、そのような形状のもの。2 蒸気機関・内燃機関などの主要部分の一。中空の円筒状をなし、その内部でピストンを蒸気圧やガス圧によって往復運動させる。気筒。」との記載がある。
(4)「コンサイスカタカナ語辞典」(第3版。株式会社三省堂発行)には、「シリンダー[cylinder(円筒・円柱)<ギkylindein(ころがる)]」として、「気筒.往復運動機関の主要部分.円筒形で,その中をピストンが往復する.」との記載がある。
(5)「研究社新英和大辞典」(第6版。株式会社研究社発行)には、「cylinder」として、「円柱,円筒,(ポンプ・エンジンなどの)シリンダー,気筒」との記載がある。
(6)「ジーニアス英和大辞典」(株式会社大修館書店発行)には、「cylinder」として、「円筒;円柱,円柱面.シリンダ;気筒;」との記載がある。
(7)「小学館ランダムハウス英和大辞典」(第2版。株式会社小学館発行)には、「cylinder」として、「円柱,円柱形のもの,(ポンプの)シリンダー.(エンジンの)シリンダー.」との記載がある。
(8)「英和コンピュータ用語大辞典」(第3版。日外アソシエーツ株式会社発行)には、「cylinder」として、「シリンダ」との記載がある。
(9)「イミダス現代人のカタカナ語欧文略語辞典」(株式会社集英社発行)には、「シリンダー【cylinder】」として、「円筒.円筒容器.ピストンが往復運動をする円筒部.気筒.」との記載がある。
(10)「日経新聞を読むためのカタカナ語辞典」(株式会社三省堂発行)には、「シリンダー[cylinder]」として、「気筒.内部をピストンが往復する往復運動機関の主要部分.円筒.円柱.」との記載がある。
(11)「JIS工業用語大辞典」(第5版。財団法人日本規格協会発行)には、「シリンダ cylinder」として、「シリンダ力が有効断面積及び差圧に比例するような,直線運動をするアクチュエータ.」との記載がある。
3 本願商標を構成する「MICROCYLINDER」の文字、又は、これの表音である「マイクロシリンダー」が使用されていることについて、新聞記事及びインターネット上のウェブページについて証拠調べを行った結果によれば、次の事実が認められる。
(1)1991年5月30日付け化学工業日報4ページには、「三菱レイヨン、高分子多孔質体を開発、超微細・均一なマイクロポア層」の表題の下、「三菱レイヨンは、高精度・高開孔率で極めて均一なマイクロポア層を有する高分子多孔質体を開発、サンプル供給を開始した。分離膜技術の延長線上で開発された多孔質膜素材で、世界初の直円筒集合構造(ユニフォーム・マイクロシリンダー・ストラクチャー)を有し、0.45‐20ミクロン範囲で極めて均一な微小孔が得られる。除菌高性能スクリーンフィルター、バイオリアクター用担体、通気性シートなど水から空気までの幅広い用途展開を考慮している。」との記載がある。
(2)1995年6月7日付け日刊工業新聞7ページには、「化繊ノズル製作所、トロコイド形状ポンプの最小クラス試作に成功」の表題の下、「同社では、現在の技術レベルで外径三ミリ程度までの小型化が可能としているが、このほかにもマイクロピストン、マイクロシリンダーなどの開発も進めており、バイオ、メディカル関連を視野に入れながらマイクロマシンの製品化を図る方針だ。」との記載がある。
(3)1999年9月2日付け日刊工業新聞18ページには、「シルバー精工、オゾン水関連事業に参入。まず低価格の生成器を商品化」の表題の下、「同社製品は、水を直接電気分解してオゾン水を生成する方法で、通常の水を軟水器と渦流通過式マイクロシリンダー電極に通すだけで、濃度は1−4ppmのオゾン水が生成できる。」との記載がある。
(4)2000年5月10日付け化学工業日報4ページには、「大和実業、農業分野にも展開、水道直結方式オゾン水生成装置」の表題の下、「同社が主体となって開発した新規オゾン水生成装置『スーパーオゾン2000』(商品名)は、初めて水道直結方式が採用されたシステム。直径三・五センチメートル、長さ二十センチメートルのマイクロシリンダーを中枢機能に据え、軟水器を通した水道水を直接取り込み、最大で約三・五ppmのオゾン水を一分間に三リットル前後の高速で生成できる。」との記載がある。
(5)CKD株式会社のウェブページ中、「商品情報 空圧シリンダ 一般形」(http://www.ckd.co.jp/kiki/info/cylinder/standard.htm)には、「マイクロシリンダCMA2」、「スーパーマイクロシリンダSCM」との記載がある。
(6)株式会社ニューエラーのウェブページ中、「製品情報 空気圧機器」(http://www.newera.co.jp/product/index2.html)には、「マイクロシリンダ(標準)」、「マイクロシリンダ(オーダー)」との記載がある。
(7)株式会社スター精機が運営するアインツのウェブページ中、「New!アインツジャングルジムシリーズ 価格構成事例」(http://www.eins1.jp/cgi-bin/notea/upload/jirei.pdf)には、「10φのパット2個取りですスプールはマイクロシリンダーで掴みます。」及び「UMCD−5マイクロシリンダー ¥2,240X2」との記載がある。
(8)日本工業大学のウェブページ中、「村川教授 活動実績リスト」(http://nit-mot.cc-town.net/modules/wfsection/article.php?articleid=24)には、「題目」として「マイクロ部品の製作法に関する研究(第5報)−マイクロシリンダ部品の製作および組立−」との記載がある。
(9)財団法人ベンチャーエンタープライズセンターが運営する「起業支援ネットワーク NICe」のウェブページ中、「記事 2009年02月12日『JapanVentureAward2009』の推薦起業家たち第1回東北の大学発ベンチャーの雄、アイカムス・ラボの片野圭二社長」(https://www.nice-vec.jp/sns/article_detail/79)には、「まず、平成17年3月に、直径わずか6mmの『超小型不思議遊星歯車減速機』の事業化に成功したのに続き、応用製品『マイクロシリンダ』を開発。さらにプラスチック・マイクロアクチュエータ歯車の開発と製造を手掛ける。」との記載がある。
(10)富士通株式会社のウェブページ中、「雑誌FUJITSU 2005−11号(VOL.56,NO.6)」の「特集 高付加価値を低コストで生み出す微細・精密加工技術」(http://img.jp.fujitsu.com/downloads/jp/jmag/vol56-6/paper09.pdf)には、「個々の磁気ヘッド部での加工圧力制御には電空レギュレータで空気圧を制御したマイクロシリンダとリンクによる駆動力伝達機構の組合せによる多点アクチエータを開発し,分解能1mmの制御を実現した(図−1)。」との記載がある。
(11)興進工業株式会社についてのウェブページ(http://www4.ocn.ne.jp/~koushink/sungaiyou.htm)には、「沿革」として「1982年(昭和57年)空圧マイクロシリンダーの生産開始」との記載がある。
(12)特許庁ホームページにおける特許電子図書館(IPDL)の公開特許公報及び特許公報を検索してみると、「マイクロシリンダ」の文字(語)が、例えば、以下のように使用されている状況が認められる。
(ア)公開番号「特開平5−93790」には、「【発明の詳細な説明】」中、「【0022】空この微小伸長装置は、加工機、治具、マイクロロボットのハンド、顕微鏡の検体移動、マイクロシリンダー、超低速モーター、回転機等の微小移動部分に応用できる。」との記載がある。
(イ)公開番号「特開平5−195958」には、「【発明の詳細な説明】」中、「【0002】【従来の技術】従来の医療用、化学用の微量ポンプには、シリンダ内に満たされた薬品などの流体をピストンにより少しずつ押し出すマイクロシリンダ等が用いられている。また、圧電素子を駆動源として連続的に流体を押し出す構造の圧電ポンプに、特開平3−107585がある。【0003】【発明が解決しようとする課題】ところが、従来使用されているマイクロシリンダでは、シリンダ内の流体が減少あるいは無くなった場合は一度ピストンを引いて流体を補充しなければならないが、このために余分な作業が必要となるうえ、流体の送り出しが途切れて流速が不安定になる等の問題があった。」との記載がある。
(ウ)公開番号「特開平8−130003」には、「【要約】」中、「【構成】充填装置は、電解液を貯留する電解液貯留タンク1と、電解液貯留タンク1内の電解液Lを充電池3内に送液するマイクロシリンダ2と、充電池3の内部を気密状態とする密封手段4と、充電池3内を真空引きする真空ポンプ5と、充電池3内を大気圧に戻すニードル弁6とを備える。」との記載がある。
第4 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性について
本願商標は、「MICROCYLINDER」の文字を標準文字で表してなるものである。
ところで、上記第3項1の証拠調べ通知に記載した事実によれば、本願商標構成中の「MICRO」の文字は、「微小な、小さい」の意味を有する語である。
また、同項2によれば、本願商標構成中の「CYLINDER」の文字は、「直線運動をするアクチュエータ」の意味を有する語である。
そして、同項3によれば、(a)空圧シリンダ、(b)空気圧機器、(c)多点アクチュエータ、(d)空圧マイクロシリンダーなど、電気・流体・磁気・熱・化学的エネルギーを機械的な仕事に変換させるアクチュエータに「マイクロシリンダー」の文字が普通に使用されていることが認められる。
そうとすると、本願商標は、たとえ同じ書体、同じ大きさ及び等間隔で一連に表されているとしても、上記の事実よりして、「MICRO」及び「CYLINDER」の2語よりなるものと容易に認識されるから、その指定商品との関係において、「微小な、直線運動をするアクチュエータ」「小さい、直線運動をするアクチュエータ」程の意味合いを認識し得るということができる。
したがって、「MICROCYLINDER」の文字からなる本願商標を、その指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は、上記意味合いを認識するにとどまり、本願商標は、商品の品質、形状を表示したものであり、自他商品の識別標識としての機能を果たさないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、「微小な、直線運動をするアクチュエータ」「小さい、直線運動をするアクチュエータ」以外の指定商品に本願商標を使用したときは、同法第4条第1項第16号に該当するといわざるを得ない。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、本願商標の指定商品と証拠調べ通知書に記載の商品は異なる旨述べている。
しかし、本願指定商品は、上記第1のとおりであり、また、上記第3のとおり証拠調べ通知書に記載の商品中、アクチュエータについての記載もあることから、両商品は同一又は類似の商品であり、請求人の主張は失当である。
(2)請求人は、過去の登録例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきと主張するが、それら過去の登録例は、指定商品の内容及び商標の具体的な構成などにおいて、本件とは事案を異にするものであり、また、登録出願された商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるかどうかの判断は、当該商標の構成態様と指定商品に基づいて、個別具体的に判断されるものであって、それらの登録例に拘束される理由はないから、請求人の主張は採用することができない。
(3)請求人のその他の主張及び証拠をもってしても、当審の判断を覆すに足りない。
3 むすび
したがって、本願商標が、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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