Trademark Appeal Case
公的印章類似と公序良俗
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2009−10704(T2009−10704/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第35類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成20年1月29日に登録出願されたものである。
2 原査定における拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、ブラジル連邦共和国政府が商品コーヒーについて用いるもので、平成6年4月26日通商産業省告示302号により通商産業大臣が指定した印章と極めて近似したものであり、これを同国政府と何ら関係のない一私人である出願人が自己の商標として採択使用することは、同国政府が商品コーヒーについて用いる印章の権威を損ない、国際信義並びに公序良俗に反するものと認められるものであり、穏当を欠くものといわざるを得ない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標の商標法第4条第1項第7号の該当性について
商標法第4条第1項第7号は、商標の構成自体が、きょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合及び商標の構成自体がそうでなくとも、商標をその指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するものである場合、また、他の法律によって、その使用等が禁止されている商標、特定の国若しくはその国民を侮辱する商標又は一般に国際信義に反する商標については、その出願を拒絶すべき旨を定めたものと解するのが相当である。
ところで、本願商標は、別掲1のとおり、8枚の植物の葉に丸い実が3個成っている植物をモチーフにデザイン化した図形を表し、その下部に「CAFE DO」(「E」にアクサンテギュが付されている。)及び「BRASIL」の欧文字を二段に書してなるものである。
次に、通商産業省告示第302号で告示された標章(以下「本件標章」という。)は、商標法(昭和34年法律第127号)第4条第1項第5号の規定に基づき、通商産業大臣(平成13年1月6日施行の中央省庁等改革基本法により「通商産業大臣」は「経済産業大臣」に改められた。)が「ブラジル連邦共和国政府が用いる印章/商品 コーヒー」(昭和57年3月13日通商産業省告示第百号:この告示は、平成6年4月26日に通商産業省告示第三百二号により制定されたものとする。)として指定する標章の一であり、別掲2のとおり、緑色の8枚の葉に赤く丸い実が3個成っている植物をモチーフにデザイン化した図形を表し、その下部に「CAFE DO」(「E」にアクサンテギュが付されている。)及び「BRASIL」の欧文字を二段に書してなるものである。
そこで、本願商標と本件標章とを比較するに、両者は、各構成要素の位置関係や縦横比等に微差を有するが、共に、一見して酷似したものと看取されるものであって、主な相違点は、図形部分がモノクロであるか色彩が施されているかを異にするのみであるものと認められる。
そうとすると、このようなブラジル連邦共和国政府の公的印章と類似の商標を、同国政府と何ら関係のない一私人と認められる請求人(出願人)が独占排他権を有する自己の登録商標として採択使用することは、同国政府がコーヒーについて用いる印章の権威を損なうことにも通ずるものであり、また、国際信義並びに公序良俗に反するものと認められるものであるから、穏当を欠くものといわざるを得ないものである。
さらに、この商標登録を認めるものとすべき特段の事由があるものとも認められない。
(2)請求人の主張(要旨)について
請求人は、本願商標を使用した商品を「アルペン」、「スポーツデポ」等の全国の大型店舗で店舗展開している。また、サッカーウェアー、ティーシャツ、バッグ類を初めとして多くのサッカー関連商品に長年にわたり継続して使用しており、その結果、サッカー関連商品において周知著名な商標としてサッカーファン、サッカー関係者に親しまれている。さらに、ブラジル連邦共和国での商品生産と販売も開始しており(甲第1号証の会社経歴書)、ブラジルにおいてもサッカー関連商品を取り扱う企業として周知な日本企業の一つとなっている旨、主張し、平成21年9月1日付け手続補足書により、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証を提出している。
しかしながら、請求人が本願商標を、サッカーに関連する商品に使用し、サッカーファン及びサッカー関係者に親しまれているとしても、該事実をもって、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当しないとする理由とはなり得ないから、請求人の主張は採用することはできない。
また、請求人は、過去の登録例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきである旨、主張しているが、本願商標が登録されるべきか否かは、過去の登録例に拘束されることなく、個別、具体的に検討されるべきものであり、また、登録出願された商標が商標法第4条第1項第7号に該当するものであるか否かの判断時期は、査定時又は審決時と解されるものであることからすれば、請求人が挙げた商標登録例の存在によって、前記判断は左右されるべきものではなく、請求人の主張は採用することができない。
その他の請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すに足りない。
(3)まとめ
以上によれば、本願商標を商標法第4条第1項第7号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、これを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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