Trademark Appeal Case
周知商標と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年異議第90363号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4063092号商標(以下「本件商標」という。)は、平成3年12年11日に商標登録出願され、別掲のとおりの構成よりなり、第17類「被服 布製身回品 寝具類」を指定商品として、同9年10月3日に設定登録がなされたものである。
2 取消し理由の要旨
本件商標は、別掲のとおりの構成よりなり該構成中には「POLOEARTH」の文字を含むものである。
ところで、馬に乗ったポロ競技プレーヤーの図形及び「POLO」「Polo」「ポロ」等の文字は、アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンが、商品「被服、装身具、香水、眼鏡」等に長年使用し、本件商標の出願前から需要者の間に広く知られている商標と認められる。
本件商標は、その構成中に「POLOEARTH」の文字を含むものでありその冒頭に「POLO」の文字を有するものであるから、本件商標をその指定商品に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「POLO」の文字に注目し、前記周知になっているラルフ・ローレンに係る商標を連想し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、出所の混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
3 商標権者の意見
(1)本件商標は、地球を背景にした馬に乗った騎士状の図形の下部に欧文字の「POLOEARTH」を併記してなるものであるから、その構成中に「POLO」の文字を有しているとしても、当該「POLO」が他の文字から遊離して一般の消費者・取引者らに認識されるようなことはなく、商標の全体から生ずる自然的称呼「ポロアース」により他人の業務に係る商品とは明確に峻別することができるものである。
(2)本件商標中の「POLOEARTH」の文字は、同一の態様、同一の大きさで一連不可分に表示してなるものであり、これよりは「ポロ」単独の称呼は生じ得ないものである。
(3)「POLO」は、「ポロ競技」に由来するものであり、業界においては商品「ポロシャツ」を簡略して「ポロ」と称していることから、商標中に「POLO」の文字を有するとしても、特定人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれはない。
4 当審の判断
(1)「POLO」の周知性について
株式会社講談社昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典'84ザ・ブランド」の記載によれば、以下の事実が認められる。
アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは、1967年に幅広ネクタイをデザインして注目され、翌1968年にポロ・ファッションズ社(以下「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、シャツ、セーター、スーツ、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出し、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞したのをはじめ、数々の賞を受賞した。1974年に映画「華麗なるギャッツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。その頃からその名前は我が国服飾業界においても知られるようになり、そのデザインに係る一群の商品には、横長四角形中に記載された「Polo」の文字と共に「by RALPH LAUREN(by Ralph Lauren)」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形の各商標が用いられ、これらは「ポロ」の略称でも呼ばれている(別掲引用商標A及び引用商標B参照)。
そして、株式会社洋品界昭和55年3月発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」「ポロ/Polo」の項及びボイス情報株式会社昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略'85」の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付け日経流通新聞の記事によれば、我が国においては西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等の、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。
また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、株式会社スタイル社1971年7月発行「dansen男子専科」を始め、前記「男の一流品大図鑑」、株式会社講談社昭和54年5月発行「世界の一流品大図鑑'79年版」、株式会社チャネラー昭和54年9月発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑'80年版」、「男の一流品大図鑑'81年版」(昭和55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑'80年版」(昭和55年6月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行「MEN’S CLUB 1980,12」、「世界の一流品大図鑑'81年版」(昭和56年6月発行)、前記「舶来ブランド事典'84ザ・ブランド」、株式会社講談社昭和60年5月発行「流行ブランド図鑑」のそれぞれにおいて、眼鏡については、「世界の一流品大図鑑'80年版」、「ファッション・ブランド年鑑'80年版」、「男の一流品大図鑑'81年版」、「世界の一流品大図鑑'81年版」のそれぞれにおいて、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題の下に紹介されていることが認められる。
以上によれば、引用商標は、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服類及び眼鏡製品に使用する商標として遅くとも昭和55年頃までには既に我が国において取引者・需要者間に広く認識されるに至っていたものと認められ、その状態は現在においても継続しているというのが相当である。
(2)商品の出所の混同のおそれについて
本件商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、図形部分と「POLOEARTH」の文字部分とが、もしくは「POLOEARTH」の文字部分が構成全体をもって特定の意味合いを表すものとして認識し、理解されるものとは認められないものであるばかりでなく、文字部分においては「POLO」及び「EARTH」がそれぞれ意味を有する既成語であることから、本件商標はこれら2語よりなる商標とみるのが相当といえる。
そうすると、本件商標は、構成中文字部分の冒頭に「POLO」の文字を有するものと容易に認識、理解されるものであり、また、本件商標の指定商品及び前記引用商標に係る商品はともに、ファッションに関連する商品であることから、統一ブランドの下にトータル的にファションをまとめようとする昨今においては、本件商標をその指定商品について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、前記した実情からラルフ・ローレンのデザインに係る商標を連想、想起し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのようにその出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
(3)商標権者は、本件商標は、地球を背景にした馬に乗った騎士状の図形の下部に欧文字の「POLOEARTH」を併記してなるものであるから、その構成中に「POLO」の文字を有しているとしても、当該「POLO」が他の文字から遊離して一般の消費者・取引者らに認識されるようなことはなく、商標の全体から生ずる自然的称呼「ポロアース」により他人の業務に係る商品とは明確に峻別することができるものであるし、「POLOEARTH」の文字は、同一の態様、同一の大きさで一連不可分に表示してなるものであり、これよりは「ポロ」単独の称呼は生じないものであると述べる。 しかしながら、本件商標の図形部分は地球を背景にした馬に乗った騎士状のものであると明瞭に認識される態様のものとは認められないし、「POLOEARTH」の文字もこれが一体となって特定の意味をなすものとは認められないものである。そして、「POLOEARTH」は「POLO」と「EARTH」の2語を結合してなるものと認められるものであること、冒頭の「POLO」の文字がラルフ・ローレンのデザインに係る商標として取引者、需要者に広く認識されているものであることよりすれば、本件商標から単独に「ポロ」の称呼を生ずるかどうかにかかわらず、本件商標をその指定商品について使用するときは、需要者等がラルフ・ローレン又は同人と何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがある前記認定を相当とするものであり、商標権者の主張は採用できない。
また、商標権者は、「POLO」は「ポロ競技」に由来するものであり、業界においては商品「ポロシャツ」を簡略して「ポロ」と称していることから、商標中に「POLO」の文字を有するとしても、特定人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれはないものであると述べている。
しかし、「ポロシャツ」の語が襟付き半袖シャツの名として普通名称となっていること、及びこれが「ポロ」と略称される例があることが認められるとしても、商品に使用された「POLO」の語に接した取引者・需要者が、ラルフ・ローレンあるいはポロ社に関係する商品として識別するか否かにそのことが関係するのは、「POLO」の語が普通名称として用いられている可能性が認識される場合に限られ、それ以外の場合には関係しないことは明らかであるから、商標権者の主張は採用できない。
以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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