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Trademark Appeal Case

地名と教育法の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2009−6710(T2009−6710/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、「The Montessori School of Tokyo」の文字を標準文字で表してなり、第41類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成20年3月13日に登録出願されたものである。

その後、指定役務については、原審における平成21年1月28日付け手続補正書及び当審における同年5月29日付け手続補正書により、最終的に、第41類「モンテッソーリ教育法に基づく幼稚園・小学校・中学校・高等学校等における教育,モンテッソーリ教育法に基づく語学の教授,モンテッソーリ教育法に基づく海外留学準備講座における知識の教授,モンテッソーリ教育法に基づく幼稚園・小学校・中学校・高等学校教育・語学・海外留学準備講座に関するセミナーの企画・運営又は開催,モンテッソーリ教育法に基づく幼稚園・小学校・中学校・高等学校等における教育に関する電子出版物の提供,モンテッソーリ教育法に基づく語学の教授に関する電子出版物の提供,モンテッソーリ教育法に基づく海外留学準備講座における知識の教授に関する電子出版物の提供,モンテッソーリ教育法に基づく幼稚園・小学校・中学校・高等学校等における教育に関する書籍の制作,モンテッソーリ教育法に基づく語学の教授に関する書籍の制作,モンテッソーリ教育法に基づく海外留学準備講座における知識の教授に関する書籍の制作,モンテッソーリ教育法に基づく幼稚園・小学校・中学校・高等学校等における教育に関するビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),モンテッソーリ教育法に基づく語学の教授に関するビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),モンテッソーリ教育法に基づく海外留学準備講座における知識の教授に関するビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」と補正されたものである。

第2 原査定における拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、『The Montessori School of Tokyo』の文字を標準文字で表してなるところ、構成中の『Montessori』の文字は、その指定役務との関係において、イタリアの教育家であるMontessori,Mariaが提唱した教育法の一種を指称するものとして使用され、この理念に基づく学校について『Montessori School』の文字が使用されている実情が見られるから、本願商標全体よりは『モンテッソーリ法に基づく教育を行う東京の学校』程の意味合いを認識させるもので、これを本願指定役務のうち教育(知識の教授)に関する役務に使用するときは、これに接する取引者、需要者をして、前記学校が提供する役務や前記学校に関する役務(例えば『モンテッソーリ法に基づく教育を行う東京の学校における教育,前記学校における教育に関する書籍の制作』など)であるといったように前記意味合いを認識するに止まり、単に役務の質、内容を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断

1 本願商標の商標法第4条第1項第16号の該当性について

本願商標は、その指定役務について前記第1のとおり補正された結果、これをその指定役務に使用しても、役務の質の誤認を生ずるおそれはなくなったものと認められる。

したがって、原審における拒絶の理由のうち、商標法第4条第1項第16号に該当するとした拒絶の理由は解消した。

2 本願商標の商標法第3条第1項第3号の該当性について

本願商標は、前記第1のとおり、「The Montessori School of Tokyo」の文字よりなるところ、本願指定役務との関係においては、「Montessori(モンテッソーリ)」が「イタリアの医師・教育家。近代イタリア初の女性医学博士。」(広辞苑第六版)を意味する語として、また、「教育」の語を付した「モンテッソーリ教育」が「20世紀始めにマリア・モンテッソーリによって考案された教育法。」(ウィキペディアフリー百科事典)を意味する語として、知られているものである。

そうとすると、本願商標は、英語の定冠詞である「The」と、「モンテッソーリ教育を行う学校」ほどの意を表す「Montessori School」、そして、「東京にある」を意味する「of Tokyo」の語を組み合わせてなるものであることを理解させるもので、これよりは、「東京にあるモンテッソーリ教育を行う学校」ほどの意味合いを容易に認識させるというのが相当である。

また、本願指定役務を提供する教育業界では、「Montessori(モンテッソーリ)」の文字が、「モンテッソーリ教育を行う教育機関」ほどの意味合いを表す語として、該機関の名称の一部において、一般に採択・使用されている実情が、別掲に示す新聞記事及びインターネット・ホームページの記載からも窺い知ることができる。

そうしてみると、本願商標は、これをその指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者は、「東京にあるモンテッソーリ教育を行う学校により提供される役務」程の意味合い、すなわち、役務の質、内容を表示するものとして認識するに止まるものであるから、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないというべきである。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

3 請求人の主張について

(1)請求人は、本願商標が周知であるとして以下のとおり主張している。

請求人あるいは請求人の学校は、(ア)「日本インターナショナルスクール協会」の会員となることが認められ、財務省・文部科学省に周知であると認められている。(イ)国際モンテッソーリ協会によって格付が認定されている。(ウ)常陸宮妃華子殿下がご臨席された「食卓の芸術(チャリティー展示会)」に出展しており、皇室にも請求人の学校名として十分認識されている。

また、本願商標に係る主な需要者は、審判請求人の提供する「モンテッソーリ教育法」を導入した教育関連サービスと審判請求人が独自の教育方針を取り入れてサービスを提供している事実を十分に理解し、且つ、当該サービスの評判によって入学を求める一般消費者(学校入学者とその両親)を指すものであり、本願商標に係る需要者である学校入学者とその両親も、本願商標が審判請求人の運営する学校であることを認識している。

そして、本願商標は、入学希望者等に配布されるパンフレット、生徒名簿、送迎バス、スクールの入り口、教材、バインダー、活動着、通知に利用される封筒・便せんに至るまで常に使用されており、本願商標に係る需要者は、本願商標が審判請求人によって使用されている事実を十分認識している。

(2)ところで、商標が使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるものというためには、1)実際に使用している商標が、判断時である審決時において、取引者・需要者において何人かの業務に係る商品であるかを認識することができるものと認められること、2)登録が認められる商標及び指定商品は、実際に使用している商標及び商品と同一であること、と解されている。また、登録により発生する権利は、全国的に及ぶ独占権であることも考慮すると、同条同項は、厳格に適用されるべきである、旨、判示されている。(知財高裁 平成18年(行ケ)10441号判決及び平成19年(行ケ)10243号判決参照)。

(3)そこで、これを踏まえて、本願商標の使用等について検討する。

請求人は、本願商標に係る主な需要者は、「学校入学者とその両親」である旨述べているが、本願指定役務は、「モンテッソーリ教育法に基づく」ものと限定されてはいるものの、「教育,語学の教授,知識の教授,セミナーの企画,教育に関する電子出版物の提供,知識の教授に関する電子出版物の提供,教育に関する書籍の制作,教育に関するビデオの制作」等の「教育あるいは教育に関連した書籍・ビデオの制作」等である。そうとすれば、保育園、幼稚園、小学校に入園(入学)予定の児童、生徒(及びその両親)、あるいは語学学習者、留学予定者(希望者)は、請求人の学校に入学を希望するか否かにかかわらず、本願役務に関する需要者といえるものであり、請求人の学校の入学者及び両親のみが主な需要者であるとする、請求人の主張はその前提において失当である。

また、請求人は、本願商標を使用している事実として、各証拠(第1号証、第8号証及び第20号証ないし第34号証)を提出しているが、前記(2)で述べたとおり、使用に係る商標は本願商標との同一性が求められるところ、第28号証の1及び2には、「THE MONTESSORI SCHOOL OF TOKYO」の文字を表した教材の写真が見られるが、すべての文字が大文字で書されており、大文字と小文字が入り交じった構成よりなる本願商標とは、文字構成が相違するものである。

また、第31号証の1及び2には、「The Montessori School of Tokyo」の文字を表したTシャツの写真が見られるものの、本願商標をややデザインして表示し、かつ、他の文字及び図形と一体的に表して使用するものであるから、標準文字である本願商標とは、その構成態様が相違するものである。

さらに、第31号証の3及び4には、「THE MONTESSORI SCHOOL OF TOKYO」の文字を表したTシャツの写真が見られるが、すべての文字が大文字で書されており、大文字と小文字が入り交じった構成よりなる本願商標とは、文字構成が相違するばかりでなく、該文字以外の文字や図形と一体的に表示されているほか、全体の構成態様が、標準文字である本願商標とは相違するものである。

そうとすると、前記証拠からでは、本願商標あるいは本願商標と同一と認められる商標が、その指定役務あるいは当該指定役務の提供の用に供する物に使用されたものと認めることはできない。

そして、例えば、第20号証等一部の証拠において、本願商標と同一と認められる商標が、パンフレット等において使用されていることは認められるものの、その使用範囲は、入学希望者あるいは生徒(両親を含む。)に対するもの並びに学校周辺や校内、あるいは学校で使用する教材、備品、消耗品であるにすぎず、これらの使用をもって、本願商標が広く使用されていたとすることはできない。

したがって、請求人が提出した各証拠によっては、本願商標が、その指定役務に使用された結果、請求人の業務に係るものとして、需要者間に広く認識されるに至っていると認めることができない。

なお、請求人は、本願商標が周知であるとして、上記(1)の(ア)ないし(ウ)を挙げているが、提出された本願商標の使用に係る事実からでは、前記のとおり、需要者間に広く認識されるに至っているとは認められないものであり、例え、請求人が述べるとおり、財務省・文部科学省に周知と認められ、協会によって格付けが認定され、皇室にも請求人の学校名として十分認識されているものであるとしても、それをもって、本願商標が需要者間に広く認識されているということもできない。

(4)過去の登録例

請求人は、過去の登録例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張している。

しかしながら、登録出願された商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標の構成態様と指定商品又は指定役務との関係における、その商品又は役務の取引の実情を考慮して、個別具体的に判断されるべきものであって、かつ、その判断時期は、査定時又は審決時と解されるべきものであるから、請求人が挙げた商標登録例の存在によって、前記判断は左右されるべきものではない。

したがって、請求人の主張は採用することができない。

その他の請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すに足りない。

4 むすび

以上のとおり、本願商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。

なお、本願商標が商標法第4条第1項第16号に該当するとした原査定の理由は、補正により解消した。

よって、結論のとおり審決する。

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